ケアマネにどこまで相談できる?何でも屋ではない|家族が知っておきたい上手な頼り方
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護が必要な本人や家族にとって身近な相談相手です。
介護サービスのこと。
認知症のこと。
家族の介護負担。
老人ホームへの入居。
介護保険の仕組み。
「これって誰に聞けばいいの?」
そんな段階から相談して構いません。
実際、厚生労働省でもケアマネジャーは、本人や家族から相談を受け、必要なサービスを検討し、サービス事業者や関係機関などとの連絡調整を行う専門職とされています。
ただし、ここで一つ知っておいてほしいことがあります。
ケアマネジャーは「介護のことなら何でもやってくれる人」ではありません。
私は施設ケアマネとして約5年間働いてきましたが、本当にいろいろな相談を受けました。
「施設に入れたら、もう面会に来なくてもいいですか?」
「介護付き有料老人ホームにいるけど、デイサービスへ行かせたい」
「一人暮らしだった父の家がゴミ屋敷だから、施設の職員で掃除してほしい」
「父を元気にしてほしい。でも入院はさせたくない」
中には、
「いや、それを俺に言われても……(笑)」
と思った相談もあります。
それでも私は、相談すること自体が悪いとは思っていません。
家族だって介護保険の専門家ではありません。
何をケアマネに頼めるのか。
施設がどこまで対応してくれるのか。
誰に相談すればいいのか。
最初から全部分かっている家族の方が少ないからです。
この記事では、介護業界18年、施設ケアマネとして約5年間働いてきた私自身の経験をもとに、
「ケアマネには何を相談していいの?」
「どこからがケアマネの仕事ではないの?」
という疑問を、制度上の役割と実際の現場の両方からお伝えします。
- ケアマネジャーに相談していいこと
- 「相談できる」と「ケアマネがやってくれる」の違い
- 家族の介護疲れも相談していい理由
- ケアマネでは対応できない相談をしたらどうなるのか
- 老人ホーム探しをケアマネだけに任せない方がいい場合
- 良いケアマネと上手に付き合うコツ
- 施設ケアマネとして私が実際に受けた家族からの相談
- ケアマネには何を相談していい?迷ったらまず話して大丈夫
- 「施設に入れたら、もう面会に来なくてもいいですか?」と聞かれたこともある
- 逆に、毎日のように面会へ来る家族もいた
- ケアマネへの相談は「何かしてもらうこと」だけではない
- ただし「相談できる」と「ケアマネが全部やる」は別の話
- 「それ、ケアマネに頼むこと?」と思った相談も実際にあった
- 介護付き有料老人ホームから「デイサービスへ行きたい」と相談されたこともある
- 「父を元気にしてください。でも入院は嫌です」と言われても答えは一つではない
- ケアマネは家族の希望を全部かなえる仕事ではない
- 知らないことを「ありません」で終わらせるケアマネには注意してほしい
- 老人ホーム探しは、ケアマネだけに任せなくてもいい
- ケアマネは「家族でも親友でもない。でも、ちょっとだけ前へ進めてくれる人」
- ケアマネへ相談するときは、話をきれいにまとめなくていい
- ただし「何に一番困っているか」を伝えると話は進みやすい
- 「家族がもう疲れました」も立派な相談内容
- 「事故のたびに電話しなくていい」と言う家族もいた
- 逆に、毎日のように面会へ来る家族もいた
- 「なんでこんなに高いの?」もケアマネへ聞いていい
- ケアマネへ相談したのに動いてくれないと感じたら?
