老人ホームの費用が払えないときは?7つの対処法と利用できる制度をケアマネが解説
老人ホームへ入居すると、家賃・食費・管理費・介護保険サービスの自己負担など、さまざまな費用がかかります。
入居した当初は支払えていても、
「貯金が想像以上のペースで減っている」
「介護度が上がって支払いが増えた」
「医療費までかかるようになった」
「家族からの援助を続けられない」
などの理由で、老人ホームの費用が家計を圧迫することがあります。
そんなときに一番避けたいのは、誰にも相談せず、支払いが難しい状態をそのままにしてしまうことです。
老人ホームの費用が払えなくなりそうなら、まず「何にいくら払っているのか」を確認し、利用できる制度や施設変更を含めて早めに対策を考えましょう。
私はケアマネや老人ホーム入居相談員として、施設費用を気にしながら老人ホームを探すご家族や、長期的な支払いを心配する相談に関わってきました。
老人ホームは、入居できれば終わりではありません。
本人の年金や貯蓄で何年間支払えるのか。
介護度が上がった場合も支払いを続けられるのか。
入居前だけでなく、入居後も考えておく必要があります。
この記事では、老人ホームの費用が払えなくなる主な原因、最初に確認したいこと、利用できる可能性のある制度、費用を抑える方法、施設変更や生活保護を検討する場合まで、ケアマネ・老人ホーム入居相談員としての経験を交えて解説します。
- 老人ホームの費用が払えなくなる主な原因
- 払えないと気づいたときに最初にすること
- 老人ホーム費用の内訳と見直し方
- 利用できる可能性がある介護保険制度
- 費用の安い施設へ変更する方法
- 生活保護を含めた相談先
- 老人ホームの費用が払えないと気づいたら早めに相談する
- 老人ホームの費用は何にかかっている?
- 老人ホームの費用が高くなる主な5つの原因
- まずは「毎月いくら不足しているか」を計算する
- 老人ホームの費用負担を軽くできる制度を確認する
- 高額介護サービス費を確認する
- 負担限度額認定で食費・居住費を抑えられる場合がある
- 医療費が高い場合は高額療養費制度も確認する
- 医療と介護の両方が高いなら合算制度を確認する
- 制度を使っても払えないなら施設費そのものを見直す
- より費用の低い老人ホームへ住み替える
- 特養へ住み替える方法もある
- 費用が安い施設ほど良いとは限らない
- 施設変更を考えたら退去条件も確認する
- それでも老人ホームの費用を払えない場合はどうする?
- 生活保護でも老人ホームに入れる場合がある
- 老人ホームの費用を滞納したらすぐ退去になる?
- 老人ホームの費用が払えないときの7つの対処法
- 老人ホームの費用が払えないときの相談先
- 現場あるある|「あと数年は大丈夫」が意外と短いこともある
- 老人ホームの費用が払えないときによくある質問
- まとめ|払えなくなる前に「長く続けられる費用」へ見直そう
老人ホームの費用が払えないと気づいたら早めに相談する
老人ホームの費用が払えないと分かったら、実際に滞納してしまう前に施設や担当ケアマネなどへ相談しましょう。
「今月払えない」だけではなく、
「あと半年くらいで貯金が厳しくなりそう」
「毎月5万円ずつ貯金を取り崩している」
「今後、介護費用が増えたら払えない」
という段階でも構いません。
早めに分かれば、現在の支出を確認したり、利用できる制度を調べたり、より費用の低い施設を探したりする時間を確保できます。
反対に、支払いが難しいことを伝えないまま滞納が続くと、施設との契約上の問題につながる可能性があります。
支払いが難しいことを施設へ伝える
すでに老人ホームへ入居している場合は、まず施設へ相談します。
施設によって相談窓口や対応方法は異なりますが、現在の支払い状況や今後の見通しを伝えてください。
ここで大切なのは、「お金がありません」だけで終わらせず、具体的な数字を整理しておくことです。
- 本人の毎月の年金・収入
- 現在の老人ホーム費用
- 介護保険サービスの自己負担
- 医療費・薬代
- その他の毎月の支出
- 現在の預貯金
数字を整理すると、毎月いくら不足しているのかが見えてきます。
たとえば毎月2万円不足している場合と、毎月10万円不足している場合では、必要な対策も変わります。
老人ホームでかかる費用についてはこちらで詳しく解説しています。
→「老人ホームの費用はいくら?月額・入居一時金・追加費用を分かりやすく解説」
老人ホームの費用は何にかかっている?
