サ高住・住宅型・介護付き有料老人ホームの違い|結局どれ?元入居相談員が本音で比較
サ高住・住宅型有料老人ホーム・介護付き有料老人ホーム。
親の施設を探し始めると、この3つの違いを説明する記事がたくさん出てきます。
もちろん違いを知ることは大切です。
でも、老人ホーム入居相談員として本人や家族の施設探しに携わってきた私からすると、最初から「うちの親は3種類のどれ?」と考えなくてもいいと思っています。
実際の施設探しは、そんなにきれいに分かれません。
要介護度が高くても、24時間看護師がいる住宅型有料老人ホームが候補になることがあります。
比較的元気でも、一人暮らしへの不安が大きければ、サ高住だけに絞るとは限りません。
そして介護付き有料老人ホームだからといって、私はそれだけで「安心な施設」と判断しません。
施設の種類は大切。でも、それだけで親の入居先は決まりません。
この記事では3種類の制度上の違いを押さえながら、実際に私が入居相談でどう候補を絞っていたのか、そして「自分の母ならどこから探すか」まで踏み込んで解説します。
- サ高住・住宅型・介護付き有料老人ホームの違い
- 3種類を要介護度だけで選べない理由
- 入居相談員が最初に確認していた条件
- 「介護付きだから安心」とは限らない理由
- 料金・地域・介護・医療から候補を絞る考え方
- 自分の親なら、どこから探し始めるか
- パンフレットより見学で確認したいこと
- サ高住・住宅型・介護付きの違いは?まずは大枠だけ知っておけばいい
- 「要介護3なら介護付き」とは限らない。現場はそんなにきれいに分かれない
- 入居相談で最初に聞いていたのは「どの種類?」ではなく地域とお金
- 私なら「類型」より先に、この順番で候補を絞る
- 「介護付きだから安心」は、私はあまり信用していない
- 「安い介護付きは大丈夫?」と心配する家族もいた。でも値段だけでも決められない
- 介護付きならレクリエーションが充実?現場はそんなにきれいじゃない
- 自分の母なら?私はまず介護付きから探す。でも、そこで決めない
- パンフレットならA施設。でも私なら「古くて少し高いB施設」をもう一度見ることがある
- 「確認します」が悪いわけじゃない。でも、そればかりだと私は気になる
- 施設長・ケアマネ・相談員はできれば見ておきたい
- 「24時間看護師常駐の住宅型」が介護付きより合う人もいる
- 住宅型の「医療に強い」は魅力。でも私はサービスの使い方も見る
- 見学は「きれいな時間」だけ見ても分からない
- 食事も「豪華かどうか」より、母ちゃんが食べられるか
- 見学でAとBが残ったら、私は「弱いところ」を聞いて比べる
- 古くて少し高い。それでも私がB施設を残す理由
- じゃあ結局、母ちゃんの入居先はどこにする?
- それでも「B施設に決定!」とはまだ言わない
- 施設を決める前に、私は母ちゃん本人をもう一度見る
- サ高住・住宅型・介護付きで迷ったときの「私ならこう探す」
- サ高住・住宅型・介護付き有料老人ホームでよくある質問
- まとめ|「どの種類がいい?」から「うちの親ならどう暮らす?」へ
サ高住・住宅型・介護付きの違いは?まずは大枠だけ知っておけばいい
3種類の大きな違いを、まずは整理します。
| 比較 | サ高住 | 住宅型有料老人ホーム | 介護付き有料老人ホーム |
|---|---|---|---|
| 基本的な位置づけ | 高齢者向けの住宅 | 生活支援等が付いた有料老人ホーム | 介護等のサービスが付いた有料老人ホーム |
| 介護が必要な場合 | 一般的には訪問介護などを利用※ | 本人が必要な訪問介護などを選んで利用 | 特定施設入居者生活介護として施設側が介護を提供※ |
| 特徴 | 安否確認・生活相談が必須 | 施設の生活支援+必要な外部介護サービス | 一定の人員・設備・運営基準のもとで介護を提供 |
| 私ならどう見る? | 自由度だけで決めない | 職員体制・介護・医療連携まで見る | 「介護付きだから安心」で終わらせず中身を見る |
※サ高住でも特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合があります。また、介護付き有料老人ホームには外部サービス利用型もあります。
