老人ホームの保証人がいないと入居できない?対処法と身元保証をケアマネが解説
老人ホームを探していると、入居条件として「身元保証人」「身元引受人」「連帯保証人」などを求められることがあります。
家族や親族へ頼める場合は大きな問題にならないこともありますが、
「身寄りがない」
「子どもがいない」
「親族とは疎遠になっている」
「家族はいるけれど保証人を頼めない」
という方もいます。
そんなとき、「保証人がいないから老人ホームには入れない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、保証人等についての対応や入居条件は施設によって異なります。
保証人を頼める人がいない場合でも、最初から施設入居を諦めるのではなく、施設が何のために誰を必要としているのか確認し、代替方法がないか相談することが大切です。
私はケアマネや老人ホーム入居相談員として施設探しに関わるなかで、身寄りが少ない方や、親族へ身元引受人を頼むことが難しい方の相談に関わってきました。
こうしたケースでは、単に「保証人がいる・いない」だけで判断するのではなく、施設が求めている役割を整理することが重要です。
この記事では、老人ホームで保証人等が求められる理由、それぞれの役割、頼める家族がいない場合の対処法、身元保証サービスを利用するときの注意点などを、ケアマネ・老人ホーム入居相談員としての経験を交えて解説します。
- 保証人がいなくても老人ホームへ入居できる可能性があるのか
- 老人ホームが保証人等を求める主な理由
- 身元保証人・身元引受人・連帯保証人の考え方
- 家族や親族へ頼めない場合の対処法
- 身元保証サービスを利用するときの注意点
- 成年後見制度との違い
- 保証人がいないと老人ホームに入れない?
- 老人ホームではなぜ保証人や身元引受人を求めるの?
- 身元保証人・身元引受人・連帯保証人は何が違う?
- 誰が老人ホームの保証人等になれる?
- 保証人を頼める人がいないときは何を整理する?
- 保証人がいない場合は早めに相談を始めよう
- 保証人がいないときの5つの対処法
- 身元保証サービスを利用する方法もある
- 身元保証サービスは料金だけで選ばない
- 成年後見制度と身元保証サービスは同じではない
- 医療同意まで身元保証人に任せられるとは限らない
- 現場あるある|「子どもはいるけど頼めない」こともある
- 保証人がいない場合は「入居後」まで考えて施設を選ぶ
- 身元保証サービスでトラブルを避けるポイント
- 契約前に確認したい7つのポイント
- 保証人がいない人の老人ホーム探し5ステップ
- 保証人がいないときは誰に相談する?
- 現場あるある|保証人より「誰が何をするか」が問題になる
- 老人ホームの保証人についてよくある質問
- まとめ|保証人がいなくても必要な支援から考えよう
保証人がいないと老人ホームに入れない?
保証人や身元引受人を頼める人がいないからといって、すべての老人ホームへ入居できないわけではありません。
ただし、実際の入居条件は施設によって異なります。
施設によっては、入居契約の際に身元引受人等を求めることがあります。
一方で、身寄りがない場合の対応について個別に相談できたり、別の方法を案内されたりすることもあります。
そのため、老人ホームを探すときは、
- 身元引受人等が必要か
- 誰がなることができるか
- どのような役割を求められるか
- 親族以外でも可能か
- 頼める人がいない場合の代替方法があるか
を確認しましょう。
「保証人必須」と書いてあってもまず施設へ相談する
パンフレットや入居条件などに「保証人が必要」と書かれている場合でも、頼める人がいないなら、まず施設へ事情を伝えてみましょう。
施設側が求める役割によっては、別の方法を検討できる可能性があります。
反対に、施設が定める条件を満たせず入居が難しい場合には、別の施設を探す必要が出てくることもあります。
老人ホームではなぜ保証人や身元引受人を求めるの?
