老人ホームに入居したら住民票は移す?住所地特例や郵便物の注意点を経験者が解説
老人ホームへの入居が決まると、荷物の準備や契約、介護保険関係の手続きなど、家族がやることはたくさんあります。
そこで意外と迷うのが、
「住民票は老人ホームへ移したほうがいいの?」
という問題です。
元の自宅には家族が住んでいる。
自宅が空き家になる。
施設へ郵便物を届けたい。
介護保険はどうなる?
住所地特例って何?
いろいろ考え始めると、結構ややこしいんですよね。
先に結論を言うと、「老人ホームに入居したら全員が住民票を施設へ移す」と単純に考えるものではありません。
実際にどこを生活の本拠とするのか、入居する施設、介護保険の扱い、郵便物を誰が管理するのかなども含めて考える必要があります。
そして介護保険には「住所地特例」という、老人ホームへ入居する家族にはぜひ知っておいてほしい制度があります。
- 老人ホーム入居時に住民票をどう考えるか
- 介護保険の住所地特例とは何か
- 住所地特例になる施設・ならない施設
- 住民票を移さない場合の郵便物の注意点
- 施設に届く本人宛て郵便物をどう管理するか
- 元施設ケアマネなら自分の家族をどうするか
- 老人ホームに入居したら住民票はどうする?
- 介護保険の「住所地特例」とは?
- すべての老人ホームが住所地特例になるわけではない
- 住民票を移さない場合は郵便物をどうする?
- 住所地特例になると介護保険はどうなる?
- 住所地特例がある理由は施設所在地への負担集中を防ぐため
- 生活保護には「居住地特例」という別の制度がある
- グループホームは生活保護でも特例の対象外
- 介護保険と生活保護で担当する自治体が違うこともある
- 住民票を施設へ移すなら郵便物の管理方法も決めておく
- 結局、老人ホームに住民票は移したほうがいい?
- 住民票を考えるときは4つを確認しよう
- 元の自宅が空き家になるなら郵便物の管理も考える
- 私なら住民票を移すことを考える
- 住所を移すなら「本人宛ての郵便物」を誰が見るか決めておく
- 契約前に施設へ聞いておきたいこと
- 老人ホームと住民票でよくある質問
- まとめ|住民票だけでなく入居後の生活まで考えよう
老人ホームに入居したら住民票はどうする?
老人ホームへ入居すると、
「施設へ住所を移してください」
と言われることもあれば、
「住民票はどうされますか?」
と家族に確認されることもあります。
私が施設で働いていた経験でも、施設の種類によって違いがありました。
グループホームで勤務していたころは、施設へ住民票を移してくる方がほとんどでした。
一方、有料老人ホームでは、
施設へ住民票を移す人もいれば、元の住所のままにしている人もいました。
私が見てきた範囲では、どちらのケースもありました。
ここで注意してほしいのは、
「私が勤務していたグループホームでは住民票を移す人が多かった」=「グループホームは住所地特例になる」ではない
ということです。
この2つは別の話です。
後ほど詳しく説明しますが、介護保険の住所地特例には対象となる施設が決められており、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は住所地特例の対象ではありません。
だから、
「老人ホームへ入ったから」
「みんな住民票を移しているから」
だけで判断するのではなく、本人の状況と入居先を確認することが大切です。
介護保険の「住所地特例」とは?
老人ホームへの住所変更を調べると、よく出てくるのが「住所地特例」という言葉です。
名前だけ見ると難しそうですが、家族向けにかなり簡単にすると、
対象となる施設へ住所を移しても、介護保険は原則として入居前の市町村が引き続き担当する仕組み
です。
介護保険法第13条に定められている制度です。
厚生労働省|介護保険法 第13条(住所地特例対象施設に入所又は入居中の被保険者の特例)
例えば、
A市に住んでいた母親が、B市にある住所地特例対象の老人ホームへ入居し、住民票もB市の施設へ移したとします。
普通に考えると、
「住所がB市になったんだから介護保険もB市になるんじゃないの?」
と思いますよね。
でも住所地特例が適用されれば、介護保険については入居前のA市が引き続き保険者になります。
なぜこんな制度があるのでしょうか。
老人ホームなどが多い市町村に介護保険の負担が偏ってしまうことを防ぐためです。
施設が多い地域だけが、他地域から入居してきた人の介護保険まで一気に負担することになれば、市町村間で大きな差が出てしまいます。
そのため、対象施設への入居による住所変更については、介護保険の保険者を入居前の市町村とする特例が設けられています。
すべての老人ホームが住所地特例になるわけではない
ここはかなり大事です。
「老人ホームへ入居した=住所地特例」ではありません。
介護保険法では住所地特例の対象施設が定められています。
有料老人ホームについても、厚生労働省は「全国の有料老人ホームの一覧(住所地特例対象施設に限る)」を案内しています。
厚生労働省では、住所地特例対象となる有料老人ホームの一覧について、各自治体の情報へつながる案内を公開しています。
特に注意したいのがグループホームです。
グループホームは認知症の方が少人数で共同生活する介護保険サービスですが、介護保険の住所地特例対象施設ではありません。
私がグループホームで働いていたころは、住民票を施設へ移してくる方がほとんどでした。
でも、それはあくまで私が勤務していた施設での実際の入居者の状況です。
住所地特例の対象かどうかとは別に考える必要があります。
このあたりを一緒にしてしまうと、
「施設に住民票を移したんだから、前の市区町村の介護保険がそのまま使えるんでしょ?」
と誤解する可能性があります。
施設の種類が分からない場合は、施設の相談員やケアマネジャー、市区町村の介護保険担当窓口へ確認してください。
住民票を移さない場合は郵便物をどうする?