厚生労働省では、住宅型有料老人ホームを、介護が必要になった場合に本人の選択で地域の訪問介護などを利用しながら生活を続ける類型としています。
一方、介護付き有料老人ホームは、特定施設入居者生活介護の指定を受け、介護サービスを提供する有料老人ホームです。
参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム「有料老人ホームの類型」
サ高住は、すべての入居者に安否確認・生活相談サービスを提供することが必要です。それ以外の介護・医療・生活支援については、住宅によって提供・連携の内容が異なります。
参考:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム|入居者に提供されるサービス
「要介護3なら介護付き」とは限らない。現場はそんなにきれいに分かれない
サ高住・住宅型・介護付きの比較では、よくこんな分け方を見かけます。
元気な人ならサ高住。
軽度~中程度の介護なら住宅型。
要介護度が高くなったら介護付き。
確かに、施設を探す最初の目安にはなります。
でも、実際の施設選びはそんなにきれいには分かれません。
私は入居相談員として、要介護度が高く医療的な支援も必要な人を、24時間看護師がいる住宅型有料老人ホームへ紹介したことが何度もあります。
反対に、サ高住でも特定施設入居者生活介護の指定を受けていて、介護付き有料老人ホームに近い介護体制を持つところがあります。
国の基準でも、特定施設入居者生活介護には看護・介護職員などの人員配置基準が定められています。
参考:厚生労働省|指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
入居相談で最初に聞いていたのは「どの種類?」ではなく地域とお金
私が入居相談員として施設探しの相談を受けたとき、いきなり、
「サ高住にしますか?住宅型にしますか?介護付きにしますか?」
とは聞きませんでした。
まず確認していたのは、もっと現実的な条件です。
| 最初に確認すること | なぜ重要なのか |
|---|---|
| 希望地域 | 通える範囲を限定するほど候補は少なくなる |
| 毎月の予算 | 家賃・食費だけでなく継続して払える総額を見る |
| 介護保険の負担割合 | 介護サービス利用時の自己負担に影響する |
| 医療費の自己負担 | 通院・薬・訪問診療等を含めた支出を考える必要がある |
| 本人の状態 | 介護・認知症・医療など必要な支援を確認する |
ここを聞くと、かなり現実が見えてきます。
たとえば、
「この地域限定で、全部込み10万円以下。要介護2以下です」
という相談。
条件によっては、私は無理に候補を出しませんでした。
「その条件だと、うちでは見つけるのが難しいです」
とはっきり伝えることもありました。
でも、そこで終わりではありません。
地域を広げられるのか。
予算を少し見直せるのか。
何が絶対条件で、何なら譲れるのか。
そこを家族と一緒に整理します。
私なら「類型」より先に、この順番で候補を絞る
ここまでを、実際の施設探しの順番にするとこうなります。
| 順番 | 確認すること |
|---|---|
| ① 地域 | どこまでなら本人・家族が許容できるか |
| ② 予算 | 毎月無理なく払い続けられる金額はいくらか |
| ③ 負担割合 | 介護・医療を含めた実際の自己負担を考える |
| ④ 本人の状態 | 介護・認知症・医療・夜間など何が必要か |
| ⑤ 施設の中身 | その人に必要な支援を実際に提供できるか |
| ⑥ 類型 | サ高住・住宅型・介護付きのどれが候補になるか整理する |
「介護付きに入れたい」から探すのではなく、「母に必要な条件を満たす施設を探したら、介護付きが残った」。
私は、この順番の方が実際の施設探しに近いと思っています。
「介護付きだから安心」は、私はあまり信用していない
介護付き有料老人ホームには、特定施設入居者生活介護として一定の人員基準があります。
たとえば一般型では、要介護者について看護職員・介護職員の合計を常勤換算で利用者3人に対して1人以上とする基準などが定められています。
参考:厚生労働省|指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準