老人ホームの費用を見直すときは、まず毎月何にお金を払っているのかを分けて考えましょう。
施設の種類や契約内容によって異なりますが、主に次のような費用があります。
| 主な費用 | 内容 |
|---|---|
| 家賃・居住費 | 居室を利用する費用 |
| 食費 | 毎日の食事にかかる費用 |
| 管理費など | 共用部分・運営などに関する費用 |
| 介護保険自己負担 | 介護保険サービス利用分 |
| 医療費 | 受診・薬などの費用 |
| その他 | 日用品・理美容など |
ここで注意したいのが、老人ホームへ支払う月額料金のすべてが介護保険の自己負担ではないことです。
そのため、介護保険の負担軽減制度を利用できたとしても、家賃や管理費、日用品費などまで同じように安くなるとは限りません。
老人ホームの契約で確認したいポイントはこちら。
→「老人ホームの契約で確認すべきポイント|契約前に後悔しないためのチェックリストをケアマネが解説」
老人ホームの費用が高くなる主な5つの原因
老人ホームの費用が払えなくなる理由は、単純に「施設が高い」だけではありません。
主な原因を5つに分けて考えてみましょう。
- 年金だけでは月額費用をまかなえない
- 想定より長く入居している
- 介護・医療にかかる費用が増えた
- 追加費用を想定していなかった
- 家族からの援助が難しくなった
① 年金だけでは月額費用をまかなえない
老人ホームの費用が本人の年金収入を上回っている場合、その差額は預貯金などから補うことになります。
たとえば、
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 年金 | 月12万円 |
| 施設等の支出 | 月18万円 |
| 毎月の不足 | 6万円 |
という状況なら、単純計算では毎月6万円を貯蓄などから補うことになります。
1年なら72万円です。
入居時点では十分な貯蓄があっても、入居期間が長くなるほど負担は大きくなります。
② 想定より長く入居している
老人ホームへ何年間入居するかを正確に予測することはできません。
そのため、入居時に想定していた期間より長く生活することで、貯蓄が減っていくことがあります。
「5年くらいなら大丈夫」と考えていたとしても、それ以上の入居になる可能性があります。
老人ホームの費用は、毎月支払う固定費として長期的に考える必要があります。
③ 介護・医療にかかる費用が増えた
入居後に要介護度や健康状態が変化すると、介護や医療に関する支出が変わる場合があります。
特に、
- 介護保険サービスの自己負担
- 通院費
- 薬代
- 医療処置に伴う費用
- 通院付き添いなどの費用
などは、本人の状態によって変わります。
医療費については高額療養費制度などが利用できる場合がありますが、対象となる費用や自己負担上限は年齢・所得などによって異なります。
④ 追加費用を想定していなかった
老人ホームでは、基本的な月額利用料以外の費用が発生することがあります。
施設や契約によって異なりますが、
- 医療費・薬代
- おむつなどの日用品費
- 理美容費
- 通院付き添い費
- レクリエーション等の実費
などがあります。
月額利用料だけで予算を組んでいると、実際の請求額が想定より高くなることがあります。
⑤ 家族からの援助が難しくなった
本人の年金や貯蓄だけでは足りず、家族が毎月不足分を援助しているケースもあります。
しかし家族にも生活があります。
退職、収入減少、子どもの教育費、自分たちの老後などによって、援助を続けられなくなることもあります。
「今まで家族が払ってきたから、これからも払える」とは限りません。
まずは「毎月いくら不足しているか」を計算する
老人ホームの費用を見直す最初のステップは、毎月の不足額を把握することです。
難しく考える必要はありません。
まず、
毎月の収入 − 毎月の支出 = 毎月の収支
を確認します。
- 年金など毎月の収入を確認する
- 施設へ支払っている金額を確認する
- 医療費などその他の支出を足す
- 毎月の不足額を計算する
- 現在の貯蓄で何か月支払えるか確認する
ここまで整理できれば、次に何をすべきか考えやすくなります。
毎月の不足が小さいなら、利用できる制度や支出の見直しで対応できる可能性があります。
一方、毎月大きな赤字が続いているなら、現在の施設で生活を続けることだけにこだわらず、より費用の低い施設への住み替えなども検討する必要があります。