- ケアマネと合わなければ、変更を相談することもできる
- ケアマネを上手に「使う」なら、全部任せるより一緒に考える
- ケアマネへの相談・頼り方でよくある質問
- まとめ|ケアマネは「困ったときに一緒に次の一手を考える人」
ケアマネには何を相談していい?迷ったらまず話して大丈夫
まず結論から言えば、介護や本人の生活について困っていて、誰に相談すればいいのか分からないなら、ケアマネジャーへ話してみて構いません。
厚生労働省の基準では、居宅ケアマネは本人の心身の状態だけではなく、家族の状況なども踏まえて課題を把握し、本人や家族の希望を考慮しながら必要なサービスの組み合わせを検討します。
さらにケアプランを作った後も、本人・家族やサービス事業者などと継続して連絡を取り、必要に応じてサービス事業者との連絡調整やケアプランの変更などを行います。
つまりケアマネは、単に、
「デイサービスを紹介する人」
「ケアプランを書く人」
ではありません。
本人や家族から話を聞いて、
「今、何に困っているのか」
「どんな支援が必要なのか」
「誰につなげればいいのか」
を整理することも大切な役割です。
「施設に入れたら、もう面会に来なくてもいいですか?」と聞かれたこともある
私が施設ケアマネをしていた頃、家族からこんなことを聞かれることが何度もありました。
「施設に入れたら、もう面会に来なくてもいいですか?」
人によっては、
「家族なのに面会へ行かなくていいの?」
と思うかもしれません。
でも私は、かなりドライに考えていました。
それでいいんだよ、家族さん。
というのが私の本音でした。
もちろん、緊急時など家族に対応してもらわなければならない場面はあります。
私も、
「面会に来るかどうかはご家族の自由です。ただ、緊急時に病院へ行くことになった場合など、必要なときには来てください」
というように伝えていました。
でも、普段どのくらい面会するのかまで、ケアマネが決めることではないと私は思っていました。
なぜなら、施設へ入居するまでに家族がすでに疲れ切っているケースを何度も見てきたからです。
認知症のある親を見守る。
夜中に起こされる。
排泄を手伝う。
仕事と介護を両立する。
兄弟姉妹となかなか協力できない。
何年も介護を続けて、ようやく施設へ入居した。
そんな家族もいます。
そこで、
「家族なんだから、もっと面会に来てください」
とまで私が言う必要はないと思っていました。
逆に、毎日のように面会へ来る家族もいた
もちろん、反対の家族もいます。
毎日のように面会へ来る。
本人の居室へ入る。
部屋を細かく整理整頓する。
施設での生活を細かく確認する。
さらに、
「親戚が入っている別の施設は○○してくれるみたいですけどね」
「そちらの施設へ移ろうかしら」
と、他の施設と比較されることもありました。
はっきり苦情を言うわけではない。
でも、何となく皮肉っぽい(笑)。
そんなとき、私も人間ですから、
「どうぞどうぞ……」
と心の中で思ったことはあります(笑)。
ただ、ここにもケアマネと家族との付き合い方を考えるヒントがあります。
家族が施設へどのくらい関わりたいのかは、本当に人それぞれです。
施設へ任せたい家族もいる。
毎日でも本人に会いたい家族もいる。
細かく状況を知りたい家族もいる。
必要なときだけ連絡がほしい家族もいる。
どれか一つが「正しい家族の形」ではありません。
ケアマネへの相談は「何かしてもらうこと」だけではない
ケアマネへの相談というと、
「新しい介護サービスを紹介してもらう」
「困りごとを解決してもらう」
というイメージがあるかもしれません。
でも実際には、説明を聞くだけで解決する相談もあります。
私が施設ケアマネをしていた頃、ある家族から施設の料金について相談されたことがありました。
「なんでこんなに高いんですか?」
という相談です。
そこで私は、請求されている料金について一つずつ説明しました。
何にいくらかかっているのか。
介護保険に関係する部分はどこなのか。
施設で別にかかっている費用は何なのか。
家族が疑問に思っているところを確認しながら説明していきました。
すると最後には、かなり納得してもらえました。
私としても、
「聞いてもらえてよかった」
と思いました。
同時に、
「こんなに分からないまま利用していたのか。契約したとき、誰が説明したんだよ……」
