要介護認定の調査の日。

普段は歩くとふらつくのに、調査員の前ではなぜかスタスタ歩ける。

普段は家族や職員に手伝ってもらっているのに、

「自分で全部できます」

と答える。

体調を聞かれれば、

「健康です。どこも悪くありません」

と胸を張る。

施設ケアマネとして認定調査に立ち会っていた頃、私はこんな場面を何度も見てきました。

ご家族様
ご家族様
家ではそんなにできないのに……。調査の日にできちゃったら、介護度が軽くなってしまうんですか?

心配になりますよね。

でも、要介護認定は「調査の日に何ができたか」だけで決める制度ではありません。

厚生労働省の認定調査員テキストでも、調査当日に確認した状態と普段の状態が違う場合には、一定期間の状況を確認して判断する考え方が示されています。

だから大切なのは、

良く見せることでも、悪く見せることでもなく、「普段はどうなのか」を正確に伝えることです。

この記事では、要介護認定の仕組みや申請方法だけでなく、施設ケアマネとして認定調査に立ち会ってきた経験から、調査当日だけでは見えにくい「普段の生活」をどう伝えればいいのかまで解説します。

この記事でわかること
  • 要介護認定とはどんな制度なのか
  • 要支援1~要介護5は何を基準に決まるのか
  • 申請から認定結果までの流れ
  • 認定調査では何を確認されるのか
  • 調査の日だけ本人が頑張ってしまったときの考え方
  • 特記事項は何のためにあるのか
  • 在宅と施設で認定調査はどう違うのか
  • 想定より軽い・重い介護度になったときに確認したいこと
要介護認定は、単純な「体力テスト」や「病気の重症度判定」ではありません。

厚生労働省は、要介護認定について「どれくらい介護サービスを行う必要があるか」を判断するものと説明しています。

病気が重いから必ず要介護度が高くなる、歩けるから必ず軽くなる、という仕組みではありません。

Contents
  1. 要介護認定とは?「どれだけ大変そうか」を決める制度ではない
  2. 要支援1~要介護5は「できる・できない」だけでは決まらない
  3. 要介護認定の申請から結果まではどう進む?
  4. 認定調査では何を見られる?大事なのは「普段の状態」
  5. 「どうしても介護度を上げたい」と思ったことが、私にもある
  6. 「できます・できません」より、普段どうしているかを伝える
  7. 在宅と施設では「普段の状態を伝える人」が違うこともある
  8. 認定調査で一番大切なのは「今日」ではなく「いつもの生活」
  9. 認定調査では何を聞かれる?74項目を全部覚える必要はない
  10. 認定調査は「できる・できない」だけをチェックしているわけではない
  11. 認知症は「診断名」だけでは介護の手間が伝わらない
  12. 特記事項はなぜ重要?74項目だけでは生活の全部は表せない
  13. 主治医意見書は何のためにある?家族が自分で書くものではない
  14. 認定調査と主治医意見書の内容が違ったらどうなる?
  15. 「主治医は元気な姿しか知らない」ということもある
  16. 認定調査の前に家族がやっておきたいこと
  17. 要介護認定は誰が申請できる?65歳以上と40~64歳では条件が違う
  18. 要介護認定は本人じゃなくても申請できる
  19. 認定結果はいつ届く?原則30日以内
  20. 認定結果が届いたら何をする?区分によって相談先が変わる
  21. 認定結果が今の状態と合わないと感じたら?
  22. 要介護認定には有効期間がある|更新を忘れない
  23. 要介護認定に関するよくある質問
  24. まとめ|要介護認定は「介護度を取る試験」ではない

要介護認定とは?「どれだけ大変そうか」を決める制度ではない

要介護認定とは、介護保険サービスを利用するために、その人が要支援・要介護の状態にあるか、またどの程度の介護が必要なのかを判定する仕組みです。

判定区分は、

非該当(自立)

要支援1・2

要介護1~5

に分かれています。

ここで最初に知っておいてほしいことがあります。

要介護度は、その人の病気の重さや「元気そう・大変そう」という見た目だけで決まるものではありません。

厚生労働省は、要介護認定について「介護の手間」に係る審査判定を行う仕組みとして説明しています。

たとえば身体が比較的動く人でも、認知症などによって見守りや支援に多くの手間がかかることがあります。

反対に、重い病気があるという理由だけで、自動的に高い要介護度になるわけでもありません。

要介護認定では、認定調査などをもとに「要介護認定等基準時間」という指標を推計し、一次判定を行います。

ただし、この「○分」は、家族や介護職が実際に介護している時間そのものではありません。

要介護度を判定するための「ものさし」と考えると分かりやすいでしょう。

参考:厚生労働省|要介護認定はどのように行われるか

要支援1~要介護5は「できる・できない」だけでは決まらない

要介護認定というと、

「歩けるから要介護1くらい」

「車いすだから要介護4くらい」

というイメージを持つ人もいるかもしれません。

でも、そんな単純な仕組みではありません。

認定調査では、身体機能だけでなく、生活機能、認知機能、精神・行動面、社会生活への適応、医療に関する項目など、さまざまな情報を確認します。

さらに、調査結果だけで最終的な介護度が決まるわけでもありません。

認定調査などをもとにした一次判定のあと、主治医意見書や認定調査の特記事項なども踏まえて、介護認定審査会による二次判定が行われます。

段階 主な内容
認定調査 本人の心身の状態や普段受けている介助などを確認する
主治医意見書 市区町村が主治医へ依頼し、傷病や心身の状態などについて意見を求める
一次判定 認定調査結果などからコンピュータによる判定を行う
二次判定 介護認定審査会が一次判定、特記事項、主治医意見書などをもとに審査・判定する

