サ高住と住宅型有料老人ホームの違い|結局どっち?元入居相談員が本音で解説
「サ高住と住宅型有料老人ホーム、親を入れるならどっち?」
この記事を読んでいる方が本当に知りたいのは、制度上の細かな違いより、たぶんここではないでしょうか。
先に私の考えを言うと、サ高住と住宅型の違いだけを覚えても、親に合う施設は決められません。
私は老人ホーム入居相談員として、本人や家族の施設探しに携わってきました。
その経験から言っても、この2つはかなり分かりにくいです。
もちろん制度上は別物です。
でも実際の施設を見ると、サービスの提供方法がよく似ているところもあります。
さらに同じ「サ高住」という名前でも、かなり自由に暮らせる住宅もあれば、介護や医療との連携が充実していて、見学すると「これ、老人ホームと何が違うの?」と感じるところもあります。
だから私は、サ高住か住宅型かという名前だけで親の住まいを決めることはおすすめしません。
まず違いを知る。
そのうえで、本人がそこでどう暮らすのかを見る。
この順番で考えると、施設選びがかなり分かりやすくなります。
- サ高住と住宅型有料老人ホームの本当の違い
- 実際のサービスが似て見える理由
- サ高住を「高齢者向けマンション」と考えるとズレる理由
- 介護が必要になったときの違い
- 入居相談員だった私が、実際にはどこを見ていたか
- 自分の親ならサ高住・住宅型をどう選ぶか
- サ高住と住宅型の違いは?まずこれだけ分かればいい
- 実は、介護サービスの使い方はかなり似ている
- 「サ高住=高齢者向けマンション」と思っている家族は意外と多かった
- 自由度で見るなら、私はサ高住に分があると思っている
- 「一人暮らしが心配な80歳の母」なら、私は住宅型も強く勧める
- 特定施設のサ高住になると、さらに話がややこしくなる
- サ高住と住宅型は、名前より「中身」を見ないと分からない
- 費用は「月額○万円」だけ見ても、ほとんど分からない
- 自由度が高ければいいわけじゃない。「何が心配で入居するのか」を忘れない
- 介護度が上がっても住める?「要介護5までOK」だけでは私は判断しない
- 「職員がいる」だけでも足りない。夜に何をしてくれるのかまで聞く
- 認知症は「対応可」の3文字では分からない
- 医療連携あり、看護師あり。私はその先を聞く
- 「ここなら入れる」より「ここで暮らし続けられるか」を見る
- 私なら、サ高住と住宅型をこの5つで比べる
- 結局、サ高住と住宅型はどんな人に向いている?
- 私は「条件がいい施設」より「この親なら暮らせる施設」を選びたい
- 見学したら「できますか?」より「母の場合はどうなりますか?」と聞く
- 契約前は、少し聞きにくいことほど聞いておく
- サ高住と住宅型有料老人ホームでよくある質問
- まとめ|サ高住か住宅型かより「うちの親ならどう暮らす?」で考える
サ高住と住宅型の違いは?まずこれだけ分かればいい
サ高住と住宅型有料老人ホームの違いを、できるだけシンプルにするとこうなります。
| 比較 | サ高住 | 住宅型有料老人ホーム |
|---|---|---|
| 基本的な位置づけ | 高齢者向けの「住宅」 | 生活支援等が付いた「有料老人ホーム」 |
| 必ず提供されるサービス | 安否確認・生活相談 | 食事の提供、介護、家事、健康管理のうち少なくとも1つを提供する有料老人ホーム |
| 介護が必要な場合 | 一般的には訪問介護などを利用 | 一般的には訪問介護などを利用 |
| 生活の自由度 | 比較的高い住宅も多い | 施設によって大きく異なる |
| 注意点 | 介護・生活支援の内容は住宅による | ホーム内で受けられる支援や職員体制は施設による |
国の制度では、サ高住は一定の面積やバリアフリー、契約内容などの基準を満たし、安否確認と生活相談サービスを提供する高齢者向け住宅として登録されます。
参考:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム|サービス付き高齢者向け住宅とは
一方、住宅型有料老人ホームは、生活支援等のサービスを受けながら暮らし、介護が必要になった場合は、本人の選択によって訪問介護などの介護サービスを利用しながら生活する有料老人ホームです。
実は、介護サービスの使い方はかなり似ている
