ケアマネの選び方|良いケアマネを見極める7つのポイント
要介護認定が出て、居宅介護支援事業所の一覧を渡された。
でも、事業所名や住所、電話番号を見ても、
「で、結局どこに頼めばいいの?」
となる方は多いと思います。
結論から言うと、ケアマネ選びで経験年数や出身資格だけを見る必要はありません。
私なら特に、
- 本人の生活や希望を知ろうとしてくれる
- 家族が何に困っているかも聞いてくれる
- サービスを一方的に決めない
- 「なぜこの支援が必要なのか」を説明してくれる
- 分からないことを他の専門職へ確認できる
というところを見ます。
そして、一番大切にするのは、
「この人は、うちの親の生活にちゃんと興味を持ってくれているか」
です。
私は介護業界で18年働き、施設ケアマネジャーとして約5年勤務しました。
この記事では制度上の一般論だけでなく、私が自分の親を任せるならどこを見るかという実務経験も交えて、ケアマネの探し方・選び方を解説します。
- ケアマネは自分で選べるのか
- ケアマネをどこで探せばいいのか
- 良いケアマネを見極める7つのポイント
- 初回面談で確認したいこと
- 合わなかったときはどうするか
ケアマネは自分で選べる?
まず知っておきたいのは、居宅介護支援事業所は利用者が選択できることが基本だということです。
市区町村や病院、地域包括支援センターなどから事業所を紹介されたとしても、「紹介されたから必ずそこにお願いしなければならない」というわけではありません。
一方で、実際の契約はケアマネ個人ではなく、居宅介護支援事業所と行います。
そのため、
「この事業所へお願いしたい」
という選択と、
「このケアマネさんに担当してほしい」
という希望は、少し分けて考えた方が分かりやすいです。
担当してほしいケアマネがいる場合は希望を伝えることもできますが、事業所の人員体制や担当件数などによって、必ず希望どおりになるとは限りません。
大切なのは、最初から完璧な一人を探そうとすることではありません。
実際に話をして、
「この人なら困ったときに相談できそうだな」
と思えるかを確認していけば十分です。
ケアマネはどこで探す?
要介護1~5で自宅の介護サービスを利用する場合は、一般的に居宅介護支援事業所へ相談して担当ケアマネを決めます。
「そもそも、どこに電話すればいいの?」という場合は、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターへ相談する方法もあります。
また、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」では、地域の居宅介護支援事業所を検索できます。
なお、要支援1・2の場合は、地域包括支援センターや、市区町村から指定を受けた居宅介護支援事業所などが介護予防支援の窓口になります。
居宅介護支援事業所とケアマネの違いが分からない方はこちらも参考にしてください。
→「居宅介護支援事業所とは?ケアマネとの違い・役割・利用方法を経験者が解説」
ケアマネの選び方|最初は「話してみる」ことが大切
事業所の一覧だけを見て、
「ここには良いケアマネがいる」
と判断するのは難しいです。
事業所の規模、ケアマネの人数、所在地などは参考になります。
ただし、実際に自分たちを担当してくれる人との相性までは、一覧表では分かりません。
私なら、候補となる事業所へ連絡したときや初回面談で、まず次のようなところを見ます。
- 本人への関心:本人の性格や希望、これまでの生活について聞いてくれるか
- 家族への理解:家族が困っていることや、介護できる範囲も聞いてくれるか
- 選択肢:最初から一つのサービスに決めつけていないか
- 説明:「なぜこの支援が必要なのか」を説明してくれるか
- 相談しやすさ:困ったときに、もう一度この人へ相談したいと思えるか
たとえば、家族はデイサービスを週5回利用してほしい。
でも本人は行きたくない。
こうしたことは介護では珍しくありません。
良いケアマネなら、どちらか一方の希望だけを通すのではなく、
「本人はなぜ嫌なのか」
「家族は何に困っているのか」
「週2回ならどうか」
「別の方法はないか」
と、一緒に落としどころを探します。
本人と家族の両方を見ながら考えてくれるか。
私はまず、そこを見ます。
良いケアマネを見極める7つのポイント
ここからは、私なら自分の親を任せるときにどこを見るかを具体的に紹介します。
私が最初に働いたグループホームには、「この人は良いケアマネだな」と思える人が実際にいました。
利用者さんにも職員にも好かれていて、愛嬌があって、人情味がある。
親しみやすいけれど、必要なときには曖昧にせず、きちんと伝えてくれる。
そんな人でした。
話を聞くことやケアプランを書くことは、ケアマネとして仕事をする以上、必要な業務です。
そのうえで、
「この人になら困ったときに相談したい」
と思ってもらえる人間性も大切だと私は思っています。
① 本人に興味を持っている
まず見るのはここです。
家族の話だけではなく、
「お母さん自身はどうしたいですか?」
「今までどんな生活をしていましたか?」
と、本人のことを知ろうとしてくれるか。
介護サービスを利用するのは本人です。
もちろん、介護している家族の負担も無視できません。
本人と家族の希望が違うことは、実際によくあります。
だからこそ、どちらか一方の話だけで決めるのではなく、本人と家族の両方を見ながら支援を考えてくれるかが大切だと思っています。
