老人ホームの費用はいくら?月額・前払金・追加費用をケアマネが解説
老人ホームの費用を調べると、
「月額15万円」
「月額20万円」
「前払金0円」
といった数字が出てきます。
でも、家族が本当に知りたいのは、
「結局、うちの親はいくら払うことになるの?」
ではないでしょうか。
老人ホーム入居相談員として施設を紹介していた頃も、料金表を見ながら家族とお金の話をすることは何度もありました。
そして施設ケアマネとして入居後の生活を見ていると、施設でかかるお金は家賃や食費だけではありません。
病院へ行けば医療費がかかる。
薬も必要になる。
髪も伸びる。
歯磨き粉やティッシュもなくなる。
お菓子や飲み物を買いたいことだってあります。
老人ホームに入っても、その人の生活は続くからです。
この記事では、老人ホームの費用を難しい料金項目の説明だけで終わらせず、
毎月、実際に財布からいくら出ていくのか。
という目線で整理します。
- 老人ホームで最初に必要になるお金
- 毎月支払う基本的な費用
- 月額利用料とは別にかかるお金
- 「月額○万円」だけでは総額が分からない理由
- 入居後も無理なく払い続けられるか考える方法
- 老人ホームの費用は「最初のお金+毎月のお金」で考える
- 毎月かかるのは「月額利用料」だけではない
- 月額料金だけでは読みにくい施設もある
- 老人ホームの費用は「生活費」まで考えると分かりやすい
- 「今払える」より「この先も払えるか」を考える
- 老人ホームで意外とかかる「料金表に見えにくいお金」
- お金を施設に預けるなら「管理費用」も確認する
- 介護保険の自己負担は「要介護度」だけで決まるわけではない
- 住宅型有料老人ホームは「月額料金+介護サービス」で見る
- 医療費・薬代は施設費とは別に考えておく
- おむつ代は施設の種類によって扱いが違う
- 月額料金が同じ2施設でも「総額」は違うことがある
- 安い施設を探す前に「毎月いくらまでなら払えるか」を決める
- 契約前は「料金表」より見積もりを確認する
- 契約書と重要事項説明書でも費用を確認する
- 入居後に費用が変わることもある
- 老人ホームの費用が厳しくなったら早めに相談する
- 老人ホーム費用で迷ったら、この3つだけは確認する
- 老人ホームの費用に関するよくある質問
- まとめ|老人ホームの費用は「結局いくら?」まで確認しよう
老人ホームの費用は「最初のお金+毎月のお金」で考える
まず、老人ホームの費用を難しく考える必要はありません。
大きく分けると、
- 入居するときに必要なお金
- 入居してから毎月必要なお金
この2つです。
入居するときには、施設によって前払金・敷金・保証金などが必要になることがあります。
老人ホーム入居相談員として施設を紹介していた頃も、初期費用の設定は施設によってかなり違いました。
前払金がある施設。
前払金は0円でも敷金が必要な施設。
保証金などの名目で、入居時にまとまった費用が必要になる施設もありました。
ここで注意したいのは、前払金・敷金・保証金を全部同じものだと思わないことです。
前払金は、入居後に支払う家賃などの全部または一部を、入居時にあらかじめ支払う仕組みです。
一方、敷金や保証金については、何のために預けるお金なのか、退去時にどのように精算・返還されるのかなどを契約内容で確認する必要があります。
「前払金0円=初期費用0円」とは限りません。
施設を比較するときは、
- 契約時に必要な金額はいくらか
- そのお金は何のために支払うのか
- 退去時に返還されるものなのか
- 返還される場合、どのように精算されるのか
まで確認しておくと安心です。
前払金とは、入居後に支払う家賃などの全部または一部を、入居時にまとめて支払う仕組みです。
施設によって前払金の有無や金額、償却方法、退去時の返還方法などは異なります。
前払金がある場合は、金額だけでなく「何の費用を前払いしているのか」「途中で退去した場合にどう精算されるのか」まで確認することが大切です。
前払金0円でも「安い施設」とは限らない
「前払金0円」
と書かれていると、
「最初にまとまったお金がかからないんだ」
と思うかもしれません。
でも、先ほど触れたように、前払金とは別に敷金や保証金などが設定されている施設もあります。