老人ホームが身元引受人等を求める理由は、施設生活の中で本人以外の人へ連絡や対応を求める場面があるためです。
具体的な役割は施設・契約によって異なりますが、一般的には次のような場面があります。
- 緊急時の連絡
- 利用料等の支払いに関する対応
- 入院・受診時などの連絡や手続き
- 退去時の手続きや荷物の対応
- 死亡後の連絡・手続き等
ただし、これらすべてを一人の「保証人」が必ず担うとは限りません。
施設によっては、金銭的な保証をする人と緊急連絡先などの役割を分けて考えている場合もあります。
① 緊急時の連絡
本人の体調が急変した場合などに、施設から連絡を受ける役割を求められることがあります。
老人ホームでは、本人が急に体調を崩したり、救急搬送が必要になったりすることがあります。
その際、施設が家族や身元引受人等へ連絡する場合があります。
そのため、本人と日常的に連絡が取れるかだけでなく、緊急時に誰へ連絡するのかを決めておくことが重要です。
② 利用料等の支払いに関する対応
契約によっては、利用料等の支払いについて保証を求められる場合があります。
ここは特に契約書を確認したい部分です。
単なる「緊急連絡先」と、金銭的な責任を負う「連帯保証人」などでは意味が大きく異なります。
③ 入院・受診時などの連絡や手続き
老人ホームで生活していても、病気やけがによって病院を受診したり入院したりすることがあります。
その際、施設から身元引受人等へ連絡が入り、状況によっては手続きや必要物品の準備などへの対応を求められる場合があります。
ただし、医療行為への同意と、施設の身元引受人としての役割は同じものではありません。
④ 退去時の手続きや荷物の対応
本人が老人ホームを退去するときに、身元引受人等へ連絡や対応を求める施設もあります。
たとえば、別の施設へ住み替える場合や長期入院などによって退去する場合には、居室の荷物や契約終了に伴う手続きが必要になります。
本人だけで対応することが難しい場合に、誰がその役割を担うのかを施設側が確認することがあります。
老人ホームの退去についてはこちら。
→「老人ホームの退去理由とは?退去になる8つのケースと対処法をケアマネが解説」
⑤ 死亡後の連絡・手続き等
老人ホームで看取りを行う場合などには、本人が亡くなった後の連絡や荷物の引き取りなどについて、事前に確認されることがあります。
身寄りがない場合には、こうした「本人が亡くなった後を誰が担うのか」も重要な問題になります。
老人ホームでの看取りについてはこちら。
→「老人ホームで看取りはできる?最期まで暮らせる施設の選び方をケアマネが解説」
身元保証人・身元引受人・連帯保証人は何が違う?
老人ホームでは「身元保証人」「身元引受人」「連帯保証人」など、似た名称が使われることがあります。
ただし、名称だけで役割を一律に判断することはできません。
まずは一般的なイメージとして整理してみましょう。
| 名称 | 確認したい主な役割 |
|---|---|
| 身元保証人 | 施設が定める保証・支援内容 |
| 身元引受人 | 緊急連絡・退去時対応など |
| 連帯保証人 | 利用料等の金銭的な保証 |
| 緊急連絡先 | 緊急時などの連絡先 |
この表はあくまで役割を理解するための目安です。
実際には「身元引受人」という名称でも利用料の支払いに関する義務が含まれているなど、施設ごとに契約内容が異なる可能性があります。
誰が老人ホームの保証人等になれる?
老人ホームの身元引受人等になれる人の条件は、施設によって異なります。
子どもなどの家族が担うケースは多いですが、すべての施設で「子どもでなければならない」と決まっているわけではありません。
施設によっては、
- 本人との関係
- 連絡が取れるか
- 必要な役割を担えるか
- 金銭的保証が必要な場合、その条件を満たせるか
- 緊急時などに対応できるか
などを確認される場合があります。
高齢の配偶者しかいない、親族が遠方に住んでいる、親族とは疎遠などの場合も、最初から諦めず施設へ相談してください。
保証人を頼める人がいないときは何を整理する?
