老人ホームに入るタイミングはいつ?考え始めたい10のサインをケアマネが解説
親の介護をしていると、いつか気になってくるのが「老人ホームを考えるタイミング」です。
まだ一人で歩けている。
食事もできている。
家族が手伝えば、なんとか自宅で生活できている。
そんな状況では、
まだ老人ホームは早いのでは?
本人が嫌がっているのに探していいの?
どこまで自宅で頑張るべき?
と迷う家族は少なくありません。
しかし、老人ホームは「自宅生活が完全にできなくなってから初めて探す場所」ではありません。
私はケアマネや老人ホーム入居相談員として、施設を探すご家族からさまざまな相談を受けてきました。
その中で何度も感じたのが、「入居するかどうか」と「施設について調べ始めること」は分けて考えていいということです。
早めに情報を集めた結果、「まだ自宅で生活できそう」と判断することもあります。
反対に、急な入院や家族の体調不良などをきっかけに、短期間で施設を探さなければならなくなることもあります。
この記事では、老人ホームへの入居を考え始める10のサインを紹介しながら、施設探しを始めるタイミングや、まだ自宅で生活を続けたい場合の考え方まで、実務経験をもとに解説します。
- 老人ホームを考え始めるタイミング
- 入居を検討したい10のサイン
- 施設探しと実際の入居の違い
- まだ自宅で生活できる場合の考え方
- 本人が老人ホームを嫌がる場合の対応
- 老人ホームを探し始めたら何をするか
老人ホームを考えるタイミングに「正解の年齢」はない
老人ホームを考えるタイミングは、年齢だけでは決められません。
80代でも自宅で生活を続けている方はいますし、年齢が比較的若くても病気や介護状態などによって施設生活を検討する方もいます。
大切なのは年齢ではなく、
- 本人が安全に生活できているか
- 必要な介護を受けられているか
- 食事や服薬などを維持できているか
- 認知症による生活上の困りごとが増えていないか
- 家族が無理なく介護を続けられているか
といった「生活全体」を見ることです。
本人だけを見るのではなく、家族側の状況も重要です。
介護している家族が疲れ切っている、仕事との両立が難しくなっている、夜間介護で十分に眠れていないなどの場合は、本人の状態が大きく変わっていなくても生活全体を見直すタイミングかもしれません。
要介護認定について確認したい方はこちら。
→「要介護認定とは?申請方法や認定までの流れをわかりやすく解説」
「老人ホームを考える」と「すぐ入居する」は別
老人ホームについて調べ始めたからといって、すぐ入居を決める必要はありません。
ここは、施設探しを始めるときにぜひ知っておいてほしいポイントです。
老人ホーム選びは、大きく分けると次のような段階があります。
| 段階 | すること | まだ決めなくていいこと |
|---|---|---|
| 情報収集 | 種類・費用・条件を知る | 入居するかどうか |
| 相談 | 本人の状況を整理する | 入居する施設 |
| 施設探し | 候補を比較する | 最終決定 |
| 見学 | 実際の施設を見る | その場での契約 |
| 入居検討 | 本人・家族で判断する | 納得できなければ契約しない |
つまり、最初にすることは「入居を決めること」ではなく、「選択肢を知ること」です。
老人ホームについて調べた結果、在宅サービスを増やせばもう少し自宅生活を続けられると分かる場合もあります。
反対に、本人や家族が「今の生活を続けるのは難しくなってきた」と気づくこともあります。
早めに調べると「比較する時間」を持ちやすい
施設探しを早めに始めるメリットの一つが、比較する時間を確保しやすいことです。
老人ホームは、施設によって費用・介護体制・医療対応・立地・居室・雰囲気などが異なります。
時間に余裕があれば、複数施設を調べたり、実際に見学したりしながら比較できます。
しかし、退院日が迫っているなど急いでいる場合は、
空室がある施設
予算内の施設
本人を受け入れられる施設
という条件を優先せざるを得ず、比較できる選択肢が少なくなることがあります。
入居までの具体的な流れはこちらで詳しく解説しています。
→「老人ホーム入居までの流れ7ステップ|相談・見学・契約までケアマネが解説」
老人ホームを考え始めたい10のサイン