さらに、前払金を設定していない代わりに、月々の家賃などが高めに設定されているプランもあります。
逆に、前払金を支払うことで月々の負担が抑えられるプランもあります。
だから比べたいのは、
前払金があるか・ないかだけではありません。
「契約するときに結局いくら必要なのか」
「入居後は毎月いくら必要なのか」
「何年くらい暮らすと、支払総額はどうなるのか」
まで見て判断します。
前払金0円という言葉だけで決めず、契約時に必要なお金と、その後の月額費用をセットで確認しましょう。
毎月かかるのは「月額利用料」だけではない
ここからが、この記事で一番伝えたいところです。
老人ホームのパンフレットを見ると、月額利用料として、
- 家賃
- 管理費
- 食費
などが掲載されています。
ただし、実際の生活ではこれ以外のお金もかかります。
代表的なのが、
- 介護保険サービスの自己負担
- 医療費・薬代
- 日用品
- 理美容代
- おむつなどの費用
- 買い物や嗜好品
- 施設ごとに設定された有料サービス
です。
何にいくらかかるかは、施設の種類や契約内容、本人の要介護度、医療の必要性、生活の仕方によって変わります。
だから、
「老人ホームは毎月○万円です」
と一律には言えません。
たとえば「月額15万円」なら、実際はいくらになる?
分かりやすく、架空の例で考えてみます。
施設の料金表に、
月額利用料15万円
と書かれていたとします。
そこに仮に、
介護保険の自己負担 2万円
医療費・薬代 5,000円
日用品・理美容など 5,000円
その他の個人的な支出 5,000円
が加わったとします。
この場合、実際に必要になる金額は、
月額15万円+別途3万5,000円=18万5,000円
です。
もちろん、これは仕組みを説明するための架空例です。
本人の要介護度や所得、医療の必要性、施設の契約内容などによって実際の金額は変わります。
でも大事なのは、
「15万円の施設」ではなく、「この人がこの施設で暮らしたら、総額でいくらになるのか」と考えることです。
月額料金だけでは読みにくい施設もある
これは老人ホーム入居相談員をしていた頃にも感じていました。
特に、医療的な支援を多く必要とする方が入居する住宅型有料老人ホームなどでは、
パンフレットに書かれている月額料金だけを見ても、実際の負担が分かりにくいケースがあります。
本人がどのような介護・医療を必要としているのか。
どのサービスを利用するのか。
医療費はどの程度かかるのか。
それによって総額が変わってくるからです。
だから入居相談では、
「この施設は月○万円だから大丈夫」
ではなく、
本人の状態を施設側へ伝えたうえで、実際にどのくらいの費用になりそうか
を確認することが大切でした。
これは医療的な支援が必要な方に限った話ではありません。
認知症がある。
介護度が高い。
通院が多い。
日用品を施設側に用意してもらう。
こうした違いでも、本人が実際に支払う金額は変わる可能性があります。
老人ホームの費用は「生活費」まで考えると分かりやすい
老人ホームの費用というと、
家賃。
管理費。
食費。
介護費。
このあたりに目が向きます。
でも施設で何年も暮らしている利用者を見てきた立場からすると、
それだけでは生活になりません。
たとえば髪は伸びます。
施設には訪問理美容の業者が来ることがありますが、料金は一律ではありません。
私が関わってきた施設でも、1回1,000円程度でカットしてくれるところもあれば、一般の店舗に近い料金設定の業者もありました。
一回だけなら大きな金額に感じないかもしれません。
でも老人ホームでは生活が何年も続く可能性があります。
ほかにも、
歯磨き粉。
ティッシュ。
衣類。
お菓子。
飲み物。
本人の好きなもの。
こうしたお金もあります。
老人ホームに入居しても、「家賃・食費・介護費だけ払って生活する人」になるわけではありません。
施設へ入る前と同じように、
髪を切りたい。
甘いものが食べたい。
新しい服が欲しい。
そんな普通の生活があります。
だから老人ホームの予算を考えるときは、
施設へ支払うお金だけでギリギリにしないこと。
私はこれも大事だと思っています。
→「老人ホームの費用はいくら?東京・埼玉・千葉の相場を施設種類別に徹底解説【2026年版】」