「元気なのに要介護4?」実際にあった話

施設ケアマネをしていたとき、今でも覚えている方がいます。

車いすを自分でこいで施設内を移動できる。

身の回りのこともかなり自分でできる。

見た印象としては、とても元気な方でした。

その方の認定結果が、

「要介護4」

だったことがあります。

本人は納得できません。

「俺がなんで要介護4なんだ」

と、私もかなり怒られました(笑)。

気持ちは分かります。

「要介護4」と聞けば、かなり介護が必要な人を想像する人もいるでしょう。

でも、この経験からも分かるように、

要介護度は「その人がどれだけ元気に見えるか」を表す点数ではありません。

日常生活の中でどのような介助や見守りなどが必要なのかを、認定調査や主治医意見書などを通して判定していきます。

介護現場に長くいても、

「この人がこの介護度なんだ」

と思うことはありました。

だから私は、要介護度だけを見て、

「要介護4だから何もできない人」

「要介護1だから介護はほとんど必要ない人」

と決めつけないようにしています。

同じ要介護度でも、できること・苦手なこと・必要な介助は人によって違います。

要介護認定の申請から結果まではどう進む?

要介護認定は、住んでいる市区町村へ申請するところから始まります。

大きな流れは次のとおりです。

① 市区町村へ申請

② 認定調査

③ 主治医意見書

④ 一次判定

⑤ 介護認定審査会による二次判定

⑥ 認定結果の通知

市区町村の認定調査員などが本人の心身の状態を調査し、市区町村が主治医へ意見書の作成を依頼します。

その情報などをもとに一次判定を行い、さらに保健・医療・福祉の学識経験者で構成される介護認定審査会で二次判定が行われます。

「認定調査員がその場で要介護度を決める」わけではありません。

調査員は本人の状態などを確認して調査票を作成します。

その後、一次判定・介護認定審査会による二次判定を経て、認定結果が決まります。

認定調査では何を見られる?大事なのは「普段の状態」

認定調査では、調査員が本人と面談し、身体の状態や普段の生活、必要な介助などについて確認します。

ここで、ご家族に一番知っておいてほしいことがあります。

認定調査は「できるところを見せる場」ではありません。

反対に、介護度を重くしてもらうために「できないように見せる場」でもありません。

伝えるべきなのは、普段の生活です。

お客様
お客様
でも、人が来たらつい「大丈夫です」って言っちゃうのよね。

これ、本当に珍しくありません。

施設でも何度も見ました。

普段はパーキンソン病などの影響で歩行がおぼつかない方が、調査員の前ではいつもよりしっかり歩けてしまう。

体調を聞かれても、

「健康です」

と答えてしまう。

本人としては、嘘をつこうとしているわけではないことも多いと思います。

人前だから頑張れる。

まだ自分でできると思っている。

調査の日はたまたま調子が良かった。

いろいろな理由があります。

調査の日だけ歩けても、それだけで「歩ける」とは決まらない

私が施設で認定調査に立ち会っていた頃、歩行や立位、座位などの確認を本人の居室で行うこともありました。

そこで毎回思っていたことがあります。

「この数メートルだけ見たら、普段の生活なんて分からないよな」

居室内は歩く距離も短い。

本人にとっては毎日生活している慣れた場所です。

そこで、その日たまたま歩けることもあります。

でも普段は、もっと長い距離になるとふらつく。

疲れると介助が必要になる。

転倒を防ぐために職員がそばについている。

そんなこともあります。

「今日、居室の数メートルを歩けた」ことと、「普段の生活で安全に歩けている」ことは同じではありません。

これは私の経験則だけではありません。

厚生労働省の認定調査員テキストでは、実際に行ってもらった状態と日頃の状態が異なる場合、概ね過去1週間の状況で、より頻回にみられる状態をもとに選択するという考え方が示されています。

さらに、その場合には、調査当日の状態と普段の状態がどう違うのかを特記事項へ具体的に記載することとされています。

調査当日にたまたまできた=それだけで判定される、ではありません。

厚生労働省の認定調査員テキストでも、調査時と普段の状況が違う場合には、日頃の状態を確認して判断する考え方が示されています。

だからこそ、家族や介護者が「普段はどうなのか」を具体的に伝えることが重要です。

参考:厚生労働省|認定調査員テキスト2009改訂版(令和6年4月改訂)

