地域包括支援センターとは?何を相談できる?家族が最初に使う窓口を解説
「最近、母が同じ話を何度もするようになった」
「父が一人暮らしをしているけど、このままで大丈夫なのかな」
「介護保険を使った方がいいのか分からない」
「病院へ連れて行くべき?」
「老人ホームを考えるのは、まだ早い?」
親のことが心配になり始めたとき、家族が最初につまずくのは、
「で、どこに相談すればいいの?」
ではないでしょうか。
介護の仕事をしていない家族が、最初から正しい相談先を選ぶのは簡単ではありません。
市役所なのか。
病院なのか。
ケアマネなのか。
介護施設なのか。
そもそも要介護認定を受ける段階なのか。
分からないことだらけだと思います。
そんなときに相談先の一つになるのが、地域包括支援センターです。
何をすればいいか分からないなら、「どうしたらいいですか?」から相談して構いません。
この記事では、地域包括支援センターで相談できることや利用方法などの基本だけでなく、老人ホーム紹介センターで働いていた私が実際に地域包括支援センターへ営業で通い、職員と関わってきた経験も交えながら、家族がどう使えばいいのかをお伝えします。
- 地域包括支援センターがどんな場所なのか
- どんな悩みを相談できるのか
- 何を相談すればいいか分からなくても利用できるのか
- 認知症や要介護認定について相談できるのか
- 老人ホーム探しではどこまで相談できるのか
- 老人ホーム紹介センター側から見た地域包括支援センターのリアル
- 自分の地域を担当する地域包括支援センターの探し方
- 地域包括支援センターとは?家族は難しく考えなくていい
- もし自分の母だったら、私はまず包括に電話する
- 地域包括支援センターに相談できるのは介護のことだけではない
- 包括に相談すれば、その場ですべて解決するわけではない
- 包括へ営業して初めて見えた「地域の窓口」の裏側
- 老人ホーム紹介センターを「包括が1社だけ紹介する」とは限らなかった
- 包括は「困ってから初めて行く場所」とも限らない
- 「認知症かも?」の段階でも包括に相談していい
- 本人が「私は大丈夫」と言っていても相談できる
- 要介護認定を受けるべきか分からない段階でも相談できる
- 要支援1・2なら地域包括支援センターが身近な存在になる
- 「家族がもう限界」も立派な相談理由
- 「虐待かもしれない」も地域包括支援センターへ相談できる
- 成年後見や高齢者の消費者被害も相談できる
- 老人ホームを考え始めた段階でも包括に相談できる
- 結局、包括には何を相談すればいい?
- 地域包括支援センターへ相談するなら、まず電話でいい
- 相談するのは「自分の家の近くの包括」とは限らない
- 自分の地域包括支援センターは厚労省の公式サイトから探せる
- 地域包括支援センターへの相談は無料?