ここが、サ高住と住宅型有料老人ホームを分かりにくくしている大きな理由です。
一般的なサ高住と住宅型有料老人ホームは、介護が必要になった場合のサービス利用の形が似ています。
たとえば、入浴を一人でできなくなったとします。
その場合、訪問介護を利用して入浴介助を受ける。
朝の着替えが難しくなれば、その時間に訪問介護を利用する。
訪問看護やデイサービスなどが必要なら、本人の状態に合わせて組み合わせる。
こうした形で生活するケースがあります。
| 例 | 利用するサービスの一例 |
|---|---|
| 朝の着替えが難しい | 訪問介護 |
| 入浴に介助が必要 | 訪問介護など |
| 健康状態の確認が必要 | 訪問看護など |
| 日中の活動や入浴を希望 | デイサービスなど |
住宅型有料老人ホームについて厚生労働省も、介護が必要になった場合は、入居者自身の選択により地域の訪問介護などを利用しながら生活を継続する類型としています。
サ高住も、安否確認・生活相談以外の介護・医療・生活支援については、住宅によって提供や連携の内容が異なります。
参考:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム|入居者に提供されるサービス
「サ高住=高齢者向けマンション」と思っている家族は意外と多かった
入居相談をしていると、サ高住について「高齢者向けのマンションですよね?」と考えている家族は意外と多くいました。
もちろん「住宅」という意味では、イメージとして完全に間違っているわけではありません。
ただ、そこから家族の頭の中で想像が膨らんでいきます。
「一人で部屋にいるの?」
「食事は自分で作るの?」
「夜に転んだら誰が来てくれるの?」
「介護が必要になったら、また引っ越すの?」
こうして、実際の住宅を見る前に「サ高住とはこういうところ」というイメージが出来上がってしまうことがあります。
でも実際には、サ高住にもかなり幅があります。
自分のことは自分で行い、必要なサービスだけ利用しながら自由に暮らす住宅もあります。
一方で、食事や生活支援、介護・医療との連携が充実し、見学してみると一般の人がイメージする「老人ホーム」にかなり近く感じる住宅もあります。
自由度で見るなら、私はサ高住に分があると思っている
これは制度上「必ずそう」と決められている話ではなく、私が実際に施設を見てきた中での感覚です。
自由度を重視するなら、私は住宅型有料老人ホームよりサ高住の方が候補になりやすいと思っています。
純粋に「住宅」としての性格が強いサ高住では、本人ができることは自分で行い、必要な部分だけ支援を受けながら暮らせるところがあります。
外出したり、買い物へ行ったり、自分の生活リズムを維持したり。
まだ自分でできることが多い人にとって、その自由さが合うことはあります。
ただし、ここにも落とし穴があります。
「一人暮らしが心配な80歳の母」なら、私は住宅型も強く勧める
もちろん、これだけの情報で「住宅型に決まり」とは言えません。
予算、地域、本人の性格、生活歴、必要な介護、家族との距離などでも答えは変わります。
それでも私なら、住宅型有料老人ホームを有力な候補として見ます。
理由は単純です。
「一人暮らしが心配」という家族の困りごとを解決するために住み替えるからです。
まだ元気だからサ高住。
介護が必要だから住宅型。
そんな機械的な決め方はしません。
本人がある程度自由に暮らせて、それでいて困ったときには職員へ相談できる。
そういう住宅型が地域にあるなら、私は実際に見て比較します。
特定施設のサ高住になると、さらに話がややこしくなる
サ高住の中には、一定の条件を満たし、特定施設入居者生活介護の指定を受けているところがあります。
国のサービス付き高齢者向け住宅情報提供システムでも、有料老人ホームの定義に該当するサ高住は、特定施設入居者生活介護の指定対象になるとされています。
参考:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム|サ高住と特定施設入居者生活介護について
特定施設の指定を受けると、介護サービスの仕組みは一般的なサ高住とは変わります。
そのため、施設を見学すると、介護付き有料老人ホームにかなり近い印象を受けることがあります。