「どうしても介護度を上げたい」と思ったことが、私にもある

ここからは少し、私自身の話をします。

認定調査に関わっていると、ご家族から、

「どうしても要介護にしてほしい」

「非該当では困る」

という相談を受けることがあります。

ケアマネとしてなら、

「介護度は希望で決められるものではありません」

と説明できます。

でも、いざ自分が家族の立場になると、そんなにきれいな話だけではありませんでした。

妻の母の施設入居を考えていたときのことです。

本人は身体的には比較的元気でした。

ただ、家族としては施設への入居を進めたい事情があり、

「これで非該当になったら困るな……」

という気持ちが正直ありました。

そこで認定調査の際、身体機能だけを見ると比較的元気なので、普段の生活で困っていることや行動面など、特記事項として伝えられることはないかを調査員に相談したことがあります。

今振り返ると、この経験から伝えたいことが二つあります。

一つは、

要介護認定は、「施設に入りたいから要介護にする」「家族が必要としているから介護度を上げる」という制度ではないこと。

そしてもう一つは、

身体が元気そうに見えることと、生活上の支援が必要ないことも同じではないということです。

特記事項は「介護度を上げてもらうための欄」ではない

認定調査には、基本調査の選択肢だけでは十分に表せない本人の具体的な状況や介護の手間などを記載する特記事項があります。

厚生労働省の認定調査員テキストでも、特記事項は介護認定審査会が二次判定を行ううえで重要な情報とされています。

だからといって、

「要介護にしてほしいから問題になりそうなことを探そう」

という使い方をするものではありません。

事実と違うことを伝えるのは当然違います。

そうではなく、身体機能だけでは見えにくい、

認知症による行動。

意思疎通の難しさ。

見守り。

服薬の管理。

日常生活で実際に必要になっている支援。

こうした「普段、本当に起きていること」を漏らさず伝えることが大切です。

特記事項は、希望する介護度に近づけるための欄ではありません。

基本調査だけでは伝わりにくい本人の具体的な状態や介護の手間などを記録し、介護認定審査会が審査・判定するための情報として使われます。

事実を大きくしたり、できないように見せたりせず、普段実際に起きていることを具体的に伝えましょう。

この経験があるから、私はご家族が、

「どうしてもこの介護度が必要」

と思ってしまう気持ちも分かります。

施設への入居や、その後の介護生活がかかっていれば、家族としては必死になります。

私だって家族の立場になったら、

「何とかならないかな」

と思いました。

でも、認定調査でやるべきなのは「介護度を取りにいくこと」ではありません。

元気なところは元気。

できることはできる。

そのうえで、

「でも、ここでは実際に支援が必要です」

という部分も漏らさず伝える。

それが一番大切だと思っています。

「できます・できません」より、普段どうしているかを伝える

では実際に、認定調査でどう伝えればいいのでしょうか。

ポイントは、「できる・できない」で終わらせないことです。

伝え方 より具体的な伝え方
歩けません 居室内は歩けますが、廊下ではふらつくため職員が付き添っています
トイレはできます 便座には座れますが、ズボンの上げ下げは毎回介助しています
認知症があります 同じ質問を何度も繰り返し、薬を飲んだことを忘れるため管理が必要です
夜眠れません 週に3回ほど夜中に起き、居室から出てくるため職員が声をかけています

