介護福祉士からケアマネになるには?受験資格・必要年数・資格取得までの流れを経験者が解説
私が介護福祉士を取った理由は、「利用者さんのため」でも「介護を極めたかったから」でもありません。給料を上げたかったからです。
もちろん、利用者さんのことをどうでもいいと思っていたわけではありません。
ただ、資格取得を決めた一番の理由を聞かれたら、きれいごとは言えません。
当時の私の給料は、総支給で月22万円ほど。税金や社会保険料などを引かれると、手取りは17万〜18万円程度でした。
今のように介護職員の処遇改善が広く意識される前の話です。
介護福祉士を取れば、資格手当などで給料が上がる。私にとって、それは十分すぎる受験理由でした。
その後、ケアマネジャー(介護支援専門員)を目指した理由も、決して立派なものではありません。
介護現場やグループホームの外へ出て、違う景色を見てみたかった。
これが、私の本音です。
この記事では、現在の受験資格や資格取得までの流れを整理しながら、私が介護福祉士からケアマネを目指した理由、駆け込み受験で一発合格した経験、合格後に感じた「まだケアマネになれないのかよ」という本音まで紹介します。
- 介護福祉士からケアマネを目指す場合、現在は原則として介護福祉士登録後の実務経験が5年以上かつ900日以上必要
- 5年と900日の両方を満たさなければならない
- 転職歴や勤務事業所が多い場合は、実務経験証明書の準備に時間がかかることがある
- 試験合格後も実務研修・登録・介護支援専門員証の交付が必要
- ケアマネを目指す理由は、給料や働き方を変えたいという本音でも構わない
- 介護福祉士からケアマネになるまでの流れ
- 受験資格は「実務経験5年」だけではない
- 転職が多い人は実務経験証明書の準備を早めに始めよう
- 私が介護福祉士を取った理由は給料を上げたかったから
- ケアマネを目指したのは「外の景色」を見たかったから
- 解答免除廃止前の駆け込み受験で一発合格した
- 試験合格はゴールではなく実務研修へのスタートライン
- 介護福祉士からケアマネになるまで最短で何年かかる?
- ケアマネ資格を取れば必ず現場から離れられるわけではない
- 通信講座は「申し込めば受かる魔法」ではない
- 介護福祉士からケアマネを目指す前に確認したいこと
- 介護福祉士からケアマネになるときのよくある質問
- まとめ|ケアマネを目指す理由はきれいごとでなくていい
介護福祉士からケアマネになるまでの流れ
介護福祉士の資格を持っているからといって、すぐにケアマネ試験を受けられるわけではありません。
また、試験に合格しただけで、その日からケアマネとして働けるわけでもありません。
現在の埼玉県の制度をもとに、資格取得までの大まかな流れを整理すると次のようになります。
| 段階 | 必要なこと |
|---|---|
| 1.介護福祉士の登録 | 介護福祉士として登録し、資格に基づく業務へ従事する |
| 2.実務経験を満たす | 原則として5年以上かつ900日以上の実務経験を積む |
| 3.試験へ申し込む | 実務経験証明書などを用意し、都道府県の試験実施機関へ申し込む |
| 4.試験に合格する | 介護支援専門員実務研修受講試験を受験する |
| 5.実務研修を修了する | 試験合格後、介護支援専門員実務研修を受講する |
| 6.登録・証交付を申請する | 都道府県へ登録し、介護支援専門員証の交付を受ける |
| 7.ケアマネとして働く | 介護支援専門員証の交付後、ケアマネ業務へ従事できる |
2026年度の埼玉県では、受験資格について「国家資格等を取得後、登録してからの業務が5年以上かつ900日以上」と案内されています。
受験資格や申込方法は年度・都道府県によって確認先が異なるため、受験予定地の最新版を必ず確認してください。
受験資格は「実務経験5年」だけではない
「5年以上」と「900日以上」の両方が必要
介護福祉士からケアマネ試験を受ける場合、現在は原則として次の両方を満たす必要があります。
- 介護福祉士の登録後、資格に基づく業務へ従事した期間が5年以上
- 実際に業務へ従事した日数が900日以上
5年働いていても、従事日数が900日に届かなければ受験資格を満たしません。
反対に、900日へ早く到達しても、期間が5年未満なら受験できません。
常勤で働いている人は両方を満たすことが多いと思いますが、勤務日数が少ない人、長期間休職していた人、複数の職場を合算する人は注意が必要です。
