介護度が違う夫婦でも老人ホームに入れる?夫婦部屋・別室の選び方と確認点
父は身の回りのことができるけれど、母には介護が必要。
あるいは、父の介護を続けてきた母も高齢になり、二人で老人ホームへの入居を考えている。
そんなとき、家族が悩むのが「介護度が違っても、夫婦で同じ施設に入れるのか」ということです。
先に結論を言えば、介護度が違う夫婦でも、二人それぞれが入居条件を満たし、必要な支援を受けられる施設なら、一緒に入居できる場合があります。
ただし、夫婦部屋が空いていれば、必ず二人で入れるわけではありません。
私自身、老人ホーム入居相談員として、夫婦での入居相談に10件ほど関わった経験があります。
夫婦部屋が空いておらず、個室を二つ契約した方。
夫婦部屋があっても、お互いのプライベートを大切にして別室を選んだ方。
夫婦の暮らし方は、本当にさまざまでした。
大切なのは、二人とも無理なく暮らせる場所と部屋を選ぶこと。
この記事では、実際の相談経験を交えながら、夫婦部屋と別室の考え方、介護度が違う場合の注意点、施設探しで確認しておきたいことを解説します。
- 介護度が違う夫婦が同じ老人ホームへ入居するための条件
- 夫婦部屋と、個室を二つ使う場合の違い
- 実際に別室を選んだ夫婦の考え方
- 介護や夜間の生活、費用について確認したいこと
- 二人の希望に合う施設の探し方
介護度が違う夫婦でも同じ老人ホームに入れる?
夫婦で介護度が違うという理由だけで、同じ老人ホームへの入居を諦める必要はありません。
ただし、確認するのは二人それぞれの入居条件です。
「母が入れる施設だから、父も一緒に入れるだろう」とは限りません。
元気な人も入れる施設かを確認する
有料老人ホームには、自立している方から要支援・要介護の方まで受け入れる施設もあれば、要介護の方を対象とする施設もあります。
厚生労働省の有料老人ホームの表示事項でも、入居時の条件は「入居時自立」「入居時要介護」「入居時自立・要支援・要介護」などに分けられています。
例えば、父は自立、母は要介護という場合。
母に必要な介護を提供できることに加えて、父も入居対象になっているかを確認する必要があります。
また、入居対象に当てはまっていても、必要な医療対応や認知症の症状などによって、受け入れの判断は変わります。
施設へ相談するときは、夫婦のうち介護が重い方だけでなく、二人分の状態を伝えてください。
特別養護老人ホームは夫婦それぞれに入所条件がある
特別養護老人ホームへの新規入所は、原則として要介護3以上の方が対象です。
要介護1・2の方も、やむを得ない事情で在宅生活が困難な場合には特例入所の対象となることがありますが、夫婦だからという理由だけで入所できるわけではありません。
厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」の一部改正について
例えば、母が要介護4で、父が自立や要支援の場合、父も配偶者として一緒に入所できるという仕組みではありません。
二人とも入所条件を満たしている場合でも、同じ時期に入所できるか、同じ部屋で暮らせるかは別に確認が必要です。
施設ごとの基本的な違いを整理したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
夫婦部屋があることと、二人で入居できることは別に確認する
施設を探すときは、夫婦部屋の有無・空き・二人の受け入れ条件をセットで確認してください。
そもそも、すべての老人ホームに夫婦部屋があるわけではありません。
夫婦部屋があっても満室だったり、二人の介護状態によっては個室を勧められたりする場合があります。
私が入居相談員として関わったケースでも、夫婦部屋を希望されていたものの、片方の介護が重く、施設側から別々の個室を勧められたことがありました。
だから、ご家族には希望している部屋で受け入れてもらえるか、施設への確認が必要と伝えていました。
家族としては、夫婦部屋の空きを見つけると安心すると思います。
でも、そこで決めてしまわず、次の三つを確認してほしいんです。
確認すること 施設へ聞きたい内容
夫婦部屋の有無と空き 二人で使える部屋があり、希望時期に入居できるか
二人それぞれの受け入れ 現在の介護状態や必要な医療対応で入居できるか
同室での生活への対応 二人に必要な支援を、その部屋で受けられるか
全国有料老人ホーム協会も、夫婦での入居について、同じ部屋を希望するか、現在介護が必要か、将来の介護に不安があるかなどを確認事項として挙げています。
全国有料老人ホーム協会「ご夫婦で有料老人ホームへの住み替えについて」
夫婦部屋と別室、どちらが二人に合っている?