こうすると、調査員も実際にどのような介助や見守りが必要なのかを把握しやすくなります。

認定調査の前に、家族や介護者で、

「この1週間、実際に何を手伝った?」

と振り返ってみるのがおすすめです。

排泄、入浴、着替え、移動、服薬、夜間の対応、認知症による行動など、

本人ができないことを探すのではなく、実際に行っている介助や見守りを整理するイメージです。

在宅と施設では「普段の状態を伝える人」が違うこともある

認定調査について調べると、

「家族も調査に同席しましょう」

という説明を見かけることがあります。

在宅で家族が日常的に介護している場合は、家族が普段の様子を補足することが大切です。

一方、施設に入居している人の場合は少し事情が違います。

私が施設ケアマネをしていた頃、認定調査に家族が付き添うことはほとんどありませんでした。

多かったのは、

本人・認定調査員・ケアマネ

という形です。

本人への調査が終わったあとに、調査員とケアマネや普段の様子を知る職員で、

「実際は排泄にこれくらい介助しています」

「夜間はこういう対応をしています」

「本人はできると言っていますが、普段はこちらで介助しています」

と確認することがよくありました。

施設では、毎日の生活を見ている職員からの情報が重要になることがあります。

ただし、これは私が勤務した施設での実務経験です。

認定調査の進め方や同席者などは、本人の状況や自治体、施設などによって異なる場合があります。

家族が同席したい場合や、調査員へ伝えてほしいことがある場合は、事前に施設のケアマネジャーなどへ相談しておくと安心です。

認定調査で一番大切なのは「今日」ではなく「いつもの生活」

要介護認定を受けるとき、

「ちゃんと歩けないところを見てもらわなきゃ」

「できないと言った方が介護度が上がるのかな」

と考える必要はありません。

反対に、本人が頑張って全部できるように見せる必要もありません。

必要なのは、

普段どこまで自分でできているのか。

どこから介助が必要なのか。

どのくらいの頻度で起きているのか。

家族や職員が実際に何をしているのか。

を具体的に伝えることです。

認定調査は「できないことをアピールする日」ではなく、「いつもの生活を伝える日」。

私は、それくらいに考えておくのが一番分かりやすいと思います。

認定調査を控えているなら、直近の生活を振り返って、

「何ができなかったか」ではなく、「実際にどんな介助・見守りをしたか」

をメモしておきましょう。

本人が調査当日に普段以上に頑張ってしまっても、日頃の状態を具体的に説明しやすくなります。

認定調査では何を聞かれる?74項目を全部覚える必要はない

認定調査というと、

「何を聞かれるんだろう」

「事前に答えを考えておいた方がいい?」

と不安になる人もいると思います。

でも、試験ではありません。

答えを覚えて準備する必要もありません。

認定調査では、厚生労働省が定めた74項目の基本調査などをもとに、本人の心身の状態や普段受けている介助などを確認します。

大きく見ると、次のような内容です。

主な分野 確認される内容の例
身体機能・起居動作 寝返り、起き上がり、座位、立位、歩行など
生活機能 移乗、移動、食事、排尿・排便、着替えなど
認知機能 意思の伝達、短期記憶、生年月日、場所の理解など
精神・行動面 実際にみられる行動や、その頻度など
社会生活への適応 服薬、金銭管理、買い物、簡単な調理など
過去14日間の特別な医療 一定の医療行為が行われているか

こうして見ると、

「歩けるかどうかだけを見ているわけではない」

ことが分かると思います。

身体は動いても服薬管理ができない。

食事は自分で食べられても、排泄には介助が必要。

会話はしっかりしているように見えても、数分前のことを忘れてしまう。

人によって、必要な支援はまったく違います。

認定調査の基本調査は74項目あります。

ただし、ご家族が74項目を覚えて認定調査へ臨む必要はありません。

それよりも、

「普段、本人の生活で何に手がかかっているのか」

を具体的に整理しておく方が実用的です。

認定調査は「できる・できない」だけをチェックしているわけではない

ここは少し分かりにくいところです。

認定調査の項目には、単純に本人の能力を見るものだけではなく、実際にどのような介助が行われているか、一定の行動があるかなど、項目によって評価の考え方が違います。

だから、

「トイレに行けます」

だけでは十分に生活の様子が伝わらないことがあります。

トイレまで一人で行けるのか。

車いすから便座へ移るときに介助が必要なのか。

ズボンを下ろせるのか。

排泄後の始末はできるのか。

失敗したときは誰が対応しているのか。

同じ「トイレに行ける人」でも、実際に必要な介助は違います。

認定調査では、「できるか」だけでなく、その人が普段どのように生活しているのかを伝えることが大切です。

家族が「介護だと思っていないこと」が重要な場合もある

長く家族を介護していると、毎日やっていることが当たり前になってきます。

たとえば、

薬を毎回用意する。

転ばないようにそばで見ている。

同じことを何度も説明する。

夜中に起きた本人を寝室まで連れていく。

着替えを準備する。

家族からすると、

「これくらい普通にやってます」

となっていることがあります。

でも、それは本人が一人で生活するためには誰かの支援が必要な部分かもしれません。

認定調査の前に、

「介護していることを書き出そう」

とすると、意外と出てこないことがあります。

そんなときは、

「もし私が今日一日何もしなかったら、本人は何に困るだろう?」

と考えてみてください。

服薬、食事、排泄、移動、着替え、金銭管理、声かけ、見守り……。

普段当たり前にやっている支援に気づきやすくなります。

認知症は「診断名」だけでは介護の手間が伝わらない

認定調査で特に伝えにくいのが、認知症などによる生活上の困りごとです。

本人と普通に会話ができる。

自分で歩ける。

食事も自分で食べられる。

初対面では、

「かなりしっかりしている人だな」

と見えることもあります。

でも家では、

薬を飲んだことを忘れる。

財布を置いた場所が分からなくなり、家族が盗ったと言う。

同じことを何度も聞く。

夜中に起きて外へ出ようとする。

火の管理ができない。

こうしたことが起きているかもしれません。

だから、

「認知症があります」

だけで終わらせないことが大切です。

ご家族様
ご家族様
母は認知症なんですけど、調査員さんと普通に話せちゃうんです。それでも分かってもらえますか?