老人ホームを検討するサインは、本人の介護状態だけに現れるわけではありません。
生活・認知症・医療・家族の介護負担など、いくつかの変化が重なって表れることがあります。
この記事では、次の10項目を一つの目安として考えます。
- ① 一人での生活が危なくなってきた
- ② 転倒やけがが増えてきた
- ③ 食事や服薬の管理が難しくなった
- ④ 認知症による生活上の困りごとが増えた
- ⑤ 夜間の介護が増えてきた
- ⑥ 家族の介護負担が大きくなった
- ⑦ 介護と仕事の両立が難しくなった
- ⑧ 入退院を繰り返すようになった
- ⑨ 在宅サービスだけでは支えにくくなった
- ⑩ 本人や家族から施設の話が出るようになった
一つ当てはまったからといって、すぐ老人ホームへ入る必要があるわけではありません。
反対に、要介護度が軽くても複数のサインが重なっているなら、今後の生活について考え始める意味があります。
① 一人での生活が危なくなってきた
一人暮らしや日中独居の安全性が保ちにくくなってきたら、今後の生活を考えるタイミングです。
たとえば、
- 火の消し忘れがある
- 玄関の鍵を閉め忘れる
- 家の中で転倒しても助けを呼べない
- 季節に合った服装が難しくなる
- 電話や訪問販売などの対応が不安になる
といったことが重なってくる場合があります。
ただし、「一人暮らしだから老人ホーム」と単純に判断する必要はありません。
訪問介護、デイサービス、見守りサービスなどを組み合わせることで、自宅生活を続けられる場合もあります。
② 転倒やけがが増えてきた
転倒が繰り返されるようになった場合も、生活環境を見直すサインの一つです。
一度転んだから老人ホームということではありません。
しかし、
短期間に何度も転倒する
夜間のトイレ移動で転ぶ
転倒しても家族が来るまで動けない
転倒を怖がって動かなくなってきた
といった状況なら、住環境や介護体制を見直した方がいいでしょう。
手すりの設置や福祉用具、訪問・通所サービスなどで改善できることもあります。
それでも安全な生活を維持することが難しい場合には、施設という選択肢も検討します。
③ 食事や服薬の管理が難しくなった
食事や薬は毎日の生活に直結するため、管理が難しくなってきたら注意したいポイントです。
たとえば、冷蔵庫に食べ物はあるのに食事を取っていない、同じ食品ばかり買っている、薬の飲み忘れや重複が増えているなどです。
- 食事の回数が減っていないか
- 体重が大きく減っていないか
- 水分を十分に取れているか
- 薬を決められた通り飲めているか
- 食品の管理ができているか
配食サービスや訪問介護、家族の支援などで対応できる場合もあります。
重要なのは、「できなくなったから施設」ではなく、支援を増やしても生活を維持できるかを見ることです。
④ 認知症による生活上の困りごとが増えた
認知症そのものではなく、認知症によって生活上の危険や困りごとが増えているかを確認します。
認知症があるからといって、必ず老人ホームへ入居する必要があるわけではありません。
一方で、
- 外出して帰れなくなることがある
- 火や電化製品の管理が難しい
- 昼夜逆転が強くなっている
- 服薬や金銭管理が難しくなっている
- 家族だけでは対応が難しくなっている
といった状況が重なっている場合は、今後の生活場所を含めて相談するタイミングになります。
認知症でも入居できる老人ホームについてはこちら。
→「認知症でも老人ホームに入れる?入居できる施設の種類や選び方を解説」
⑤ 夜間の介護が増えてきた
夜間介護が増え、本人だけでなく家族の生活にも大きな影響が出ている場合は、介護体制を見直すタイミングです。
夜間のトイレ介助、オムツ交換、徘徊への対応、体位交換などが続くと、家族が十分に睡眠を取れなくなることがあります。
数日なら頑張れても、それが数か月、数年と続けば家族側の負担も大きくなります。
⑥ 家族の介護負担が大きくなった
家族が「もう介護を続けるのがつらい」と感じ始めたら、それも今後の生活を考える大切なサインです。
老人ホームを考えるとき、どうしても本人の要介護度や身体状態に目が向きます。
しかし在宅介護は、本人だけで成り立っているわけではありません。
食事の準備、排泄介助、入浴介助、通院、買い物、服薬確認、夜間の見守りなど、家族が担っていることもあります。