とも思いましたが(笑)。
ただし「相談できる」と「ケアマネが全部やる」は別の話
ここが、この記事で一番伝えたいことの一つです。
「ケアマネに相談していいこと」と「ケアマネが直接やる仕事」は同じではありません。
ケアマネは、本人や家族の話を聞きます。
困りごとを整理します。
必要なサービスを考えます。
関係する事業所や専門職と連絡を取ります。
必要なら別の相談先につなぎます。
でも、
家族から頼まれたことを何でもケアマネ自身がやるわけではありません。
この違いが分からないと、
「ケアマネに相談したのに何もしてくれなかった」
という不満にもつながります。
一方で、ケアマネ側が、
「それは私の仕事ではありません」
だけで終わってしまうのも、私は違うと思っています。
できないなら、できない。
でも、
「代わりにこういう方法があります」
「この専門職へ聞いてみましょう」
「この事業所なら対応できるか確認してみます」
と次の方法を探す。
私は、そこまでできて初めてケアマネらしい仕事になると思っています。
「それ、ケアマネに頼むこと?」と思った相談も実際にあった
ケアマネジャーは、本人や家族の困りごとを聞き、必要な支援やサービスにつなぐ専門職です。
だから私は、
「こんなことを相談したら迷惑かな?」
と遠慮しすぎる必要はないと思っています。
ただ、施設ケアマネとして働いていると、
「相談すること」と「施設やケアマネにやってもらうこと」が混ざっている
と感じることもありました。
その一つが、入居前に本人が暮らしていた家の片づけについて相談されたときです。
「ゴミ屋敷になっている家を、施設職員で掃除してもらえませんか?」
一人暮らしをしていた方が施設へ入居したあと、ご家族から相談を受けたことがあります。
本人が住んでいた家が、いわゆるゴミ屋敷のような状態になっていました。
家族としては当然、何とか片づけなければなりません。
そこで相談された私は、家の片づけに対応できる専門業者を案内しました。
すると、
「高いですね」
と言われました。
そこまでは分かります。
片づける物の量や家の状態によっては、それなりの費用がかかることもあります。
ところが、そのあとです。
「施設の職員さんたちで掃除してもらえないんですか?」
と言われました。
正直、
「そこまで施設職員がやるの……?」
と私も職員も悩みました。
もちろん、
「そんなことを相談するな」
と言いたいわけではありません。
家族からすれば、
「どこに頼めばいいのか分からない」
からケアマネへ聞いたのでしょう。
それなら相談してもらって構いません。
実際、私は対応できる業者を案内しています。
でも、
相談を受けたケアマネや施設職員が、その作業を直接やらなければならないわけではありません。
介護付き有料老人ホームから「デイサービスへ行きたい」と相談されたこともある
介護保険の仕組みは、利用する側からするとかなり分かりにくいものです。
私が介護付き有料老人ホームで働いていたときにも、それを感じる相談がありました。
家族から、
「本人をデイサービスへ行かせたい」
と言われたことがあります。
家族からすれば、
「介護保険を使っているんだから、デイサービスも利用できるんじゃないの?」
と思ったのかもしれません。
しかし、介護付き有料老人ホームのうち特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設では、施設が介護保険サービスとして、入浴・排泄・食事などの介護、機能訓練、療養上の世話などを包括的に提供する仕組みになっています。
そのため私は、
「うちは介護サービスを施設の中でまとめて提供する仕組みなんです」
ということを説明しました。
それでも、
「どうしてもデイサービスへ行きたい」
という話になれば、介護保険サービスとして単純に併用できるという話ではなく、利用方法や費用を別に確認する必要があります。
当時の私は、その家族へ自費での利用になることを説明しました。
すると、
「意味が分からない」
と怒られてしまいました。
私も心の中では、
「意味が分からないのはこっちなんだけど……(笑)」
と思っていました。
でも今振り返ると、この家族とのやり取りには大事なことが含まれていたと思います。
介護保険の仕組みを家族が最初から理解しているとは限らない。
ということです。