夫婦で同じ施設に入る場合でも、個室を一つずつ使う暮らし方があります。
夫婦部屋を希望する方もいれば、同じ施設で暮らしながら、自分の時間や空間を持ちたい方もいます。
私が担当したご夫婦にも、夫婦仲の事情から別室を希望した方や、お互いのプライベートを分けたいと考える方がいました。
家族が思う「二人にとって良さそうな暮らし」と、本人たちが希望する暮らしが同じとは限りません。
まずは、それぞれの希望を聞いてみてください。
暮らし方 選ぶ理由の例 確認しておきたいこと
夫婦部屋で暮らす 同じ部屋で一緒に過ごしたい 二人分の生活スペース、介護時の出入り、生活リズム
同じ施設で個室を二つ使う 一人で過ごす時間や寝室を確保したい 二人分の費用、部屋の距離、お互いの部屋を行き来できるか
夫婦部屋が空いても、別室のまま暮らす方もいた
私が関わったケースでは、最初は夫婦部屋が空いておらず、個室を二つ契約して入居した方もいました。
ところが、後から夫婦部屋が空いても、そのまま別々の部屋で暮らす方がいたんです。
実際に暮らしてみると、一人の時間がある。
自分のペースで過ごせる。
そうした自由さが気に入ったり、部屋を移る手間をかけたくなかったりして、変更しない方もいました。
ただし、個室を二つ使う場合は、費用を継続して払えるかも大切です。
私が担当した範囲では、別室を選ぶ方には、比較的介護度が低く、金銭面にも余裕のある方が見られました。
これは、あくまで私の経験です。別室を選ぶ理由や介護状態は、ご夫婦によって異なります。
夫婦部屋と個室二つの両方で見積もりを取り、二人の希望と支払いを続けられる予算を合わせて考えてください。
夫婦部屋を選ぶなら、夜間の介護と配偶者の睡眠も確認する
片方に夜間の介護が必要な場合は、同じ部屋で暮らす配偶者が落ち着いて休めるかも考えてください。
私が入居相談員として関わった中でも、夫婦部屋を希望していたものの、片方の介護状態を理由に、施設から個室を二つ使う方法を勧められたケースがありました。
家族からすると、「せっかく夫婦で入るのに、どうして別々の部屋なの?」と思うかもしれません。
でも、部屋での暮らしを想像してみると、確認しておきたいことが見えてきます。
例えば、夫は身の回りのことができて、妻には夜間の排泄介助などが必要な場合。
妻のケアのために、夜中も職員が部屋へ入ります。声をかけたり、明かりをつけたりすることもあるでしょう。
そのたびに、隣で寝ている夫も目を覚ましてしまうかもしれません。
もちろん、必要なケアは介護度の数字だけでは決まりません。夜間にどのような支援が必要なのか、本人の状態に合わせて確認します。
介護を受ける本人に必要な支援を届けながら、配偶者の睡眠も守れるか。
夫婦部屋を選ぶときには、ここまで考えておきたいんです。
別室を勧められたら、その理由を聞いてみる
私自身、ご家族には、夫婦部屋を希望しても、その希望が通るかは施設へ確認しなければ分からないと伝えていました。
ただ、「別室の方がいいです」と言われただけでは、家族も納得しにくいと思います。
そんなときは、次のように聞いてみてください。
- 二人の状態のうち、どのような点から別室を勧めていますか?
- 夫婦部屋では難しく、個室なら対応できるのは、どのようなことですか?
- 別室にした場合、近い部屋や同じ階で暮らせますか?
- 日中は一緒に過ごせますか?移動に介助が必要な場合は対応できますか?
