介護保険で利用できるサービス一覧|種類・内容・費用・選び方を介護福祉士・ケアマネが解説
親に介護が必要になって介護保険について調べ始めると、いきなり知らない名前がたくさん出てきます。
訪問介護。
訪問看護。
デイサービス。
デイケア。
ショートステイ。
小規模多機能。
福祉用具。
特養や老健、介護医療院などの施設サービス。
これだけ並べられても、初めて介護に直面した家族なら、
「結局、うちは何を使えばいいの?」
となるのが普通だと思います。
しかも介護保険サービスは、好きなものをメニュー表から選んで追加していけばいいわけではありません。
本人の要介護度や心身の状態、家族の介護力、生活環境、本人がどう暮らしたいのか。
さらに事業所の空き状況や送迎範囲など、現実的な条件も絡んできます。
大切なのはサービス名を全部覚えることではなく、「今の生活の何を支えてほしいのか」を整理することです。
この記事では、介護保険で利用できる主なサービスを一覧で整理しながら、ケアマネ経験者の視点から「どんなときに、どのサービスを考えればいいのか」まで分かりやすく解説します。
- 介護保険で利用できる主なサービスの種類
- 訪問・通所・宿泊・施設サービスの違い
- それぞれのサービスが向いている人
- 要支援・要介護で利用できるサービスの違い
- 介護サービスを利用するまでの流れ
- 本人・家族に合ったサービスの考え方
- 介護保険サービスとは?まずは「生活を支える仕組み」と考えよう
- 介護保険で利用できる主なサービスを一覧で確認
- 自宅で利用する訪問サービス|「家で暮らしたい」を支える
- 通って利用するサービス|デイサービスとデイケアは何が違う?
- 「一番いい介護サービス」を探すより、今困っていることを整理する
- 短期間だけ泊まる「ショートステイ」|家族が休むために使ってもいい
- 「通い・訪問・泊まり」を一つの事業所で組み合わせるサービスもある
- 福祉用具も介護保険サービス|「介護してもらう」だけが支援ではない
- 住宅改修|家そのものを「介護しやすい環境」に変える
- 自宅での生活が難しくなったら「施設で受ける介護」も選択肢になる
- 要支援と要介護では利用の仕組みが少し違う
- 介護保険サービスを利用するまでの流れ
- 介護保険サービスの費用は原則1~3割負担
- 介護サービスはどう選ぶ?「使えるサービス」より「続けられるサービス」
- 介護サービスを使ってみて合わなかったら変更していい
- 介護保険サービスについてよくある質問
- まとめ|サービス名ではなく「今の生活」から考えよう
介護保険サービスとは?まずは「生活を支える仕組み」と考えよう
介護保険サービスは、要介護・要支援状態になった人が、できる限り自立した生活を続けられるよう支えるためのサービスです。
「介護」という言葉から、
食事を食べさせてもらう。
トイレを手伝ってもらう。
お風呂に入れてもらう。
という身体介護をイメージする人も多いと思います。
もちろん、それも介護保険サービスの一部です。
でも実際にはもっと幅があります。
看護師に自宅へ来てもらう。
リハビリを受ける。
日中デイサービスへ通う。
数日間ショートステイに泊まる。
車いすや介護ベッドなどの福祉用具を利用する。
自宅での生活が難しくなれば、介護保険施設などで生活する選択肢もあります。
厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」でも、自宅への訪問、施設へ通うサービス、短期間の宿泊、訪問・通い・宿泊を組み合わせるサービス、施設等で生活するサービス、福祉用具などに整理されています。
参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム「公表されている介護サービスについて」
介護保険で利用できる主なサービスを一覧で確認
まず、細かい説明に入る前に全体を見てみましょう。
介護保険サービスには多くの種類がありますが、家族が最初に探すときは、次のように整理すると分かりやすいです。