老人ホームの費用負担を軽くできる制度を確認する
老人ホームの費用が負担になっている場合、介護や医療の自己負担を軽減できる制度を利用できないか確認しましょう。
代表的な制度には、次のようなものがあります。
| 制度 | 主に軽減する費用 |
|---|---|
| 高額介護サービス費 | 介護保険サービスの自己負担 |
| 負担限度額認定 | 対象施設等の食費・居住費 |
| 高額療養費 | 医療保険の自己負担 |
| 高額医療・高額介護合算 | 医療・介護の自己負担 |
ただし、これらは老人ホームの請求額全体を安くする制度ではありません。
家賃、管理費、日用品費など、制度の対象にならない費用もあります。
高額介護サービス費を確認する
1か月に支払った介護保険サービスの利用者負担が一定の上限を超えた場合、「高額介護サービス費」によって負担が軽減されることがあります。
自己負担の上限は所得区分などによって異なります。
ここで特に注意したいのは、老人ホームで支払っているすべての費用が対象になるわけではないことです。
- 施設の家賃・居住費
- 食費
- 日用品費
- 理美容費
- その他の保険外費用
などは、高額介護サービス費の対象となる介護保険サービスの利用者負担とは別に考える必要があります。
負担限度額認定で食費・居住費を抑えられる場合がある
所得や資産など一定の要件を満たす人が対象施設等を利用する場合、「介護保険負担限度額認定」により食費・居住費(滞在費)の負担が軽減されることがあります。
一般に対象となるのは、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院などの対象となる施設サービスやショートステイなどです。
一般的な有料老人ホームの家賃や食費が、負担限度額認定によって一律に安くなるわけではありません。
また、負担段階は所得などによって分かれ、預貯金等についても要件があります。
対象になる可能性がある場合は、市区町村の介護保険窓口へ確認しましょう。
負担限度額認定についてはこちらで詳しく解説しています。
→「介護保険負担限度額認定制度とは?申請方法・対象者・いくら安くなるかをわかりやすく解説」
医療費が高い場合は高額療養費制度も確認する
医療保険の対象となる医療費の自己負担が高額になった場合は、「高額療養費制度」を利用できることがあります。
高額療養費制度では、1か月の医療費の自己負担が年齢や所得などに応じた上限額を超えた場合、その超えた部分が支給される仕組みがあります。
ただし、対象となるのは医療保険の対象となる自己負担が中心です。
老人ホームの家賃・管理費などを軽減する制度ではありません。
医療と介護の両方が高いなら合算制度を確認する
医療費と介護保険サービスの自己負担の両方が大きい世帯では、「高額医療・高額介護合算療養費制度」の対象となる場合があります。
この制度は、医療保険と介護保険の自己負担を一定期間で合算し、所得区分などに応じた基準額を超えた場合に負担を軽減する仕組みです。
- 医療と介護の自己負担を合算する
- 世帯単位など一定のルールがある
- 所得区分などで基準額が異なる
- 対象外となる費用もある
ここでも、老人ホームの家賃や食費などを含めて施設費全体を合算できるわけではありません。
制度を使っても払えないなら施設費そのものを見直す
負担軽減制度を確認しても毎月の支払いを続けることが難しい場合は、現在の老人ホームそのものを見直す必要があります。
特に、
年金12万円
毎月の総支出20万円
毎月8万円の赤字
のように大きな不足が続いている場合、小さな節約だけでは根本的な解決にならない可能性があります。
その場合は、
- 現在の施設費用を詳しく確認する
- 不要・変更可能な追加費用がないか確認する
- 利用できる負担軽減制度を確認する
- より費用の低い施設を探す
- 特養なども選択肢として検討する
という順番で考えると整理しやすくなります。
より費用の低い老人ホームへ住み替える
現在の施設費用を長期的に支払えないと分かった場合、より費用の低い施設への住み替えも選択肢です。
ただし、単純に「月額が安い」という理由だけで決めないようにしましょう。
- 本人の要介護度
- 認知症への対応
- 必要な医療対応
- 毎月支払える予算
- 家族が通える地域
- 長期的に生活できるか