理由を聞けば、二人の生活を考えた提案なのか、施設の設備や職員体制による事情なのかが分かりやすくなります。
希望の部屋に入れるかだけでなく、入居してから二人がどう過ごせるかまで説明してもらいましょう。
費用は「夫婦で毎月いくら払うか」を見積もってもらう
夫婦部屋と個室二つを比較するときは、二人分の総額を同じ条件で出してもらってください。
パンフレットの月額料金だけを見ても、それが一人分なのか、一室分なのかで意味が変わります。
夫婦部屋だから二人目の費用がほとんどかからない、とも限りません。
私が担当した範囲では、個室を二つ使い続ける方には金銭面に余裕のある方もいました。ただ、これから探すご家族が、同じように考えられるとは限らないですよね。
本人たちが別室を気に入っても、支払いが続かなければ、また暮らしを考え直すことになります。
だから、部屋の希望と一緒に、二人で使える予算も決めておきたいところです。
部屋代と、一人ずつ必要な費用を分けて確認する
見積もりでは、次のように確認すると比べやすくなります。
| 費用 | 夫婦で確認するポイント |
|---|---|
| 家賃・管理費 | 夫婦部屋はいくら?個室を2部屋借りる場合はいくら? |
| 食費・生活支援費 | 夫婦2人で月いくら?月額料金に何が含まれている? |
| 介護サービス費 | 夫と妻、それぞれ月いくらかかる? |
| 医療費・日用品など | 月額料金とは別に、どんな費用がかかる? |
| 入居時の費用 | 夫婦2人で最初にいくら必要?部屋を変えた場合はどうなる? |
介護保険サービスの利用者負担は、原則1割、一定以上の所得がある方は2割または3割です。夫婦でも、それぞれの負担割合証や利用するサービスに基づいて確認します。
厚生労働省「介護サービス情報公表システム|サービスにかかる利用料」
見積もりを依頼するときは、
「父と母の今の状態で、夫婦部屋なら月にいくら、個室二つならいくらになりますか?」
と聞けば、話を進めやすくなります。
見積もりに含まれない費用も、その場で書き出してもらうと安心です。
食費やおむつ代などの扱いは、施設の種類や契約によって異なります。「ほかの施設ではこうだった」という感覚で決めず、その施設の説明を確認してください。
月額費用や前払金、追加費用の基本については、こちらの記事で詳しく解説しています。
老人ホームの費用はいくら?月額・前払金・追加費用をケアマネが解説
片方の状態が変わったとき、部屋と契約はどうなる?
今の状態で入れることに加えて、どちらかの介護が重くなった場合や、一人で暮らすことになった場合も確認しておきましょう。
入居するときには、どうしても目の前の空室や料金に気持ちが向きます。
でも、二人とも今の状態のまま暮らすとは限りません。
片方に必要な介護が増えることもあれば、入院でしばらく部屋を離れることもあります。
そのとき、残る方が同じ部屋で生活できるのか。費用はどう変わるのか。
夫婦入居では、ここまで聞いておきたいです。
夫婦部屋から個室へ移る場合の条件を聞く
入居後に別室を希望しても、すぐに個室が空いているとは限りません。
反対に、個室を二つ使って入居し、夫婦部屋が空くのを待つ場合も、移れる時期を確約してもらえるとは限らないでしょう。
「後から部屋を変えられますか?」と聞いたら、空室・費用・手続きまで確認してください。
| こんなとき | 施設に確認しておきたいこと |
|---|---|
| 片方の介護が重くなった | 夫婦部屋のまま暮らせる?部屋を移る必要があるのはどんなとき? |
| 夫婦部屋から個室へ移りたい | 個室に空きがなければどうなる?追加料金はいくら? |
| 個室2部屋から夫婦部屋へ移りたい | 夫婦部屋が空くまで待てる?料金や入居時費用はどう変わる? |
| 片方が入院した | 入院中も部屋を残せる?その間も家賃などはかかる? |
| 片方が退去・亡くなった | 残った人はそのまま住める?1人になった後の料金や部屋はどうなる? |
部屋を変えたり、一人になったりしたときの扱いは、施設や契約内容によって異なります。
「一人になれば料金も半分になるだろう」「夫婦部屋にはそのまま住めるだろう」と、家族側で決めつけないようにしてください。
気になる条件は契約書のどこに書いてあるか確認する
厚生労働省の有料老人ホームの設置運営標準指導指針では、提供する介護サービスの内容や費用負担について、重要事項説明書などで明確にすることが示されています。
説明を聞いて分かったつもりでも、家に帰ると細かい条件は忘れてしまうものです。
部屋の変更や、一人になった後の料金など、気になるところは、
「今のお話は、契約書や重要事項説明書のどこを見れば分かりますか?」
と聞いておくと、後から家族でも確認できます。
書類だけでは分からない場合は、個別の条件を書面で説明してもらってください。
>>老人ホームの契約前に確認すべき10項目|追加費用・通院・退去条件まで経験者が解説
介護度が違う夫婦の老人ホームはどうやって探す?