保証人等を頼める人がいない場合は、「誰もいない」で終わらせず、本人が必要としている支援を整理しましょう。
次の項目を一つずつ確認します。
- 緊急時に連絡できる人はいるか
- 施設費用を本人自身で支払えるか
- 入院時などに支援できる人はいるか
- 退去時の手続きを誰が行うか
- 死亡後の手続き等を誰が担うか
たとえば「家族はいない」場合でも、本人自身で金銭管理ができ、緊急連絡先として頼れる知人がいるケースもあります。
一方で、認知症などによって金銭管理が難しく、死後の手続きについても頼める人がいないケースでは、より多くの支援を検討する必要があります。
老人ホーム入居までの流れについてはこちら。
→「老人ホーム入居までの流れを徹底解説|相談から入居まで7ステップ」
保証人がいない場合は早めに相談を始めよう
身元引受人等を頼める人がいないことが分かっているなら、入居直前ではなく老人ホームを探し始める段階で伝えておきましょう。
施設によって条件が違うため、候補を絞った後で初めて「保証人が必要です」と分かると、施設探しをやり直すことになる可能性があります。
特に、
- 一人暮らしで身寄りがない
- 親族と長期間連絡を取っていない
- 親族が高齢で支援を頼みにくい
- 家族から保証人になることを断られている
- 認知症などで今後の金銭管理も心配
という場合は、早めに状況を伝えてください。
保証人がいないときの5つの対処法
老人ホームの保証人や身元引受人等を頼める人がいない場合でも、いくつかの方法を検討できます。
大切なのは、いきなり身元保証サービスを契約するのではなく、まず施設が何を求めているのか確認することです。
- 保証人等がいなくても相談できる施設を探す
- 施設へ代替方法がないか相談する
- 地域包括支援センターや市区町村へ相談する
- 身元保証等の民間サービスを検討する
- 必要に応じて成年後見制度などを検討する
どの方法が適しているかは、本人の判断能力、資産状況、家族関係、必要な支援、希望する施設などによって変わります。
① 保証人等がいなくても相談できる施設を探す
施設によって身元引受人等に関する入居条件は異なるため、本人の状況を相談できる老人ホームを探す方法があります。
老人ホームを探す段階で、身寄りがないことや親族へ頼めないことを伝えておきましょう。
特に複数の施設を比較する場合は、料金や介護体制だけでなく、身元引受人等についても確認します。
- 身元引受人等は必須か
- どのような役割が必要か
- 親族以外でも相談できるか
- 民間サービスを利用できるか
- 身寄りがない場合の対応実績があるか
② 施設へ代替方法がないか相談する
身元引受人等を頼める人がいない場合は、施設へ代替方法を相談しましょう。
ここで重要なのは、施設が求める役割を分解することです。
| 必要なこと | 確認すること |
|---|---|
| 緊急連絡 | 誰へ連絡する必要があるか |
| 費用 | 金銭的保証が必要か |
| 入院時 | 何の支援を求めるか |
| 退去時 | 荷物等を誰が対応するか |
| 死亡後 | 死後事務をどうするか |
必要な役割を整理すれば、一人の家族にすべてを任せる以外の方法を検討できることがあります。
③ 地域包括支援センターや市区町村へ相談する
身寄りがなく、老人ホームへの入居だけでなく今後の生活全体に不安がある場合は、地域包括支援センターや市区町村などへ相談する方法があります。
特に、
- 一人暮らしで頼れる親族がいない
- 認知症があり金銭管理にも不安がある
- 施設探しを一人で進めることが難しい
- 今後の生活支援も必要になりそう
- 成年後見制度が必要か分からない
という場合は、早めに相談しておきましょう。
地域によって利用できる制度や支援、相談体制は異なります。
地域包括支援センターについてはこちらで詳しく解説しています。
身元保証サービスを利用する方法もある
親族などへ身元保証を頼むことが難しい場合、民間の高齢者等終身サポート事業者などを利用する方法があります。
事業者によって提供する内容は異なりますが、たとえば次のような支援があります。
- 施設入居・入院時などの手続支援
- 緊急連絡先等に関する支援
- 日常生活に関する支援
- 死後事務に関する支援
必要なサービスをまとめて契約する場合もあれば、一部だけを利用する場合もあります。
そのため、「身元保証サービス」という名称だけを見て契約するのではなく、具体的に何をしてくれるのか確認することが重要です。
身元保証サービスは料金だけで選ばない
身元保証等のサービスを利用するときは、「一番安い事業者」を探すだけではなく、契約内容を比較することが大切です。
国の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」でも、契約内容を適切に説明し、契約書や重要事項説明書などを交付して説明することの重要性が示されています。
契約前には、最低でも次の項目を確認しましょう。
- どのサービスが契約に含まれるか
- 初期費用と継続費用はいくらか
- 追加料金が発生するサービスは何か
- 預託金等がある場合、その管理方法はどうなっているか
- 途中解約や返金の条件はどうなっているか
- 事業者がサービスを続けられなくなった場合の対応はどうなるか
- 死後事務をどこまで行うのか
預託金等の管理方法も確認する
将来のサービス提供に備えて金銭を預ける契約では、そのお金がどのように管理されるのかを必ず確認してください。
高齢者等終身サポート事業では、契約期間が長期になることがあります。
そのため、契約時の金額だけではなく、事業者による金銭管理の方法まで確認することが重要です。
死後事務の範囲も確認する
身寄りがない方の場合、施設入居中だけではなく、亡くなった後の対応についても考えておく必要があります。
死後事務に関するサービスでは、契約内容によって、葬儀や納骨、住居・施設の荷物に関する対応などが含まれる場合があります。
ただし、どこまで対応するかは事業者や契約によって異なります。
- 死亡時に誰へ連絡するのか
- 葬儀・火葬等を誰が手配するのか
- 納骨等をどうするのか
- 施設の荷物をどうするのか
- 契約した死後事務の費用はいくらか
成年後見制度と身元保証サービスは同じではない
成年後見制度と民間の身元保証等サービスは、目的や役割が異なります。
成年後見制度は、認知症などによって財産管理や契約などを本人だけで行うことが難しくなった人を法的に支援するための制度です。
一方、身元保証等の民間サービスでは、契約内容に応じて施設入居時の支援、日常生活支援、死後事務などを提供します。
| 項目 | 主な役割 |
|---|---|
| 成年後見制度 | 財産管理・契約等の法的支援 |
| 身元保証等サービス | 契約した生活支援・身元保証等・死後事務など |
成年後見人が選任されたからといって、家族が行ってきたすべての支援を当然に代行するわけではありません。
成年後見制度を検討するのはどんな場合?