これは介護付き有料老人ホームを考えるうえで大切な制度上の違いです。
でも、ここから先は施設ごとの差があります。
職員の経験。
施設長の考え方。
ケアマネや相談員の対応。
職員同士の連携。
食事。
日中の過ごし方。
認知症への対応。
医療との連携。
これらが「介護付き」という名前だけで同じになるわけではありません。
「安い介護付きは大丈夫?」と心配する家族もいた。でも値段だけでも決められない
入居相談では、料金についてこんな反応をされることもありました。
「こんなに安い介護付きで大丈夫なんですか?」
安いと何か問題があるのではないか。
高い施設なら職員も多く、食事も良く、レクリエーションも充実しているのではないか。
そう考えたくなる気持ちは分かります。
でも、料金だけで施設の中身を判断することもできません。
そして実際に予算を整理していくと、最終的には無理なく払い続けられる施設を選ぶ家族が多くなります。
それは当然だと思います。
老人ホームは、一度払えば終わりではないからです。
1年、3年、5年と生活が続く可能性があります。
高い施設に入ることより、必要なサービスを受けながら払い続けられることの方が大切です。
介護付きならレクリエーションが充実?現場はそんなにきれいじゃない
介護付き有料老人ホームというと、
毎日レクリエーションがあって、体操をして、みんなで楽しく過ごしている。
そんなイメージを持っている人もいます。
もちろん、レクリエーションに力を入れている施設はあります。
でも、すべての介護付き有料老人ホームが毎日充実した活動をしているとは限りません。
そして可能なら、見学では建物のきれいさだけでなく、職員が実際に動いている様子も見てください。
私なら、浴室や居室も見ます。
そして施設長、ケアマネジャー、相談員とも話したい。
入居したあと、本人や家族と関わることが多い人たちだからです。
自分の母なら?私はまず介護付きから探す。でも、そこで決めない
この条件なら、私ならまず介護付き有料老人ホームから探し始めます。
理由は「介護付きなら絶対安心だから」ではありません。
一定の人員配置基準がある介護付きから候補を出し、その中で母に合う施設があるかを実際に見たいからです。
でも、ここで、
「母ちゃんは介護付きに決定!」
とはしません。
24時間看護師がいる住宅型が近くにあり、本人の状態や費用に合うなら当然候補にします。
介護体制が整ったサ高住があり、本人の暮らし方に合うなら見に行きます。
介護付きから「探し始める」。介護付きに「決めてから探す」のではない。
この違いは、施設探しではかなり大きいと思っています。
施設見学で確認したいポイントは、こちらの記事でも詳しくまとめています。
→老人ホーム見学チェックリスト|見学で確認したいポイントを解説
パンフレットならA施設。でも私なら「古くて少し高いB施設」をもう一度見ることがある
たとえば、母の施設探しで2つの候補が残ったとします。
| 比較 | A施設 | B施設 |
|---|---|---|
| 建物 | 新しくてきれい | 少し古い |
| 料金 | 予算内で比較的安い | Aより若干高い |
| 設備 | 新しく充実している | 必要なものはあるが新しくはない |
| パンフレットの印象 | かなり良い | 普通 |
| 見学時の対応 | 質問への回答がやや曖昧 | できること・できないことを具体的に説明 |
この条件だけなら、A施設を選びたくなると思います。
私だって、まずA施設を見ます。
でも、ここからが施設見学です。
母には認知症があり、薬の管理も難しくなっている。
そこでA施設の担当者へ、
「母は薬を飲んだこと自体を忘れることがあります。ここではどう対応しますか?」
と聞いてみる。
返ってきたのが、
「確認してみます」
さらに医療について聞いても、
「それも担当に確認します」
夜間について聞いても、
「たぶん対応できると思いますが……」
もしこんな回答が続いたら、私は少し気になります。
一方、B施設では、母の状態を聞いた施設長が、
「今の状態なら対応できます。ただ、こういう状態まで進むとうちでは難しくなります」
と説明してくれた。
薬についても、夜間についても、できることと難しいことを具体的に話してくれる。
この時点で私は、B施設をもう一度見ます。
建物は古い。
しかもAより少し高い。
それでもです。