- 包括の職員と合わなかったら?一回の対応だけで全部を判断しなくてもいい
- 包括に電話したら、その日に全部が解決するとは思わなくていい
- 地域包括支援センターでよくある質問
- まとめ|「何を相談するか」より、「どうしたらいい?」から始めればいい
地域包括支援センターとは?家族は難しく考えなくていい
地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう、さまざまな相談や支援を行う地域の窓口です。
厚生労働省では、地域包括支援センターについて、地域の高齢者に対する総合相談、権利擁護、地域の支援体制づくり、介護予防に必要な援助などを行う中核的な機関としています。
設置主体は市町村で、市町村が直接運営しているところもあれば、法人などへ運営を委託しているところもあります。
参考:厚生労働省|地域包括ケアシステム・地域包括支援センターについて
制度上の主な役割を簡単に整理すると、次のようになります。
| 主な役割 | 簡単にいうと |
|---|---|
| 総合相談支援 | 高齢者や家族のさまざまな相談を受け、必要な制度・サービス・専門機関などにつなぐ |
| 権利擁護 | 高齢者虐待、消費者被害、成年後見制度など、高齢者の権利を守るための支援を行う |
| 介護予防の支援 | 介護予防や要支援者などの生活を支えるための支援を行う |
| 地域のケアマネなどへの支援 | 医療・介護などの関係機関と連携し、地域で高齢者を支える体制づくりを行う |
こうやって並べると、
「やっぱり難しいじゃん」
と思うかもしれません(笑)。
でも家族が、この4つを暗記する必要はありません。
もし自分の母だったら、私はまず包括に電話する
ここは、制度の説明ではなく私自身ならどうするかです。
たとえば自分の母が一人暮らしをしていて、
最近、同じ話を何度もするようになった。
まだ要介護認定は受けていない。
介護サービスも使っていない。
本人は、
「私は大丈夫」
と言っている。
でも家族としては、なんとなく気になる。
この状態だったら、私は地域包括支援センターへ電話します。
ただし、
「要介護認定を申請してください」
と最初からお願いするためではありません。
電話して、
「母がこんな状態なんですけど、これからどうしたらいいですか?」
と聞きます。
それだけです。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、地域包括支援センターの総合相談支援業務について、高齢者などに関するさまざまな相談を受け、適切な機関や制度、サービスにつなぎ、必要な支援を行うものと説明されています。
参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム・地域包括支援センター
地域包括支援センターに相談できるのは介護のことだけではない
地域包括支援センターへの相談は、すでに介護サービスを使っている人だけが対象ではありません。
たとえば、こんな相談があります。
| 家族の困りごと | 相談の例 |
|---|---|
| 物忘れ・認知症 | 最近同じ話が増えた、認知症かもしれない、受診を嫌がる |
| 介護保険 | 要介護認定を受けた方がいいのか、どう申請するのか分からない |
| 一人暮らし | 離れて暮らす親の生活が心配になってきた |
| 家族の介護負担 | 介護がつらくなってきた、家族だけでは支えきれない |
| 高齢者虐待 | 虐待が疑われる、家族自身も介護で追い詰められている |
| お金・権利 | 成年後見制度や消費者被害などについて相談したい |
| 今後の生活 | 自宅生活を続けられるのか、施設も考えた方がいいのか迷っている |
厚生労働省の地域包括支援センター設置運営に関する通知でも、総合相談だけでなく、高齢者虐待への対応、成年後見制度の活用、消費者被害の防止、困難事例への対応などが地域包括支援センターの役割として示されています。
包括に相談すれば、その場ですべて解決するわけではない
ここは少し期待値を下げておきます。
地域包括支援センターへ電話すれば、その場ですべて解決するわけではありません。
相談内容によっては、別の専門機関につながることもあります。
医療が必要なら医療機関。
介護サービスが必要ならケアマネや介護事業所。
認知症について専門的な支援が必要なら、地域の認知症支援につながることもあります。
老人ホームを探すことになれば、施設や民間の老人ホーム紹介サービスなど、別の選択肢が出てくる場合もあります。
つまり、
「包括に電話した=包括だけで全部やってくれる」
