嫁
親が老人ホームに入ったら、誰も住まなくなる実家ってどうすればいいの?
よっしー
よっしー
すぐ売る人もいれば、とりあえず残す人もいるよ。老人ホームに入ったからって、その日に家の処分まで決めなくてもいいと思う。

親の老人ホームへの入居が決まった。

ひとまず安心したのも束の間、

「ところで実家、どうする?」

という問題が出てくることがあります。

本人しか住んでいなかった家なら、老人ホームへ入居したあと自宅は空き家になります。

そのまま残す?

売却する?

老人ホームの費用に充てる?

本人がまた自宅へ戻るかもしれないから、しばらく残す?

兄弟姉妹とも相談しなければならない。

考え始めると、簡単には決められません。

私は老人ホームの入居相談員として、自宅を売却して入居費用に充てた方も、自宅を残したまま入居した方も見てきました。

だから最初に伝えたいのは、

老人ホームへ入居したからといって、すぐに自宅を売る・残すの結論まで出さなくてもいい

ということです。

急いで決めない

ただし、自宅を長期間残す場合には管理の問題がありますし、あとから売却する場合には本人の意思能力や税金などが関係することもあります。

「とりあえず放置」で終わらせず、本人と家族で今後を考えていきましょう。

この記事でわかること
  • 老人ホーム入居後の自宅をどう考えるか
  • 自宅を売却して施設費用に充てた実例
  • すぐ売らずに残すという選択肢
  • 空き家にする場合に考えたいこと
  • 認知症がある場合の自宅売却の注意点
  • 自宅を売るか迷ったときの考え方

老人ホームに入居したら自宅はどうする?

結論から言えば、家庭によって違います。

売却する。

しばらく残す。

家族が住む。

場合によっては、本人が老人ホームと自宅を行き来することもあります。

どれか一つが正解という話ではありません。

私が老人ホームの入居相談員をしていたころは、自宅を所有している方から施設探しの相談を受けることもよくありました。

その中で少なくなかったのが、

自宅を売却して、そのお金を老人ホームの入居費用に充てる

というケースです。

一方で、

「とりあえず家は残しておきます」

「家族と相談してから決めます」

という方もいました。

だから私も、

「老人ホームへ入るなら家を売ったほうがいいですよ」

とは言いません。

よっしー
よっしー
相談されたら「自宅を売って前払金や施設費用に充てる方も少なくありませんよ」と選択肢として伝えていたよ。でも最終的に決めるのは本人や家族。迷っているなら無理に今決めなくてもいいと思う。

老人ホームへの入居そのものをまだ迷っている段階なら、自宅の処分を先に決めるより、まず「本当に今が入居を考える時期なのか」を整理したほうがいいでしょう。

老人ホームへの入居を考えるタイミングについてはこちらで詳しく解説しています。

老人ホームに入るタイミングはいつ?入居を考える10のサインを現役ケアマネが解説

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自宅を売って老人ホームの費用に充てる人は実際にいた

老人ホームへ入居するとき、大きな問題になるのがお金です。

特に有料老人ホームでは、月々の利用料だけでなく、施設によっては入居時にまとまった前払金が必要になる場合があります。

私が入居相談員をしていたときも、

自宅を売却したお金を前払金や、その後の老人ホーム費用に充てる方はいました。

例えば、

「家はもう誰も住まない」

「子どもたちも自分の家を持っている」

「空き家として残しておくより施設費用に使いたい」

という家庭です。

売却価格が本人や家族の希望より安かったとしても、

「それでも老人ホームの費用に使えるなら」

と売却する方もいました。

施設費に充てる

これは現実的な選択肢の一つだと思います。

老人ホームは入居したら終わりではありません。

毎月の費用が続きます。

だから、

「入居できるか」だけではなく、「その後も払い続けられるか」

まで考える必要があります。

老人ホームで実際にどのくらいのお金がかかるのかは、こちらの記事で詳しく解説しています。

老人ホームの費用はいくら?月額・前払金・追加費用をケアマネが解説

老人ホームの費用と月額・前払金・追加費用を解説
老人ホームの費用はいくら?月額・前払金・追加費用をケアマネが解説 老人ホームの費用を調べると、 「月額15万円」 「月額20万円」 「前払金0円」 ...