認知症などによって本人自身で契約や財産管理を行うことが難しくなっている場合には、成年後見制度が選択肢になることがあります。
たとえば、
- 預貯金の管理が難しくなっている
- 契約内容を理解して判断することが難しい
- 施設入居などの契約手続きに支援が必要
- 本人の財産や権利を守る必要がある
などです。
法定後見制度には、本人の判断能力などに応じて後見・保佐・補助があります。
身寄りがなく、必要な申立てを行う親族がいない場合などには、市町村長が法定後見開始の審判を申し立てる仕組みもあります。
医療同意まで身元保証人に任せられるとは限らない
身元保証人や成年後見人がいるからといって、本人に代わってすべての医療行為への同意を当然に行えるわけではありません。
医療については、まず本人自身の意思を確認することが基本です。
本人の意思決定が難しい場合には、医療・ケアチームが本人の意思や価値観、家族等から得られる情報などを踏まえて対応を検討します。
現場あるある|「子どもはいるけど頼めない」こともある
身元保証の問題というと、完全に身寄りがない方だけをイメージするかもしれません。
しかし実際には、家族や親族がいても頼めないケースがあります。
たとえば、
- 子どもと長年疎遠になっている
- 親族自身も高齢になっている
- 遠方で緊急時の対応が難しい
- 金銭的な保証までは頼めない
- 家族関係に複雑な事情がある
などです。
戸籍上の家族がいることと、実際に身元引受人等を頼めることは同じではありません。
保証人がいない場合は「入居後」まで考えて施設を選ぶ
身寄りがない方の老人ホーム選びでは、入居契約をクリアできるかだけでなく、入居後に困ったときの支援体制まで確認しましょう。
入居した後には、体調の変化や入院、金銭管理、住み替えなど、さまざまなことが起こる可能性があります。
- 緊急時は誰に連絡するか
- 入院した場合は誰が対応するか
- 金銭管理が難しくなった場合はどうするか
- 退去・住み替えが必要になった場合はどうするか
- 死亡後の対応をどうするか
すべてを今すぐ決める必要はありませんが、将来困りそうな部分をあらかじめ確認しておくことが大切です。
身元保証サービスでトラブルを避けるポイント
身元保証等の民間サービスを利用する場合は、老人ホームへ入居するためだけに急いで契約しないことが大切です。
高齢者等終身サポート事業では、身元保証等だけでなく、日常生活支援や死後事務など複数のサービスをまとめて契約する場合があります。
また、将来にわたってサービスを利用する契約になることもあるため、契約内容を十分理解してから判断する必要があります。
- サービス内容が希望と合っているか
- 費用の総額を把握できるか
- 追加料金の条件が明確か
- 預ける金銭の管理方法が明確か
- 解約・返金条件を確認できるか
- 死後事務の内容が具体的か
契約するサービスを一つずつ確認する
「身元保証一式」のような言葉だけで判断せず、実際に何をしてもらえる契約なのか確認します。
たとえば、次のようなサービスは、それぞれ別の役割です。
| サービス | 確認する内容 |
|---|---|
| 身元保証等 | 施設・病院等で何を担うか |
| 生活支援 | 買い物・通院等の支援範囲 |
| 金銭管理 | 何をどこまで管理するか |
| 死後事務 | 葬儀・納骨・荷物等の範囲 |
本人に必要なのが施設入居時の支援だけなのに、必要性を十分検討せず多くのサービスを契約すれば、費用負担も増える可能性があります。
契約書と重要な説明は手元に残す
契約書や重要事項に関する説明資料などは、契約後も確認できるよう保管しておきましょう。