厚生労働省も、高齢者向け住まいについて、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サ高住の制度上の違いを整理しています。
サ高住と住宅型は、名前より「中身」を見ないと分からない
ここまで読むと、
「結局、施設によるってこと?」
と思うかもしれません。
その通りです。
でも私は、それを「ケースバイケースです」で終わらせたくありません。
サ高住か住宅型かで迷ったら、最低でも次の5つを見てください。
| 見るところ | 確認したいこと |
|---|---|
| 本人の自由 | 外出・買い物・食事などをどこまで自分で決められるか |
| 職員 | いつ、どんな職員がいて、困ったとき誰に頼れるか |
| 介護 | 今必要な介護と、今後増えそうな介護に対応できるか |
| 医療 | 訪問診療・訪問看護・夜間の体調変化にどう対応するか |
| 費用 | 家賃だけでなく、介護や生活支援を含めて毎月いくらになるか |
そして、できれば実際に見学してください。
これは家族に丸投げしているわけではありません。
勧める側だって、見学しないと分からないことがあるからです。
施設見学で具体的にどこを確認すればいいのかは、こちらの記事でチェックリストにまとめています。
→老人ホーム見学チェックリスト|見学で確認したいポイントを解説
費用は「月額○万円」だけ見ても、ほとんど分からない
サ高住と住宅型有料老人ホームを比べるとき、どうしても目に入りやすいのが「月額○万円~」という数字です。
でも、親の施設を探すなら、その数字だけで比べるのはおすすめしません。
実際の負担には、家賃や居住費だけでなく、
- 管理費・共益費
- 食費
- 生活支援サービス費
- 介護保険サービスの自己負担
- 医療費・薬代
- おむつなどの日用品費
- 理美容代
- 通院同行などの有料サービス
などが加わることがあります。
しかも、本人の状態が変われば、必要なサービスも変わります。
今は自分で入浴できる。
今はトイレも一人で行ける。
今は薬も自分で飲める。
その状態なら費用を抑えられていても、介護が増えれば負担が変わる可能性があります。
| 見る数字 | 私なら確認すること |
|---|---|
| 家賃・居住費 | 毎月固定でいくら必要か |
| 食費 | 固定か、食べた分だけか |
| 生活支援費 | 基本料金で何をしてもらえるか |
| 介護費 | 現在の状態ならどの程度利用するか |
| 追加料金 | 通院同行・買い物・洗濯などは別料金か |
「月15万円だから払える」ではなく、「母がここで生活したら結局いくらになる?」
ここまで聞いて初めて、他の施設と比べられると私は思っています。
自由度が高ければいいわけじゃない。「何が心配で入居するのか」を忘れない
私は、自由度だけで比べるならサ高住に分があると思っています。
住宅としての性格が強いサ高住には、自分でできることは自分で行い、必要な支援だけ利用しながら生活できるところがあります。
それが合う人もいます。
でも、ここで一度立ち止まってほしいんです。
そもそも、なぜ親の住み替えを考え始めたのでしょうか。
たとえば、
- 転倒が増えてきた
- 薬の飲み忘れが心配
- 食事をきちんと食べているか分からない
- 一人でいる時間が長くなった
- 離れて暮らす家族が毎日心配している
こんな理由で施設を探し始めたのに、
「まだ元気だからサ高住」
と決めてしまうのは、少し違うと思っています。
介護度が上がっても住める?「要介護5までOK」だけでは私は判断しない
施設を探している家族からすると、
「介護度が上がっても住み続けられるか」
は気になるところだと思います。
ただ私は、要介護度の数字だけでは判断しません。
たとえば同じ要介護3でも、
自分でご飯を食べられる人。
毎食、食事介助が必要な人。
夜間に何度もトイレ介助が必要な人。
認知症があり、一人で外へ出ようとする人。
必要な支援はまったく違います。
だから施設へ聞くなら、もっと具体的にします。
サ高住は、国の制度上、すべての入居者への安否確認・生活相談が必要ですが、それ以外の介護・医療・生活支援については住宅によって提供・連携の形が違います。
参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム「サービス付き高齢者向け住宅について」