夫婦で同じ老人ホームへ入りたい場合は、「夫婦入居可」だけで探さず、二人の状態と希望する暮らし方を最初から伝えて探すのがおすすめです。
特に夫婦部屋を希望する場合は、家族だけで候補を探すのが難しいことがあります。
私も入居相談員をしていたころは、
「この地域で夫婦部屋があるなら、まずあそこかな」
と、いくつか候補が頭に浮かぶことがありました。
でも、それは普段から老人ホームの空室や設備、受け入れ状況を見ていたからです。
初めて老人ホームを探す家族が、ホームページを一つずつ見ながら、
「夫婦部屋がある」
「二人とも入居できる」
「今の介護状態にも対応できる」
という施設を探すのは、結構大変だと思います。
しかも、夫婦部屋があると書かれていても、現在空いているとは限りません。
最初から「夫婦部屋だけ」と決めすぎず、同じ施設の個室二つも候補にすると、選べる施設は広がります。
夫婦二人の条件に合う施設を自分で探すのが大変な場合は、無料の老人ホーム紹介サービスへ相談する方法もあります。
「夫婦で入居したい」「できれば夫婦部屋」「介護度が違う」と最初に伝えて、候補になる施設があるか確認してみましょう。
夫婦で入れる老人ホームを探している方はこちら
相談・施設紹介は無料です。
まずは夫婦で何を優先するのか決めておく
施設へ問い合わせる前に、二人が何を優先したいのかを整理してみてください。
| 優先したいこと | 探し方の考え方 |
|---|---|
| とにかく同じ部屋で暮らしたい | 夫婦部屋があり、二人の介護状態に対応できる施設を優先する |
| 同じ施設なら部屋は別でもいい | 個室を2部屋確保できる施設まで候補を広げる |
| 自宅から近いことを優先したい | 部屋の形より地域を優先し、施設へ個別に相談する |
| 費用を抑えたい | 夫婦部屋と個室2部屋の総額を比較する |
| 介護が重い方の安心を優先したい | 必要な介護・医療対応ができる施設を先に絞る |
| 二人の生活リズムを守りたい | 個室2部屋や近い居室を使える施設も検討する |
すべての希望を満たす施設が見つかれば理想です。
ただ、実際の施設探しでは、
「場所はいいけど夫婦部屋がない」
「夫婦部屋はあるけど予算を超える」
「二人で入れるけど、介護が重くなると同室では難しい」
といったこともあります。
だから私は、絶対に譲れない条件を二つか三つ決めてから探すのがいいと思っています。
夫婦部屋にこだわりすぎない方が見つかることもある
私が担当したケースでも、最初から希望どおりにいくご夫婦ばかりではありませんでした。
夫婦部屋が空くのを待つ方もいましたし、先に個室を二つ契約して入居した方もいます。
そして面白いのが、先ほど紹介したように、後から夫婦部屋が空いても移らなかったご夫婦がいたことです。
最初は、
「夫婦だから同じ部屋がいい」
と思っていても、暮らしてみたら、
「この距離感も悪くない」
となることがあるんですよね。
同じ建物にいるので、食事を一緒にしたり、日中に顔を合わせたりすることはできます。
一方、夜になればそれぞれ自分の部屋へ戻れる。
「一緒に老人ホームへ入る」と「一日中同じ部屋で暮らす」は、同じ意味ではありません。
夫婦二人が納得しているなら、同じ施設の別々の個室という選択も十分ありだと思います。
>>老人ホームの空きを探す方法|空室がないときの対処法を元入居相談員が解説
希望条件によっては、施設へ個別に相談してみる
パンフレットやホームページの条件だけを見て、「無理そう」と諦める前に施設へ相談してみる価値はあります。
もちろん、入居条件そのものを無視することはできません。
必要な介護や医療対応ができなければ、安全に暮らすことが難しいからです。
ただ、部屋の使い方などは施設によって対応が違うことがあります。
私が入居相談員だったころ、少し変わったケースがありました。
そのホームは基本的にトイレが共用でしたが、夫婦部屋には室内トイレが付いていました。
ある方は、その施設が自宅から近く、とても気に入っていました。
そこで施設と相談した結果、夫婦部屋の料金を支払って、一人で夫婦部屋に入居したことがあります。
かなり特殊なケースですし、どこの老人ホームでもできる話ではありません。
当時は新規オープンからそれほど時間がたっていない施設だったため、施設側にも相談に応じてもらいやすい事情があったのかもしれません。
ただ、この経験から私が感じるのは、
希望する理由まで施設へ伝えた方がいい
ということです。
「夫婦部屋に入りたい」
だけではなく、
「夜間も夫婦で一緒にいたい」
「トイレ付きの部屋が必要」
「別室でもいいから、同じ階にしてほしい」
「自宅から近いこの施設を第一希望にしている」