「資格を取った日」と「登録日」の違いにも注意
介護福祉士国家試験に合格しただけでは、介護福祉士としての登録は完了していません。
現在の埼玉県の案内では、国家資格等を取得後、登録してからの業務が受験資格の対象とされています。
自分がいつ介護福祉士登録をしたのか分からない場合は、登録証に記載された日付を確認しておきましょう。
受験資格には個別判断が必要な場合もあります。この記事だけで「自分は絶対に受験できる」と決めず、必ずその年度の試験案内で確認してください。
転職が多い人は実務経験証明書の準備を早めに始めよう
受験資格を満たしていても、勤務期間を自分で申告するだけでは試験へ申し込めません。
勤務していた事業所などに、実務経験証明書を作成してもらう必要があります。
私は、ケアマネの資格を取るまではグループホームにいようと考えていました。
すでにケアマネ資格を取った人から、こんな話を聞いていたからです。
「転職が多いと、前の職場へ連絡して証明書を書いてもらうのが面倒だよ」
円満に退職した職場なら、まだ頼みやすいかもしれません。
でも、退職から何年も経過している。担当者が変わっている。法人自体がなくなっている。あまり良い辞め方ではなかった。
そんな状況で、以前の勤務先へ連絡するのは気が重いものです。
同一法人でも事業所ごとに証明書が必要な場合がある
2026年度の埼玉県の実務経験証明書記入例では、同一法人で複数事業所の実務経験を証明する場合も、事業所ごとに証明書を作成するよう案内されています。
同じ会社で働き続けていても、異動によって勤務事業所が複数に分かれている人は注意してください。
参考:埼玉県社会福祉協議会|介護支援専門員実務研修受講試験について
ただし、書類が面倒だからという理由だけで、合わない職場へ無理に残る必要はありません。
転職しても実務経験を合算できる場合はあります。大切なのは、後から証明できるよう勤務先や期間を把握しておくことです。
私が介護福祉士を取った理由は給料を上げたかったから
資格取得の動機を聞かれると、何となく立派な答えを求められている気がします。
「もっと質の高い介護を提供したかった」
「利用者さんの生活を支えたかった」
もちろん、そういう理由で目指す人もいるでしょう。
でも、私の場合は違いました。
給料を上げたかったからです。
当時の私は、総支給で月22万円ほど。手取りにすると17万〜18万円程度でした。
生活していくには、決して余裕のある金額ではありません。
資格手当の有無や金額は職場によって違いますが、私が働いていた頃も、介護福祉士を取得すると給与へ反映される施設はありました。
だったら取る。
私にとっては、それだけで十分な理由でした。
給料を上げたい。
夜勤を減らしたい。
役職に就きたい。
今とは違う仕事をしてみたい。
介護の仕事を続けるための資格なのですから、自分の生活や将来を良くしたいという理由があって当然です。
ケアマネを目指したのは「外の景色」を見たかったから
介護福祉士を取ったあと、私が次に目指したのがケアマネでした。
理由は、介護現場やグループホームから一度離れて、ほかの景色を見てみたかったからです。
グループホームの仕事が嫌いだったという話ではありません。
認知症のある方と毎日関わり、食事や入浴、排泄、夜間の対応まで生活全体を支える仕事には、多くの学びがありました。
ただ、同じ場所で働き続けていると、その施設の考え方や人間関係、仕事の進め方が、自分にとっての介護業界のすべてに見えてくることがあります。
私は、そこから一度外へ出てみたかった。
介護職とは違う立場で、本人や家族、介護サービス、医療機関などと関わってみたかった。
そのための選択肢がケアマネでした。
資格取得後、私は施設ケアマネとして約5年間勤務しました。
実際には、ケアマネになれば必ず介護現場から離れられるわけではありません。私自身、施設ケアマネと介護職を兼務し、夜勤へ入った時期もあります。
それでも、ケアプラン、家族対応、医療機関との連携、多職種との調整など、介護職だけをしていた頃とは違う景色を見ることができました。
ケアマネの実際の仕事内容や、施設ケアマネとして経験した現場のリアルはこちらで詳しく解説しています。
→ケアマネジャーの仕事内容とは?施設ケアマネ経験者が現場のリアルまで解説
解答免除廃止前の駆け込み受験で一発合格した
私がケアマネ試験を受けた頃は、現在とは試験制度が違いました。
