要介護認定とは?申請から認定結果・更新までの流れをケアマネが解説
親の転倒や物忘れが増え、介護サービスを考え始めても、最初は何から手をつければいいのか分かりにくいですよね。
結論からいうと、介護保険サービスを利用するには、原則として住んでいる市区町村へ要介護認定を申請します。
申請後は、認定調査や主治医意見書、一次判定・二次判定を経て、非該当、要支援1・2、要介護1~5のいずれかが通知されます。
ただし、認定結果が届けば自動的に介護サービスが始まるわけではありません。
結果に応じた相談先でケアプランなどを作り、必要なサービスへつなげていきます。
この記事では、施設ケアマネとして要介護認定に関わってきた経験をもとに、申請前の相談から認定結果、その後の手続きや更新までを順番に解説します。
- 要介護認定とはどのような制度なのか
- 要介護認定を申請できる人と相談先
- 申請から認定結果までの流れ
- 要支援1~要介護5が決まる仕組み
- 認定結果が届いたあとの相談先
- 区分変更・審査請求・更新の違い
要介護認定とは?介護保険サービスを使うための入口
要介護認定とは、介護保険サービスを利用するために、その人が要支援・要介護の状態にあるか、どの程度の介護が必要なのかを判定する仕組みです。
判定は、次の8区分に分かれます。
- 非該当(自立)
- 要支援1・2
- 要介護1~5
ここで大切なのは、要介護度が病気の重さや見た目だけで決まるわけではないことです。
厚生労働省は、要介護認定を「介護の手間」に係る審査判定を行う仕組みとして説明しています。
身体が比較的動く人でも、認知症による見守りや声かけが多く必要なことがあります。反対に、重い病気があるという理由だけで、自動的に高い要介護度になるわけでもありません。
要介護認定を申請できる人|65歳以上と40~64歳の違い
要介護認定を受けられる条件は、年齢によって異なります。
65歳以上は原因となる病気を問わず申請できる
65歳以上の第1号被保険者は、介護や支援が必要な状態であれば、原因となった病気を問わず申請できます。
たとえば、転倒や骨折で歩くことが難しくなった場合、認知症によって一人暮らしが難しくなった場合、加齢とともに入浴や着替えの手助けが必要になった場合などです。
「特定の病気でなければ介護保険を使えない」という条件は、65歳以上にはありません。
40~64歳は16種類の特定疾病が条件
40歳から64歳までの第2号被保険者は、医療保険に加入しており、介護が必要になった原因が介護保険制度で定める16種類の特定疾病に該当することが必要です。
代表例には、初老期における認知症、脳血管疾患、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病関連疾患などがあります。
「介護が必要だから対象」ではなく、特定疾病が原因で要支援・要介護状態になったかがポイントです。
参考:厚生労働省|40歳になられた方へ 介護保険制度について
要介護認定はどこへ申請する?
申請先は、本人が住民票を置いている市区町村の介護保険担当窓口です。
本人だけでなく、家族が申請することもできます。本人や家族だけで手続きを進めるのが難しい場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などへ相談できます。
入院中でも申請できます。家族のほか、病院の医療ソーシャルワーカーや市区町村の窓口へ相談しながら進める方法があります。
申請時には、一般的に申請書、介護保険被保険者証、主治医の情報などを確認されます。40~64歳の人は、医療保険の加入状況が分かるものも必要です。
必要書類や手続き方法は市区町村によって異なるため、事前に自治体の案内を確認しましょう。
要介護認定の申請から結果までの流れ
要介護認定は、主に次の6段階で進みます。
① 市区町村へ申請
↓
② 認定調査
↓
③ 主治医意見書
↓
④ 一次判定
↓
⑤ 介護認定審査会による二次判定
↓
⑥ 認定結果の通知
認定調査員が、その場で要介護度を決めるわけではありません。複数の資料と段階を経て、市区町村が認定結果を通知します。
① 市区町村へ申請する
本人が住んでいる市区町村へ申請します。申請日が手続きの起点になるため、介護サービスが早く必要なときは、窓口や地域包括支援センターへ早めに相談しましょう。
② 本人の心身や生活状況を調べる
市区町村の職員や委託を受けた認定調査員などが本人と面談し、心身の状態や普段受けている介助などを確認します。
認定調査で聞かれる内容や家族が準備することは、こちらで詳しく解説しています。
→介護認定調査で聞かれることは?家族が当日伝えること・注意点をケアマネが解説
③ 市区町村が主治医へ意見を求める
市区町村は、本人の病気や心身の状態について主治医へ意見書の作成を依頼します。基本的に、家族が主治医意見書を作成して提出するものではありません。
診察室で見える姿と、家庭での生活が同じとは限りません。最近の変化や、家で実際に困っていることは、普段の診察でも主治医へ具体的に伝えておくことが大切です。
④ 一次判定が行われる
認定調査の結果や主治医意見書の一部をもとに、コンピュータによる一次判定が行われます。
⑤ 介護認定審査会が二次判定を行う
保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が、一次判定、認定調査の特記事項、主治医意見書などをもとに審査します。
認定調査だけ、主治医意見書だけで最終的な介護度が決まるわけではありません。
⑥ 市区町村から認定結果が届く
市区町村は介護認定審査会の判定に基づいて認定し、本人へ結果を通知します。
結果通知書や介護保険被保険者証が届いたら、認定区分だけでなく有効期間も確認しておきましょう。
参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」
要支援1~要介護5は何を基準に決まる?