「今払える」より「この先も払えるか」を考える
老人ホーム選びでは、
「毎月20万円なら何とか払える」
と考えることがあります。
でも、老人ホームは1か月だけ利用する場所ではありません。
1年。
3年。
5年。
もっと長く暮らす可能性もあります。
月20万円なら年間240万円。
5年間なら単純計算で1,200万円です。
もちろん実際には、入院や介護度の変化、料金改定などによって支出は変わります。
だからこそ、
今月払える金額ではなく、この生活を何年続けられるのか。
まで考える必要があります。
施設ケアマネをしていた頃には、入居後に経済的に厳しくなり、その後、生活保護の利用につながった方も何人かいました。
入居したときには払えていても、その後もずっと同じ状況が続くとは限りません。
本人の預貯金が減ることもあります。
家族が補填しているなら、家族側の生活もあります。
介護度が変われば介護保険の自己負担が変わることもあります。
医療が必要になれば、その負担も考えなければなりません。
老人ホーム選びで怖いのは「高い施設」そのものではなく、無理をしないと払い続けられない施設を選んでしまうことです。
最初から将来のすべてを予測することはできません。
それでも、
- 本人の年金はいくらか
- 毎月いくら不足するのか
- 預貯金から毎月いくら取り崩すのか
- 家族はいくらまでなら無理なく補填できるのか
- 数年間続けても大丈夫そうか
くらいは、入居前に一度計算してみてください。
→「生活保護でも老人ホームに入れる?入居できる施設・費用・利用できる制度をケアマネが解説【2026年版】」
老人ホームで意外とかかる「料金表に見えにくいお金」
ここまで読んで、
「月額利用料以外にもお金がかかるのは分かった」
と思うかもしれません。
では、実際にどんなお金が出ていくのでしょうか。
介護保険の自己負担や医療費は比較的イメージしやすいと思います。
でも、施設で暮らしている利用者を長く見ていると、
もっと細かい「普通の生活のお金」も積み重なっていきます。
たとえば、
- 理美容代
- ティッシュや歯磨き粉などの日用品
- 衣類
- お菓子や飲み物
- 訪問販売での買い物
- 個人的に必要なもの
- 金銭管理など施設独自のサービス費用
一つひとつを見ると、それほど大きな金額ではないかもしれません。
でも、
老人ホームで暮らす=こうした支出がなくなる
わけではありません。
むしろ、自分で気軽に買い物へ行けなくなったことで、施設ならではのお金の使い方になることもあります。
訪問販売を楽しみにしている利用者もいた
これは介護現場にいた頃の話です。
施設によっては、スーパーなどの訪問販売が来ることがあります。
自分で買い物へ行くのが難しい利用者にとっては、結構楽しみな時間なんですよね。
お菓子。
ジュース。
果物。
ちょっとした日用品。
自分で商品を見ながら、
「これにしようかな」
「こっちも欲しいな」
と選べる。
施設で生活していても、買い物は買い物です。
ただ、ここで現場ならではの問題も出てきます。
欲しいものを次々と買ってしまう方もいました(笑)。
お金を持っているから買える。
本人は欲しい。
でも毎回好きなだけ買っていたら、家族としては心配になる。
そんな場合には、ご家族とも相談しながら、
「今日は1,000円まで」
など、買い物に使う金額を決めて対応することもありました。
老人ホームに入っても、「好きなものを自分で選んで買いたい」という気持ちまでなくなるわけではありません。
こういうお金は、施設の「月額○万円」という数字だけを見ていると忘れやすいところです。
お金を施設に預けるなら「管理費用」も確認する
施設へ入居すると、本人が自分で現金を管理するのが難しい場合があります。
認知症がある。
お金をどこへ置いたか分からなくなる。
使ったことを忘れてしまう。
紛失してしまう。
こうしたこともあります。
そのため、施設によっては本人のお金や預かり金などを管理する仕組みを設けている場合があります。
ただし、
金銭管理の方法や費用は施設によって異なります。
本人や家族が管理する場合もあれば、施設側で対応する場合もあります。
施設側の管理に費用が設定されていることもあるため、必要になりそうなら契約前に確認しておきましょう。
- 本人が現金を持つことはできますか?