ではありません。
でも私は、それでいいと思っています。
包括へ営業して初めて見えた「地域の窓口」の裏側
ここは、私の経歴について正直に書いておきます。
私は施設ケアマネとして約5年間働きましたが、施設ケアマネ時代に地域包括支援センターと頻繁に関わっていたわけではありません。
私が包括と一番接点を持ったのは、老人ホーム紹介センターで入居相談員をしていた頃です。
営業で、同じ地域包括支援センターへ月に2回ほど顔を出していた時期もありました。
最初から、
「よっしーさん、ちょうど施設を探している人がいるんです!」
なんて歓迎されるわけではありません(笑)。
資料を渡して終わり。
忙しそうで、ほとんど話せない。
正直、不愛想だなと感じる職員もいました。
でも、包括には私たち老人ホーム紹介会社だけが営業へ来るわけではありません。
当時、職員から多い日には営業が10人くらい来ることもあると聞いたことがあります。
それを聞いたときは、
「そりゃ毎回ゆっくり営業トークなんて聞いてられないよな(笑)」
とも思いました。
だから何度も顔を出す。
必要な情報を持っていく。
老人ホームについて聞かれたら答える。
少しずつ関係を作っていく。
そうして信頼してもらえるようになると、関係は変わっていきました。
包括から直接、老人ホーム探しについて電話をもらうことも増えていったんです。
老人ホーム紹介センターを「包括が1社だけ紹介する」とは限らなかった
老人ホーム紹介センターで働いていた頃、地域包括支援センターから老人ホーム探しにつながる相談をいただくこともありました。
ただ、私が営業していた地域では、最初から包括が、
「この紹介会社を使ってください」
と1社だけ決めて家族へ案内するケースばかりではありませんでした。
私がよく見たのは、
複数の老人ホーム紹介会社のリーフレットやパンフレットを家族へ渡して、
「この中からご家族で選んで連絡してください」
という形です。
厚生労働省の地域包括支援センターの運営に関する通知でも、介護サービス事業所などの紹介については、公平性・中立性に配慮することが求められています。
ただ、営業として何度も通って、職員との信頼関係ができてくると、
「こういう方がいるんですけど、施設探せますか?」
と直接連絡をいただくケースも出てきました。
もちろん、すべての包括が同じ運用をしているという意味ではありません。
自治体やセンター、相談内容によって対応は異なります。
包括は「困ってから初めて行く場所」とも限らない
地域包括支援センターへ営業していた頃、もう一つ印象に残っていることがあります。
包括は、相談の電話を待っているだけの場所ではなかったことです。
地域の人を集めて、勉強会やイベントなどを開催しているところもありました。
私が働いていた老人ホーム紹介会社でも、そうした地域活動に協力することがありました。
会社には、体操やレクリエーションなどの資格を持つスタッフもいて、地域向けの催しを提案することもありました。
私自身も上司と一緒に、
「老人ホームとは?」
「老人ホームにはどんな種類がある?」
といった内容の勉強会を包括で開催したことがあります。
もちろん営業側としては、地域包括支援センターや地域の専門職とつながりを作りたいという目的もあります。
そこはきれいごとだけではありません(笑)。
でも、地域の人からすれば、介護が本格的に始まる前から情報を知る機会にもなります。
「認知症かも?」の段階でも包括に相談していい
親の物忘れが増えてくると、家族は迷います。
昨日話したことを覚えていない。
同じものを何度も買ってくる。
薬を飲んだか分からなくなる。
今までできていたことに時間がかかる。
でも普通に会話できる日もある。
すると、
「年齢のせいかな?」
「これくらいで病院へ連れて行くのも大げさかな?」
と家族も判断できなくなります。
こんな段階でも、地域包括支援センターへ相談できます。
厚生労働省も、本人や家族などが「もしかして認知症では」と思ったときの主な相談先として、地域包括支援センターを挙げています。
相談内容によっては、認知症疾患医療センターや認知症初期集中支援チームなど、地域の関係機関と連携して支援につなぐこともあります。
本人が「私は大丈夫」と言っていても相談できる
認知症や介護の相談で難しいのが、家族は心配しているのに本人は困っていないケースです。
家族からすると明らかに以前と違う。
でも本人は、
「何言ってるの。私は何でもできるよ」
と言う。
病院にも行きたくない。
介護保険なんて必要ない。
知らない人を家に入れたくない。
デイサービスなんて絶対行かない。
こんなこともあります。