要介護度は、本人がどれだけ大変そうに見えるかを表す点数ではありません。
認定調査や主治医意見書などから、日常生活で必要となる介助や見守りなどの「介護の手間」を審査し、非該当、要支援1・2、要介護1~5に区分します。
「元気なのに要介護4?」実際にあった話
施設ケアマネをしていたとき、車いすを自分でこいで移動し、身の回りのこともかなり自分でできる方がいました。
見た印象はとても元気でしたが、認定結果は「要介護4」。
本人からは、
「俺がなんで要介護4なんだ」
と、私もかなり怒られました(笑)。
介護現場に長くいても、認定結果を見て「この人がこの介護度なんだ」と思うことはあります。
この経験からも、要介護度と、本人ができること・できないことは単純に一致しないと感じています。
認定結果はいつ届く?原則30日以内
介護保険法では、要介護認定の結果は原則として申請から30日以内に通知することとされています。
ただし、認定調査や審査などに時間がかかる特別な理由がある場合は、市区町村が処理に必要な期間と理由を通知したうえで延期することがあります。
「30日を過ぎたから、必ず手続き上の問題がある」とは限りません。結果がなかなか届かないときは、市区町村へ進捗を確認しましょう。
認定結果が届いたら何をする?
認定結果が届いたら、自分の区分と有効期間を確認し、次の相談先へ連絡します。
- 非該当:市区町村や地域包括支援センターへ、総合事業など利用できる支援を相談する
- 要支援1・2:地域包括支援センターなどへ相談し、介護予防ケアプランとサービス利用を検討する
- 要介護1~5:居宅介護支援事業所などへ相談し、ケアマネジャーとケアプランを作ってサービス利用を検討する
要介護から要支援になった場合の担当者やサービスへの影響は、こちらの記事で詳しく解説しています。
→要介護から要支援になったらケアマネは変わる?サービスへの影響も解説
認定結果が今の状態と合わないと感じたら?
認定結果に納得できない場合と、認定後に本人の状態が変わった場合では、考える手続きが異なります。
認定後に状態が変わったら区分変更申請
転倒や病気、認知症の進行などによって介助量が大きく変わった場合は、有効期間の終了を待たずに区分変更申請を検討できます。
区分変更は「介護度を上げるためだけの申請」ではありません。状態によっては、現在より軽い区分になる可能性もあります。
まずは担当ケアマネジャーや市区町村へ相談しましょう。
申請時の状態に対する認定そのものへ不服がある場合
「申請時からこの状態だったのに、認定結果が実態と合わない」と感じる場合は、まず市区町村の介護保険窓口や担当ケアマネジャーへ相談してください。
認定処分そのものに不服がある場合は、都道府県に設置されている介護保険審査会へ審査請求する制度があります。
原則として、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に行う必要があります。
要介護認定には有効期間がある|更新を忘れない
要介護認定は、一度受ければ同じ区分がずっと続くものではありません。
結果通知書や介護保険被保険者証には有効期間が記載されています。引き続き介護保険サービスを利用する場合は、有効期間が終わる前に更新申請が必要です。
更新時期が近づいたら、担当ケアマネジャーや市区町村から案内されることが一般的ですが、本人や家族も有効期間を確認しておきましょう。
また、更新時期の前でも状態が大きく変わった場合は、区分変更申請を検討できます。
要介護認定に関するよくある質問
要介護認定の申請や認定調査、主治医意見書の作成について、申請者が手数料を負担する仕組みではありません。
ただし、通常の受診にかかる医療費などは別です。個別に必要な費用が心配な場合は、市区町村へ確認してください。
入院中でも申請できます。
退院後の生活に介護サービスが必要になりそうな場合は、病院の医療ソーシャルワーカーや市区町村の介護保険窓口へ早めに相談しましょう。
原則として申請から30日以内です。
ただし、認定調査や審査に時間がかかるなどの理由で延期される場合もあります。
申請後、認定結果が出る前でも、暫定的なケアプランを作ってサービスを利用できる場合があります。
ただし、認定結果が非該当だった場合や、利用額が認定された区分の支給限度額を超えた場合には、自己負担が増える可能性があります。利用前に地域包括支援センターやケアマネジャーへ必ず相談してください。
希望する介護度を指定することはできません。
認定調査や主治医意見書などをもとに審査・判定されます。必要なのは、本人の状態と実際に必要な支援を正確に伝えることです。
いいえ。要介護認定には有効期間があります。
引き続き介護保険サービスを利用する場合は更新申請が必要です。期間中に状態が大きく変わった場合は、区分変更申請を検討できます。
まとめ|要介護認定は必要な支援につながるための入口
- 申請先は本人が住んでいる市区町村
- 65歳以上と40~64歳では申請条件が異なる
- 認定調査・主治医意見書・一次判定・二次判定を経て結果が決まる
- 結果は原則として申請から30日以内に通知される
- 認定後は区分に応じた相談先でサービス利用を進める
- 状態が変われば区分変更、期間終了前には更新を検討する
要介護認定というと、どうしても「要介護いくつになるのか」が気になります。
しかし、介護度は本人の価値や、できることの多さを評価する点数ではありません。
介護度はゴールではなく、本人に必要な支援を考えるためのスタート地点です。
申請前、結果待ち、認定後のどの段階でも、分からないことを家族だけで抱える必要はありません。市区町村、地域包括支援センター、担当ケアマネジャーなどへ相談しながら進めてください。
施設ケアマネをしていた頃、認定結果を見て、
「この人がこの介護度なんだ」
と思うことは何度もありました。
同じ要介護度でも、自分でできることや苦手なこと、家族や職員が手伝っていることは一人ひとり違います。
だから私は、要介護4だから何もできない、要介護1だからほとんど手がかからない、と介護度だけで決めつけないようにしています。
要介護認定は、本人を数字で評価するためではなく、必要な介護へつなげるための制度です。
結果が思っていたものと違ったときも、一人で抱え込まず、まず相談してみてください。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。