施設の種類による違いを知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
老人ホームにはどんな種類がある?主な施設の違いをわかりやすく解説
家族が制度を知らないこと自体は、悪いことではありません。
むしろ、
分からないからケアマネへ聞けばいい。
私はそう思います。
ただし、
「希望したサービスを使いたい」
と相談することと、
「希望したサービスを介護保険で必ず利用できる」
ことは別です。
制度上難しい場合には、その理由を説明し、ほかの方法がないか考える。
そこまで含めてケアマネへの相談だと思っています。
「父を元気にしてください。でも入院は嫌です」と言われても答えは一つではない
施設ケアマネをしていたとき、対応に悩んだ相談がありました。
認知症があり、食事も介助なしでは十分に摂ることが難しくなっていた方です。
そのご家族から、
「父を元気にさせてください」
と強く言われました。
家族として、
「少しでも元気になってほしい」
と思う気持ちは当然だと思います。
ただ、その一方で、
「入院はさせたくない」
という強い希望もありました。
本人の状態。
家族の希望。
医療的な必要性。
施設で対応できる範囲。
それぞれを考えなければならないため、私も対応に悩みました。
ここで重要なのは、
ケアマネが本人を治療するわけではない
ということです。
診断や治療、医療行為については医師や看護師など、それぞれの専門職の役割があります。
ケアマネにできるのは、本人の状態や家族の希望を確認し、必要な専門職と情報を共有しながら、今後の支援を一緒に考えていくことです。
ケアマネは家族の希望を全部かなえる仕事ではない
家族から相談を受けていると、希望どおりにできないことは当然あります。
本人は家にいたい。
でも家族はもう介護を続けられない。
本人はサービスを使いたくない。
でも家族はデイサービスへ行ってほしい。
家族は入院させたくない。
でも医療的な対応について検討する必要がある。
こうした場面では、
「家族の希望をそのまま実現すること」
がケアマネの仕事ではありません。
本人の希望もあります。
本人の状態もあります。
家族の生活もあります。
制度上できること・できないこともあります。
利用できるサービスにも限りがあります。
それぞれを整理しながら、
「では、今できる方法は何だろう?」
と考えていきます。
知らないことを「ありません」で終わらせるケアマネには注意してほしい
ケアマネジャーは介護保険やケアマネジメントに関する専門職ですが、介護や福祉に関することを何でも知っているわけではありません。
地域には多くのサービスがあります。
医療制度もあります。
障害福祉制度もあります。
自治体独自の支援もあります。
民間サービスもあります。
すべてを一人のケアマネが把握するのは簡単ではありません。
だから、
「知らないことがあるケアマネ=悪いケアマネ」
とは私は思いません。
私だって知らないことはありました。
ただ、私が問題だと思うのは、
自分が知らないだけなのに、調べずに「そんなサービスはありません」と家族へ伝えてしまうことです。
分からなければ調べればいい。
ほかのケアマネに聞けばいい。
地域包括支援センターへ確認してもいい。
介護職や看護職など、別の専門職へ相談してもいい。
事業所へ直接問い合わせてもいい。
ケアマネの仕事は、一人ですべての答えを持っていることではありません。
必要な人とつながりながら、答えを探せることの方が大切だと私は思っています。
ケアマネジャーが普段どのように本人・家族や多職種と関わっているのかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
ケアマネジャーの仕事内容とは?施設ケアマネ経験者が現場のリアルを解説
老人ホーム探しは、ケアマネだけに任せなくてもいい
ケアマネへ相談できることの一つに、老人ホームへの入居があります。
「そろそろ在宅介護は難しいかもしれない」
「親を施設へ入れた方がいいのかな」
そんな段階から相談して構いません。
ただ、ここにも、
「ケアマネへ相談できる」=「ケアマネが希望に合う老人ホームを全部探してくれる」
ではないという違いがあります。
私は老人ホーム入居相談員として、本人や家族の施設探しや入居相談にも携わりました。