| 大きな分け方 | 主なサービス | どんなときに考える? |
|---|---|---|
| 自宅に来てもらう | 訪問介護・訪問看護・訪問リハビリ・訪問入浴など | 自宅での生活を続けながら介護・看護・リハビリなどを受けたい |
| 施設へ通う | デイサービス・デイケア・認知症対応型通所介護など | 日中の介護や入浴、交流、リハビリなどを利用したい |
| 短期間泊まる | ショートステイなど | 家族の休息、冠婚葬祭、出張、介護負担の軽減などが必要 |
| 訪問・通い・宿泊を組み合わせる | 小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護 | 状態や生活に合わせて柔軟にサービスを組み合わせたい |
| 福祉用具などを利用する | 福祉用具貸与・特定福祉用具販売・住宅改修 | 転倒を防ぎたい、自宅での移動や介助をしやすくしたい |
| 施設等で生活する | 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・特定施設など | 自宅での生活が難しい、継続的な介護や医療・リハビリなどが必要 |
ここで注意したいのは、同じ「介護サービス」でも役割がかなり違うことです。
たとえばデイサービスとデイケア。
名前は似ていますが、デイケアは医師の指示のもとでリハビリテーションを行うサービスで、デイサービスとは制度上の位置づけも異なります。
訪問介護と訪問看護も同じです。
どちらも自宅へ来てもらいますが、介護職が生活援助や身体介護を行う訪問介護と、看護師等が療養上の世話や診療の補助を行う訪問看護では役割が違います。
名前が似ているから同じようなサービス、とは限りません。
自宅で利用する訪問サービス|「家で暮らしたい」を支える
まずは、自宅へ専門職が訪問してくれるサービスです。
本人が外出する必要がないため、通所サービスへ行くことが難しい人にとっても重要な選択肢になります。
| サービス | 主な内容 | こんなときに検討 |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 身体介護・生活援助など | 自宅での食事・排泄・入浴・家事などに支援が必要 |
| 訪問入浴介護 | 専用浴槽を使った自宅での入浴介助 | 自宅の浴槽での入浴が難しい |
| 訪問看護 | 健康状態の確認・療養上の世話・医療処置等 | 自宅で医療的な管理や看護が必要 |
| 訪問リハビリテーション | 自宅でのリハビリテーション | 自宅の生活環境に合わせて身体機能や生活動作を維持・改善したい |
| 居宅療養管理指導 | 医師・歯科医師・薬剤師などによる療養上の管理・指導 | 通院が難しく、自宅で療養上の管理や助言が必要 |
こうして並べると分かりやすいのですが、実際の介護では一つだけ利用するとは限りません。
たとえば、
ヘルパーに生活を手伝ってもらいながら、訪問看護で体調を確認してもらう。
福祉用具を使って自宅内の移動を安全にしながら、デイサービスにも通う。
ショートステイを時々利用して、家族が休める日を作る。
このように、本人の状態や家族の状況に合わせて複数のサービスを組み合わせることがあります。
ここは、私がケアマネの仕事をしていて大事だと思っていたところです。
先に、
「デイサービスを週3回使おう」
と決めて、あとから理由を考えるのではありません。
本来は、
「日中一人になる時間が長く、食事や入浴にも不安がある」
という生活上の困りごとがある。
では、どんな支援が必要か。
その結果としてデイサービスが候補に上がる。
困りごと → 目標 → 必要な支援 → サービス。
サービス名が最初ではありません。
これは、ケアプランを考えるときにもかなり大事な順番です。
ケアプランそのものについては、こちらで詳しく解説しています。
通って利用するサービス|デイサービスとデイケアは何が違う?