だからこそ、普段の具体的な様子を伝えます。

たとえば、

伝わりにくい説明 伝わりやすい説明
物忘れがひどい 食事をした直後に「まだ食べていない」と週4~5回言います
薬が飲めない 自分で管理すると飲み忘れるため、家族が毎食後に薬を渡しています
夜に大変です 週3回ほど夜中に起きて玄関へ行くため、家族が付き添っています
怒りっぽくなった 入浴を勧めると強く拒否することが週2回ほどあり、時間を変えて再度声をかけています

ポイントは、

何が起きるのか。

どのくらいの頻度なのか。

そのとき家族や職員が何をしているのか。

まで伝えることです。

「認知症がある」ではなく、「認知症によって生活の中でどんな支援が必要になっているか」を伝える。

ここが重要です。

認知症の症状を大げさに伝える必要はありません。

反対に、

「本人の前で言ったらかわいそうだから」

と困っていることをすべて伏せてしまうと、普段の状態が十分伝わらない可能性があります。

本人の気持ちに配慮しながら、必要であれば調査員へ別に伝えられるか相談してみましょう。

特記事項はなぜ重要?74項目だけでは生活の全部は表せない

認定調査の項目の部分でも触れましたが、認定調査には「特記事項」があります。

ここは今回の記事でかなり大切なので、もう少し掘り下げます。

認定調査には74項目の基本調査があります。

でも、人間の生活を74個の選択肢だけできれいに分類するのは難しいですよね。

厚生労働省の介護認定審査会委員テキストでも、74項目の基本調査だけで申請者の状況を正確に伝えることは容易ではないという考え方が示されています。

そこで重要になるのが、特記事項です。

たとえば、

「一部介助」

という同じ選択になったとしても、実際の介助内容や頻度は人によって違います。

認知症についても、

「認知症あり」

だけでは、どんな対応がどれくらい必要なのか分かりません。

その背景にある具体的な状況や介護の手間を伝える役割を持つのが特記事項です。

介護認定審査会では、一次判定を原案として、

認定調査の特記事項

主治医意見書

などを加味して二次判定を行います。

つまり、選択式の基本調査だけでは伝わりにくい情報も、審査判定に使われます。

「認知症だから大変」だけでは足りない

ここも重要です。

特記事項に書かれていれば、何でも介護度を上げる材料になるわけではありません。

厚生労働省の介護認定審査会委員テキストでは、

「認知症があるので手間がかかる」

といった、介護の手間が具体的に書かれていない情報だけでは、判定変更の根拠にできないことが示されています。

必要なのは、その先です。

何が起きている?

どのくらい起きる?

そのたびに誰が何をしている?

ここまで具体的になって、初めて普段の介護が見えてきます。

施設ケアマネをしていた頃も、

「認知症があります」

だけではなく、

「夜間に何回起きる」

「そのたびに職員がどう対応している」

「排泄では実際にどこを介助している」

というところまで調査員へ伝えることが大切だと感じていました。

介護度を重く見せるためではありません。

普段、職員が当たり前のようにやっている介助を、調査の日だけ抜け落ちさせないためです。

主治医意見書は何のためにある?家族が自分で書くものではない

要介護認定では、認定調査と並んで重要なのが主治医意見書です。

要介護認定を申請すると、市区町村が主治医に対して、本人の疾病や心身の状態などについて意見を求めます。

そのため、基本的には家族が主治医意見書を自分で作成して提出するものではありません。

主治医意見書には、傷病に関することだけでなく、心身の状態や生活機能など、要介護認定や介護サービスを考えるうえで必要な医学的情報が記載されます。

そして主治医意見書は、一次判定や介護認定審査会による二次判定に用いられます。

厚生労働省の資料でも、認定調査票の特記事項とともに、主治医意見書は申請者の介護の手間を総合的に把握するための重要な情報とされています。

嫁
じゃあ、お医者さんに「介護度を重く書いてください」ってお願いすればいいの?

それは違います(笑)。

主治医意見書も、希望する介護度を書いてもらうためのものではありません。

大切なのは、主治医が本人の状態を把握できるようにすることです。

たとえば診察室では普通に会話できていても、家では夜間に大きな混乱がある。

服薬管理ができない。

日常生活では家族の見守りが欠かせない。

こうした生活上の変化を主治医が十分知らないこともあります。

受診するときは、

「認定で有利になるように話す」

のではなく、

最近の本人の変化や、家庭で実際に困っていることを主治医にも具体的に伝える

ようにしましょう。

診察室の数分だけでは分からない生活上の変化を、普段から主治医と共有しておくことが大切です。

認定調査と主治医意見書の内容が違ったらどうなる?