だからといって、本人が困るまで家族が待たなければならないわけではありません。
「本人は大丈夫と言っている。でも家族としては心配」
という状況そのものを相談できます。
要介護認定を受けるべきか分からない段階でも相談できる
地域包括支援センターは、すでに要介護認定を受けている人だけが利用する場所ではありません。
たとえば、
最近、立ち上がるのが大変そう。
買い物へ行けなくなってきた。
お風呂に入る回数が減った。
家の中で転ぶことが増えた。
家族が毎週通わないと生活が回らなくなってきた。
でも、
「これって介護保険を使うほどなの?」
と迷うことがあります。
この時点で相談して構いません。
必要に応じて、要介護認定や介護予防、地域で利用できる支援などについて案内を受けることができます。
要支援1・2なら地域包括支援センターが身近な存在になる
要介護認定を受けたあとも、認定結果によって相談先が少し変わります。
自宅で介護サービスを利用する場合、基本的には、
| 認定結果 | ケアプランについて相談する主な窓口 |
|---|---|
| 要支援1・2 | 地域包括支援センターなど |
| 要介護1~5 | 居宅介護支援事業所のケアマネジャー |
という違いがあります。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、要支援1・2の介護予防サービス計画については地域包括支援センターへ相談し、要介護1以上では指定居宅介護支援事業者へ依頼する流れが案内されています。
ただし、家族が最初からこの違いを覚えておく必要はありません。
「要支援なら包括、要介護なら居宅……」
なんて、介護が始まったばかりの家族には分かりにくいと思います。
「家族がもう限界」も立派な相談理由
私は介護の仕事を18年してきましたが、家族は本当によく頑張ります。
少しくらいなら自分でやろう。
親なんだから面倒を見なきゃ。
まだ施設に入れるほどじゃない。
他人に頼るのは申し訳ない。
そうやって、ギリギリまで家族だけで抱えてしまうことがあります。
でも、介護されている本人だけが相談の対象ではありません。
介護している家族がしんどくなっていることも、相談していいんです。
たとえば、
夜中に何度も起こされる。
仕事と介護の両立ができなくなってきた。
毎日の電話対応で疲れている。
兄弟が介護を手伝ってくれない。
つい親に強い口調で怒ってしまう。
もう自宅介護を続けられる自信がない。
ここまで来たら、
「まだ介護できるから相談しない」ではなく、「まだ何とかできているうちに相談する」
くらいでいいと思います。
「虐待かもしれない」も地域包括支援センターへ相談できる
地域包括支援センターには、高齢者の権利を守る権利擁護という役割もあります。
その中には、高齢者虐待への対応も含まれます。
厚生労働省の地域支援事業に関する実施要綱では、虐待事例を把握した場合には、高齢者虐待防止法などに基づいて状況を確認し、事例に応じて対応することが示されています。
また、高齢者本人が支援を拒否している場合などの困難事例についても、地域包括支援センターの専門職が連携し、必要な支援を検討するとされています。
虐待という言葉を見ると、
「殴ったり蹴ったりしているケースでしょ?」
と思うかもしれません。
でも高齢者虐待には、身体的虐待だけでなく、心理的虐待、介護・世話の放棄・放任、経済的虐待、性的虐待などもあります。
そして難しいのは、家族自身が追い詰められているケースです。
最初から親を傷つけようと思って介護を始めた家族ばかりではありません。
眠れない。
仕事にも行けない。
何度説明しても同じことを繰り返される。
誰も手伝ってくれない。
その積み重ねで、家族も限界になることがあります。
成年後見や高齢者の消費者被害も相談できる
地域包括支援センターの相談は、介護サービスだけではありません。
たとえば、
認知症が進み、お金の管理が難しくなってきた。
知らない契約書が家から出てきた。
訪問販売で高額な商品を買っていた。
同じような商品を何度も契約している。
本人の財産管理について家族だけでは対応できない。
こうした高齢者の権利や財産に関する相談もあります。
厚生労働省の地域包括支援センター運営に関する通知でも、成年後見制度の活用や消費者被害防止への取り組みが権利擁護業務として示されています。
老人ホームを考え始めた段階でも包括に相談できる
自宅介護が難しくなってくると、家族は老人ホームを考え始めます。
でも最初から、
「介護付き有料老人ホームへ入居させたいです」
なんて具体的に決まっている家族ばかりではありません。
むしろ、
このまま一人暮らしで大丈夫?