自宅から事業所へ通って利用する代表的なサービスが、デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)です。
| 比較 | デイサービス | デイケア |
|---|---|---|
| 正式名称 | 通所介護 | 通所リハビリテーション |
| 主な目的 | 日常生活上の支援、機能訓練、社会交流など | 心身機能の維持・回復や日常生活の自立を支えるリハビリテーション |
| 主な内容 | 食事・入浴・介護・機能訓練・レクリエーションなど | 医師の指示に基づくリハビリテーションなど |
| 検討しやすいケース | 日中の介護、入浴、交流、家族の介護負担軽減などが必要 | 退院後など、よりリハビリを重視したい |
ただし、ここで「リハビリしたいなら絶対デイケア」と決めつける必要もありません。
デイサービスでも機能訓練に力を入れている事業所がありますし、事業所ごとに特色があります。
そして、もう一つ現実的な問題があります。
行きたい事業所に必ず空きがあるとは限りません。
介護サービス選びでは、ネットの口コミや評判だけで「ここしかない」と決めてしまわない方がいいでしょう。
実際に見学したり、ケアマネから地域の事業所について情報を聞いたりしながら、本人に合いそうなところを探していきます。
「一番いい介護サービス」を探すより、今困っていることを整理する
介護サービスを一覧で見ていると、どうしても、
「結局どれが一番いいの?」
と考えたくなります。
でも、介護では一番を決めるのが難しい。
一人暮らしで食事や掃除に困っている人。
入浴が難しくなっている人。
退院したばかりでリハビリを続けたい人。
認知症があり、日中一人で過ごすのが心配な人。
夜間の介護で家族が疲れ切っている人。
同じ要介護2でも、必要な支援は違います。
だからサービスを探す前に、まず、
「本人と家族は、今の生活の何に一番困っているのか」
を整理してみてください。
| 困っていること | 検討できるサービスの例 |
|---|---|
| 自宅での入浴が難しい | 訪問入浴・デイサービスなど |
| 日中一人になるのが心配 | デイサービス・認知症対応型通所介護など |
| 退院後もリハビリを続けたい | 訪問リハビリ・デイケアなど |
| 家族が休める日を作りたい | ショートステイ・通所サービスなど |
| 夜間も介護が必要 | 定期巡回・随時対応型訪問介護看護など |
| 自宅での生活そのものが難しくなった | 施設サービスや高齢者向け住まいなどを検討 |
介護保険サービスは「使えるものを全部使う制度」ではなく、本人の生活に必要な支援を組み合わせるための制度です。
サービスの種類を知ることは大切です。
でも、一覧表を全部暗記する必要はありません。
困っていることを言葉にする。
まずはそこからで十分です。
短期間だけ泊まる「ショートステイ」|家族が休むために使ってもいい
自宅で介護を続けていても、家族が365日ずっと介護できるとは限りません。
仕事がある。
冠婚葬祭がある。
家族自身が体調を崩すこともある。
そして何より、介護する家族にも休む時間が必要です。
そんなときに利用できるのが、一般にショートステイと呼ばれる短期入所サービスです。
| サービス | 主な内容 | こんなときに検討 |
|---|---|---|
| 短期入所生活介護 | 短期間施設に宿泊し、食事・入浴・排泄など日常生活上の介護や機能訓練などを受ける | 家族の休息、冠婚葬祭、出張などで一時的に在宅介護が難しい |
| 短期入所療養介護 | 介護老人保健施設や介護医療院などに短期間入所し、医療・看護・介護・機能訓練などを受ける | 医療やリハビリを含めた短期的な支援が必要 |
ショートステイというと、
「家族がどうしても介護できないときだけ使うもの」
と思っている人もいるかもしれません。
でも、家族の介護負担を軽くする目的で利用することもあります。
「通い・訪問・泊まり」を一つの事業所で組み合わせるサービスもある
介護保険には、複数の支援を一体的に提供するサービスもあります。
代表的なのが、小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護です。
| サービス | 組み合わせる機能 | 特徴 |
|---|---|---|