ここまで読むと、こんな疑問も出てきます。

「調査員が見た状態と、主治医が書いた状態が違ったらどうするの?」

人の状態を別々の人が見れば、情報が完全に一致しないことはあり得ます。

だから要介護認定では、一つの情報だけで最終判定を決める仕組みにはなっていません。

厚生労働省の資料では、介護認定審査会が基本調査、特記事項、主治医意見書などを確認し、必要に応じて一次判定の内容について検討する仕組みが示されています。

また、認定調査資料や主治医意見書に大きな矛盾や記載不足があり、適切な審査が難しい場合には、再調査を求めることができるとされています。

認定調査だけ、主治医意見書だけで介護度が決まるわけではない。

複数の情報を使って審査するのが、要介護認定の仕組みです。

「主治医は元気な姿しか知らない」ということもある

ここは制度というより、家族に知っておいてほしい実務的なポイントです。

病院へ行く。

診察室へ入る。

先生から、

「調子どうですか?」

と聞かれる。

本人が、

「元気ですよ」

と答える。

これで診察が終わることもあるでしょう。

でも家へ帰れば、

薬を飲んだか分からない。

夜中に何度も起きる。

着替えがうまくできない。

家族が毎日声をかけている。

診察室で見える本人と、家で暮らしている本人が同じとは限りません。

これは、第1部で話した「調査の日だけ頑張れてしまう」のと少し似ています。

だから、要介護認定のためだけではなく、普段から主治医に、

「最近こういうことが増えました」

「家ではここを手伝っています」

と具体的に伝えておくことが大切です。

認定調査員には普段の介護を伝える。

主治医には普段の生活の変化を伝える。

どちらも「介護度を上げてもらうため」ではありません。

本人の実際の状態と必要な支援を、審査に使われる情報へきちんと反映してもらうためです。

ケアマネの本音:『要支援2』と『要介護1』の壁と、主治医への回覧メモ

要介護認定の中で、一番家族が頭を抱えるのが「要支援2」と「要介護1」の境界線です。

判定がどちらになるかで、使えるデイサービスの回数やショートステイの使いやすさが劇的に変わります。

ここで重要になるのが、一次審査の材料になる**「主治医意見書」**です。

お医者さんは診察室での数分間の姿しか見ていません。そのため、受診時に「特に変わりありません」と本人が言うと、現状より軽い判定の意見書が書かれてしまうことがあります。

認定申請を出したら、かかりつけ医を受診する際(または病院窓口)に、

「家での介護の大変さ(転倒回数や夜間の状態)」を書いた紙を1枚添えて渡しておきましょう。

これだけで主治医が書く意見書の精度が上がり、「こんなはずじゃなかった…」という後悔を防ぐことができます。

認定調査の前に家族がやっておきたいこと

認定調査だからといって、特別な準備をする必要はありません。

ただ、当日になると意外と忘れます。

「そういえば昨日も夜中に起きたんだった」

「薬も毎日こっちで用意してた」

調査が終わってから思い出すこともあります。

なので、難しい資料を作るより、普段の生活を簡単にメモしておく方が役立ちます。

確認しておきたいこと メモする内容の例
移動 どこまで一人でできるか、付き添いや介助が必要か
排泄 トイレまでの移動、衣類操作、失敗、後始末など
入浴・着替え 本人ができる部分と手伝っている部分
服薬 本人管理か、家族が準備・確認しているか
認知症などの状態 具体的な出来事、頻度、そのときの対応
夜間 起きる回数、トイレ、見守り、家族の対応など
最近の変化 転倒が増えた、食事量が減った、物忘れが進んだなど

きれいな文章にする必要はありません。

「週3回くらい」

「毎晩1回は起こされる」

「ズボンだけ手伝う」

このくらい具体的な方が、実際の生活は伝わります。

認定調査を控えているなら、今日から本人の生活を少しだけメモしてみてください。

ポイントは、

①何が起きたか
②どのくらいの頻度か
③そのとき家族が何をしたか

の3つです。

介護度を上げる材料集めではなく、「いつもの生活」を忘れずに伝えるためのメモとして使いましょう。

要介護認定は誰が申請できる?65歳以上と40~64歳では条件が違う

要介護認定は、高齢者なら誰でも同じ条件で申請できるわけではありません。

大きく分けると、

65歳以上の人

と、

40~64歳の人

で条件が違います。

年齢 要介護認定を受ける主な条件
65歳以上 原因となる病気を問わず、介護や支援が必要な状態であれば申請できる
40~64歳 医療保険に加入しており、16種類の特定疾病が原因で要支援・要介護状態になった場合

65歳以上なら病名に関係なく申請できる

65歳以上の第1号被保険者は、介護が必要になった原因となる病気を問わず、要介護認定を申請できます。

たとえば、

転倒して骨折し、歩くのが難しくなった。

認知症が進み、一人暮らしが難しくなった。

年齢とともに筋力が落ち、入浴や着替えを手伝ってもらうようになった。

こうした場合でも対象になります。

「この病気じゃないと介護保険を使えない」という条件は、65歳以上にはありません。

40~64歳は16種類の「特定疾病」が条件

一方、40歳から64歳までの第2号被保険者は少し違います。

医療保険に加入しており、介護が必要になった原因が介護保険制度で定められている16種類の特定疾病によることが必要です。

代表的なものには、

初老期における認知症

脳血管疾患

パーキンソン病関連疾患

関節リウマチ

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

などがあります。

40~64歳の場合は、

「介護が必要だから対象」ではなく、「特定疾病が原因で要支援・要介護状態になったか」

がポイントです。

特定疾病に該当するかは、主治医意見書などをもとに介護認定審査会で確認されます。

参考:厚生労働省|40歳になられた方へ 介護保険制度について

参考:厚生労働省|特定疾病の選定基準の考え方

要介護認定は本人じゃなくても申請できる

要介護認定は本人が市区町村へ申請できますが、本人だけで手続きをしなければならないわけではありません。

家族が申請することもできます。

また、本人や家族だけで申請するのが難しい場合には、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などへ相談できます。

ご家族様
ご家族様
父は入院中で、自分で役所へ行けません。それでも申請できますか?