そのとき、
「担当のケアマネさんが施設をあまり探してくれなくて……」
と話す家族は少なくありませんでした。
同じケアマネの資格を持っている私としては、
「うーん、複雑だな……」
と思いながら聞いていました(笑)。
ただ、これは単純に、
「そのケアマネが仕事をしていない」
とは限りません。
居宅ケアマネが持っている老人ホームの情報には限界があります。
地域の介護サービスには詳しくても、
どの老人ホームに現在空室があるのか。
月額費用はいくらになるのか。
認知症の状態によってどこまで受け入れてくれるのか。
医療的なケアにどこまで対応できるのか。
本人の希望に合う施設が広い地域のどこにあるのか。
こうした情報を、すべてのケアマネが常に把握しているわけではありません。
老人ホーム探しを誰に相談すればいいのか迷っている方は、こちらの記事で相談先を詳しく紹介しています。
ケアマネは「家族でも親友でもない。でも、ちょっとだけ前へ進めてくれる人」
ここまで読むと、
「じゃあ結局、ケアマネってどう使えばいいの?」
と思うかもしれません。
私なら、難しく考えなくていいと思っています。
家族ではありません。
親友でもありません。
何でもお願いできる便利屋でもありません。
本人を治してくれる医師でもありません。
でも、
介護で困ったことを話せる。
分からない制度を説明してくれる。
自分では整理できない問題を一緒に整理してくれる。
ケアマネ自身にできなければ、別の人につないでくれる。
そして、
「じゃあ次は、これをやってみましょうか」
と次の一手を一緒に考えてくれる。
私はそれくらいの距離感でケアマネを頼ってもらえればいいと思っています。
ケアマネとの相性や「この人に相談し続けて大丈夫かな?」と悩んでいる方は、こちらも参考にしてください。
ケアマネへ相談するときは、話をきれいにまとめなくていい
家族から相談を受けていると、
「うまく説明できなくてすみません」
と言われることがありました。
でも私は、相談内容を最初からきれいに整理してもらう必要はないと思っています。
たとえば、
「最近、母の様子が何となくおかしい」
「父の介護がしんどくなってきた」
「デイサービスに行ってくれない」
「このまま家で介護できるか分からない」
「施設を考えた方がいいのか迷っている」
「自分でも何に困っているのか分からない」
これでも十分です。
むしろ、
「何が問題なのか分からないから相談する」でもいいのです。
話を聞いていくうちに、
本人の問題なのか。
家族の負担なのか。
介護サービスの問題なのか。
医療について確認した方がいいのか。
住まいを考える時期なのか。
少しずつ見えてくることがあります。
ただし「何に一番困っているか」を伝えると話は進みやすい
相談内容をきれいにまとめる必要はありません。
ただ、ケアマネとして相談を受けていて、
「ここが分かると動きやすい」
と感じることはありました。
それが、
今、何に一番困っているのか
です。
たとえば、
「母がデイサービスへ行ってくれません」
だけでも相談はできます。
でも、
「母がデイサービスへ行かないので、その日は仕事を休まなければならず困っています」
まで分かると、家族が本当に困っている部分が見えてきます。
同じように、
「父を施設へ入れたい」
だけではなく、
「夜中に何度も起こされて、家族がもう在宅介護を続けられそうにありません」
と伝えてもらえれば、考えるべき優先順位も変わります。
| 相談するとき | 伝えられると分かりやすいこと |
|---|---|
| 本人について | 最近どんな変化があったのか |
| 家族について | 何が負担になっているのか |
| 一番の困りごと | 今すぐ何とかしたいことは何か |
| 本人の希望 | 本人はどうしたいと言っているのか |
| 家族の希望 | 家族としてどうしたいのか |
全部そろっていなくても構いません。
ケアマネと話しながら整理していけばいいのです。
「家族がもう疲れました」も立派な相談内容
介護の相談というと、
「本人が何に困っているか」
を話さなければいけないと思うかもしれません。
でも、
家族が何に困っているのかも大切です。
私が施設ケアマネをしていた頃、家族から、
「入居したら、もう面会に来なくてもいいですか?」
と聞かれることが何度かありました。