施設の種類が変われば、介護サービスの利用方法や費用の仕組みが変わることもあります。
まず本人に必要な介護・医療条件を整理したうえで、その条件を満たす施設の中から予算に合うところを探しましょう。
老人ホームの種類についてはこちら。
→「老人ホームの種類と違いを徹底解説|6種類の特徴・費用・選び方を比較」
特養へ住み替える方法もある
現在、有料老人ホームなどに入居していて費用負担が大きい場合、入所条件を満たすなら特別養護老人ホーム(特養)への住み替えを検討する方法があります。
特養は公的な介護保険施設で、原則として要介護3以上の方が入所対象となります。
ただし、要介護1・2でも一定のやむを得ない事情がある場合には、特例的に入所が認められる仕組みがあります。
また、特養では一定の要件を満たす低所得者について、先ほど説明した負担限度額認定によって食費・居住費の負担軽減を受けられる場合があります。
特養と有料老人ホームの違いはこちらで詳しく解説しています。
→「特養と有料老人ホームの違いを徹底比較|費用・入居条件・サービスをわかりやすく解説」
費用が安い施設ほど良いとは限らない
老人ホームの費用を下げることは重要ですが、「一番安い施設」を探すことだけが目的にならないよう注意しましょう。
費用を優先しすぎて本人に必要な介護・医療に対応できない施設を選んでしまうと、再び住み替えが必要になる可能性があります。
施設を比較するときは、最低でも次の点を確認してください。
- 毎月の総額
- 追加費用
- 介護体制
- 医療対応
- 認知症への対応
- 退去条件
良い老人ホームを見分けるポイントはこちら。
→「良い老人ホームの特徴7選|施設選びで見るべきポイントを解説」
施設変更を考えたら退去条件も確認する
別の老人ホームへの住み替えを検討する場合は、現在の施設の退去条件も確認しましょう。
契約内容によっては、退去の申し出に関する期間や費用精算などのルールが定められていることがあります。
- 退去の申し出期限
- 退去月の費用
- 入居一時金等の返還条件
- 居室の原状回復などの取り扱い
- 次の施設への情報提供
具体的な取り扱いは契約によって異なるため、現在の契約書や重要事項説明書を確認してください。
老人ホームの退去についてはこちら。
→「老人ホームの退去理由とは?退去になる8つのケースと対処法をケアマネが解説」
それでも老人ホームの費用を払えない場合はどうする?
利用できる制度を確認し、施設費を見直しても支払いが難しい場合は、生活保護など公的な支援を利用できないか相談する方法があります。
ただし、生活保護は「老人ホーム代が高いから自動的に受給できる制度」ではありません。
本人の収入や資産、生活状況などを踏まえて、福祉事務所が個別に判断します。
生活保護でも老人ホームに入れる場合がある
生活保護を利用していても、条件が合えば老人ホームや介護施設で生活できる場合があります。
生活保護には、生活に必要な費用を支える複数の扶助があります。
| 扶助 | 主な内容 |
|---|---|
| 生活扶助 | 日常生活に必要な費用 |
| 住宅扶助 | 家賃等を一定範囲で支給 |
| 医療扶助 | 医療サービスの費用 |
| 介護扶助 | 介護サービスの費用 |
ただし、老人ホームの家賃や管理費、食費、その他の費用がすべて無条件に支給されるという意味ではありません。
現在の施設に住み続けられるか、新しい施設へ移る必要があるかは、本人の状況や施設料金などを含めて個別に検討されます。
生活保護と老人ホームについてはこちらで詳しく解説しています。
→「生活保護でも老人ホームに入れる?入居できる施設・費用・利用できる制度をケアマネが解説」
生活保護を検討するときは施設選びも見直す
生活保護を利用できることになっても、現在の老人ホームにそのまま住み続けられるとは限りません。
施設の利用料が制度上の範囲を大きく超えている場合などには、より費用の低い住まいや施設について相談する必要が出ることがあります。
- 現在の施設費用はいくらか
- 本人の年金等の収入はいくらか
- 利用している介護サービスは何か
- 施設が生活保護受給者を受け入れているか
- 転居が必要になる可能性があるか
また、有料老人ホームなどでは、施設ごとに料金や入居条件が異なります。
生活保護を受給している方の受け入れ可否についても、希望する施設へ個別に確認する必要があります。
老人ホームの費用を滞納したらすぐ退去になる?