当時は、介護福祉士など保有資格に応じた解答免除がありました。
ところが、私が受験した翌年度から解答免除が廃止されることになりました。
どうせ受けるなら、免除が残っているうちに受けた方がいい。
そう考えて受験した、いわば駆け込み受験です。
そして私は、その試験に一発で合格しました。
厚生労働省の通知により、保有資格による解答免除は平成27年度の試験から廃止されています。
現在の試験では、介護福祉士を持っていても解答免除はありません。
私が受験した当時の制度や勉強量を、そのまま現在の試験へ当てはめないようにしてください。
参考:厚生労働省|介護支援専門員実務研修受講試験の解答免除廃止について
試験合格はゴールではなく実務研修へのスタートライン
ケアマネ試験の正式名称は、介護支援専門員実務研修受講試験です。
名前のとおり、実務研修を受けるための試験です。
試験に合格した時点では、まだ介護支援専門員証は交付されていません。
現在、ケアマネとして働くまでには、次の手続きが必要です。
- 介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
- 介護支援専門員実務研修を修了する
- 都道府県の介護支援専門員資格登録簿へ登録する
- 介護支援専門員証の交付を申請する
- 介護支援専門員証の交付を受ける
埼玉県の現在の研修体系では、実務研修は実習を含めて89時間と案内されています。
なお、私が受講した当時と現在では研修時間やカリキュラムが異なります。
私の場合、試験勉強の方がよほど大変だったので、研修自体は楽しく受けられました。
ただ、合格発表を見た瞬間からケアマネになれると思っていると、
「まだ研修があるのか」
「登録も必要なのか」
「介護支援専門員証が来るまで働けないのか」
となると思います。
受験してから、実際にケアマネとして働ける状態になるまでには数か月かかりました。
私だけでなく、合格後の流れを見て「まだ終わりじゃないのかよ」と思った人は多いのではないでしょうか(笑)。
研修修了後は登録期限にも注意
現在の埼玉県では、実務研修修了後、修了日から3か月を経過する日までに介護支援専門員資格登録簿への登録申請を行う必要があります。
登録だけではケアマネ業務へ就けません。ケアマネとして働く場合は、介護支援専門員証の交付も受けます。
参考:埼玉県|介護支援専門員登録申請・介護支援専門員証交付申請
介護福祉士からケアマネになるまで最短で何年かかる?
介護福祉士ルートでケアマネを目指す場合、現在は介護福祉士登録後の実務経験だけでも5年以上必要です。
そこから試験申込み、試験、合格発表、実務研修、登録、介護支援専門員証の交付と続きます。
つまり、介護福祉士登録から5年が経過した日に、そのままケアマネになれるわけではありません。
| 期間 | 考え方 |
|---|---|
| 介護福祉士登録後 | 実務経験5年以上かつ900日以上を満たす |
| 受験年度 | 申込期間と試験日を確認して受験する |
| 合格後 | 実務研修を受講して修了する |
| 研修修了後 | 登録と介護支援専門員証交付の手続きを行う |
試験は原則として年1回です。
実務経験を満たす時期と申込締切が合わなければ、次年度まで待つ可能性もあります。
ケアマネを目指すと決めたら、5年を迎えてから動くのではなく、前年から試験日程や必要書類を確認しておく方が安心です。
ケアマネ資格を取れば必ず現場から離れられるわけではない
私は、介護現場やグループホームの外の景色を見たいと思ってケアマネを目指しました。
しかし、資格を取れば必ずデスクワーク中心になり、夜勤や介護業務から離れられるとは限りません。
特に施設ケアマネは、職場によって介護職との兼務があります。
私自身も、施設ケアマネをしながら介護現場へ入り、月に何度も夜勤をしていた時期がありました。
そのため、ケアマネ資格を取ったあとに転職するなら、求人票の「ケアマネ募集」だけを見ない方がいいと思っています。
- 居宅ケアマネなのか施設ケアマネなのか
- ケアマネ専任なのか介護職との兼務なのか
- 夜勤や宿直があるのか
- 担当件数はどのくらいか
- ケアプラン作成以外に何を任されるのか
- 資格手当や基本給はいくらなのか
資格を取る前から転職サイトや求人票を見ておくのも無駄ではありません。
今すぐ転職するためではなく、資格取得後にどんな働き方があるのかを知るためです。