ただし、

「老人ホーム代が必要だから、とにかく家を売ればいい」

という話ではありません。

不動産を売却すれば、売却価格がそのまますべて自由に使えるお金になるとは限りません。

仲介などにかかる費用や、売却によって利益が出た場合の税金なども確認する必要があります。

自宅を売るなら税金も確認しておく

マイホームを売却した場合には、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

3,000万円特別控除
マイホームを売却した場合、一定の要件を満たせば、所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

国税庁が「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」として案内している制度です。

国税庁|マイホームを売ったときの特例

ここで注意したいのが、

老人ホームへ入居して自宅に住まなくなってから売却する場合

です。

以前住んでいた自宅でも一定の要件を満たせば特例の対象になりますが、いつ売却しても同じではありません。

売却時期に注意
以前住んでいたマイホームの場合、原則として住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなどが、3,000万円特別控除の要件になっています。

詳しい要件は国税庁が案内しています。

国税庁|過去に居住していたマイホームを売ったとき

つまり、

「とりあえず10年くらい空き家にして、あとで売れば税金も同じでしょ」

とは限りません。

期限も確認

売却する可能性があるなら、不動産会社だけでなく、税金について税務署や税理士などへ確認してから進めると安心です。

すぐ売らずに自宅を残す選択肢もある

一方で、

老人ホームへ入居したら自宅をすぐ売却しなければならないわけではありません。

私が入居相談員をしていたときも、

「とりあえず家はそのままにしておきます」

という家庭はありました。

理由はいろいろです。

本人が自宅へ戻る可能性を残しておきたい。

家族でまだ話がまとまっていない。

兄弟姉妹にも相談したい。

家族の誰かが将来住む可能性がある。

今すぐお金に困っているわけではない。

こうした事情があるなら、無理に急いで売却する必要はないと思います。

私自身も、もし両親が老人ホームへ入居したとしても、実家をすぐ売却するとは思いません。

田舎の実家なので、将来自分が住む可能性もあります。

兄弟とも話さなければなりません。

今の生活もあります。

だから、

「親が老人ホームへ入った。じゃあ実家を売ろう」

とは、すぐにはならないと思います。

家族で話そう

ただし、自宅を残すなら、

誰が管理するのか

は決めておいたほうがいいでしょう。

郵便物。

庭や雑草。

建物の換気。

水道や電気。

固定資産税などの支払い。

防犯。

近隣への影響。

誰も住んでいなくても、家を持っている以上は考えることがあります。

特に自宅が空き家になる場合は、先ほどの記事で解説した住民票や郵便物の問題も出てきます。

老人ホーム入居後の住民票や住所地特例についてはこちらで詳しく解説しています。

老人ホームに入居したら住民票は移す?住所地特例や郵便物の注意点を経験者が解説

老人ホーム入居時の住民票と住所地特例を解説
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「また自宅に戻れるかもしれない」と思う家族もいる

自宅を売るか迷う理由として、

「本人がまた家に戻るかもしれない」

という気持ちもあると思います。

実際、私が入居相談員をしていたときにも、そのように考える家族はいました。

ただ、私自身が担当したケースでは、老人ホームへ入居したあと、本当に以前の自宅での生活へ戻った方はいませんでした。

もちろん、

「老人ホームへ入ったら絶対に自宅へ戻れない」

という意味ではありません。

施設へ入居する方の状態はさまざまだからです。

私が担当した中には、比較的若く元気で、仕事をしながらサービス付き高齢者向け住宅で生活している方もいました。

その方は自宅も残していて、夜や週末に自宅へ帰ることもありました。

かなり珍しいケースではありましたが、

高齢者向けの住まいへ入居することと、自宅を完全に手放すことが必ずセットになるわけではない

という一例です。

よっしー
よっしー
「また家に戻れるかも」と思って売れない家族の気持ちも分かるよ。だから迷っている段階なら、無理に今日決めなくてもいい。ただ、残すなら残すで家をどう管理するかは考えておこう。