② 普段の生活を把握しようとしている
ケアマネが本人のすべてを知っている必要はありません。
むしろ、それは無理です。
大切なのは、分からないことをそのままにしないことです。
私は施設ケアマネをしていたとき、介護職員から、
「最近ちょっと立ち方が違いますよ」
と言われれば本人を確認し、必要なら看護師などにも聞いていました。
骨折で入院し、退院してきた利用者さんのケアプランを見直したこともあります。
リハビリについては、リハビリ職から計画をもらえば内容は分かります。
でも、その計画をケアプランへ写すだけでは、その人が退院後に実際どう生活しているのかまでは分かりません。
リハビリ職に聞くところは聞く。
自分で確認できるところは、実際に本人の様子を見る。
そのうえでケアプランを見直していました。
③ 分からないことを他の専門職に聞ける
ケアマネになる前の職種は人によって違います。
介護福祉士、看護師、社会福祉士など、それぞれ得意分野があります。
だから私は、出身資格だけでケアマネを選ぶ必要はないと思っています。
医療なら医師や看護師。
リハビリなら理学療法士や作業療法士。
福祉用具なら福祉用具専門相談員。
分からなければ、その分野に詳しい人へ聞けばいい。
何でも知っているように振る舞う人より、「確認してみますね」と言える人の方が、私は安心できます。
④ 周囲と情報共有できている
良いケアマネは、一人だけで支援を完結させるわけではありません。
デイサービス、訪問介護、訪問看護、福祉用具、医療職、家族など、いろいろな人から情報を集めながら支援を考えます。
私は逆に、「こういうケアマネにはならないようにしよう」と反面教師にした人もいました。
現場職員が利用者さんのADLについて聞いても、「実際に見た方が早い」と言って答えない。
ケアプランは前回とほとんど同じ内容。
現場へ最近の状況を確認せず、評価やモニタリングをしてしまう。
ケアマネは何でもできる必要はありません。
でも、
「何でもできなくていい」と「必要なことまでやらない」は別です。
分からなければ聞く。
必要なら本人を見る。
現場にしか分からないことなら確認する。
それでいいんです。
この経験があったので、自分がケアマネになったときは、「ケアマネになったから現場職員より偉くなったわけじゃない」ということを意識していました。
立場が違えば、見えているものも違います。
必要な人とつながり、情報を集められることもケアマネには大切です。
⑤ サービスを提案する理由を説明できる
ケアマネから、
「デイサービスを増やしましょう」
と言われたら、私なら一つ聞きます。
「なぜですか?」
入浴のためなのか。
家族の介護負担を減らすためなのか。
身体機能を維持するためなのか。
理由によって選択肢は変わります。
居宅介護支援では、利用者本人の選択を基本として、特定のサービスや事業者へ不当に偏らないよう支援することが求められます。
そのため私は、
「ここにしてください」
だけではなく、
「なぜ本人にこのサービスが必要なのか」を説明してくれるか
を見ます。
⑥ 何でも一人で抱え込まない
何でもやってくれるケアマネは、一見すると親切です。
でも、「何でも私がやります」という人=良いケアマネとは限りません。
ケアマネがすること。
家族ができること。
市区町村へ相談すること。
医療職へ確認すること。
必要なところへつないでくれることも、ケアマネの大切な役割です。
「それは私にはできません」で終わらず、
「それなら、ここへ相談してみましょう」
まで言ってくれる人なら、私は安心できます。
ケアマネはケアプランを作るだけの仕事ではありません。
本人や家族から相談を受け、介護サービスや医療・福祉の専門職との調整を行うことも大切な役割です。
「そもそもケアマネは普段どんな仕事をしているの?」という方はこちらも参考にしてください。
→「ケアマネジャーの仕事内容とは?施設ケアマネ経験者が現場のリアルまで解説」
ケアマネにどこまで相談していいのか迷ったときはこちらで詳しく解説しています。
→「ケアマネにどこまで相談できる?何でも屋ではない|家族が知っておきたい上手な頼り方」
⑦ ケアプランに本人の生活が見える
最後は、支援が始まってから分かるポイントです。
ケアプランを見たとき、
「これ、本当にうちの親のケアプランになっている?」
と考えてみてください。
本人がどう暮らしたいのか。
今何に困っているのか。
何のためにサービスを利用するのか。
そこが見えることが大切です。
私自身、介護の仕事をしていて、
「これ、誰にでも当てはまりそうだな……」
と感じるケアプランを見ることもありました。
もちろん、前回と文章が似ているだけで悪いわけではありません。
本人の状態や目標が変わっていなければ、似ることはあります。
問題なのは、本人の状態が変わっているのに、評価もケアプランも以前とほとんど変わっていないことです。
ケアプランを作ること自体が目的ではありません。
本人の生活を支えるために使うものだと私は考えています。
初回面談では、この5つを聞けば十分
ここまで読むと、
「初めて会った人をそこまで見抜けるの?」
と思うかもしれません。
もちろん、1回の面談ですべてを判断するのは難しいです。
私なら初回は、難しい質問をたくさん用意するより、次のようなことを聞きます。
- 本人はできるだけ自宅で過ごしたいのですが、どんな支援が考えられますか?