住宅型有料老人ホームでも、訪問介護などを利用しながら生活することができます。
参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム「介護保険のサービス」
結局、サ高住だから重度は無理、住宅型だから重度でも大丈夫、とは言えません。
本人に必要な介護へ、その施設がどう対応するのかを見る必要があります。
「職員がいる」だけでも足りない。夜に何をしてくれるのかまで聞く
施設見学をすると、昼間は職員が何人も動いているように見えます。
でも、高齢者の生活は昼間だけではありません。
むしろ家族として気になるのは、
夜に何かあったときではないでしょうか。
夜中にトイレへ行こうとして転倒した。
急に具合が悪くなった。
認知症で不安になり、部屋から何度も出てくる。
そんなとき、誰がどう動くのか。
認知症は「対応可」の3文字では分からない
認知症のある人が施設を探すときも、サ高住・住宅型という種類だけでは決められません。
そして私は、パンフレットにある「認知症対応可」だけでも判断しません。
なぜなら認知症といっても、
- 物忘れが少し増えた
- 薬を管理できない
- 食事をしたことを忘れてしまう
- 一人で外へ出てしまう
- 昼夜逆転している
- 夜間に不安が強くなる
では、施設側に必要な対応がまったく違うからです。
施設へ相談するときも、
「認知症があります」だけではなく、「今、生活の中で何が起きているのか」
を伝えた方が話が早いです。
医療連携あり、看護師あり。私はその先を聞く
持病がある人なら、医療との連携も施設選びでは大切です。
ただ、ここでも「医療連携あり」「看護師配置」という言葉だけで終わらせない方がいいと思っています。
確認したいのは、
- 看護師は何時から何時までいるのか
- 夜間は誰が対応するのか
- 訪問診療は利用できるのか
- 訪問看護を利用できるのか
- 緊急時は誰が判断するのか
- 本人に必要な医療処置へ対応できるのか
という中身です。
国のサ高住情報でも、安否確認・生活相談以外の介護・医療・生活支援については、住宅によってさまざまな提供・連携方法があるとされています。
「ここなら入れる」より「ここで暮らし続けられるか」を見る
施設を探しているとき、どうしても家族は、
「入居できますか?」
を最初に気にします。
当然だと思います。
でも私なら、それと同じくらい、
「この先も住み続けられますか?」
を確認します。
介護が増えたら。
認知症が進んだら。
歩けなくなったら。
医療が必要になったら。
看取りの時期が来たら。
どこまで対応できるのか。
| 聞いておきたいこと | 質問例 |
|---|---|
| 介護の重度化 | 寝たきりになっても住み続けられますか? |
| 認知症 | 認知症が進んだ場合、どのような状態まで対応できますか? |
| 医療 | 医療的な支援が増えた場合はどうなりますか? |
| 看取り | こちらで看取りをされた実績はありますか? |
| 退去 | どんな状態になると退去を相談することがありますか? |
有料老人ホームでは、サービス内容、職員体制、利用料金などを確認するための重要事項説明書があります。
契約前には、パンフレットだけでなく重要事項説明書も確認してください。
参考:厚生労働省|有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
私なら、サ高住と住宅型をこの5つで比べる
サ高住と住宅型有料老人ホームを比べるなら、私は最終的に次の5つを見ます。
| 見ること | 家族が考えること |
|---|---|
| ① 暮らし | 本人が今までの生活をどこまで続けられるか |
| ② 安心 | 家族が心配していることを本当に解決できるか |
| ③ 介護・医療 | 今だけでなく状態が変わった場合にも対応できるか |
| ④ 費用 | 介護や生活支援を含めた総額を払い続けられるか |
| ⑤ 現場 | 実際に見学して本人・家族がどう感じるか |
実際の見学でどこを確認したらいいのか分からない方は、こちらの記事も参考にしてください。
→老人ホーム見学チェックリスト|見学で確認したいポイントを解説
結局、サ高住と住宅型はどんな人に向いている?