「確認します」が悪いわけじゃない。でも、そればかりだと私は気になる
ここは誤解してほしくありません。
「確認します」と答える施設が悪いわけではありません。
医療的な判断など、その場で回答できないことは当然あります。
むしろ、分からないことを適当に答えられる方が私は困ります。
私が見るのは、回答の仕方です。
たとえば、
「それは看護師に確認が必要です。ただ、現在も同じような方がいて、普段はこのように対応しています」
なら話は具体的です。
一方で、認知症について聞いても確認。
夜間について聞いても確認。
介護が重くなった場合も確認。
退去についてもよく分からない。
それが続けば、私は、
「この人は普段、入居者や家族から相談を受けたときにどうしているんだろう?」
と考えます。
施設長・ケアマネ・相談員はできれば見ておきたい
私が自分の母の施設を見学するなら、建物だけで帰りません。
できれば、
- 施設長
- ケアマネジャー
- 生活相談員など相談窓口になる職員
このあたりの人とは話しておきたいです。
なぜなら、入居したあとに本人や家族が関わる可能性が高い人たちだからです。
たとえば母の認知症が進んできた。
食事量が減ってきた。
転倒が増えた。
入院することになった。
施設での生活に不満が出てきた。
そんなとき、家族は誰かに相談します。
建物は相談に乗ってくれません。
最後に話すのは人です。
「24時間看護師常駐の住宅型」が介護付きより合う人もいる
要介護度が高い。
医療的な支援も必要。
そう聞くと、介護付き有料老人ホームを想像する人は多いと思います。
もちろん有力な候補です。
ただ、実際には看護師を24時間配置し、医療ニーズの高い人を積極的に受け入れている住宅型有料老人ホームもあります。
私は入居相談員として、そうした住宅型に相談し、実際に入居につながったケースを何度も経験しました。
つまり、
「要介護度が高い=介護付き」
「医療が必要=介護付き」
と決めつけると、本人に合う候補を最初から外してしまう可能性があります。
厚生労働省の重要事項説明書でも、有料老人ホームについて職員体制やサービス内容などを確認できるようになっています。
住宅型の「医療に強い」は魅力。でも私はサービスの使い方も見る
医療ニーズの高い人を積極的に受け入れる住宅型は、家族にとって心強い存在になることがあります。
一方で、私は営業で居宅介護支援事業所を回っていたとき、ケアマネジャーから特定の住宅型有料老人ホームのサービス提供のあり方に疑問を感じるという声を聞くこともありました。
ここは、特定の住宅型が悪いという話ではありません。
大事なのは、本人に必要な介護・医療サービスが、本人の状態や希望に沿って組まれているかです。
厚生労働省の有料老人ホームに関する指針でも、入居者が希望する介護サービスの利用を妨げたり、特定の事業者に限定・誘導したりしないことが示されています。
参考:厚生労働省|有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
見学は「きれいな時間」だけ見ても分からない
施設側が見学を受ける以上、ある程度きれいに整えて迎えるのは当然です。
だから、玄関がきれい。
モデルルームのような居室。
明るい相談室。
それだけで私は決めません。
むしろ見たいのは、普段の生活が動いているところです。
たとえば昼食前後。
夕食前。
入浴が行われている時間帯。
こういう時間は職員も忙しくなります。
もちろん施設の都合もあるため、希望した時間に必ず見学できるとは限りません。
それでも可能なら、私は職員が実際に入居者へどう関わっているのかを見ます。
食事も「豪華かどうか」より、母ちゃんが食べられるか
私なら、可能であれば食事も確認します。
試食できる施設なら、実際に食べてみたいです。
ただし、ここでも「豪華だった」「おいしかった」だけでは決めません。
母が食べられるのか。
量はどうか。
硬さはどうか。
本人の好みに合いそうか。
食べられなくなったとき、どんな対応ができるのか。
食事は毎日のことです。
見学者向けの一食がおいしかったかより、入居後の365日の食事を想像したい。
見学でAとBが残ったら、私は「弱いところ」を聞いて比べる
見学に行けば、施設の良いところはたくさん説明してくれます。
それは当然です。