デイサービスを増やせば何とかなる?
ショートステイを使った方がいい?
もう施設を考えた方がいい?
そもそも、どんな老人ホームがあるの?
こんな状態から始まります。
地域包括支援センターへ、今後の生活について相談することもできます。
ただし、ここは私が老人ホーム紹介センターで働いた経験から、少し現実的な話をしておきます。
包括へ相談したからといって、家族の希望条件に合う老人ホームを何十施設も比較して、見学予約まで全部代行してくれるとは限りません。
私が営業していた地域では、複数の老人ホーム紹介会社の資料を家族へ渡して、家族自身に選んでもらうケースもありました。
そして信頼関係ができた包括からは、私たちへ直接、
「こういう方なんですけど、施設を探せますか?」
と連絡をいただくこともありました。
老人ホームをどこに相談すればいいか迷っている方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
結局、包括には何を相談すればいい?
ここまで読むと、逆に、
「相談できること多すぎない?」
と思うかもしれません(笑)。
その通りです。
認知症。
介護保険。
要介護認定。
介護予防。
一人暮らし。
家族の介護負担。
虐待。
成年後見。
消費者被害。
今後の生活。
老人ホーム。
全部覚えてから電話しようとしたら、かえって電話できなくなります。
だから私は、もっと雑でいいと思っています。
地域包括支援センターへ相談するなら、まず電話でいい
地域包括支援センターへ相談すると決めても、今度は、
「どうやって相談するの?」
となりますよね。
難しく考えなくて大丈夫です。
私なら、まず電話します。
「母のことで少し相談したいんですけど」
最初はこれで十分です。
相談内容を完璧にまとめる必要もありません。
電話で簡単に状況を伝えたうえで、必要なら来所日時を調整したり、今後どう動けばいいのかを確認したりすればいいと思います。
地域や相談内容によって対応方法は異なりますが、一般的には次のような流れになります。
| 流れ | やること |
|---|---|
| ① 担当包括を探す | 親が住んでいる住所を担当する地域包括支援センターを確認する |
| ② 電話する | 「母のことで相談したい」と伝える |
| ③ 状況を話す | 分かる範囲で本人の状態や家族の心配を伝える |
| ④ 今後を相談する | 受診・介護保険・地域支援など、次にどうするか一緒に考える |
| ⑤ 必要な支援につながる | 必要に応じて医療・介護・福祉などの関係先につながる |
相談するのは「自分の家の近くの包括」とは限らない
ここは少し注意してください。
地域包括支援センターには、担当する地域が決められていることがあります。
そのため、単純に「一番近い包括へ行けばいい」とは限りません。
たとえば、埼玉に住んでいる娘が、東京で一人暮らしをしている母の相談をしたい場合。
基本的に探すのは、娘の住所ではなく、母が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターです。
厚生労働省も、家族介護について相談する場合には、介護が必要な家族の居住地を担当する地域包括支援センターへ問い合わせるよう案内しています。
自分の地域包括支援センターは厚労省の公式サイトから探せる
ここまで読んで、
「よし。ちょっと包括に聞いてみようかな」
と思った方へ。
厚生労働省の公式サイトには、全国の地域包括支援センターを探せる一覧があります。
都道府県を選ぶと、それぞれの自治体が公開している地域包括支援センターの情報へ進めます。
また、厚生労働省の介護サービス情報公表システムからも、都道府県を選んで地域包括支援センターを検索できます。
地域包括支援センターへの相談は無料?