- 施設でお金を預かってもらえますか?
- 預かり金はどのように管理されますか?
- 金銭管理に別途費用はかかりますか?
- 買い物をした場合、家族は利用状況を確認できますか?
このあたりは、料金表の一番目立つところに書かれているとは限りません。
でも、入居してから毎月必要になれば、それも立派な生活費です。
数百円、数千円の費用でも、毎月続けば年間ではそれなりの金額になります。
介護保険の自己負担は「要介護度」だけで決まるわけではない
老人ホームの費用を考えるうえで、介護保険サービスの自己負担も外せません。
介護保険サービスを利用した場合、原則として所得に応じて1〜3割を利用者が負担します。
ただ、
「要介護3なら必ず月○万円」
というように、すべての老人ホームで同じ金額になるわけではありません。
施設の種類や利用する介護保険サービス、加算、自己負担割合などによって変わります。
特に注意したいのが、
介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームなどでは、介護サービスの利用方法そのものが違う
という点です。
細かい制度まで覚える必要はありません。
家族として確認したいのは、
「本人の場合、介護保険の自己負担はいくらくらいになりそうですか?」
です。
→「介護保険で利用できるサービス一覧|種類・内容・費用を介護福祉士・ケアマネが解説」
住宅型有料老人ホームは「月額料金+介護サービス」で見る
住宅型有料老人ホームでは、基本的に必要な介護保険サービスを外部の事業所などと契約して利用します。
そのため、
住宅部分の月額料金だけを見ても、実際の総額が分からないことがあります。
これは老人ホーム入居相談員をしていた頃にも、特に注意していたところです。
たとえば、
「月額料金だけなら予算内だな」
と思っても、
本人に必要な訪問介護。
福祉用具。
その他の介護サービス。
医療費。
などを合わせると、家族が最初に想像していた金額から変わることがあります。
特に医療的な支援を多く必要とする方が入居する住宅型有料老人ホームなどは、本人の状態や利用するサービスによって費用が大きく変わるケースがありました。
だから私は、
住宅型有料老人ホームでは「部屋はいくら?」だけでなく、「必要な介護まで入れたら総額いくら?」で見ることが大切だと思っています。
安く見える料金だけで比較しない
これは住宅型有料老人ホームが高い、という意味ではありません。
必要なサービスを組み合わせて利用できることは、住宅型の特徴でもあります。
一方で、
本人がどの程度の介護を必要とするかによって費用が変わりやすい
ということです。
だから見学や問い合わせのときには、
- 月額利用料には何が含まれていますか?
- 介護保険サービスは別にいくらくらい必要ですか?
- 現在の本人の状態なら、どんなサービスが必要ですか?
- 介護度が上がったら費用はどう変わりますか?
- 医療的な対応が増えた場合、どんな費用が考えられますか?
くらいまで聞いてみてください。
→「住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違いを徹底比較|費用・サービス・向いている人をケアマネが解説【2026年版】」
医療費・薬代は施設費とは別に考えておく
老人ホームに入居しても、病院や薬局のお金がなくなるわけではありません。
定期的な診察。
薬。
歯科。
必要に応じた検査や治療。
こうした医療費も考えておく必要があります。
特に持病が多い方や、複数の薬を使っている方は、
施設費とは別に、現在どのくらい医療費がかかっているか
を一度確認しておくといいと思います。
また、施設によっては協力医療機関による診療があったり、通院が必要になったりします。
通院時の付き添いについても、
家族が対応するのか。
施設職員が対応できるのか。
有料なのか。
など、施設によって対応が異なります。
- 定期的な診療はどのように受けますか?
- 薬代はどのように支払いますか?
- 外部の病院へ通院できますか?
- 通院付き添いは家族が必要ですか?
- 施設に付き添いを頼む場合、別途料金はかかりますか?