自宅を残すなら「空き家のまま放置」は避けよう

老人ホームへ入居しても、

「まだ売るか決められない」

「しばらく自宅を残しておきたい」

という家族はいると思います。

それ自体は選択肢の一つです。

私が入居相談員をしていたときも、とりあえず自宅を残しておき、何年か経ってから売却について相談する家族はいました。

ただし、

「売らない」ことと「何もしない」ことは別です。

誰も住まなくなった家を残すのであれば、その間の管理は必要になります。

放置はしない

例えば、

  • 定期的に建物の状態を確認する
  • 庭木や雑草を管理する
  • 郵便物を確認する
  • 防犯対策を考える
  • 近隣へ迷惑がかかっていないか確認する

といったことです。

老人ホームへの入居直後は、

契約。

荷物の整理。

住所関係の手続き。

施設とのやり取り。

などで家族も忙しくなります。

そのため実家のことは、

「落ち着いてから考えよう」

となりやすいと思います。

それでも構いません。

ただ、

「誰が自宅を見に行くのか」だけは決めておいたほうがいい

と思います。

管理状態によっては固定資産税にも影響する

空き家は、誰も住んでいないというだけで直ちに問題になるわけではありません。

注意したいのは、適切に管理されない状態が続くことです。

国の空き家対策では、「管理不全空家」や「特定空家」に対する仕組みが設けられています。

空き家の管理
適切に管理されていない空き家について、市区町村から「管理不全空家」などとして勧告を受けると、敷地に適用されていた固定資産税等の住宅用地特例が受けられなくなる場合があります。

国土交通省では、管理不全空家や特定空家について、指導や勧告などの仕組みを案内しています。

国土交通省|空き家対策 特設サイト

だから、

「老人ホームに入ったけど、家はとりあえずそのまま」

という選択をするなら、

売却するかどうかとは別に、自宅の管理方法は決めておく。

ここは忘れないでください。

管理者を決める

自宅が空き家になる場合は、住民票や郵便物をどうするかも一緒に考えておきましょう。

老人ホーム入居後の住民票や郵便物についてはこちらで詳しく解説しています。

老人ホームに入居したら住民票は移す?住所地特例や郵便物の注意点を経験者が解説

老人ホーム入居時の住民票と住所地特例を解説
老人ホームに入居したら住民票は移す?住所地特例や郵便物の注意点を経験者が解説老人ホームに入居したら住民票は移す?介護保険の住所地特例や対象施設、住民票を移すときの注意点、郵便物の管理まで、施設ケアマネ・入居相談員の経験をもとにわかりやすく解説します。...

認知症があると自宅は売れない?