老人ホームの費用を一度支払えなかったからといって、すべての施設で即日退去になるとは限りません。
ただし、利用料の滞納が続いた場合に、契約解除の条件となることはあります。
有料老人ホームでは、契約解除の条件や予告期間などは入居契約書等に定められています。
そのため、
- 利用料の支払期限
- 滞納時の対応
- 契約解除となる条件
- 解除までの手続き
- 予告期間
を確認してください。
払えないと分かった段階で施設へ相談する
滞納してから相談するより、支払いが難しくなる見込みが分かった段階で相談した方が選択肢を持ちやすくなります。
たとえば、
- 毎月赤字になっていると気づいた
- 貯蓄が急速に減っている
- 数か月後には支払えない見込みになった
- 家族からの援助を続けられなくなった
- 滞納が発生してしまった
という段階から相談します。
老人ホームの退去についてはこちら。
→「老人ホームの退去理由とは?退去になる8つのケースと対処法をケアマネが解説」
老人ホームの費用が払えないときの7つの対処法
老人ホームの費用が払えない、または将来的に払えなくなりそうな場合は、次の順番で対処してみましょう。
- 毎月の収支と不足額を確認する
- 施設へ早めに相談する
- 利用できる負担軽減制度を確認する
- 不要・変更可能な支出を見直す
- より費用の低い施設を探す
- 特養などへの住み替えを検討する
- 生活保護を含む公的支援へ相談する
いきなり「退去」だけを考えない
費用が苦しくなると、家族は「もうこの施設を出るしかない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、まず現在の費用を確認してください。
制度を利用することで介護や医療の自己負担を減らせる可能性もあります。
一方で、毎月の赤字が大きく根本的に現在の施設費用が予算に合っていない場合には、早めに住み替えを検討した方がいいこともあります。
老人ホームの費用が払えないときの相談先
老人ホームの費用について困った場合は、相談内容に合う窓口へ早めに相談しましょう。
| 相談したいこと | 主な相談先 |
|---|---|
| 現在の施設費用 | 入居中の施設 |
| 介護保険制度 | 市区町村・担当ケアマネ等 |
| 施設の住み替え | ケアマネ・各施設・紹介センター等 |
| 生活保護 | 福祉事務所等 |
| 医療費 | 加入している医療保険等 |
一つの窓口だけですべて解決できるとは限りません。
たとえば現在の施設費用については施設へ相談し、介護保険の負担軽減制度については市区町村へ確認し、住み替えについてはケアマネなどへ相談するという形です。
現場あるある|「あと数年は大丈夫」が意外と短いこともある
老人ホームを探すとき、家族から「貯金があるので、しばらくは大丈夫です」と聞くことがあります。
でも、実際に計算してみると想像より早く貯蓄が減るケースがあります。
たとえば、
毎月5万円の赤字なら、1年で60万円
毎月8万円の赤字なら、1年で96万円
です。
ここに医療費や追加費用などが加われば、さらに支出が増える場合があります。
老人ホームの費用が払えないときによくある質問
一度支払いができなかったからといって、すべての施設で直ちに退去になるとは限りません。
ただし、利用料の滞納が契約解除の条件となっている場合があります。
現在の施設の入居契約書や重要事項説明書を確認し、支払いが難しくなると分かった段階で早めに施設へ相談してください。
条件が合えば入居できる場合があります。
ただし、すべての老人ホームが生活保護受給者を同じ条件で受け入れているわけではありません。
本人の収入や要介護度、必要な介護・医療、施設料金などを確認しながら、福祉事務所や施設などへ相談してください。