私は比較的ドライに、
「それはご家族の自由ですよ」
と伝えていました。
施設へ入居したからといって、家族がどれくらいの頻度で面会しなければならないという一律の決まりがあるわけではありません。
それまで長い間、家族が介護を続けてきたケースもあります。
認知症の本人に何度も同じことを聞かれる。
夜中に起こされる。
食事を作る。
排泄を手伝う。
病院へ連れていく。
仕事と介護を両立する。
家族同士でもめる。
そんな生活が何年も続いたあとに施設へ入居したなら、
「しばらく介護から離れたい」
と思う家族がいても不思議ではありません。
私自身、
「それでいいんですよ、家族さん」
と思っていました。
もちろん、緊急時など家族の対応が必要になる場面はあります。
私が勤務していた施設でも、
「普段の面会はご家族の自由ですが、緊急時に病院へ行くことになった場合などは来てくださいね」
と説明することがありました。
「事故のたびに電話しなくていい」と言う家族もいた
施設で生活している以上、転倒などの事故が起こる可能性をゼロにはできません。
事故が発生した場合、施設には必要な対応や記録、家族等への連絡などが求められます。
ただ、家族との実際の連絡方法については、本人の状態や事故の内容、施設のルールなども踏まえて確認していくことになります。
私が勤務していた施設では、家族から、
「事故の連絡を、そのたびに電話でもらわなくても大丈夫です」
と言われることもありました。
頻繁に電話を受けること自体が負担になっていた家族もいたからです。
そのため、緊急性の低い内容については家族と相談し、ショートメッセージで状況を伝えていたケースもありました。
一方で、
「何かあったら小さなことでも必ず電話してください」
という家族もいます。
どちらが正しいという話ではありません。
老人ホームでの事故や施設とのトラブルなど、困ったときの相談先を知っておきたい方はこちらも参考にしてください。
逆に、毎日のように面会へ来る家族もいた
施設で働いていると、家族との距離感は本当にさまざまです。
ほとんど面会へ来ない家族がいる一方で、
毎日のように面会へ来る家族
もいました。
本人のことが心配で来ている。
顔を見たい。
施設でどんな生活をしているのか確認したい。
理由はそれぞれです。
なかには居室へ入り、棚や荷物を細かく整理整頓して帰る家族もいました。
現場にいた私たちからすると、
「そこまで毎日来られるなら、家でも見られたんじゃないの?」
と思ってしまうことも正直ありました(笑)。
さらに、職員のやり方を細かく確認されることが続くと、
「そんなに気になるなら、もう連れて帰ってくれ……」
と現場側が思ってしまうこともありました。
ただ、これも施設側だけの目線で決めつけてはいけない話です。
毎日面会へ来られることと、
24時間365日、自宅で介護を続けられることはまったく別です。
1時間面会することはできても、夜間の排泄介助は難しいかもしれない。
認知症による行動への対応が難しいかもしれない。
仕事があるかもしれない。
医療的な不安があるかもしれない。
「なんでこんなに高いの?」もケアマネへ聞いていい
施設で働いていたとき、家族から料金について相談されたことがあります。
「なんでこんなに高いんですか?」
という内容でした。
そこで私は、
介護保険の自己負担。
居住費。
食費。
その他にかかっている費用。
など、その家族が疑問に思っている部分を一つずつ確認しながら説明しました。
最初はかなり不満そうでしたが、話していくうちに、
「そういうことだったんですね」
と、だいぶ納得してもらえました。
そのとき私は、
「聞いてもらえてよかった」
と思った一方で、
「こんなに知らなかったの?契約のとき誰が説明したんだよ……」
とも思いました(笑)。
施設の料金は分かりにくいです。
毎月同じ金額とは限りません。
介護保険の自己負担だけを見ればいいわけでもありません。
だから請求書を見て、
「思っていた金額と違う」
と感じたら、分からないままにしない方がいいと思います。
老人ホームで実際にどんな費用がかかるのか知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
老人ホームの費用はいくら?入居時・月額費用をわかりやすく解説
ケアマネへ相談したのに動いてくれないと感じたら?