| 小規模多機能型居宅介護 | 通い・訪問・宿泊 | 本人の状態や家族の状況に応じて、一つの事業所が柔軟に支援する |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 通い・訪問介護・宿泊・訪問看護 | 介護に加えて看護サービスも一体的に提供する |
たとえば、普段は「通い」を利用している人でも、本人の状態や家族の状況に応じて訪問や宿泊を組み合わせることができます。
看護小規模多機能型居宅介護では、そこに訪問看護の機能も加わります。
医療的な支援を必要としながら在宅生活を続けたい人にとって、選択肢の一つになります。
福祉用具も介護保険サービス|「介護してもらう」だけが支援ではない
介護保険サービスというと、人に介護してもらうことばかり考えがちですが、福祉用具を使って本人が自分でできることを増やすという方法もあります。
厚生労働省は、福祉用具について、利用者が自宅で自立した日常生活を送れるよう助けるものを介護保険の給付対象としています。
| 種類 | 主な例 | 目的の例 |
|---|---|---|
| 福祉用具貸与 | 車いす・特殊寝台・手すり・スロープ・歩行器など | 移動・起き上がり・移乗などを支える |
| 特定福祉用具販売 | 腰掛便座・入浴補助用具・簡易浴槽など | 排泄や入浴などを安全に行いやすくする |
| 住宅改修 | 手すり設置・段差解消・床材変更・扉や便器の取替えなど | 自宅での転倒を防ぎ、移動しやすくする |
たとえば、ベッドから一人で起き上がれなくなった人に、毎回家族が力いっぱい身体を起こす。
それも介助ではあります。
でも、本人の状態に合った介護ベッドや手すりを使えば、自分で起き上がれるようになることもあります。
家族が全部やってあげることだけが介護ではありません。
道具や住環境を整えて、本人ができることを残す。
これも介護保険の大事な役割です。
要支援・要介護1では借りられない福祉用具もある
ここは少し注意が必要です。
福祉用具なら、要介護認定を受ければ何でも介護保険でレンタルできるわけではありません。
厚生労働省によると、福祉用具貸与のうち、手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ以外の種目については、要支援1・2および要介護1の人は原則として給付対象外です。
ただし、身体状態などによっては例外的に給付対象になる場合があります。
また、自動排泄処理装置の一部については、要介護2・3でも原則給付対象外となるものがあります。
住宅改修|家そのものを「介護しやすい環境」に変える
自宅で安全に生活するために、住宅そのものを改修する方法もあります。
介護保険の住宅改修では、主に次のような工事が給付対象となります。
| 対象となる住宅改修 | 例 |
|---|---|
| 手すりの取付け | 廊下・トイレ・浴室・玄関などへの手すり設置 |
| 段差の解消 | 敷居を低くする、段差をなくすなど |
| 床・通路材料の変更 | 滑りにくい床材などへの変更 |
| 扉の取替え | 開き戸から引き戸などへの変更 |
| 便器の取替え | 和式便器から洋式便器への変更など |
| 付帯して必要となる工事 | 上記の住宅改修に伴って必要となる工事 |
ここで大事なのは、「介護保険が使えるらしいから、とりあえず工事する」ではダメということです。
厚生労働省は、住宅改修について、ケアマネジャー等に住宅改修が必要な理由書を作成してもらい、施工前と施工後に自治体へ申請する仕組みを示しています。
自宅での生活が難しくなったら「施設で受ける介護」も選択肢になる
介護保険サービスは、在宅サービスだけではありません。
自宅での生活を続けることが難しくなった場合には、施設で介護を受けながら生活する選択肢もあります。
| 施設・サービス | 主な特徴 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 常時介護が必要な人の生活を支える介護保険施設。新規入所は原則要介護3以上 |
| 介護老人保健施設(老健) | 在宅復帰を目指し、リハビリ・医療・介護などを提供する施設 |
| 介護医療院 | 長期療養が必要な人に、医療と日常生活上の介護を一体的に提供する施設 |
| 特定施設入居者生活介護 | 指定を受けた有料老人ホーム等で、介護保険による入浴・排泄・食事などの介護や機能訓練等を受けるサービス |
ここで、少しややこしいところがあります。