ここは、かなり注意してほしいところです。

老人ホームへ入居する方の中には、認知症のある方もいます。

私が入居相談員をしていたときにも、

「認知症がもっと進んで、本人が判断できなくなる前に家を売っておきたい」

と考える家族はいました。

ただ、

「認知症になったら自宅を売れない」

と単純に決まるわけではありません。

大切なのは、病名だけではなく、本人が売却という法律行為の内容や結果を理解して判断できる状態なのかという点です。

病名だけでない

不動産は本人の大切な財産です。

家族だからといって、

「父は認知症だから、代わりに長男の俺が実家を売っておくよ」

と自由に処分できるものではありません。

本人自身で契約することが難しくなっている場合には、成年後見制度などが関係することがあります。

成年後見制度とは
認知症などによって判断能力が十分ではない方について、本人の権利を守る援助者を選び、法律面や生活面で支援する制度があります。

成年後見制度については、裁判所が手続きや後見・保佐・補助などを案内しています。

裁判所|成年後見制度に関する審判

ここで伝えたいのは、

認知症の診断を受けたら急いで家を売りましょう、ということではありません。

むしろ逆です。

自宅をどうするのか。

施設費用をどう準備するのか。

誰が財産を管理するのか。

本人はどうしたいのか。

本人が自分の意思を十分伝えられるうちから、家族で話しておくことが大切だと思います。

成年後見人がいれば自宅を自由に売れるわけではない

ここも誤解しやすいところです。

「本人が判断できなくなったら成年後見人をつければ、その人が家を売ってくれるんでしょ?」

と思うかもしれません。

でも、本人の居住用不動産については特別な扱いがあります。

居住用不動産の処分
成年後見人などが本人に代わって本人の居住用不動産を売却する場合には、家庭裁判所の許可が必要です。

ここでいう「居住用不動産」には、

本人が現在住んでいる家だけではなく、施設へ入居する前に住んでいた自宅なども含まれる場合があります。

裁判所も、本人が施設に入所して現在は住んでいなくても、入所前に居住していた場合や将来居住する可能性がある場合などを含むと案内しています。

裁判所|成年被後見人等の居住用不動産の処分についての許可

さらに、家庭裁判所の許可を得ずに成年後見人等が対象となる居住用不動産を処分した場合、その処分は無効になると裁判所が案内しています。

裁判所の許可

つまり、

「成年後見人をつければ家族の希望どおりに実家を売却できる」わけではありません。

成年後見制度は、家族が財産を自由に動かすための制度ではなく、本人を保護するための制度です。

売却の必要性などについても、本人の利益を中心に考えることになります。

施設費用が足りないから家を売りたい場合も早めに考える

老人ホームへの入居相談では、

「年金だけでは施設費用が足りない」

という相談もあります。

そこで、

「実家を売ったお金を使えば入居できるかもしれない」

という話になることもあります。

実際、私が入居相談員をしていたときには、自宅を売却して前払金やその後の施設費用に充てた方もいました。

これは一つの選択肢です。

ただし、

本人の自宅を売ることと、家族のお金を動かすことは同じではありません。

所有者が誰なのか。

本人の意思はどうなのか。

本人が契約内容を理解できる状態なのか。

売却後に本人の生活費をどのように確保するのか。

こうしたことも考える必要があります。

施設費用だけで決めない
自宅売却を検討するときは、「いくらで売れるか」だけでなく、本人の意思や今後の生活、誰が所有している不動産なのかも確認しましょう。

老人ホームの費用が厳しい場合には、自宅売却だけが対処法ではありません。

施設の変更や公的制度など、状況によって検討できる方法があります。

老人ホームの費用が払えない場合の対処法はこちらで詳しく解説しています。

老人ホームの費用が払えないときは?7つの対処法と利用できる制度を現役ケアマネが解説

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本人が元気なうちに「実家をどうする?」を話しておく

親に、

「老人ホームに入ったら、この家どうする?」

なんて聞きにくいと思います。

まだ元気なのに、

「もう施設に入れるつもりなの?」

と思われるかもしれません。

「俺が死んだあとの話をしてるのか」

と怒る親もいるかもしれません。

でも私は、

本人が自分で考えて、自分の希望を伝えられるうちに話しておいたほうがいい

と思います。

元気なうちに

売りたいのか。

残したいのか。

子どもに住んでほしいのか。

できれば自宅へ戻りたいのか。

施設費用に使ってもいいと思っているのか。

答えをその場で決めなくても構いません。

「親はどう思っているんだろう?」

を家族が知っているだけでも、あとで判断するときの材料になります。

私自身、もし両親が老人ホームへ入居したとしても、実家をすぐに売るとは思いません。

田舎なので、将来自分が住む可能性もあります。

弟もいます。

兄弟で話し合わなければならないこともあります。

だから私なら、

「施設に入ったから売る」のではなく、まず家族で今後を話します。

よっしー
よっしー
家って大きな財産だからね。施設に入った勢いで決めなくてもいいと思う。でも、認知症が進んでから初めて「この家どうする?」となるより、本人が話せるうちに希望だけでも聞いておいたほうがいいよ。