ここも、
「医療連携あり」
という言葉だけでは分かりません。
本人の場合、実際にどうなるのか
まで聞いておくのが大切です。
おむつ代は施設の種類によって扱いが違う
おむつを使用している方の場合、
「おむつ代も毎月結構かかるのでは?」
と心配する家族もいると思います。
ここは、施設の種類によって扱いが異なるため注意が必要です。
たとえば特別養護老人ホームなどでは、おむつ代が介護サービス費に含まれ、原則として別途徴収されない施設があります。
一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などでは、本人負担になることがあります。
また、
施設指定の商品を利用するのか。
家族が購入して持ち込めるのか。
施設側で購入するのか。
といった違いもあります。
月額料金が同じ2施設でも「総額」は違うことがある
ここまでの話をまとめると、老人ホームの費用比較で一番避けたいのは、
パンフレットの月額料金だけを横に並べること
です。
たとえば、
A施設 月額15万円
B施設 月額16万円
だったとします。
数字だけならA施設の方が安く見えます。
でもA施設では、
通院付き添いが有料。
日用品も別。
金銭管理も別料金。
本人に必要な介護サービスも別にかかる。
一方、B施設では一部が基本料金に含まれている。
そんな場合には、
最終的な支払額が逆転する可能性もあります。
だから施設を比較するときは、
「月額料金」
ではなく、
「本人が入居した場合の毎月の総額」
をできるだけ同じ条件で出してもらう。
これが一番分かりやすいと思います。
- 家賃・管理費・食費
- 介護保険サービスの自己負担
- 医療費・薬代
- おむつ・日用品
- 理美容代
- 通院付き添いなどの有料サービス
- 金銭管理など施設独自の費用
- 本人のお小遣い・買い物代
最後に知りたいのは「この施設はいくら?」ではなく、「うちの親がここで暮らしたら毎月いくら?」です。
ここまで出してもらえれば、施設同士の費用もかなり比較しやすくなります。
安い施設を探す前に「毎月いくらまでなら払えるか」を決める
老人ホームを探すとき、
「できるだけ安い施設を」
と考えるのは自然なことです。
ただ、施設を片っ端から安い順に探すより、
最初に家族側の予算を決めた方が探しやすくなります。
たとえば、
本人の年金が月14万円。
預貯金から毎月3万円までなら取り崩せる。
家族からの補填はできれば避けたい。
それなら、
総額17万円前後まで
という一つの目安ができます。
逆に、
「月額利用料17万円まで」
としてしまうと、別途費用を足した時点で予算を超えてしまう可能性があります。
だから予算も、
「施設の月額料金はいくらまで」ではなく、「全部込みで毎月いくらまで」にする。
これがポイントです。
→「老人ホーム探しはどこに相談する?無料相談窓口と失敗しない施設の探し方をケアマネが解説」
契約前は「料金表」より見積もりを確認する
老人ホームの候補が絞れてきたら、最後にもう一度お金を確認します。
ここで見たいのは、
ホームページに載っている月額料金ではありません。
本人が実際に入居した場合、
「最初にいくら必要なのか」
「毎月いくらくらいになるのか」
です。
可能であれば、本人の要介護度や医療の状況、現在利用しているサービスなどを施設側へ伝えて、費用の見込みを確認してみてください。
- 契約時に必要な費用はいくらか
- 前払金・敷金・保証金などはあるか
- 基本の月額利用料はいくらか
- 介護保険の自己負担はいくらくらいか
- 医療費や薬代は別に必要か
- 日用品・理美容・おむつなどはどうなるか
- 通院付き添いや金銭管理などの有料サービスはあるか
- 本人の場合、全部合わせて毎月いくらくらいになりそうか
ここまで確認すると、
「月額15万円の施設」
ではなく、
「うちの親なら、だいたい月18〜20万円くらいを考えておこう」
という見方ができるようになります。
もちろん、将来の支出まで正確に予測することはできません。
でも、入居前の段階で分かる費用をできるだけ出しておくだけでも、
「こんなにかかると思わなかった」
というズレは減らせます。
契約書と重要事項説明書でも費用を確認する