地域包括支援センターへの相談・支援は無料です。
厚生労働省の案内でも、介護についての不安や悩みについて相談でき、相談・支援は無料とされています。
参考:厚生労働省|介護保険制度・地域包括支援センターについて
ただし、ここは分けて考えてください。
包括へ相談することと、
相談後に紹介されたサービスを実際に利用すること
は別です。
病院を受診すれば医療費がかかります。
介護保険サービスを利用すれば、制度に応じた自己負担があります。
民間のサービスを利用すれば、そのサービスの料金が発生することもあります。
包括の職員と合わなかったら?一回の対応だけで全部を判断しなくてもいい
ここまで地域包括支援センターをおすすめしてきましたが、少し現実的な話もしておきます。
包括で働いている人も、人です。
話しやすい人もいれば、少し事務的に感じる人もいる。
忙しいタイミングもある。
電話したときの対応が、自分には合わないこともあるでしょう。
私自身、老人ホーム紹介センターの営業として包括へ通っていた頃、
「今日めちゃくちゃそっけないな(笑)」
と思うことはありました。
でも、包括には私たち以外の営業も来ます。
相談者も来ます。
電話もあります。
地域の会議や支援もあります。
多い日には営業が10人ほど来ると聞いたこともあり、
「そりゃ営業一人ひとりに30分付き合ってられないよな」
とも思いました。
これは相談者への対応が悪くても仕方ない、という話ではありません。
ただ、電話一本の印象だけで、
「包括って全然ダメじゃん」
と決めなくてもいいと思います。
包括に電話したら、その日に全部が解決するとは思わなくていい
地域包括支援センターへ相談しても、その日のうちに全部決まるとは限りません。
本人の状態をもう少し確認する必要がある。
家族から話を聞く必要がある。
医療機関へ相談する。
要介護認定を検討する。
ケアマネや介護サービス事業所につなぐ。
老人ホームについて情報を集める。
相談内容によって、次に進む道は変わります。
だから、
「電話したのに、その場で解決しなかった」
とがっかりしなくて大丈夫です。
大事なのは、電話する前には、
「何をすればいいのか分からなかった」
状態だった家族が、
「次はここへ相談すればいい」
まで進むことです。
地域包括支援センターでよくある質問
高齢者本人だけでなく、家族などから相談することもできます。
離れて暮らす親について心配している場合も、まずは親が暮らしている地域を担当する地域包括支援センターへ相談してみてください。
相談できます。
「要介護認定を受けた方がいいのか分からない」という段階から相談して構いません。
家族が必要性を判断してから行くのではなく、必要かどうかを相談するという使い方もあります。
相談できます。
厚生労働省も、「もしかして認知症では」と感じた段階の主な相談先として地域包括支援センターを挙げています。
「最近物忘れが増えた」「本人が受診を嫌がる」といった状態から相談して構いません。
相談・支援は無料です。
ただし、相談後に医療機関を受診したり、介護サービスや民間サービスなどを利用したりする場合は、それぞれの費用が発生することがあります。
老人ホームについて相談することはできますが、地域包括支援センターは民間の老人ホーム紹介会社と同じ役割ではありません。
私が老人ホーム紹介センターで働いていた頃は、包括が複数の紹介会社の資料を家族へ渡し、家族自身に選んでもらうケースもありました。
自治体やセンター、相談内容によって対応は異なりますので、まずは担当包括へ確認してください。
地域によって担当区域が決められている場合があります。
最も近いセンターが担当とは限らないため、本人の住所を担当する地域包括支援センターを市区町村や公式サイトで確認すると確実です。
その状態から相談して大丈夫です。
「母のことで心配なんですが、何をしたらいいか分かりません」
と伝えてください。
この記事で一番伝えたいのも、そこです。
まとめ|「何を相談するか」より、「どうしたらいい?」から始めればいい
- 地域包括支援センターは高齢者や家族の総合相談窓口
- 要介護認定を受ける前でも相談できる
- 認知症と診断される前の「なんか心配」から相談できる
- 介護だけでなく家族の負担、権利擁護、今後の生活なども相談できる
- 老人ホームについて相談できるが、包括がすべての施設探しを代行するとは限らない
- 相談・支援は無料
- 基本的には親が住んでいる地域を担当する包括へ相談する
- 厚労省の全国一覧や介護サービス情報公表システムから担当包括を探せる
地域包括支援センター。
正直、名前だけ聞いて、何をする場所なのか分かる人の方が少ないと思います。
総合相談。
権利擁護。
介護予防。
包括的・継続的ケアマネジメント。
制度を勉強すれば、いろいろな役割があります。
でも、介護を初めて経験する家族が、それを全部覚える必要はありません。
母の物忘れが増えてきた。
父の一人暮らしが心配。
転ぶことが増えた。
介護保険を使った方がいいのか分からない。
家族だけで介護するのが少しつらくなってきた。
老人ホームを考える時期なのか分からない。
そんなとき、家族の頭の中にはいろいろな疑問が出てきます。
病院?