親が老人ホームへの入居そのものを嫌がっている場合は、自宅を売る話を先に進めるより、まず本人がなぜ施設を嫌がっているのかを確認することが大切です。

親が老人ホームを嫌がる場合の考え方はこちらで詳しく解説しています。

親が老人ホームを嫌がる理由と対応方法【現役ケアマネ解説】

親が老人ホームを嫌がる理由と対応方法
親が老人ホームを嫌がる理由とは?説得せずに考えたい対応方法をケアマネが解説 親の介護が大変になり、家族で老人ホームへの入居を考え始めた。 ところが本人に話した瞬間、 ...
私なら、

「老人ホームへ入居した」という理由だけで、その日のうちに自宅まで処分する必要はない

と思います。

ただし、

「決めない」

と、

「何も考えない」

は違います。

保留するのであれば、

誰が家を管理するのか。

今後誰かが住む可能性はあるのか。

本人はどうしたいのか。

施設費用は足りるのか。

いつごろもう一度家族で話し合うのか。

ここまでは考えておいたほうがいいでしょう。

自宅を売る選択が向いているのはこんな家庭

例えば、

本人が自宅へ戻る予定がなく、家族も今後住む予定がない。

さらに老人ホームの前払金や月々の費用を考えると、まとまった資金を確保しておきたい。

こうした家庭なら、自宅売却は現実的な選択肢の一つになります。

私が入居相談員をしていたときにも、自宅を売ったお金を前払金や老人ホームの費用に充てる方は少なくありませんでした。

資金に変える

ただ、

「施設代がかかるから売る」

だけで決めるのではなく、売却前に確認しておきたいことがあります。

売却前に確認
  • 自宅の所有者は誰か
  • 本人は売却をどう考えているか
  • 家族で意見はまとまっているか
  • 売却後の資金で施設費用をどの程度賄えるか
  • 税金や売却に伴う費用はどのくらいか

特に、

「家を売れば老人ホーム代は大丈夫」

と売却金額だけを見るのではなく、その後の収支まで考えてください。

例えば、自宅を売却してまとまったお金が入っても、毎月の施設費用が年金収入を大きく上回っていれば、その資金は少しずつ減っていきます。

老人ホームを選ぶときは、

入居できるかではなく、長く払い続けられるか

まで見ることが大切です。

東京・埼玉・千葉の老人ホーム費用の目安はこちらで詳しく解説しています。

老人ホームの費用はいくら?東京・埼玉・千葉の相場を施設種類別に徹底解説

東京・埼玉・千葉の老人ホーム費用と月額利用料・前払金の比較
東京・埼玉・千葉の老人ホーム費用相場|施設別の月額・前払金を比較 親の老人ホームを探し始めて、最初に驚くことの一つが費用ではないでしょうか。 「月15万円くらいなら...

自宅を残す選択が向いているのはこんな家庭

逆に、今すぐ売却しないほうがいい家庭もあると思います。

例えば、

  • 家族の誰かが将来住む可能性がある
  • 本人が自宅へ戻る可能性を残しておきたい
  • 兄弟姉妹でまだ話し合えていない
  • 入居直後で今後の生活がまだ見えていない
  • 経済的に急いで売却する必要がない