見学や相談で説明を受けて納得しても、契約時にはもう一度確認します。
老人ホームの契約では、契約書や重要事項説明書などに費用について記載されています。
特に確認しておきたいのが、
- 前払金の金額や返還・償却の仕組み
- 敷金・保証金などの取り扱い
- 月額利用料に含まれるもの
- 別途請求されるサービス
- 料金が変更される場合の取り扱い
- 退去時の精算方法
です。
説明を聞いて分からなければ、その場で聞いて構いません。
むしろ、
分からないまま契約しないこと。
老人ホームの契約書類は、普段見慣れていない人には分かりづらいものです。
私自身、介護の仕事をしていても、
「これ、初めて老人ホームを探す家族が一回読んだだけで全部理解するのは大変だよな」
と思うことがあります。
だから遠慮する必要はありません。
「結局、これは毎月払うんですか?」「退去したらこのお金は戻るんですか?」くらい具体的に聞いて大丈夫です。
→「老人ホームの契約で確認すべきポイント|契約前に後悔しないためのチェックリストをケアマネが解説」
入居後に費用が変わることもある
入居時に総額を確認しても、
その金額がずっと変わらないとは限りません。
たとえば、
要介護度が変わる。
介護保険の負担割合が変わる。
医療が必要になる。
使うサービスが増える。
日用品の使用量が変わる。
施設の料金そのものが改定される。
こうしたことで、支払額が変わる可能性があります。
だから入居前には、
「現在いくらか」だけでなく、「状態が変わったら、どの費用が変わる可能性がありますか?」
と聞いておくのも一つです。
入院すると施設と病院、両方のお金が動くことがある
もう一つ、家族が戸惑いやすいのが入院です。
老人ホームへ入居している人でも、病気やけがで入院することがあります。
すると、
「病院にいるんだから、老人ホームの料金は払わなくていいんじゃないの?」
と思うかもしれません。
ところが、入院中も居室を確保している場合など、家賃や管理費などの支払いが続くことがあります。
一方で、食費など利用していない分の扱いは契約内容によって異なります。
そこへ病院での医療費なども加わります。
つまり、一時的に
老人ホーム側の支払い+入院先での支払い
が発生することもあります。
これは家計への負担が大きくなることがあるので、入居前に知っておいて損はありません。
→「老人ホーム入居中に入院したら費用はどうなる?支払いが必要な費用・不要な費用を解説」
老人ホームの費用が厳しくなったら早めに相談する
できれば入居前に、長く払い続けられる施設を選ぶ。
それが基本です。
それでも人生は予定どおりにはいきません。
預貯金が想定より早く減ることもあります。
家族が補填できなくなることもあります。
本人の状態が変わり、支出が増えることもあります。
施設ケアマネをしていた頃にも、入居後に経済的に厳しくなり、生活保護の利用につながった方がいました。
だから、
「もう来月の施設費が払えない」
というところまで家族だけで抱え込まないことが大切です。
施設の相談員やケアマネ、自治体の窓口などへ早めに相談してください。
状況によっては、利用できる制度を検討したり、費用を抑えられる施設への住み替えを考えたりすることもあります。
→「老人ホームの費用が払えないときは?7つの対処法と利用できる制度をケアマネが解説」
老人ホーム費用で迷ったら、この3つだけは確認する
老人ホームの料金表には、いろいろな項目が並んでいます。
前払金。
敷金。
保証金。
家賃。
管理費。
食費。
介護保険。
医療費。
その他のサービス費。
全部を一度に理解しようとすると、正直しんどいと思います。
だから、最初はこの3つだけでも構いません。
- 入居するとき、結局いくら必要なのか
- 本人の場合、毎月の総額はいくらくらいなのか
- その金額を数年間払い続けられそうか
この3つが見えれば、老人ホームの費用はかなり整理しやすくなります。
細かい料金項目は、そのあと一つずつ確認すれば大丈夫です。
老人ホームの費用は「月額○万円」という一つの数字ではなく、「入居からその後の生活まで全部でいくら必要なのか」で考えましょう。
老人ホームの費用に関するよくある質問
いいえ、必ずしも月額料金だけではありません。