- 家族が仕事をしているので、介護できない時間があります。どんな方法がありますか?
- 本人と家族の希望が違った場合、どのように調整しますか?
- 医療やリハビリについて分からないことが出た場合は、誰と連携しますか?
- 急ぎで相談したいときは、どのように連絡すればいいですか?
ここで見たいのは、「正解」を言えるかではありません。
本人や家族の話を聞いたうえで、一緒に考えようとしてくれるか。
私はそこを見ます。
実際にサービスが始まってから、
「本人の変化を見てくれているな」
「デイサービスとも連携しているな」
と分かることもあります。
最初から100点のケアマネを探そうとしなくて大丈夫です。
ケアマネとの面談で何を話せばいいのかはこちらで詳しく解説しています。
→「ケアマネとの面談で何を話す?家族が伝えておきたいことを経験者が解説」
ケアマネと合わなければ変更してもいい
一度決めたケアマネに、ずっとお願いし続けなければならないわけではありません。
たとえば、
- 相談しづらい
- 何度伝えても話が噛み合わない
- 必要なことを相談しても対応が進まない
- 本人や家族の希望をほとんど聞いてもらえない
といった状態が続くなら、担当変更を検討しても構いません。
ただし私は、一度意見が合わなかっただけですぐ変更することまではおすすめしません。
まず、「自分たちは何に困っているのか」を整理して伝えてみる。
それでも難しければ事業所の管理者へ相談する。
それでも安心して相談できなければ変更を考える。
この順番でいいと思います。
変更方法や伝え方はこちらの記事で詳しく解説しています。
→「ケアマネの変更方法とは?変えたいときの手続き・伝え方・注意点をケアマネが解説」
ケアマネの選び方でよくある質問
経験年数は一つの参考にはなりますが、長ければ必ず良いとは限りません。
私は経験年数だけでなく、本人の生活を知ろうとしているか、必要な人と連携できるか、提案した理由を説明できるかを見ます。
出身職種によって得意分野が違うことはあります。
ただし、出身資格だけで決める必要はありません。
自分の専門外について、必要な専門職へ確認できることの方が私は重要だと思っています。
紹介されたからといって、その居宅介護支援事業所へ必ず依頼しなければならないわけではありません。
利用者が居宅介護支援事業者を選択できることが基本です。
ただし、退院が迫っているなど急いで介護サービスにつなげる必要がある場合は、完璧なケアマネ探しに時間をかけすぎないことも大切です。
希望する担当者がいる場合は、事業所へ相談してみてもよいでしょう。
ただし、実際の担当は事業所の人員体制や担当件数などによって決まるため、必ず希望どおりになるとは限りません。
特定の人を探し続けるより、実際に担当してくれる人と話してみて、相談しやすいかを確認することも大切です。
まとめ|私なら「親に興味を持ってくれるケアマネ」を選ぶ
- 本人に興味を持っている
- 普段の生活を把握しようとしている
- 分からないことを他の専門職に聞ける
- 周囲と情報共有できている
- サービスを提案する理由を説明できる
- 何でも一人で抱え込まない
- ケアプランに本人の生活が見える
ケアマネ選びで迷ったら、私は最後にこれを考えます。
「この人は、うちの親にちゃんと興味を持ってくれているか」
知識が豊富。
経験が長い。
連絡が早い。
もちろん、どれも大切です。
でも、それだけではありません。
分からないことがあれば「確認してみますね」と言える。
本人の状態が変われば気にかけてくれる。
家族が困っていれば、一緒に方法を考えてくれる。
そして、必要な専門職ともつながってくれる。
良いケアマネは、何でも答えを知っている人ではありません。
本人と家族の生活を見ながら、必要な人とつながり、一緒に答えを探してくれる人。
私は、そんなケアマネなら自分の親を任せたいと思います。
私が最初に働いたグループホームには、利用者さんにも職員にも好かれているケアマネがいました。
愛嬌があって、人情味があって、親しみやすい。でも、必要なときには曖昧にせず伝えてくれる。
一方で、「自分はこうならないようにしよう」と反面教師にしたケアマネもいました。
実際に自分がケアマネをやってみて思うのは、一人ですべてを知るなんて無理だということです。
介護のことなら現場職員に聞く。
医療なら看護師に聞く。
リハビリならリハビリ職に聞く。
昔の生活なら家族に聞く。
そして、自分で見られることは本人を見に行く。
何でもできる人より、本人や家族に興味を持って、必要な人と一緒に考えてくれる人。
私なら、そんなケアマネを選びます。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、本人・家族が「結局どうすればいいのか」を判断できる介護情報を発信しています。