「老人ホーム=全部同じ介護保険施設」ではありません。
特養・老健・介護医療院は介護保険施設ですが、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などは別の仕組みです。
さらに有料老人ホームでも、介護保険上の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているところと、外部の介護サービスを組み合わせる住宅型有料老人ホームなどでは、介護サービスの受け方が違います。
この違いは施設を探すときにかなり重要です。
施設ではサービスの組み立て方も在宅とはかなり違う
私は施設ケアマネとして働いていた期間の方が長いので、ここは在宅との違いをかなり感じます。
在宅では、
訪問介護を入れる。
デイサービスへ行く。
福祉用具を借りる。
必要な日にショートステイを利用する。
というように、本人の生活に合わせて複数のサービスを組み合わせていきます。
一方、グループホームや介護付き有料老人ホームなどでは、生活そのものが施設内で完結しやすくなります。
私が施設ケアマネをしていた頃も、ケアプランに出てくる支援は、
規則的な生活を送る。
定期的に入浴する。
本人の希望に応じてレクリエーションへ参加する。
往診を受ける。
服薬を管理する。
といった、施設生活の中で提供できる内容が中心になりやすいところはありました。
だから施設では、どうしても似た支援内容が並びやすくなります。
でも、「似たサービスを受ける=同じ生活でいい」ではありません。
同じ入浴介助でも、本人が大切にしていることは違う。
同じレクリエーションでも、参加したい人もいれば、一人で静かに過ごしたい人もいます。
施設サービスでは「何を提供するか」だけでなく、その人が施設の中でどう暮らしたいかを見ることが大切です。
老人ホームの種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
→介護施設の種類一覧|全施設類型・高齢者向け住まいの違いをケアマネが解説
要支援と要介護では利用の仕組みが少し違う
介護保険の認定は、要支援1・2、要介護1~5に分かれています。
要介護度によって利用できるサービスや、介護保険から給付される範囲などが変わります。
大まかに整理すると、次のように考えると分かりやすいでしょう。
| 認定区分 | 基本的な考え方 | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 要支援1・2 | 介護予防サービスや総合事業などを活用し、できることを維持・改善する | 地域包括支援センターなど |
| 要介護1~5 | 本人の状態や生活に応じて介護サービスを組み合わせる | 居宅介護支援事業所のケアマネジャーなど |
特に少し分かりにくいのが、要支援の人が利用する介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)です。
総合事業は市区町村が中心となって実施する仕組みで、訪問型サービスや通所型サービスなどがあります。
全国どこでもサービス内容がまったく同じというわけではなく、地域の実情に応じたサービスが提供されています。
要支援と要介護でケアマネの担当がどう変わるのかは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→要介護から要支援になったらケアマネは変わる?担当が変わる仕組みを解説
介護保険サービスを利用するまでの流れ
「使いたいサービスが決まったから、明日からデイサービスへ行こう」
というわけにはいきません。
介護保険サービスを利用するには、基本的に要介護認定を受け、本人に必要なサービスを整理したケアプランを作成して利用につなげていきます。
| 流れ | すること |
|---|---|
| ① 相談・申請 | 市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターなどへ相談し、必要に応じて要介護認定を申請する |
| ② 認定調査・主治医意見書 | 認定調査を受け、市区町村の依頼により主治医意見書が作成される |
| ③ 審査・判定 | 一次判定と介護認定審査会による二次判定が行われる |
| ④ 要介護度の認定 | 要支援1・2、要介護1~5、非該当などの結果が通知される |