と理由まで伝える。
そうすると、施設側から別の方法を提案してもらえることがあります。
見学では「二人でここに住む場面」を想像する
夫婦で見学するときは、設備を見るだけではなく、二人が実際に生活する場面を想像してみてください。
夫婦部屋なら、まず二人で過ごすには十分な広さがあるか。
ベッドを二つ置いたら、どのくらいスペースが残るのか。
片方が車いすになった場合でも移動できそうか。
トイレまでの動線はどうか。
さらに介護が必要なら、職員がベッドの横に入って介助するスペースも必要になります。
個室を二つ使うのであれば、
「部屋同士を近くしてもらえるか」
も聞いてみてください。
隣同士は難しくても、同じ階なら行き来しやすい場合があります。
見学のときに確認したいこと
| 確認する場所・内容 | 聞いておきたいこと |
|---|---|
| 夫婦部屋 | ベッド2台を置いても生活しやすい広さがあるか |
| トイレ・洗面 | 介護が必要になっても使いやすいか |
| 職員の出入り | 夜間の介護ではどの程度職員が入室するのか |
| 個室2部屋 | 同じ階や近い部屋を希望できるか |
| 食事 | 夫婦で同じ席にしてもらえるか |
| 日中の過ごし方 | 一緒に過ごしたい場合、どこで過ごせるか |
| 面会・外出 | 二人で外出したり、家族と出かけたりできるか |
| 将来の介護 | 介護が重くなっても同じ施設で暮らせるか |
特に見てほしいのは、部屋の広さだけではありません。
私は老人ホームを見るとき、職員の様子や入居者の表情もかなり気にします。
夫婦で入居できても、どちらかに介護が必要なら、実際に生活を支えるのはそこで働く職員です。
二人を安心して任せられそうかという視点も忘れないでください。
>>老人ホーム見学チェックリスト15選|見るべきポイントをケアマネが解説
契約前に「もしも」を二人分確認する
施設が気に入り、二人とも入居できることが分かったら、最後は契約条件を確認します。
ここまで来ると、
「やっと見つかった」
という安心感から、そのまま契約したくなるかもしれません。
でも、夫婦入居だからこそ、最後にもう一度確認してほしいことがあります。
今の二人ではなく、数年後の二人を想像して確認してください。
例えば、
- 夫婦部屋で片方の介護が重くなったらどうなるか
- どちらかだけ介護居室へ移ることはあるか
- 片方が長期入院したら部屋と料金はどうなるか
- 一人になった後も夫婦部屋に住み続けられるか
- 一人用の個室へ移りたい場合、どのような扱いになるか
- 部屋を変更した場合、前払金や月額料金はどうなるか
といったことです。
有料老人ホームでは、重要事項説明書などで、サービス内容や料金、契約に関する重要な事項を確認できます。
特に居室の住み替えは、
「空いたら当然移れる」
とは考えない方がいいです。
本人の希望による住み替えについて、契約書に定めがなければ、希望どおり対応してもらえるとは限りません。
口頭で説明を受けただけで終わらせず、契約書や重要事項説明書のどこに書いてあるのかまで確認しておきましょう。
>>老人ホームの契約前に確認すべき10項目|追加費用・通院・退去条件まで経験者が解説
夫婦で入れる老人ホームが見つからないときは相談先を使う
夫婦二人の条件に合う老人ホームを家族だけで探すのが難しい場合は、老人ホームの相談窓口や紹介サービスを利用する方法もあります。
夫婦入居では、
「父は自立」
「母は要介護4」
「できれば同室」
「埼玉県内」
「月額は二人でこのくらい」
というように、条件が一気に増えます。
さらに、
「夫婦部屋があるか」
だけでは足りません。
現在の空室、二人それぞれの受け入れ、医療対応、予算まで確認する必要があります。
ここは、私自身が入居相談員をしていたからこそ感じますが、施設情報を持っている相談員を使う意味が出やすいケースだと思います。
夫婦部屋がある施設を一から探すだけでも、家族には結構な負担だからです。
ただし、紹介された施設だからといって、そのまま決める必要はありません。
候補を絞るところまで手伝ってもらい、最後は家族で見学して判断してください。
「自分で何施設も調べるのは大変」「条件を伝えて候補を一緒に探してほしい」という方は、無料の老人ホーム紹介サービスへ相談する方法もあります。
シニアのあんしん相談室では、希望条件に合わせた施設探しや資料請求、見学予約などを相談できます。
相談・施設紹介は無料です。
※資料請求や見学などの利用条件はサービスごとに異なります。最新情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