だから私なら、良いところだけではなく弱いところも聞きます。
| 聞きたいこと | 私が知りたいこと |
|---|---|
| 「どんな方だと対応が難しいですか?」 | 施設の限界 |
| 「夜間にできないことはありますか?」 | 夜間体制の実態 |
| 「認知症が進んだ場合、どこまで対応できますか?」 | 継続入居の可能性 |
| 「医療面で受けられない処置はありますか?」 | 医療対応の限界 |
| 「退去を相談するのはどんな場合ですか?」 | 将来の退去リスク |
有料老人ホームでは、重要事項説明書にサービス内容・職員体制・利用料金などの重要事項を実態に即して記載し、入居希望者へ説明することが求められています。
だから契約前には、パンフレットだけでなく重要事項説明書も確認してください。
古くて少し高い。それでも私がB施設を残す理由
ここで最初のA施設とB施設に戻ります。
A施設は新しい。
きれい。
料金も少し安い。
設備もいい。
B施設は少し古い。
しかも若干高い。
条件表だけなら、A施設です。
それでも見学して、
B施設の施設長が母の状態を細かく聞いてくれた。
ケアマネや相談員とも具体的な話ができた。
できることだけでなく、できないことも説明してくれた。
職員が忙しい時間でも、入居者への声かけが雑ではなかった。
食事も母が食べられそうだった。
そこまで確認できたら、
私ならB施設を最終候補に残します。
ただし、まだ、
「母ちゃんの入居先はBで決まり!」
とは言いません。
料金を払い続けられるか。
本人がどう感じたか。
家族が通えるか。
契約内容はどうか。
介護が重くなったときも住めそうか。
最後にもう一度確認します。
施設見学で具体的に何を確認すればいいかは、こちらの記事でもチェックリストにまとめています。
→老人ホーム見学チェックリスト|見学で確認したいポイントを解説
じゃあ結局、母ちゃんの入居先はどこにする?
ここまでの条件を、もう一度整理します。
母はまだ歩ける。
でも認知症があり、薬の管理が難しくなってきた。
夜の一人暮らしも心配です。
そこで私は、まず介護付き有料老人ホームを中心に探し始めました。
そして見学した結果、最後にA施設とB施設が残ったとします。
| 比較 | A施設 | B施設 |
|---|---|---|
| 建物 | 新しくてきれい | 少し古い |
| 料金 | 少し安い | 若干高い |
| 設備 | 充実している | 必要なものはそろっている |
| 施設長の説明 | 質問への回答がやや曖昧 | できること・難しいことを具体的に説明 |
| 職員の様子 | 大きな問題は感じない | 忙しい時間でも声かけが丁寧 |
| 母との相性 | 悪くはなさそう | ここなら暮らせそうと感じる |
パンフレットだけなら、私はA施設に目が行きます。
新しい。
きれい。
しかも安い。
家族としては魅力的です。
でも、母を実際に預けるとなったら話は変わります。
B施設は古い。
しかも少し高い。
それでも、施設長が母の状態をきちんと聞き、できることとできないことを説明してくれた。
ケアマネや相談員とも話ができた。
職員の様子も見た。
食事も母が食べられそうだった。
そこまで確認できたなら、
私なら、この時点ではB施設を第一候補にします。
「古くて高いのに?」と思うかもしれません。
それでもです。
それでも「B施設に決定!」とはまだ言わない
見学の印象が良い。
施設長も信頼できそう。
本人も嫌がっていない。
ここまで来ると、家族としては早く決めたくなると思います。
でも、私は最後にもう一度現実を確認します。
| 最後に確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 毎月の総額 | 家賃・食費だけでなく介護・医療・日用品等も含めて払い続けられるか |
| 介護が増えた場合 | 現在より介助量が増えても対応できるか |
| 認知症が進んだ場合 | どのような状態まで対応できるか |
| 医療が必要になった場合 | 対応できる医療的ケアや連携先はどうなっているか |
| 入院した場合 | 居室・料金・退院後の再入居はどうなるか |
| 看取り | 対応方針や実績、医療との連携を確認する |
| 退去条件 | どんな状態になると住み続けることが難しくなるか |