市役所?
ケアマネ?
老人ホーム?
でも、その答えが分からないから困っているんですよね。
だから「何をすればいいか分からない」こと自体を、地域包括支援センターへ相談していいんです。
もし自分の母が、まだ要介護認定も受けていないのに、最近同じ話を何度もするようになった。
本人は、
「私は大丈夫」
と言っている。
でも私が家族として少し気になる。
そんな状況なら、私は地域包括支援センターへ電話します。
そして、
「母がこんな状態なんですけど、これからどうしたらいいですか?」
と聞きます。
最初から介護認定をお願いするわけでもありません。
病院へ行くと決めているわけでもありません。
施設を探してほしいわけでもありません。
どうしたらいいかを聞きたいから、電話する。
それでいいと思っています。
老人ホーム紹介センターとして包括へ何度も営業してきた私から見ても、地域包括支援センターは単独ですべてを解決する場所ではありませんでした。
居宅介護支援事業所。
病院。
介護サービス事業所。
地域の専門職。
老人ホーム。
民間事業者。
必要に応じて、いろいろなところへつながっていきます。
だからこそ、最初の段階で家族が全部知っていなくてもいい。
「うちの母ちゃん、ちょっと心配なんだけど」
そこから始めていいんです。
そしてこの記事を読んで、実際に相談してみようと思った方は、厚生労働省の公式サイトから自分の地域を担当する包括を探せます。
探したら、電話してみる。
そこで、
「親のことで相談したいんですけど」
と言えば、最初の一歩はもう踏み出せています。
介護の記事を書いていると、
「認知症ならここ」
「要介護認定ならここ」
「老人ホームならここ」
と、相談先をきれいに分けたくなります。
でも家族からしたら、
「それが分からねーから困ってるんだよ」
って話だと思うんです(笑)。
母が少し変わった気がする。
でも認知症なのか分からない。
介護保険が必要なのかも分からない。
病院へ連れて行った方がいいのかも分からない。
だったら、
「どうしたらいいですか?」
から聞けばいい。
私はそれでいいと思っています。
老人ホーム紹介センターで働いていた頃、包括へ月に何度も顔を出しました。
営業としては軽くあしらわれたこともあります(笑)。
それでも関係ができてくると、
「こういう方なんですけど、施設探せます?」
と電話をいただくこともありました。
その経験から感じたのは、
地域の介護は、一つの事業所だけで完結しているわけじゃない
ということです。
包括から誰かにつながる。
その先から、また必要な人につながる。
だから家族も、
最初から正しいところへたどり着こうとしなくていい。
まず一人目に相談する。
そこから始めればいいと思っています。
もし自分の母のことで迷ったら、私もそうします。
包括に電話して、「母ちゃんこんな感じなんだけど、どうしたらいい?」と聞きます。
この記事を読んだ家族にも、それくらい気軽に使ってもらえたらと思っています。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。