| ⑤ ケアプラン作成 | 本人・家族の希望や状態を踏まえ、必要なサービスを検討する |
| ⑥ 事業所と契約 | サービス内容や費用などを確認し、利用する事業所と契約する |
| ⑦ サービス利用開始 | ケアプランに沿って介護サービスを利用する |
厚生労働省の案内では、要介護認定の申請から認定結果の通知までは原則30日以内とされています。
ただし、認定されたら自動的にサービスが始まるわけではありません。
どんな生活を送りたいのか。
今、何に困っているのか。
家族はどこまで介護できるのか。
そうしたことを整理して、ケアプランにつなげていきます。
要介護3になった。
要介護4になった。
数字だけを見ると、そこで介護の方向性が決まったように感じるかもしれません。
でも要介護度は、その人がどのくらい介護を必要としているかを判断するための一つの基準です。
同じ要介護3でも、認知症への支援が必要な人もいれば、身体介護が中心になる人もいます。
介護度からサービスを決めるのではなく、その人の生活からサービスを考える。
ここは忘れないでほしいところです。
要介護認定の仕組みについては、こちらで詳しく解説しています。
参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」
介護保険サービスの費用は原則1~3割負担
介護保険サービスを利用した場合、利用者は原則としてサービス費用の1割を負担します。
一定以上の所得がある人は、2割または3割負担となります。
| 負担割合 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 1割 | 2割・3割負担に該当しない人 |
| 2割 | 一定以上の所得がある人 |
| 3割 | さらに所得が高い一定の人 |
自分が何割負担なのかは、自治体から交付される介護保険負担割合証で確認できます。
ただし、ここで勘違いしやすいことがあります。
在宅サービスには要介護度ごとの支給限度額がある
もう一つ知っておきたいのが、区分支給限度基準額です。
在宅で利用する介護保険サービスの多くには、要介護度ごとに1か月あたりの支給限度額が設定されています。
この範囲内でサービスを利用する場合は、原則として1~3割の自己負担です。
一方、限度額を超えてサービスを利用した部分については、原則として全額自己負担になります。
また、すべての介護保険サービスが区分支給限度基準額の対象になるわけではありません。
実際の利用額や自己負担額は、サービスの種類、利用回数、地域、各種加算などによって変わります。
「週3回デイサービスに行ったらいくら?」
という具体的な金額を知りたい場合は、ケアマネや利用予定の事業所に見積もりを確認するのが確実です。
介護サービスはどう選ぶ?「使えるサービス」より「続けられるサービス」
ここまでサービスの種類をたくさん紹介してきました。
でも、家族が本当に知りたいのはサービス名ではないはずです。
「結局、うちの親には何が合うの?」
ですよね。
私なら、次の順番で考えます。
| 確認すること | 考え方 |
|---|---|
| 本人が困っていること | 入浴、排泄、食事、移動、服薬、認知症、外出など何に支援が必要か |
| 本人がどう暮らしたいか | 自宅で暮らしたい、外出したい、人と交流したいなど本人の希望を確認 |
| 家族が困っていること | 仕事との両立、夜間介護、入浴介助、見守りなど家族側の負担も整理 |
| 現実的に利用できるか | 空き状況、送迎範囲、曜日、時間、費用などを確認 |
| 本人に合っているか | 見学や体験利用などを通して雰囲気や支援内容を確認 |
| 続けられるか | 本人・家族ともに無理なく継続できるサービスか考える |
ここで意外と大事なのが、「続けられるか」です。
評判のいい事業所でも、本人が行きたがらなければ続きません。
素晴らしいリハビリをしていても、送迎範囲外なら利用できません。
家族が望んでいても、本人にとって苦痛なら別の方法を考えた方がいい場合もあります。
逆に、最初は第二希望だったサービスが本人にピッタリ合うこともあります。
ケアマネが何をしてくれるのか分からない方は、こちらも参考にしてください。
→ケアマネジャーは何をしてくれる人?相談できること・できないことを解説
介護サービスを使ってみて合わなかったら変更していい
介護サービスは、一度決めたら二度と変更できないものではありません。