特に料金は、月額利用料だけを見て終わらせないでください。
介護保険の自己負担。
医療費。
薬代。
おむつ。
日用品。
理美容。
その他の有料サービス。
本人によって必要な費用は変わります。
「月額15万円の施設」ではなく、「母がここで生活したら毎月いくらになるのか」で考えます。
厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針では、重要事項説明書を実態に即して正確に作成し、入居希望者が契約内容を十分理解できるよう、契約前に十分な時間的余裕をもって説明することが示されています。
参考:厚生労働省|有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
施設を決める前に、私は母ちゃん本人をもう一度見る
施設を一生懸命探していると、家族の方が施設選びに夢中になることがあります。
料金を調べる。
見学へ行く。
パンフレットを比べる。
口コミを見る。
家族会議をする。
全部大切です。
でも最後に、もう一度本人を見てください。
母はここをどう感じているのか。
新しい建物が好きなのか。
多少古くても落ち着いた雰囲気の方がいいのか。
食事は食べられそうか。
職員と話したときの表情はどうだったか。
本人なりに嫌がっていることはないか。
認知症があるから本人の希望は聞かなくていい、とは私は思いません。
うまく言葉にできなくても、表情や反応から見えるものがあります。
サ高住・住宅型・介護付きで迷ったときの「私ならこう探す」
ここまでの話を、私ならどう動くかという順番でまとめます。
| 段階 | 私ならやること |
|---|---|
| ① 条件整理 | 地域・予算・介護と医療の負担割合・本人の状態を確認 |
| ② 候補探し | 条件に合うサ高住・住宅型・介護付きを横断して探す |
| ③ 優先順位 | 本人の状態から「まずどこを見るか」を決める |
| ④ 見学 | 建物だけでなく職員・施設長・ケアマネ・相談員を見る |
| ⑤ 突っ込んで聞く | できることより、できないこと・将来難しくなることを確認 |
| ⑥ 費用と契約 | 実際の総額・重要事項説明書・退去条件などを確認 |
| ⑦ 本人を見る | 本人の希望・表情・反応も含めて最終判断する |
この順番を見ると分かると思います。
「サ高住・住宅型・介護付きのどれ?」は、施設探しの答えではありません。
あくまで候補を探すための情報のひとつです。
だから私は、
「要介護3だから介護付き」
とも、
「元気だからサ高住」
とも、最初から決めません。
母の状態と条件を見て、まず探す方向を決める。
そして実際の施設を見て、何度でも候補を入れ替える。
類型から親を選ぶのではなく、親から施設を選ぶ。
私はこの方が、実際の老人ホーム探しに近いと思っています。
サ高住・住宅型・介護付き有料老人ホームでよくある質問
一番おすすめの類型はありません。
本人の状態、予算、希望地域、必要な介護・医療、本人が望む暮らしによって変わります。
私は入居相談員として施設を探すときも、類型だけで候補を決めていませんでした。
まず条件を整理し、そこから実際の施設を比較することをおすすめします。
介護付き有料老人ホームは有力な候補になりますが、要介護3以上だから介護付き一択とは限りません。
医療ニーズが高い人を受け入れている住宅型有料老人ホームなどが候補になる場合もあります。
要介護度だけでなく、本人に必要な介護・医療と各施設の対応力を確認してください。
サ高住は候補になりますが、本人や家族が何に不安を感じて住み替えるのかを考えることが大切です。
サ高住では安否確認・生活相談が必須ですが、それ以外の介護・医療・生活支援の提供や連携内容は住宅によって異なります。
「元気だからサ高住」ではなく、「このサ高住で親の困りごとは解決するか」まで確認しましょう。
安い=悪いとは限りません。
立地、建物、居室、サービス内容など、料金が違う理由は施設ごとに異なります。
大切なのは、安い理由を確認したうえで、本人に必要な介護や生活支援が受けられるかを見ることです。
反対に、高額だから本人に合うとも限りません。
知名度のある運営会社は、家族にとって安心材料のひとつになると思います。
ただし、最終的には個々の施設を見ることをおすすめします。