ケアマネへ相談したあと、
「全然動いてくれない」
「何もしてくれない」
と感じることもあるかもしれません。
ただ、すぐに、
「このケアマネはダメだ」
と決める前に確認してほしいことがあります。
サービス事業所へ問い合わせている途中かもしれません。
空きを確認しているかもしれません。
医療職へ確認しているかもしれません。
本人の意向を確認する必要があるかもしれません。
制度上できる方法を探しているかもしれません。
家族からは何も動いていないように見えても、裏側で調整していることがあります。
だからまず、
「この前相談した件、今どうなっていますか?」
と聞いて構いません。
それでも、
何度聞いても返事がない。
約束した連絡が何度もない。
相談しても話を聞いてもらえない。
分からないことを調べようとしない。
必要な事業所や専門職につなごうとしない。
本人や家族の希望を聞かず、一方的に話を進める。
そんな状態が続くなら、別の対応を考えてもいいと思います。
ケアマネと合わなければ、変更を相談することもできる
ケアマネも人なので相性があります。
話しやすい人。
説明が丁寧な人。
少し事務的な人。
すぐ動く人。
慎重に確認してから動く人。
人情味のある人。
いろいろなケアマネがいます。
だから、
「このケアマネとはどうしても話しにくい」
ということがあっても不思議ではありません。
居宅介護支援では、利用者が居宅介護支援事業者を選ぶことができ、必要に応じて変更を検討することもできます。
ただし、施設に配置されているケアマネの場合は事情が異なります。
施設内の担当者を家族の希望だけで自由に選べるとは限らないため、まず施設の管理者や相談窓口などへ相談することになります。
ケアマネとの相性や選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ケアマネを上手に「使う」なら、全部任せるより一緒に考える
「ケアマネを使う」という言い方は、少し乱暴に聞こえるかもしれません。
でも、家族にはもっとケアマネを頼ってほしいと思っています。
ただし、
全部お任せする
という意味ではありません。
家族が知っている本人の昔の姿があります。
本人にしか分からない気持ちがあります。
介護職だから分かる日常があります。
看護職だから気づける体調変化があります。
医師だから判断できることがあります。
そしてケアマネは、それぞれの情報を集めながら支援を組み立てます。
だから家族にも、
「これだけは大切にしてほしい」
「ここが一番困っている」
「本人は昔からこういう人だった」
ということは、ぜひ伝えてほしいと思います。
ケアマネへの相談・頼り方でよくある質問
介護や生活に関係することで、
「誰に相談すればいいか分からない」
なら、まずケアマネへ話してみて構いません。
本人の介護サービスだけでなく、家族の介護負担、認知症、福祉用具、施設入居など、さまざまな相談があります。
ケアマネ自身が直接対応できない内容でも、適切な相談先や専門職につなげられる場合があります。
相談して構いません。
家族の介護負担も、支援を考えるうえで重要な情報です。
「まだ何とかできる」と無理を続けるより、
「最近きつくなってきた」
という段階から相談してみてください。
利用するサービスや介護方法を見直すきっかけになることがあります。
あります。
ケアマネは何でも代行する仕事ではなく、制度上できないことや、ケアマネ自身が直接行う仕事ではないこともあります。
大切なのは、
「できない」で終わるのではなく、ほかに方法がないか一緒に考えてもらえるか
です。
知らないことがあること自体は珍しくありません。
ただし、
「分からないので確認します」
と調べたり、ほかの専門職や事業所へつないだりしてくれるかは大切です。
必要であれば、
「ほかに相談できるところはありますか?」
と聞いてみてください。
まず、
「先日相談した件は今どうなっていますか?」
と進捗を確認してみてください。
裏側でサービス事業所や専門職と調整している場合もあります。