入院中でも申請できます。

本人が動けない場合でも、家族や病院の相談員、市区町村の窓口などへ相談して進めることができます。

要介護認定について分からなければ、

市区町村の介護保険窓口
地域包括支援センター

へ相談するのが分かりやすいです。

「まだ申請するか決めていない」という段階でも相談できます。

認定結果はいつ届く?原則30日以内

要介護認定を申請したら、すぐ結果が出るわけではありません。

介護保険法では、原則として申請から30日以内に認定結果を通知することになっています。

ただし、認定調査や審査などに時間がかかる特別な理由がある場合には、市区町村が処理に必要な期間や理由を通知したうえで延期することがあります。

「30日を超えたら制度違反で必ずおかしい」という単純な話ではありません。

結果がなかなか届かない場合は、市区町村へ現在の進捗を確認してみましょう。

介護保険法では、要介護認定は原則として申請から30日以内に行うこととされています。

一方、調査などに時間を要する特別な理由がある場合には、延期できる仕組みもあります。

参考:厚生労働省|介護保険法(要介護認定)

認定結果が届いたら何をする?区分によって相談先が変わる

認定結果が届いたら、まず自分がどの区分になったのかを確認します。

認定結果 その後の主な相談先・考え方
非該当 市区町村や地域包括支援センターへ、介護予防事業や総合事業など利用できる支援を相談
要支援1・2 地域包括支援センターなどへ相談し、介護予防サービス等の利用を検討
要介護1~5 居宅介護支援事業所などへ相談し、ケアマネジャーとケアプランを作成してサービス利用を検討

ここで大切なのは、

「要介護認定が出た=自動的に介護サービスが始まる」

わけではないことです。

本人や家族の生活状況、希望、必要な支援などを確認して、どのサービスを利用するか考えていきます。

要支援・要介護で担当がどう変わるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

「要介護から要支援になったらケアマネは変わる?担当が変わる仕組み」

要介護から要支援になったときのケアマネと介護サービスへの影響
要介護から要支援になったらケアマネは変わる?サービスへの影響も解説 要介護認定の更新をした結果、 「要介護2から要支援2になった」 「介護度が軽くなったのは...

認定結果が今の状態と合わないと感じたら?

認定結果が届いて、

「え?これだけ介護しているのに要支援なの?」

逆に、

「こんなに自分でできるのに要介護4?」

と感じることもあります。

私自身も施設ケアマネとして、「要介護4なんて納得できない」と本人から怒られた経験があります(笑)。

まず知っておきたいのは、認定結果に納得できない場合と、認定後に本人の状態が変わった場合では手続きが違うということです。

状態が変わったなら「区分変更申請」

要介護認定には有効期間がありますが、その期間中でも本人の状態が大きく変わることがあります。

たとえば、

転倒して歩けなくなった。

脳梗塞などで介助量が大きく増えた。

認知症が進み、見守りが増えた。

こうした場合には、現在の認定期間が終わるまで待たず、要介護状態区分の変更申請をすることができます。

介護保険法では、現在認定されている要介護状態区分とは別の区分に該当すると考えられる場合、市区町村へ区分変更申請ができることが定められています。

参考:厚生労働省|介護保険法(要介護状態区分の変更)

「調査当時からこの状態だったのに」と思うなら、まず相談する

一方、本人の状態が変わったのではなく、

「認定された介護度そのものが、申請時の実態と合っていない気がする」

という場合もあります。

そんなときは、まず市区町村の介護保険窓口や担当ケアマネジャーなどへ相談しましょう。

認定処分そのものに不服がある場合は、都道府県に設置されている介護保険審査会へ審査請求する制度があります。

介護保険法では、原則として処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に審査請求を行うこととされています。

審査請求と区分変更申請は同じものではありません。

審査請求は、認定処分そのものへの不服申立て。

区分変更申請は、認定後に本人の状態が変わった場合などに、現在の介護度を見直してもらう手続きです。

どちらが適しているか分からない場合は、まず市区町村へ相談してください。

参考:厚生労働省|介護保険法(審査請求)

要介護認定には有効期間がある|更新を忘れない

一度認定を受ければ、その介護度がずっと続くわけではありません。

要介護認定・要支援認定には有効期間があります。

厚生労働省の案内では、

認定 基本的な有効期間
新規認定 原則6か月。状態等に応じて3~12か月で設定される場合がある
区分変更認定 原則6か月。状態等に応じて設定される
更新認定 原則12か月。条件によって3~48か月の範囲で設定される場合がある

更新時期が近づいたら、現在の認定の有効期間を確認しておきましょう。

また、先ほど説明したとおり、状態が大きく変われば更新時期を待たずに区分変更申請を検討できます。

参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」

要介護認定に関するよくある質問

要介護認定の申請に費用はかかりますか?