サ高住と住宅型有料老人ホームの違いをここまで見てきましたが、家族が本当に知りたいのは「うちの親ならどちらを選べばいいのか」だと思います。
私なら、まずこう考えます。
| 本人の状態・希望 | 私ならどう探すか |
|---|---|
| まだ一人でできることが多く、自由な生活を続けたい | サ高住を中心に見る |
| 一人暮らし自体が心配になってきた | 住宅型もかなり見る |
| 食事や服薬、日々の見守りが心配 | 職員体制や生活支援が合う住宅型・サ高住を比較 |
| 介護サービスを使いながら暮らしたい | サ高住・住宅型の両方を見る |
| 介護量がかなり多い | サ高住・住宅型だけでなく介護付きも比較 |
| 認知症や医療面の不安が大きい | 施設種別より個別の対応力を優先する |
ここで大事なのは、「元気だからサ高住」「介護が必要だから住宅型」と機械的に分けないことです。
たとえば、一人暮らしが心配になって住み替えを考えているのに、自由度だけを理由にかなり自立寄りのサ高住を選んだら、家族が抱えていた不安があまり減らないかもしれません。
逆に、自分で買い物へ行きたい、外食もしたい、自分の時間を大切にしたいという人に、生活ルールの多い施設が合うとも限りません。
私は「条件がいい施設」より「この親なら暮らせる施設」を選びたい
老人ホーム探しをすると、どうしても条件表を比べたくなります。
月額料金。
居室の広さ。
食事。
看護師。
医療連携。
駅からの距離。
もちろん全部大切です。
でも、私はそれだけでは決めません。
実際に本人がそこで一日を過ごせるかを考えます。
朝、何時に起きるのか。
食事はどこで食べるのか。
部屋に一人でいる時間はどのくらいあるのか。
買い物へ行きたくなったら行けるのか。
困ったとき、誰に声をかければいいのか。
本人が今まで大切にしてきた生活を、どこまで残せるのか。
施設を選ぶというより、これからの暮らしを選ぶ。
私はそのくらいの感覚で見た方がいいと思っています。
パンフレットでは分からないから、結局は見学する
ここは少し身もふたもない話になります。
どっちがいいかなんて、紹介する側でも見学しないと分からないことがあります。
私は入居相談員として施設を紹介していましたが、サ高住か住宅型かという分類だけで、その施設の中身まで判断できるとは思っていません。
特定施設の指定を受けたサ高住になると、介護付き有料老人ホームとかなり似た施設もあります。
逆に、住宅としての性格が強く、本当に自由度の高いサ高住もあります。
プロでも建物を見ただけでは区別しにくいくらい似ているところがある。
それなのに、家族が「サ高住だからこう」「住宅型だからこう」と名前だけで全部判断するのは無理があります。
見学時に何を確認すればいいか分からない方は、こちらの記事も参考にしてください。
→老人ホーム見学チェックリスト|見学で確認したいポイントを解説
見学したら「できますか?」より「母の場合はどうなりますか?」と聞く
施設見学では、質問の仕方を少し変えるだけでも得られる情報が変わります。
たとえば、
「認知症対応できますか?」
ではなく、
「母は薬を飲んだことを忘れてしまいます。ここではどう対応しますか?」
と聞く。
「夜間対応できますか?」
ではなく、
「母が夜中にトイレへ行こうとして転んだら、誰が来てくれますか?」
と聞く。
「医療連携していますか?」
ではなく、
「母にはこの持病があります。状態が悪くなったらどうなりますか?」
と聞きます。
契約前は、少し聞きにくいことほど聞いておく
見学で雰囲気が良く、料金も予算内。
本人も嫌がっていない。
ここまで来ると「もう決めよう」と思うかもしれません。
でも、契約前にもう一歩だけ踏み込んでください。
私なら、良い話だけではなく、住み続けられなくなる可能性も確認します。
| 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 介護 | 寝たきりになった場合も住み続けられますか? |
| 認知症 | 認知症が進んだ場合、どのような状態まで対応できますか? |
| 医療 | 医療的な支援が増えた場合はどうなりますか? |
| 入院 | 長期入院になった場合、居室や料金はどうなりますか? |
| 看取り | こちらで看取りをされた実績はありますか? |
| 退去 | どのような状態になると退去を相談されることがありますか? |
有料老人ホームでは、施設の概要、職員体制、サービス内容、料金などを確認するための重要事項説明書があります。
厚生労働省も重要事項説明書の標準様式を示しています。契約前にはパンフレットだけではなく、こうした資料も確認しましょう。
サ高住と住宅型有料老人ホームでよくある質問
一概には決められませんが、私は住宅型有料老人ホームもかなり比較します。