説明や対応に問題がある状態が続く場合は、居宅介護支援事業所の管理者などへ相談したり、状況によっては事業所の変更を検討したりする方法があります。
施設入居についてケアマネへ相談することはできます。
ただし、ケアマネが地域内外すべての老人ホームの空室、料金、受け入れ条件などを把握しているわけではありません。
担当ケアマネへ相談しながら、自分で施設を調べたり、施設へ直接問い合わせたり、老人ホーム紹介サービスなどを利用したりする方法もあります。
まとめ|ケアマネは「困ったときに一緒に次の一手を考える人」
- ケアマネには、相談内容がまとまっていなくても話してよい
- 「本人の問題」だけでなく、家族の介護負担も相談してよい
- ケアマネへ相談することと、ケアマネが直接何でもやってくれることは別
- 希望どおりにできない場合でも、理由や代替案を一緒に考えてもらうことが大切
- ケアマネがすべてを知っている必要はないが、分からないことを調べたり他職種へつないだりする力は重要
- 老人ホーム探しなどは、ケアマネ以外の相談先を併用してもよい
- ケアマネと合わない場合は、状況に応じて事業所などへ相談する方法もある
ケアマネは、
何でもやってくれる人ではありません。
家族の希望を全部かなえてくれる人でもありません。
介護について何でも知っている人でもありません。
でも、
「何から手をつければいいのか分からない」
「親の介護がきつくなってきた」
「このサービスを使えるの?」
「そろそろ施設を考えた方がいい?」
そんなときに話を聞き、
困っていることを整理して、次にどうするかを一緒に考える。
それがケアマネの大切な役割です。
私自身、施設ケアマネとして家族から本当にいろいろな相談を受けました。
施設へ入れたら面会へ来なくてもいいのか。
事故の連絡は毎回必要なのか。
どうして施設料金がこんなに高いのか。
デイサービスへ行けないのか。
入居前の家を職員で掃除してもらえないのか。
父を元気にしてほしい。でも入院はさせたくない。
「それを俺に言われても……」
と心の中で思ったことも、正直あります(笑)。
それでも、
話を聞いてみなければ何に困っているのかは分かりません。
できないなら、なぜできないのかを説明する。
自分にできないなら、できる人を探す。
分からなければ調べる。
そして、
「じゃあ、こうしてみませんか?」
と次の方法を考える。
ケアマネを上手に頼るコツは、全部やってもらうことではなく、困ったときに一緒に次の一手を考えてもらうことです。
それくらいの感覚で、もっと気軽に相談してもらっていいと私は思っています。
ケアマネをしていた頃、
「介護保険のプロなんだから何でも知ってるでしょ」
みたいに思われることもありました。
いやいや、
全部なんて分からんよ(笑)。
知らない制度もある。
知らないサービスもある。
行ったことのない施設だって山ほどあります。
でも私は、
知らないこと自体が悪いとは思っていません。
分からなければ調べればいい。
自分より詳しい人がいるなら聞けばいい。
自分ではできないなら、できる人につなげばいい。
逆に一番怖いのは、
自分が知らないだけなのに「そんなものありません」と終わらせてしまうこと。
ケアマネは一人で何でも解決する仕事ではありません。
介護職。
看護職。
医師。
リハビリ職。
福祉用具。
地域包括支援センター。
サービス事業所。
そして家族。
いろいろな人とつながりながら、本人にとって今できる方法を探していく仕事です。
だから家族にも、
ケアマネを何でも屋だと思わなくていい。
でも、
遠慮しすぎる必要もない。
家族でもない。
親友でもない。
それでも困ったときに話を聞いて、
ちょっとだけ問題を前に進めてくれる人。
そんなケアマネだったら、どんどん頼っていい。
施設ケアマネとして家族と関わってきた私は、そう思っています。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。グループホームでは計画作成担当者として約2年勤務し、老人ホーム入居相談員として本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。