といった場合です。

私自身も、もし両親が老人ホームへ入居したとしても、実家をすぐ売却するとは思いません。

田舎の実家なので、将来自分が住む可能性もあります。

弟もいます。

今の自分たちの生活もあります。

だからまず、

「この家、これからどうする?」

を家族で話すと思います。

よっしー
よっしー
俺の場合は実家だから余計にすぐ売れないと思う。親が施設に入ったからって俺一人で決める話じゃないし、兄弟とも相談するよ。

ただし、自宅を残すなら管理は必要です。

「誰も住まないけど、とりあえずそのまま」

と、

「売却はしないけれど、きちんと管理する」

は違います。

長期間空き家になるのであれば、誰が定期的に確認するのかまで決めておきましょう。

迷っているなら「保留」でもいい

3つ目は、

今は決めない。

という選択です。

私はこれもありだと思います。

入居相談員をしていたときにも、

「とりあえず家は残して、家族で相談します」

という方はいました。

私が勤務していた会社には不動産部門もあったので、老人ホームへ入居して何年か経ってから売却について相談する家族もいました。

だから私が相談を受けたら、

「自宅を売って老人ホームの前払金や費用に充てる方も少なくありませんよ」

とは伝えます。

でも、

「だから今すぐ売ったほうがいいですよ」

とは言いません。

保留もあり

ただし、ここには一つ注意点があります。

「今は売らない」と「いつ売っても条件は同じ」は別です。

例えば、マイホームを売却した場合に利用できる3,000万円特別控除には要件があります。

売却時期に注意
以前住んでいたマイホームの場合、一定の要件に加え、原則として住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することが、3,000万円特別控除の要件の一つです。

国税庁が適用要件を案内しています。

国税庁|過去に居住していたマイホームを売ったとき

つまり、

迷っているから今は売らない。それはあり。でも、何年後に売っても税金の扱いが同じとは限らない。

ということです。

将来売却する可能性がある場合は、税務署や税理士などへ確認しておくと安心です。

認知症があるなら「本人の家」であることを忘れない

そして、この記事で特に伝えておきたいことがあります。

親が認知症になると、家族が本人の代わりにさまざまな対応をするようになります。

施設との連絡。

病院への対応。

介護保険の手続き。

日常的なお金の管理。

その延長で、

「もう父ちゃんは家に住まないし、俺たちで売っておこう」

と考えてしまうこともあるかもしれません。

でも、

本人名義の自宅は、あくまで本人の財産です。

家族だからという理由だけで、自由に処分できるものではありません。

本人の財産

また、

「認知症になった=自宅を売れない」

と一律に決まるわけでもありません。

本人が売却という契約の内容や結果を理解し、自分で判断できる状態なのかなどが関係します。

本人自身で契約することが難しい場合には、成年後見制度などが関係することがあります。

成年後見制度
認知症などによって判断能力が十分ではない方を法律面や生活面で支援し、本人の権利や財産を守るための制度があります。

さらに、成年後見人等が本人の居住用不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可が必要です。

施設へ入居して現在は住んでいない場合でも、施設入所前に住んでいた自宅などが「居住用不動産」に含まれる場合があります。

裁判所|成年被後見人等の居住用不動産の処分についての許可

成年後見制度は、

家族が本人の財産を自由に処分するための制度ではなく、本人を守るための制度

です。

だからこそ、本人が自分の希望を伝えられるうちに、

「もし施設へ入ったら、この家どうしたい?」

と話しておく意味があります。

老人ホーム入居前に家族で話しておきたい5つのこと

自宅を売るかどうかまで、その場で決める必要はありません。

でも、できれば本人も一緒に、次のことは話しておきましょう。

家族で話しておこう
  • 本人は自宅を残したいのか
  • 本人は将来自宅へ戻りたいのか
  • 家族の誰かが住む可能性はあるのか
  • 施設費用に売却代金を使ってもいいのか
  • 売らない場合は誰が自宅を管理するのか

その場で結論が出なくても大丈夫です。

本人がどう考えているのかを家族が知っている。

それだけでも、あとで判断するときの大きな材料になります。

老人ホームへの入居は、本人にとって大きな生活の変化です。

自宅の処分だけを先に進めるのではなく、

「どんな施設で、どんな生活を送りたいのか」

も一緒に考えてください。

老人ホームへ入居するまでの流れはこちらで詳しく解説しています。

老人ホーム入居までの流れを徹底解説|相談から入居まで7ステップ【ケアマネ監修】

老人ホーム入居までの流れ7ステップ|相談・見学・契約までケアマネが解説 親の老人ホームを探すことになっても、初めてなら「何から始めればいいの?」と迷うのは当然です。 老人...