要介護認定の申請そのものについて、申請者が認定調査や主治医意見書の作成費を負担する仕組みではありません。

ただし、認定後に介護保険サービスを利用すれば、所得などに応じてサービス費の自己負担が発生します。

要介護認定は申請してから何日くらいで結果が出ますか?

原則として申請から30日以内に認定結果が通知されます。

ただし、認定調査や審査などに時間を要する特別な理由がある場合には、延期されることがあります。

結果が遅い場合は、市区町村へ確認してみましょう。

認定調査の日にいつもより元気だったら介護度が軽くなりますか?

調査当日の状態だけで判断する仕組みではありません。

厚生労働省の認定調査員テキストでは、調査時と普段の状態が異なる場合、日頃の状況を確認して判断する考え方が示されています。

本人が普段どのような介助や見守りを受けているのかを具体的に伝えることが大切です。

家族が希望する介護度にしてもらえますか?

希望する介護度を指定することはできません。

要介護認定は、認定調査や主治医意見書などをもとに審査・判定されます。

「要介護にしてほしいからできないように見せる」のではなく、普段の介助や見守りを正確に伝えましょう。

40歳でも介護保険サービスを利用できますか?

40~64歳の医療保険加入者は、介護保険制度で定められた16種類の特定疾病が原因で要支援・要介護状態になった場合に対象となります。

単に介護が必要な状態であるだけでは対象にならない点に注意してください。

認定結果に納得できない場合はどうすればいいですか?

まず、市区町村の介護保険窓口や担当ケアマネジャーなどへ相談してください。

認定処分そのものに不服がある場合は、都道府県の介護保険審査会へ審査請求できる制度があります。

一方、認定後に本人の状態が変わった場合は、区分変更申請を検討します。

要介護認定は一度受ければずっと有効ですか?

いいえ。

要介護認定には有効期間があります。

有効期間が終了する前に更新申請が必要です。

また、有効期間中でも本人の状態が変わった場合には区分変更申請ができます。

まとめ|要介護認定は「介護度を取る試験」ではない

この記事は、介護業界18年/介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)/施設ケアマネとしての経験をもとに、厚生労働省の要介護認定資料や介護保険法などの公的情報を確認しながら執筆・監修しています。

要介護認定で覚えておきたいこと
  • 要介護認定は病気の重さや見た目だけで決まるものではない
  • 調査の日だけでなく、普段の生活や介護の手間が重要
  • 認定調査・特記事項・主治医意見書など複数の情報をもとに判定される
  • 介護度を上げるために状態を大げさに伝える必要はない
  • 普段実際に行っている介助や見守りを具体的に伝える
  • 認定結果は原則申請から30日以内
  • 認定後に状態が変われば区分変更申請ができる
  • 認定には有効期間があり、必要に応じて更新する

要介護認定というと、どうしても、

「要介護いくつが出るのか」

に目が行きます。

私もケアマネとして何度も認定調査に立ち会いましたし、家族の立場になったときには、

「非該当だったら困るな」

と思ったこともあります。

だから、家族が介護度を気にする気持ちはよく分かります。

でも、要介護認定の目的は、高い介護度を取ることではありません。

本人が普段どんな生活をしているのか。

何ができるのか。

何を手伝っているのか。

どこに見守りが必要なのか。

それをできるだけ正確に伝えて、必要な介護につなげるための仕組みです。

介護度はゴールではなく、その人に必要な支援を考えるためのスタート地点。

私は、そう考えるのが一番しっくりきます。

よっしーからひとこと

認定調査って、何度立ち会っても不思議な場面があります。

普段はフラフラなのに、その日に限って歩ける。

いつもは職員に手伝ってもらっているのに、

「全部自分でやっています」

と答える。

そして介護度が出れば、

「なんで俺が要介護4なんだ」

と怒られる(笑)。

本当にいろいろありました。

だから私は、

認定調査の30分や1時間だけで、その人の生活全部を見るなんて無理だよな

と思っています。

家族も職員も、本人を悪く見せる必要はありません。

逆に良く見せる必要もありません。

「普段はこうです」

とそのまま伝える。

たったそれだけですが、これが一番大事です。

要介護認定は、

「できない人になるための制度」でも、「高い介護度を取る競争」でもありません。

必要な支援につなげるための制度です。

結果が思っていたものと違ったときも、一人で抱えず、市区町村やケアマネジャーなどへ相談してみてください。

監修・執筆:よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として施設探しにも携わる。
施設ケアマネとして要介護認定や認定調査にも関わってきた経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護の実情を家族目線で分かりやすく発信しています。

 

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