「ケアマネになれば現場から離れられる」と思い込まず、自分が見たい景色と求人内容が合っているかを確認してください。
通信講座は「申し込めば受かる魔法」ではない
受験資格を満たしたら、次に考えるのが勉強方法です。
主な選択肢は、独学・通学・通信講座の3つです。
私はケアマネ試験の勉強でユーキャンを利用しました。
ただし、ユーキャンへ申し込んだから自動的に合格できたわけではありません。
私は講座に加えて、約10冊の問題集を用意し、何度も繰り返し解きました。
1日1冊取り組んでも、10冊終わって最初の問題集へ戻る頃には内容を忘れています。
だから、また解く。
そして、また忘れる。
覚えるくらいまで何周もする。
私にとっては、この繰り返しが一発合格につながりました。
私が実際に行った問題集の回し方や、試験前1週間の仕上げ方は、次の記事で詳しく紹介しています。
ケアマネ試験の勉強法|問題集10冊を5周して一発合格した実体験
| 勉強方法 | 向いている人 |
|---|---|
| 独学 | 自分で教材や計画を決め、継続できる人 |
| 通学 | 決まった時間に学び、講師へ直接質問したい人 |
| 通信講座 | 仕事を続けながら、学習範囲や順番を整理して進めたい人 |
通信講座を使うかどうかは、受験資格を確認したあとで考えれば十分です。
講座名や合格実績だけで決めず、自分が最後まで続けられる方法を選んでください。
介護福祉士からケアマネを目指す前に確認したいこと
「ケアマネを取ってみようかな」と思ったら、次の順番で確認してみてください。
- 介護福祉士登録証の日付を確認する
- 登録後の勤務期間と従事日数を整理する
- 勤務した施設・事業所を一覧にする
- 実務経験証明書をどこへ依頼するか確認する
- 受験する都道府県の最新試験案内を見る
- ケアマネ取得後に希望する働き方を考える
- 独学・通信講座などの勉強方法を選ぶ
最初から全部決める必要はありません。
まずは、自分に受験資格があるのかを確認する。
まだ足りなければ、あと何年・何日必要なのかを知る。
それだけでも、漠然としていた「いつかケアマネ」が、具体的な予定へ変わります。
介護福祉士からケアマネになるときのよくある質問
介護福祉士の国家資格ルートでは、現在は原則として資格登録後に、その資格に基づいて業務へ従事した期間が対象になります。ただし、別の法定資格や相談援助業務による受験資格に該当する場合もあるため、受験予定の都道府県へ確認してください。
5年以上に加えて、従事日数900日以上も必要です。どちらか一方ではなく、両方を満たす必要があります。
対象業務であれば、複数の勤務先における実務経験を合算できる場合があります。ただし、勤務していた施設・事業所ごとに実務経験証明書が必要になることがあるため、早めに準備してください。
現在、保有資格による解答免除はありません。解答免除は平成27年度の試験から廃止されています。
すぐには働けません。実務研修を修了し、都道府県への登録と介護支援専門員証の交付を受ける必要があります。
まとめ|ケアマネを目指す理由はきれいごとでなくていい
介護福祉士からケアマネを目指す場合、現在は原則として介護福祉士登録後の実務経験が5年以上かつ900日以上必要です。
その後も、試験、実務研修、登録、介護支援専門員証の交付と続きます。
資格取得までの流れは、決して短くありません。
実務経験証明書の準備も必要ですし、試験に合格したあともすぐにケアマネになれるわけではありません。
それでも、少しでも今とは違う働き方に興味があるなら、まず受験資格を確認してみてください。
私が介護福祉士を取った理由は、給料を上げるためでした。
ケアマネを目指した理由は、介護現場やグループホームの外の景色を見てみたかったからです。
立派な志があったわけではありません。
でも、その資格があったからこそ、私は施設ケアマネとして働き、介護職だけをしていた頃とは違う経験ができました。
給料を上げたいでもいい。現場から少し離れてみたいでもいい。今とは違う景色を見たいでもいい。
理由をきれいに飾るより、自分が何を変えたいのかを一度考えてみてください。
そのうえで受験資格を満たしているなら、試験案内を確認する。教材を調べる。通信講座の資料を見る。資格取得後の求人を探してみる。
その小さな一歩から始めれば十分です。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。