契約直後には必要性を感じなくても、数年後に本人の状態が変わったときや、サービスを解約したいときに確認することがあります。
- 契約書
- サービス内容の説明資料
- 料金表
- 預託金等に関する資料
- 解約・返金条件が分かる資料
- 事業者の連絡先
契約前に確認したい7つのポイント
身元保証等のサービスを契約する前には、最低でも次の7項目を確認しましょう。
- 契約するサービスの内容
- 初期費用・月額費用・追加費用
- 預託金等の管理方法
- 本人のお金を管理する範囲
- 途中解約と返金条件
- 事業者がサービスを続けられない場合の対応
- 死亡後に行う手続きの範囲
特に、まとまったお金を預ける場合や死後事務を契約する場合は、本人が元気なうちに内容を確認しておくことが重要です。
保証人がいない人の老人ホーム探し5ステップ
保証人等を頼める人がいない場合は、次の順番で老人ホーム探しを進めると整理しやすくなります。
- 本人の状態と希望を整理する
- 頼める人と頼めないことを確認する
- 候補施設へ身元引受人等の条件を確認する
- 不足する支援の補い方を考える
- 契約内容を確認して施設を決める
STEP1|本人の状態と希望を整理する
最初に、通常の老人ホーム探しと同じように本人に必要な条件を整理します。
- 要介護度
- 認知症の状態
- 必要な介護
- 必要な医療
- 毎月の予算
- 希望する地域
保証人等がいないからといって、本人に必要な介護や医療を後回しにしてはいけません。
まず本人に合う施設であること、そのうえで身元引受人等の条件を確認するという順番が大切です。
STEP2|頼める人と頼めないことを確認する
「家族がいない」と「誰にも何も頼めない」は同じとは限りません。
親族以外でも、本人と関係のある人が緊急連絡先などについて協力できる場合があります。
一方、金銭的保証や死後事務までは依頼できないこともあります。
| 役割 | 頼めるか確認 |
|---|---|
| 緊急連絡 | 知人等へ頼めるか |
| 金銭的保証 | 本人・他の方法で対応できるか |
| 入院時支援 | 誰が対応できるか |
| 退去時対応 | 支援者を確保できるか |
| 死後事務 | 契約等が必要か |
このように役割を分けると、本人に不足している支援が分かります。
STEP3|候補施設へ条件を確認する
候補となる老人ホームが見つかったら、早い段階で身元引受人等について確認します。
- 身元引受人等は必要ですか?
- どんな役割を求めていますか?
- 親族以外でも可能ですか?
- 頼める人がいない場合は相談できますか?
- 民間サービス等を利用できますか?
STEP4|不足する支援の補い方を考える
施設が求める役割と本人の支援状況を比べて、不足している部分を整理します。
必要に応じて、
- 地域包括支援センターなどへ相談する
- 身元保証等サービスを検討する
- 成年後見制度等の必要性を相談する
- 本人の金銭管理方法を見直す
- 死後事務について準備する
一つの制度や事業者ですべてを解決しなければならないわけではありません。
必要な役割ごとに支援を組み合わせる考え方もあります。
STEP5|契約内容を確認して施設を決める
入居可能な施設が見つかったら、老人ホーム側の契約と、利用する身元保証等サービスの契約をそれぞれ確認します。
施設については、入居条件だけでなく、介護・医療・料金・退去条件なども確認してください。
老人ホームの契約で確認すべきポイントはこちら。
→「老人ホームの契約で確認すべきポイント|契約前に後悔しないためのチェックリストをケアマネが解説」
見学時の確認ポイントはこちら。
保証人がいないときは誰に相談する?