実際に利用してみなければ分からないこともあります。
思ったより本人が楽しそうに通っている。
逆に、どうしても行きたがらない。
週3回では疲れてしまう。
家族の仕事が変わり、利用する曜日を変えたい。
身体状態が変化して、今までのサービスでは足りなくなった。
そんなことは普通に起こります。
そのときはケアマネに相談し、必要に応じてケアプランやサービス内容を見直します。
介護保険サービスについてよくある質問
原則として、介護保険の給付を受けるには要介護・要支援認定など所定の手続きが必要です。
65歳以上の第1号被保険者は、原因を問わず要介護・要支援状態になった場合に対象となります。
40~64歳の第2号被保険者は、介護保険法で定められた特定疾病が原因で要介護・要支援状態になった場合が対象です。
また、要介護認定で非該当となった場合でも、市区町村の総合事業などを利用できることがあります。
本人や家族の希望を踏まえて、利用するサービスや事業所を選ぶことができます。
ただし、要介護度、サービスごとの利用要件、事業所の空き状況、送迎範囲などによって希望どおり利用できない場合があります。
ケアマネに「どこでもいい」と任せきりにするのではなく、本人が何を大切にしたいのかも伝えておきましょう。
断れます。
ケアマネが提案したからといって、必ずそのサービスを利用しなければならないわけではありません。
本人や家族が納得できない場合は、理由を聞いたうえで別の方法がないか相談してください。
本人の状態や必要性、ケアプランの内容などによって検討されます。
ただし、単純に「両方使いたいから使う」というものではなく、それぞれを利用する必要性を整理することが大切です。
リハビリ目的、入浴、社会交流、家族の介護負担など、何を目的に利用するのかをケアマネと相談してください。
変更できます。
本人との相性が合わない、希望する支援内容と違う、転居するなどの事情があれば、担当ケアマネに相談して別の事業所を検討できます。
ただし、新しい事業所の空き状況などによって、すぐに変更できない場合もあります。
まとめ|サービス名ではなく「今の生活」から考えよう
- 介護保険には訪問・通所・宿泊・福祉用具・施設サービスなど多くの選択肢がある
- 要支援と要介護では利用する仕組みや相談先が異なる部分がある
- 要支援者などには市区町村が実施する総合事業という選択肢もある
- 介護保険サービスの自己負担は原則1~3割だが、食費など保険給付外の費用もある
- 在宅サービスの多くには要介護度ごとの区分支給限度基準額がある
- 人気や評判だけでなく、本人との相性や空き状況、家族の生活も含めて考える
- 一度決めたサービスでも、状態や生活が変われば見直すことができる
介護保険サービスを調べ始めると、とにかく名前が多いです。
私自身、介護の仕事をしていなかったら、これを全部見せられても「知らんがな」と思うでしょう(笑)。
でも家族が覚えなければいけないのは、サービスの正式名称ではありません。
今、何に困っているのか。
本人はどう暮らしたいのか。
家族はどこまでなら無理なく介護を続けられるのか。
まずは、この3つです。
そこが分かれば、訪問介護なのか、デイサービスなのか、福祉用具なのか、ショートステイなのか。
専門職と一緒に選択肢を絞っていけます。
介護サービスは、たくさん使えばいいわけでも、一番人気の事業所を選べばいいわけでもありません。
本人と家族の生活が、今より少し楽になる。そのために使うものです。
施設で働いていた頃は、施設の中で食事、入浴、服薬、往診、レクリエーションなどが完結することが多く、在宅ほど自由にサービスを組み合わせる場面は多くありませんでした。
だから私自身、居宅の仕事に少し関わったときは、在宅には本当にいろいろな組み方があると感じました。
でも、施設でも在宅でも根っこは同じだと思っています。
サービスを使うことが目的になったら、ちょっと違う。
デイサービスへ行くために生活しているわけでも、ヘルパーを利用するために介護保険があるわけでもありません。
本人ができるだけ自分らしく暮らす。
そして家族も、介護だけで生活がいっぱいにならないようにする。
そのために使えるものを使う。
介護サービス選びで迷ったら、サービス一覧とにらめっこするより、まず「今、一番しんどいことは何だろう?」から考えてみてください。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。