理由は、一人暮らしの何が心配なのかを解決することが施設探しの目的だからです。
食事や服薬、日常的な見守りなどに不安があるなら、職員体制や生活支援が本人に合う住宅型は有力な候補になります。
一方、本人の自立度が高く、できるだけ自由な生活を続けたいならサ高住も比較します。
「まだ元気だからサ高住」と決めず、何が心配で住み替えるのかから考えましょう。
住宅としての性格があるため、イメージとして近い部分はあります。
ただし、サ高住ではすべての入居者への安否確認・生活相談サービスが必要で、それ以外の介護・医療・生活支援は住宅によってさまざまです。
「マンションだから一人で全部やる」と決めつけず、実際のサービス内容を確認してください。
私は実際に施設を見てきた感覚では、サ高住の方が自由度の高い住まいを見つけやすいと思っています。
ただし、これはすべてのサ高住に当てはまるわけではありません。
外出、食事時間、面会などのルールは住宅ごとに違います。
住宅型でも自由度の高い施設はあるため、実際の生活ルールを確認しましょう。
住宅型だから必ず重度の介護まで対応できるとは限りません。
サ高住でも介護・医療との連携が充実している住宅があります。
大切なのは施設種別ではなく、夜間介助、食事介助、認知症、医療など本人に必要な支援へ実際に対応できるかです。
私は、候補を実際に見学して決めることをおすすめします。
料金や設備だけでなく、
職員の対応。
入居者の様子。
本人の反応。
介護・医療体制。
将来住み続けられるか。
まで確認します。
種類で候補を絞り、最後は中身を見て決める。
これが私の考えです。
まとめ|サ高住か住宅型かより「うちの親ならどう暮らす?」で考える
- サ高住と住宅型は制度上は違うが、実際のサービス利用は似ている部分も多い
- サ高住は安否確認・生活相談が必須で、それ以外のサービス内容には幅がある
- 自由度を重視するならサ高住は有力な候補になりやすい
- 一人暮らしそのものが心配なら住宅型も積極的に比較する
- 介護・認知症・医療への対応は施設種別だけでは判断できない
- 月額料金ではなく、実際に暮らした場合の総額を見る
- 最後は施設名より「親がそこでどう暮らすか」を見て決める
サ高住と住宅型有料老人ホームの違いを調べ始めると、制度の話がたくさん出てきます。
法律。
登録制度。
有料老人ホームの類型。
特定施設。
確かに知っておいた方がいいことです。
でも、親の施設を探している家族に、そこを全部覚えてほしいとは私は思っていません。
老人ホーム探しで一番大切なのは、
「この施設は何という種類なのか」
ではなく、
「うちの親がここに住んだら、どんな毎日になるのか」
です。
入居相談員をしていた私自身、サ高住と住宅型は実際の施設を見るとかなり似ていると感じていました。
特定施設のサ高住になると、介護付き有料老人ホームと何が違うのかと思うくらい似ているところもあります。
それくらい、名前だけでは分かりません。
だからこそ、私は「サ高住と住宅型、どちらが上か」という探し方はしません。
今、何に困っているのか。
本人はどんな生活を残したいのか。
家族は何を心配しているのか。
介護が増えたらどうなるのか。
その施設で何年先まで暮らせそうなのか。
そこから考えます。
施設の種類から親を選ぶのではなく、親の暮らしから施設を選ぶ。
この記事を読み終わったあと、サ高住と住宅型の定義を完璧に説明できなくても構いません。
その代わり、施設を見学したときに、
「うちの母なら、ここでどう暮らすんだろう?」
と考えられるようになってもらえたら、この記事の役割は十分だと思っています。
サ高住・住宅型・介護付き有料老人ホームの3つで迷っている方は、こちらの記事も参考にしてください。
→サ高住・住宅型・介護付き有料老人ホームを徹底比較|費用・介護・医療体制の違いを解説
サ高住と住宅型の違いを調べて、
「分かったような、分からないような……」
となっても大丈夫です。
正直、入居相談員をやっていた私自身も、この2つは実際のサービスだけを見るとかなり似ていると感じていました。
だから、制度を完璧に覚えることより、
親が何に困っているのか。
どんな生活を続けたいのか。
ここなら安心して暮らせそうか。
そこを大事にしてほしいと思っています。
老人ホームを選ぶというと、どうしても「施設を選ぶ」という感覚になります。
でも実際には、親のこれからの暮らしを選んでいるんですよね。
迷ったら、パンフレットを閉じて一度、
「うちの母ちゃん、ここでどんな一日を過ごすかな?」
と考えてみてください。
私はそこから考えるのが、一番分かりやすいと思っています。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。