保証人等を頼める人がいない場合は、本人の現在の状況に合わせて相談先を選びましょう。
| 状況 | 相談先の例 |
|---|---|
| 担当ケアマネがいる | 担当ケアマネ |
| 相談先が分からない | 地域包括支援センター・市区町村 |
| 入院中 | 病院の相談員等 |
| 成年後見制度を相談したい | 市区町村・中核機関等 |
| 具体的な施設を探したい | 各施設・紹介センター等 |
厚生労働省は、市町村や地域包括支援センターに対し、身元保証等高齢者サポート事業に関する相談を受けた際に、利用者へ適切な助言を行うよう示しています。
地域包括支援センターについてはこちら。
老人ホーム紹介センターについてはこちら。
→「老人ホーム紹介センターとは?無料の理由とメリット・デメリットを解説」
現場あるある|保証人より「誰が何をするか」が問題になる
身寄りのない方について相談を受けると、最初は「保証人がいない」ことだけが大きな問題に見えることがあります。
しかし話を整理していくと、本当に困っていることは複数あります。
救急搬送されたら誰へ連絡するのか
本人が金銭管理できなくなったらどうするのか
施設を退去するとき誰が手続きするのか
亡くなった後の荷物をどうするのか
つまり、単純に「保証人という名前の人を一人用意すれば終わり」ではないことがあります。
老人ホームの保証人についてよくある質問
すべての老人ホームに一律で入れる、または入れないとは言えません。
施設によって身元引受人等の入居条件や求める役割が異なります。
頼める親族がいないことを早めに施設へ伝え、代替方法を相談してください。
子どもがいないからといって、必ず入居できないわけではありません。
施設がどのような役割を求めているのかを確認し、親族以外でも可能か、民間サービスなどの代替方法があるかを相談しましょう。
地域包括支援センターや市区町村へ相談する方法もあります。
施設によって名称や役割が異なるため、名前だけで一律には判断できません。
身元引受人という名称でも金銭的な責任が含まれる場合などがあります。
必ず入居契約書で具体的な役割と責任を確認してください。
一律には言えません。
成年後見制度は財産管理や契約などを法的に支援する制度であり、成年後見人等が施設の身元引受人等に求められるすべての役割を当然に担うものではありません。
施設側が必要としている役割を確認してください。
料金体系は事業者や契約内容によって大きく異なります。
初期費用、月額費用、サービス利用時の追加料金、預託金等、死後事務費用などが設定される場合があります。
金額だけでなく、何が料金に含まれているのかを確認してください。
事業者ごとにサービス内容や契約条件は異なります。
契約内容、料金、預託金等の管理方法、解約条件、死後事務の範囲などを十分確認し、理解できない点は契約前に質問してください。
国の高齢者等終身サポート事業者ガイドラインやチェックリストも確認材料になります。
担当ケアマネがいる場合は、まず現在の状況を相談する方法があります。
担当ケアマネがいない場合は地域包括支援センターや市区町村、入院中なら病院の相談員なども相談先になります。
具体的な施設探しについては、各施設や老人ホーム紹介センターなどへ相談する方法もあります。
まとめ|保証人がいなくても必要な支援から考えよう
この記事は、介護業界18年/介護福祉士/ケアマネジャー/施設ケアマネ経験/老人ホーム入居相談員としての経験をもとに執筆しています。
老人ホームを探していると、身元保証人や身元引受人などを求められることがあります。
しかし、頼める家族や親族がいないからといって、最初から老人ホームを諦める必要はありません。
まず確認したいのは、施設がその人に何を求めているのかです。
- 緊急時の連絡を誰が担うか
- 費用に関する保証が必要か
- 入院時などの支援を誰が行うか
- 退去時の対応をどうするか
- 死亡後の手続きをどうするか
必要な役割が分かれば、施設へ代替方法を相談したり、地域包括支援センターなどへつないだり、必要に応じて民間の身元保証等サービスを検討したりできます。
また、本人の判断能力が低下し、財産管理や契約に法的な支援が必要な場合には成年後見制度等が選択肢になることがあります。
ただし、成年後見制度と身元保証サービスは同じものではありません。
役割を分けて考えてください。
大切なのは「保証人という名前の人を探すこと」ではなく、本人が老人ホームで安心して暮らし続けるために必要な支援を一つずつ整えることです。
老人ホーム入居相談員やケアマネとして関わってきて、「保証人がいない」という相談は、単純に家族の人数だけでは判断できないと感じています。
子どもがいても頼めない方はいます。
兄弟がいても高齢で対応できないことがあります。
反対に親族はいなくても、自分でできることが多く、必要な支援が限られている方もいます。
だから、まず「誰が家族なのか」ではなく「何を支援してもらう必要があるのか」を考えてください。
そこが分かれば、施設へ相談すること、公的な支援につながること、民間サービスを利用することなど、具体的な選択肢が見えやすくなります。
保証人がいないことだけで、これからの暮らしを諦めなくて大丈夫です。
早めに相談して、本人に必要な支援を一つずつ整えていきましょう。
監修・執筆:よっしーと嫁の福祉ラボ編集部(介護福祉士・ケアマネ)