それが長期間続けば、家族側の負担も少しずつ大きくなります。
- 十分に睡眠を取れなくなっている
- 自分の時間をほとんど持てない
- 介護することに強い疲れを感じている
- 家族同士で介護をめぐる衝突が増えた
- 介護する家族自身の生活を維持しにくくなった
こうした状態になったからといって、必ず老人ホームへ入居しなければならないわけではありません。
まずは担当ケアマネなどへ現在の状況を伝え、利用している介護サービスを見直す方法もあります。
⑦ 介護と仕事の両立が難しくなった
介護によって仕事を続けることが難しくなってきた場合も、介護体制を見直すタイミングです。
遅刻や早退が増えた、急な呼び出しが多くなった、通院の付き添いで休むことが増えたなど、介護が仕事へ影響することがあります。
ただし、ここでいきなり「仕事を辞めるしかない」と考える必要はありません。
介護保険サービスの調整に加えて、勤務先で利用できる介護休業や介護休暇などの制度を確認する方法もあります。
- 担当ケアマネへ介護状況を伝える
- 介護サービスを増やせないか相談する
- ショートステイなどを検討する
- 勤務先の両立支援制度を確認する
- 今後の施設入居も選択肢として調べる
⑧ 入退院を繰り返すようになった
入院をきっかけに、これまでの生活を続けることが難しくなるケースがあります。
高齢になると、病気そのものが改善しても、入院前より歩く力や日常生活動作が低下していることがあります。
たとえば入院前は一人でトイレへ行けていた方が、退院時には介助が必要になっていることもあります。
その場合は「病気が治ったから元の生活へ戻れる」と考えるのではなく、退院後に必要な介護まで含めて生活を組み直す必要があります。
- 退院後に歩ける状態か
- 食事や排泄に介助が必要か
- 新たな医療処置が必要になっていないか
- 自宅の環境で生活できるか
- 家族が必要な介護を行えるか
自宅へ戻れるのであれば、在宅サービスを調整して生活を再開する方法があります。
一方で、自宅で必要な介護を確保することが難しい場合には、施設を検討することも選択肢になります。
退院期限が迫ってから施設を探すと選択肢が狭くなることがある
入院をきっかけに老人ホームを探す場合、注意したいのが時間です。
退院に向けた調整が進む中で施設を探し始めると、希望する地域や予算だけではなく、本人の介護・医療状態を受け入れられる施設を短期間で探さなければならないことがあります。
老人ホームの入居条件はこちらで詳しく解説しています。
→「老人ホームの入居条件とは?入れる人・入れない人をわかりやすく解説」
⑨ 在宅サービスだけでは支えにくくなった
介護サービスを利用していても、安全な自宅生活を維持することが難しくなってきた場合は、今後の生活場所を考えるサインの一つです。
介護保険では、訪問介護・通所介護・短期入所生活介護など、さまざまな在宅サービスを利用できます。
そのため、まずは現在のケアプランを見直すことで自宅生活を続けられないか検討します。
たとえば、次のような見直しが考えられます。
- 訪問系サービスを見直す
- デイサービスなどの利用を調整する
- ショートステイを活用する
- 福祉用具や住宅改修を検討する
- 家族の介護負担を含めてケアプランを見直す
こうした方法で自宅生活を続けられる方もいます。
一方で、サービスを調整しても一人になる時間の安全を確保できない、夜間介護が難しい、家族だけでは支えきれないなどの場合には、施設生活を含めて考える必要が出てくることがあります。
介護保険で利用できるサービスはこちら。
→「介護保険で利用できるサービス一覧|種類・内容・費用をケアマネが解説」
⑩ 本人や家族から施設の話が出るようになった
本人や家族から自然に「老人ホーム」という言葉が出るようになったら、一度具体的に話し合ってみるタイミングです。
特に本人から、
一人で暮らすのが不安になってきた
家族に迷惑をかけたくない
誰かがいるところで暮らしたい
といった話が出た場合は、すぐ入居を勧めるのではなく、本人が何に不安を感じているのか聞いてみましょう。
本人が「老人ホーム」と言っていても、本当の希望は「夜一人になるのが怖い」ということかもしれません。
その場合は、施設入居以外の方法で不安を減らせる可能性もあります。
10のサインはいくつ当てはまったら老人ホームを考える?