夫婦で老人ホームに入るときによくある質問
Q. 夫が自立、妻が要介護でも同じ老人ホームに入れますか?
入居条件が自立から要介護まで対応しており、妻に必要な介護も提供できる施設なら、一緒に入居できる場合があります。
ただし、夫婦それぞれについて入居条件を確認する必要があります。
夫婦だから自動的に二人とも入れるわけではありません。
Q. 夫婦なら必ず同じ部屋に入れますか?
いいえ。
夫婦部屋そのものがない施設もありますし、空室がない場合もあります。
また、片方に夜間の介護などが多く必要な場合、もう一方の生活への影響を考えて個室二つを提案されることもあります。
Q. 同じ老人ホームで別々の部屋に住むことはできますか?
個室に空きがあり、二人とも入居条件を満たしていれば可能な施設があります。
私が担当した中にも、同じ施設で個室を一つずつ使って暮らしていたご夫婦がいました。
夫婦部屋が後から空いても、別室での生活を気に入って、そのまま暮らした方もいます。
Q. 夫婦部屋の方が個室二つより安いですか?
施設によって異なります。
夫婦部屋の家賃が一室分でも、食費や介護サービス費などは二人分必要になることがあります。
「夫婦部屋なら月額いくら」「個室二つなら月額いくら」と、二人分の総額で見積もりを出してもらってください。
Q. 片方が亡くなったら、夫婦部屋に一人で住み続けられますか?
施設や契約内容によって異なります。
そのまま住める場合でも料金がどうなるか、個室への住み替えが必要または可能なのかは別に確認が必要です。
入居前に契約書や重要事項説明書で確認しておきましょう。
- 介護度が違う夫婦でも、二人が入居条件を満たせば同じ老人ホームに入れる場合がある
- 夫婦部屋があっても、二人の状態によっては同室で暮らせないことがある
- 片方の夜間介護が多い場合は、もう一方の睡眠や生活への影響も考える
- 同じ施設で個室を二つ使う暮らし方も選択肢になる
- 費用は一人分ではなく、夫婦二人の総額で比較する
- 入院・介護状態の変化・一人になった場合の部屋と料金も契約前に確認する
- 夫婦部屋だけで探さず、二人にとって無理のない暮らし方から施設を選ぶ
よっしーからひとこと
夫婦で老人ホームを探している家族からすると、
「せっかく二人で入るんだから、同じ部屋にしてあげたい」
と思うかもしれません。
もちろん、本人たちもそれを望んでいて、無理なく生活できるならいいと思います。
でも、私が実際に夫婦の入居相談を担当してきて感じたのは、夫婦部屋だけが正解ではないということです。
別々の個室で暮らし始めたら、その自由さを気に入ってしまったご夫婦もいました。
反対に、片方の介護が重く、夫婦部屋を希望していても別室を勧められたケースもあります。
大切なのは、
「夫婦なんだから一緒の部屋」
と周りが決めてしまわないこと。
同じ部屋が落ち着く人もいれば、一人になれる部屋があった方が気楽な人もいます。
介護が必要になれば、職員の出入りや夜間の生活も変わります。
だからこそ、二人がこれからどう暮らしたいのかを聞いて、その生活を続けられる老人ホームを探してほしいと思います。
夫婦部屋か別室かで迷ったら、両方を見せてもらってください。
実際の部屋に立ってみると、
「こっちの方が二人らしく暮らせそうだね」
と見えてくることもあります。
監修・執筆:よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として施設探しにも携わる。
介護現場・施設ケアマネ・入居相談の経験をもとに、制度だけでは見えにくい老人ホーム選びの実情を家族目線で分かりやすく発信しています。