施設や本人の状態によって、介護保険サービスの自己負担、医療費・薬代、日用品、理美容代、おむつ代、買い物代などが別途必要になることがあります。
月額利用料に何が含まれていて、何が含まれていないのかを確認しましょう。
前払金が0円でも、施設によっては敷金や保証金など別の初期費用が必要になることがあります。
「前払金0円」だけを見るのではなく、契約時に総額でいくら必要なのかを確認してください。
本人の生活スタイルによりますが、買い物や嗜好品、理美容などに使うお金が必要になることがあります。
施設で暮らしていても、本人が好きなものを買ったり、楽しみにお金を使ったりすることはあります。
施設費だけで予算をいっぱいにせず、本人が自由に使えるお金も少し考えておくと安心です。
あります。
要介護度や介護保険の自己負担割合、利用するサービス、医療の必要性などが変われば、毎月の支払額が変わることがあります。
また、施設側の料金が改定される場合もあるため、契約時に料金変更についても確認しておきましょう。
できるだけ早い段階で、施設の相談員やケアマネ、自治体などへ相談してください。
利用できる制度の確認や、費用を抑えられる住まいへの変更などを検討できる場合があります。
支払いが完全に難しくなってからではなく、「このままだと厳しくなりそう」と感じた段階で相談することが大切です。
まとめ|老人ホームの費用は「結局いくら?」まで確認しよう
老人ホームの費用を見るときは、
「月額15万円」
「前払金0円」
といった大きな数字だけで判断しないことが大切です。
入居時には、前払金だけでなく敷金や保証金などが必要になる施設もあります。
入居後も、
介護保険の自己負担。
医療費・薬代。
日用品。
理美容。
おむつ。
買い物。
本人のお小遣い。
施設独自の有料サービス。
などが加わることがあります。
そして何より大切なのは、
「今払えるか」だけでなく、「この金額をこの先も払い続けられるか」まで考えることです。
老人ホームは、料金表の中で生活する場所ではありません。
そこでご飯を食べて。
髪を切って。
病院へ行って。
薬を飲んで。
ときには訪問販売でお菓子を買って。
そんな普通の毎日が続いていきます。
だから私は、
老人ホームの費用を考えるなら、「施設はいくら?」ではなく「その人がそこで暮らしたら、結局いくら?」まで聞いてほしい
と思っています。
料金表を見ても分からなければ、遠慮せず施設へ聞いてください。
「全部合わせると、うちの親の場合は毎月いくらくらいになりますか?」
この一言で構いません。
老人ホーム入居相談員をしていた頃は、たくさんの施設の料金を見る機会がありました。
その後、施設ケアマネとして実際に入居した方の生活を見ていると、改めて思ったことがあります。
老人ホームのお金って、パンフレットだけでは分からないんですよね。
髪も切るし、お菓子も買う。
病院にも行くし、薬も飲む。
訪問販売を楽しみにしている人もいる。
一つひとつは小さなお金でも、それも全部その人の生活です。
一方で、長く施設で暮らしているうちに経済的に厳しくなり、生活保護の利用につながった方もいました。
だから施設を探すときは、背伸びをしすぎなくていいと思っています。
豪華な設備より、
本人が普通に暮らせて、家族も無理をせず、その生活を長く続けられること。
お金の面では、それが一番大事だと私は思います。
監修・執筆
よっしー
介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)。
介護現場で10年以上の実務経験があり、有料老人ホームでの介護職・施設ケアマネ、老人ホーム入居相談員などを経験。
施設で暮らす高齢者やその家族と関わってきた経験をもとに、「制度上はこうなっている」だけではなく、実際の介護現場や老人ホーム選びで家族が迷いやすいポイントをできるだけ分かりやすく発信しています。
※この記事は、介護現場・施設ケアマネ・老人ホーム入居相談員としての実務経験と、公的情報等をもとに執筆しています。施設の料金体系やサービス内容、各制度の適用条件は施設・自治体・本人の状況などによって異なるため、実際の利用時には各施設・自治体・関係機関へご確認ください。