10のサインには、「○個当てはまったら老人ホーム」という基準はありません。
一つしか当てはまらなくても、その内容が本人の生命や安全に大きく関わる場合があります。
反対に複数当てはまっていても、介護サービスや家族の支援によって自宅生活を続けられることもあります。
そこで、サインの数を数えるよりも、次の順番で考えてみましょう。
- 本人の安全に問題が出ていないか確認する
- 現在困っていることを具体的に整理する
- 在宅サービスで補えるか検討する
- 家族が無理なく介護を続けられるか考える
- 難しい場合は施設生活も選択肢に入れる
上から順番に考えることで、「サインがある=老人ホーム」ではなく、今の生活で何を変える必要があるのか整理できます。
まだ自宅で暮らせる?施設を考える前に確認したいこと
本人が自宅での生活を希望しているなら、まずは自宅生活を続ける方法がないか検討しましょう。
老人ホームを検討し始めたからといって、自宅生活を諦める必要はありません。
確認したいのは、本人の希望だけではなく、その希望を安全に実現できる介護体制を作れるかです。
| 確認項目 | 自宅生活を続けやすい状態 | 見直したい状態 |
|---|---|---|
| 安全 | 大きな危険なく生活できる | 転倒・火の管理などに不安がある |
| 介護 | 必要な支援を確保できる | 必要な介護を確保しにくい |
| 夜間 | 本人・家族が休める | 夜間対応が頻繁に必要 |
| 家族 | 無理なく支援を続けられる | 介護負担が生活に大きく影響 |
| 医療 | 通院・服薬等を管理できる | 必要な医療管理が難しい |
右側に当てはまる項目があるからといって、すぐ施設という意味ではありません。
まずは、その問題を介護サービスや環境調整によって解決できないか考えます。
ケアマネには「施設を考えている段階」でも相談できる
老人ホームへの入居を決めていなくても、担当ケアマネへ相談して構いません。
むしろ、まだ迷っている段階だからこそ相談する意味があります。
相談するときは、漠然と「老人ホームに入れた方がいいですか?」と聞くより、現在困っていることを具体的に伝えると状況を整理しやすくなります。
- 本人が一人になる時間が不安
- 夜間介護が増えて家族が眠れない
- 転倒が続いている
- 認知症への対応が難しくなっている
- 仕事との両立が難しくなっている
そこから、在宅サービスを見直すのか、施設の情報収集を始めるのか、一緒に選択肢を整理できます。
ケアマネに相談できることについてはこちら。
→「ケアマネジャーは何をしてくれる人?相談できること・できないことを解説」
現場あるある|家族は「まだ大丈夫」と言いやすい
介護の相談を受けていると、ご家族から「まだ大丈夫です」という言葉を聞くことがあります。
もちろん、本当に問題なく介護を続けられている家庭もあります。
しかし詳しく話を聞くと、
夜中に何度も起きている
仕事を休むことが増えている
休日はほとんど介護で終わる
自分の通院を後回しにしている
という状況になっていることもあります。
本人が老人ホームを嫌がるときはどうする?
本人が老人ホームを嫌がっている場合は、すぐに説得しようとするのではなく、「なぜ嫌なのか」を確認するところから始めましょう。
老人ホームを嫌がる理由は人によって違います。
- 自宅を離れたくない
- 老人ホームに悪いイメージがある
- 知らない人との共同生活が不安
- 自分はまだ介護が必要ないと思っている
- 家族に見捨てられるように感じている
理由が違えば、対応方法も変わります。
たとえば「老人ホームがどんな場所か分からなくて怖い」という場合なら、パンフレットを見る、見学する、体験入居を利用するなどによって印象が変わる可能性があります。
一方で、「自宅で暮らし続けたい」という本人の希望が強い場合は、在宅サービスを調整することで生活を続けられないか検討することも大切です。
「老人ホームに入って」から話を始めない
本人と施設について話すとき、最初から「老人ホームに入ってほしい」と結論を伝えると、本人が身構えてしまうことがあります。
まずは、現在困っていることを一緒に確認してみましょう。
最近、夜のトイレが大変になってきたね
一人でいる時間が少し心配になってきたね
お母さん自身は、これからどんな生活をしたい?