同じ運営会社でも、施設長や職員、入居者、建物、地域などは施設ごとに違います。
ブランドだけではなく、実際に見学して本人との相性まで確認してください。
私は、建物のきれいさだけでなく人をかなり見ます。
職員が入居者へどう声をかけているか。
施設長ができないことも説明してくれるか。
ケアマネや相談員へ相談しやすそうか。
そして、本人がそこでどんな表情をしているか。
「この人たちに親を預けたいと思えるか」という視点も大切にしてください。
まとめ|「どの種類がいい?」から「うちの親ならどう暮らす?」へ
- サ高住・住宅型・介護付きには制度上の違いがある
- 要介護度だけで3種類を機械的に振り分けない
- 最初に地域・予算・負担割合・本人の状態を整理する
- 介護付きという類型だけで施設の質は判断できない
- 医療ニーズが高ければ住宅型が有力候補になる場合もある
- 見学では建物だけでなく施設長・ケアマネ・相談員・職員を見る
- 安い=悪い、高い=良いとは限らない
- 最後は本人の希望や反応も含めて決める
サ高住・住宅型有料老人ホーム・介護付き有料老人ホーム。
3種類の違いを調べていると、どうしても、
「で、結局どれが一番いいの?」
という答えが欲しくなります。
でも、老人ホーム入居相談員として施設探しに携わってきた私の答えは、少し違います。
一番いい「種類」を探すより、一番合う「施設」を探してほしい。
自立だからサ高住。
介護が少し必要だから住宅型。
要介護度が高いから介護付き。
これくらいきれいに分けられたら、施設探しは簡単です。
でも実際には、そんなにきれいではありません。
要介護度が高くても住宅型が合う人がいる。
比較的元気でも介護付きから探した方がいい人もいる。
介護付きでも、私なら候補から外す施設はあります。
反対に、建物が少し古くて料金も若干高い。
それでも、
「ここなら母ちゃんを預けたい」
と思える施設が残ることもあります。
だから施設探しでは、比較表の○△×だけで親の暮らしを決めないでください。
地域。
お金。
介護。
医療。
認知症。
本人の性格。
家族との距離。
職員。
施設長。
ケアマネ。
相談員。
そして、本人がそこでどんな顔をしているのか。
そういうものを一つずつ見ながら決めていきます。
老人ホーム選びは「一番いい施設」を探す作業ではなく、「うちの親に一番合う施設」を探す作業です。
もし私の母が、まだ歩けるけれど認知症があり、薬の管理が難しく、夜の一人暮らしが心配なら。
私はまず介護付き有料老人ホームから探します。
そして今回のA施設とB施設なら、今のところB施設を第一候補にします。
古い。
少し高い。
それでも、人を見て、母の暮らしを想像して、Bを残します。
ただし、最後に母本人の反応、費用、契約、今後住み続けられるかまで確認してから決めます。
「母ちゃんは介護付き!」と決めるのではなく、「母ちゃんだったら、ここから探して、ここまで見て決める」。
この記事で持ち帰ってほしいのは、3種類の暗記ではなく、この考え方です。
施設見学へ進む方は、こちらの記事も参考にしてください。
→老人ホーム見学チェックリスト|見学で確認したいポイントを解説
サ高住、住宅型、介護付き。
ここまで読んでも、
「結局、うちの親はどれなんだよ」
と思っているかもしれません(笑)。
でも、それでいいと思っています。
むしろこの記事を読んで、
「要介護3だから介護付きにすればいいんだ」
とだけ覚えて帰ってほしくありません。
私が入居相談員をしていたときも、そんなに簡単には決めていませんでした。
地域を聞く。
予算を聞く。
介護と医療の負担割合を見る。
本人の状態を聞く。
施設を探す。
見学する。
施設長と話す。
職員を見る。
食事を見る。
そしてまた悩む(笑)。
老人ホーム探しって、たぶんそれで普通なんです。
親がこれから何年も暮らすかもしれない場所ですから。
だから最後は、
「どの種類が正解?」
ではなく、
「うちの母ちゃん、ここで暮らせそうかな?」
と考えてみてください。
新しくなくてもいい。
一番安くなくてもいい。
有名じゃなくてもいい。
親を預ける家族が「この人たちなら」と思えて、本人もここなら暮らせそうだと思える。
私は、そんな施設を探したいです。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。