一般的な有料老人ホームの家賃・食費が、負担限度額認定によって一律に軽減されるわけではありません。
負担限度額認定は、特養・老健・介護医療院など対象となる施設サービス等の食費・居住費などを軽減する制度です。
利用しているサービスが対象か、市区町村へ確認してください。
家族がどこまで費用を負担することになるかは、本人の収入・資産、契約内容、家族の状況などによって異なります。
家族が援助を続けることで自分たちの生活まで維持できなくなる場合は、施設費用や公的支援について早めに相談してください。
本人の状態や入居条件が合えば、別の老人ホームへ住み替えることは選択肢になります。
ただし、料金だけでなく介護・医療・認知症への対応なども確認してください。
現在の施設の退去条件と、次の施設の入居条件を並行して確認しましょう。
一般的には民間の有料老人ホームより費用を抑えやすい場合がありますが、本人の所得、居室、要介護度などによって実際の負担額は異なります。
また、特養は原則要介護3以上などの入所条件があり、申し込めばすぐ入所できるとは限りません。
すでに施設へ入居している場合は、まず施設へ現在の支払い状況を相談する方法があります。
介護保険の負担軽減制度は市区町村、施設の住み替えについては担当ケアマネなどへ相談できます。
生活そのものが成り立たない場合には、福祉事務所などへの相談も検討してください。
まとめ|払えなくなる前に「長く続けられる費用」へ見直そう
この記事は、介護業界18年/介護福祉士/ケアマネジャー/施設ケアマネ経験/老人ホーム入居相談員としての経験をもとに執筆しています。
老人ホームの費用が払えなくなりそうなとき、一番大切なのは実際に滞納するまで何もしないことを避けることです。
まず現在の収支を確認します。
そして、
- 毎月の収支と不足額を確認する
- 施設へ早めに相談する
- 利用できる負担軽減制度を確認する
- 不要・変更可能な支出を見直す
- より費用の低い施設を探す
- 特養などへの住み替えを検討する
- 生活保護を含む公的支援へ相談する
という順番で考えてみましょう。
介護保険や医療保険には負担を軽減できる制度がありますが、老人ホームの家賃・管理費・食費など、施設費用全体をすべて軽減できるわけではありません。
制度を利用しても大きな赤字が続く場合は、現在の施設に住み続けることだけにこだわらず、本人に必要な介護や医療を確保しながら、より費用の低い施設を検討することも必要です。
そして、それでも本人の収入や資産だけでは生活を維持できない場合は、生活保護など公的な支援について相談してください。
老人ホームは「今月払えるか」ではなく、「本人がこの先も安心して暮らし続けられる費用か」で考えることが大切です。
老人ホーム入居相談員として施設探しに関わってきて、費用の相談はとても多いテーマでした。
家族としては、本人にできるだけ良い環境で暮らしてほしいと思います。
でも、そのために家族が毎月無理な援助を続ければ、いずれ家族側の生活も苦しくなります。
だから施設を選ぶときは、設備や立地だけでなく、必ず長期的な費用を考えてください。
本人の年金でいくら払えるのか。
毎月いくら不足するのか。
その不足を何年間補えるのか。
ここまで計算しておくことが大切です。
もし今すでに費用が厳しくなっているなら、誰にも言わずに抱え込まないでください。
施設、市区町村、ケアマネなどへ相談すれば、制度の確認や住み替えなど、次の方法を一緒に考えられることがあります。
払えなくなってから動くのではなく、払えなくなりそうだと分かった時点から動く。
それが本人の生活を守ることにもつながります。
監修・執筆:よっしーと嫁の福祉ラボ編集部(介護福祉士・ケアマネ)