このように、施設の話から始めるのではなく、「これからどう暮らしたいか」から話す方法があります。
親が老人ホームを嫌がる場合の対応はこちらで詳しく解説しています。
老人ホーム探しを急いだ方がいいケース
本人や家族の生活に大きな支障が出ている場合は、情報収集だけでなく具体的な相談や施設探しを早めに進めた方がいいことがあります。
- 一人で生活することに大きな危険がある
- 転倒などを繰り返している
- 食事・水分・服薬などの管理が難しい
- 認知症による生活上の危険が増えている
- 家族の介護負担が限界に近い
- 入院中で退院後の生活場所が決まっていない
- 在宅サービスを調整しても生活維持が難しい
ただし、これらに当てはまるからといって、必ず老人ホームが唯一の答えになるわけではありません。
本人の状態によっては在宅サービスの追加や住環境の調整など、別の方法が適していることもあります。
だからこそ、「施設へ入れるかどうか」を家族だけで決める前に、現在の状況を専門職へ相談することが大切です。
特に退院後の生活場所が決まっていない場合は早めに動く
入院中の方について、自宅へ戻ることが難しい可能性がある場合は、退院直前まで待たずに相談を始めましょう。
老人ホームへの入居には、施設探しだけでなく、本人の状態確認や見学、必要書類の準備、施設側による受け入れ判断、契約などが必要になる場合があります。
さらに、本人に医療処置が必要な場合は、対応できる施設が限られることもあります。
老人ホームを考え始めたら何をする?5ステップ
老人ホームを考え始めたら、最初から一つの施設に決めるのではなく、条件整理から始めましょう。
基本的には、次の順番で進めると整理しやすくなります。
- 本人と家族の状況を整理する
- 毎月支払える予算を決める
- 本人に合う施設の種類を知る
- 複数の候補施設を比較する
- 実際に施設を見学する
STEP1|本人と家族の状況を整理する
最初に確認するのは、本人が現在どのような生活をしていて、何に困っているのかです。
- 要介護度
- 認知症の状態
- 歩行・食事・排泄などの状態
- 必要な医療や服薬
- 本人が希望する生活
- 家族ができる支援
ここを整理しておくと、施設へ問い合わせるときにも本人の状況を伝えやすくなります。
STEP2|毎月支払える予算を決める
施設探しでは「入居できる金額」ではなく、「長く払い続けられる金額」で考えることが重要です。
本人の年金や預貯金、家族が負担できる金額などを整理して、無理のない予算を決めます。
老人ホームでは、月額利用料以外にも介護保険自己負担、医療費、薬代、日用品費などが必要になる場合があります。
老人ホームの費用についてはこちら。
→「老人ホームの費用はいくら?月額・入居一時金・追加費用をわかりやすく解説」
STEP3|本人に合う施設の種類を知る
老人ホームには、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど、さまざまな選択肢があります。
施設によって入居条件や介護の受け方、費用、医療対応などが異なります。
最初から施設名で探すのではなく、本人にはどの施設類型が合いそうなのかを知ると候補を絞りやすくなります。
老人ホームの種類はこちらで比較しています。
→「老人ホームの種類と違いを徹底解説|特徴・費用・選び方を比較」
STEP4|複数の候補施設を比較する
条件に合う施設が見つかったら、できれば一つだけでなく複数の候補を比較します。
比較するときは、費用だけを見るのではなく、本人の生活に関わる項目も確認しましょう。
| 比較項目 | 確認すること |
|---|---|
| 費用 | 毎月の総額・追加費用 |
| 介護 | 本人に必要な介助への対応 |
| 医療 | 必要な医療・通院等への対応 |
| 立地 | 家族が通いやすいか |
| 生活 | 食事・活動・居室・外出等 |
| 将来 | 状態変化・看取り等への対応 |
すべてが理想通りの施設を探すのではなく、「絶対に外せない条件」と「できれば叶えたい条件」を分けると比較しやすくなります。
STEP5|実際に施設を見学する
候補が絞れたら、可能であれば実際に施設を見学しましょう。
パンフレットやホームページだけでは分からないことがあります。
- 職員の利用者への接し方
- 入居者の表情や過ごし方
- 施設内の清潔感や雰囲気
- 食事や日中活動の内容
- 質問への説明が具体的か
- 本人が暮らす姿を想像できるか
施設見学で見るべきポイントはこちら。
→「老人ホーム見学チェックリスト15選|見るべきポイントをケアマネが解説」
老人ホームのことは誰に相談すればいい?