老人ホーム入居後の自宅でよくある質問

老人ホームに入居したら自宅は売ったほうがいいですか?

必ず売ったほうがいいとは限りません。自宅を売却して老人ホームの費用に充てる方法もありますが、本人の希望、家族が住む可能性、施設費用、自宅の管理などを考えて判断しましょう。迷っている場合は、急いで結論を出さないという選択もあります。

老人ホームに入った親の家を子どもが勝手に売れますか?

本人名義の不動産であれば、家族だからという理由だけで自由に売却できるものではありません。本人の判断能力などによって必要な手続きが変わる場合があります。成年後見制度を利用している場合、成年後見人等による本人の居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要です。

認知症になったら自宅は売れませんか?

認知症という診断だけで、一律に売却できないと決まるわけではありません。本人が売却の内容や結果を理解して判断できるかなどが関係します。本人自身で契約することが難しい場合には、成年後見制度などが関係することがあります。

老人ホームの費用を払うために自宅を売る人はいますか?

私が老人ホームの入居相談員をしていたときには、自宅を売却して前払金やその後の施設費用に充てる方はいました。ただし、売却後も施設費用は続くため、売却代金だけでなく年金収入や毎月の支出まで含めて考えることが大切です。

自宅を空き家のまま残しても大丈夫ですか?

すぐ売却せず残すこと自体は選択肢になりますが、適切な管理は必要です。建物や庭、防犯、郵便物などを誰が管理するのか決めておきましょう。適切に管理されない状態が続けば、空家法に基づく措置の対象になる場合もあります。

自宅を売るか迷っている場合はどうすればいいですか?

無理にその場で結論を出す必要はないと思います。ただし、空き家として残す場合の管理や、将来売却する場合の税制上の期限などは確認しておきましょう。本人の希望を確認できるうちに、家族で話しておくことも大切です。

まとめ|老人ホームに入ったからと急いで家を売らなくてもいい

親が老人ホームへ入居すると、

「もう実家には戻らないだろうから売ろうか」

という話になることがあります。

実際、私が入居相談員をしていたときにも、自宅を売却して老人ホームの前払金や施設費用に充てる方はいました。

それは一つの選択肢です。

でも、

老人ホームへ入居した=自宅を売却する

ではありません。

3つの選択肢
  • 売却して施設費用などに充てる
  • 自宅を残して家族などが管理する
  • すぐには決めず家族で考える

どれを選ぶかは、家庭によって違います。

大切なのは、

本人の家だということを忘れないこと。

本人はどうしたいのか。

家族はどうしたいのか。

施設費用は大丈夫なのか。

誰かが将来住む可能性はあるのか。

売らないなら誰が管理するのか。

そこまで考えて決めてほしいと思います。

迷っているなら、私は無理に今すぐ売却を決めなくてもいいと思います。

ただし、

「今すぐ売らなくてもいい」と「何年でも何も考えなくていい」は違います。

税制上の特例には期限などの要件があります。

認知症などによって本人自身で契約することが難しくなれば、必要な手続きが変わる場合もあります。

だからこそ、本人が希望を伝えられるうちに、

「この家、これからどうしようか」

と一度家族で話してみてください。

よっしーからひとこと

入居相談員をしていたとき、「家を売って老人ホームの費用に充てたい」という相談は珍しくありませんでした。

その一方で、「まだ決められないから家は残しておく」という家族もいました。

私が相談されたら、自宅を売って前払金や施設費用に充てる方もいることは伝えます。

でも最後に決めるのは本人と家族です。

私自身、両親が施設へ入ったとしても実家をすぐ売るとは思いません。兄弟とも話したいし、将来自分が住む可能性だってあります。

迷っているなら、無理に今日決めなくてもいい。

ただ、本人がどうしたいのかだけは、話せるうちに聞いておいてほしいと思います。

【監修・執筆】よっしー

介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。

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