老人ホームへの入居を決めていなくても、現在の生活に不安を感じた段階から相談できます。
| 現在の状況 | 主な相談先 |
|---|---|
| 担当ケアマネがいる | 担当ケアマネ |
| どこへ相談すればいいか分からない | 地域包括支援センター・市区町村 |
| 入院中 | 病院の相談員・医療ソーシャルワーカー等 |
| 具体的な施設を探したい | 各施設・老人ホーム紹介センター等 |
相談先によって役割や対応できる範囲は異なります。
最初からすべてを自分たちだけで調べる必要はありません。
地域包括支援センターについてはこちら。
老人ホーム紹介センターを利用する場合はこちらも確認してください。
→「老人ホーム紹介センターとは?無料の理由とメリット・デメリットを解説」
現場あるある|「限界になった日」が探し始める日になることもある
老人ホーム探しの相談では、ある日突然「もう自宅では無理です」と話が動き始めることがあります。
でも実際には、その日突然すべてが変わったわけではないこともあります。
振り返ってみると、
少し前から転倒が増えていた
夜間介護で家族が眠れていなかった
認知症への対応が難しくなっていた
仕事を休む回数が増えていた
家族の中では施設の話が出始めていた
という小さなサインが積み重なっていたケースもあります。
老人ホームに入るタイミングでよくある質問
老人ホームを考え始める年齢に、一律の正解はありません。
年齢だけではなく、本人の介護状態、認知症、住環境、必要な医療、家族の介護状況などを総合的に考えます。
自宅生活に不安が出てきた段階で、情報収集を始めても早すぎるわけではありません。
「要介護○以上なら老人ホーム」という一律の基準はありません。
同じ要介護度でも、本人の状態や住環境、家族の支援状況によって自宅生活を続けられるかは異なります。
また、施設によって入居できる要介護度などの条件も異なります。
いいえ。
情報収集や見学をした結果、在宅サービスを見直して自宅生活を続けるという選択もできます。
「探すこと」と「入居を決めること」は分けて考えて大丈夫です。
情報を集めたり、家族が今後の選択肢を知ったりすること自体はできます。
ただし、実際の入居については本人の意思や判断能力、心身状態、緊急性などを踏まえて考える必要があります。
本人がなぜ嫌がっているのかを確認し、必要に応じて担当ケアマネなどへ相談してください。
必ずしもすぐ入居できるとは限りません。
空室があっても、本人の介護状態や医療状態、施設の入居条件などを確認し、受け入れ可能か判断される場合があります。
入居時期に期限がある場合は、早めに複数の候補を確認しておきましょう。
すでに担当ケアマネがいる場合は、まず相談してみる方法があります。
担当ケアマネがいない場合は、地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口なども相談先になります。
入院中であれば、病院の相談員などへ退院後の生活について相談する方法もあります。
まとめ|老人ホームは「限界になる前」から考え始めよう
この記事は、介護業界18年/介護福祉士/ケアマネジャー/施設ケアマネ経験/老人ホーム入居相談員としての経験をもとに執筆しています。
老人ホームへ入るタイミングに、すべての人に共通する正解はありません。
年齢や要介護度だけではなく、本人の生活や安全、認知症、医療、家族の介護負担などを含めて考える必要があります。
今回紹介した10のサインをもう一度整理します。
- 一人での生活が危なくなってきた
- 転倒やけがが増えてきた
- 食事や服薬の管理が難しくなった
- 認知症による生活上の困りごとが増えた
- 夜間の介護が増えてきた
- 家族の介護負担が大きくなった
- 介護と仕事の両立が難しくなった
- 入退院を繰り返すようになった
- 在宅サービスだけでは支えにくくなった
- 本人や家族から施設の話が出るようになった
大切なのは、何個当てはまったかではありません。
今の生活を本人と家族が無理なく、安全に続けられるかという視点です。
そして、老人ホームを調べ始めたからといって、すぐに入居する必要もありません。
自宅で暮らす。
介護サービスを増やす。
老人ホームを見学しておく。
施設へ入居する。
どれも今後の生活を考えるための選択肢です。
本人と家族にまだ余裕があるうちに情報を集めておけば、本当に施設が必要になったときにも選択肢を比較しやすくなります。
老人ホーム入居相談員として働いていたとき、「いつから探せばよかったんでしょうか」と聞かれることがありました。
私は、老人ホームを考え始めることに「早すぎる」はあまりないと思っています。
なぜなら、調べたからといって入居しなければならないわけではないからです。
見学してみて、「まだ家で暮らそう」と決めてもいい。
介護サービスを見直して、自宅生活を続けてもいい。
逆に、本人自身が「こういうところなら安心かもしれない」と感じることもあります。
老人ホーム探しは、本人を早く施設へ入れるためのものではなく、本人と家族がこれからの暮らしを選ぶための準備です。
「まだ大丈夫かな?」と思っている今だからこそ、まずは家族で話してみるところから始めてみてください。
監修・執筆:よっしーと嫁の福祉ラボ編集部(介護福祉士・ケアマネ)