住民票をどうするか考えるとき、現実的に結構大きいのが郵便物です。
例えば、元の自宅に家族がそのまま住んでいる場合。
行政などから本人宛ての郵便物が届いたら、家族が確認して、施設で必要なものを持っていくこともできます。
私が勤務していた施設でも、そうした家族はいました。
一方、本人が老人ホームへ入居したことで自宅が空き家になる場合は事情が変わります。
誰も住んでいない自宅へ郵便物が届き続ける。
家族が定期的に取りに行く。
必要な書類があれば施設へ持っていく。
これをずっと続けるのは、家族によっては結構面倒です。
私が見てきた中でも、
「それなら住民票を施設へ移したほうが楽だね」
と考える方はいました。
郵便局の転居届は1年間
「じゃあ郵便局に転居届を出せばいいんじゃない?」
という方法もあります。
これは使えます。
ただし、期間には注意してください。
日本郵便では、期間終了後に再度転居届を出すことで、さらに1年間更新することもできると案内しています。
だから、
「転居届を一度出しておけば、ずっと施設へ転送される」わけではありません。
さらに「転送不要」と記載された郵便物等は、転居届を出していても転送されません。
元の住所に家族が住んでいて、本人宛ての郵便物をきちんと管理できる。
それなら家族として困らないケースもあるでしょう。
逆に、
元の自宅が空き家になる。
家族も遠方に住んでいる。
郵便物を取りに行く人がいない。
本人自身で郵便物を管理することも難しい。
こうした場合は、住所をどうするかだけではなく、入居後の郵便物を誰がどう管理するのかまで考えておいたほうがいいと思います。
住所地特例になると介護保険はどうなる?
住所地特例で家族が一番混乱しやすいのが、
「住民票は新しい市区町村なのに、介護保険は前の市区町村なの?」
というところです。
住所地特例の対象になると、そうした状態になることがあります。
例えば、
埼玉県A市に住んでいた母親が、埼玉県B市にある住所地特例対象の有料老人ホームへ入居したとします。
住民票は施設のあるB市へ移した。
でも介護保険については、住所地特例によって入居前のA市が引き続き保険者になる。
ということがあります。
国の介護保険法でも、住所地特例対象施設へ入居することで住所を変更した場合について、入居前の市町村が介護保険を行う仕組みが定められています。
これは介護保険法第13条で定められている制度です。
さらに、住所地特例の適用を受けることになった場合などには、介護保険法施行規則で届出についても定められています。
ただ、家族が制度を全部覚える必要はありません。
大切なのは、
「住民票を移した市区町村=必ず介護保険の保険者になるわけではない」
と知っておくことです。
分からなくなったら、入居先の施設や現在の市区町村、入居前の市区町村の介護保険担当窓口へ確認してください。
住所地特例がある理由は施設所在地への負担集中を防ぐため
そもそも、なぜこんな少し分かりにくい制度があるのでしょうか。
老人ホームは全国の市区町村に同じ数だけあるわけではありません。
施設が多い地域もあれば、少ない地域もあります。
もし施設へ住所を移した人の介護保険を、すべて施設所在地の市区町村が担当することになれば、老人ホームが多い自治体へ負担が集中してしまいます。
そこで住所地特例という仕組みがあります。
厚生労働省では、住所地特例の対象となる有料老人ホームについて、都道府県・指定都市・中核市が一覧を公表する仕組みを設けています。
厚生労働省|全国の有料老人ホームの一覧(住所地特例対象施設に限る)
「この老人ホームは住所地特例になりますか?」
と施設へ聞いても構いません。
特に別の市区町村にある老人ホームへ入居するときは、確認しておくと安心です。
生活保護には「居住地特例」という別の制度がある
生活保護を利用している方が老人ホームへ入居する場合は、さらに注意が必要です。
介護保険には「住所地特例」がありますが、生活保護には「居住地特例」という別の仕組みがあります。
名前が似ていますが、同じ制度ではありません。
生活保護では原則として、本人の居住地や現在地を所管する福祉事務所が保護を実施します。
一方、一定の施設へ入居する場合には、施設がある地域へ負担が集中しないよう、入居前の居住地などを所管する福祉事務所が引き続き実施責任を負う「居住地特例」があります。
そして、この制度は2025年4月1日に変更されています。
厚生労働省の資料では、2025年4月1日施行の改正として、有料老人ホーム・軽費老人ホームについて居住地特例の対象範囲を拡大したことが示されています。
ここは、昔の経験だけで判断しないでください。
私が老人ホームの入居相談員をしていたころにも、生活保護を利用している方の施設探しに関わることがありました。
当時は、別の市区町村にある施設への入居についてケースワーカーと話をすると、
「移管先との調整が必要になる」
という話になることもありました。
実際に、やっと条件に合いそうな高齢者向け住宅が見つかっても、生活保護の実施機関の扱いなどが関係して、入居に至らなかったケースも経験しています。
ただし、これは私が入居相談員をしていた当時の経験です。
生活保護の居住地特例はその後改正されています。
現在生活保護を利用している方が別の市区町村の老人ホームを検討する場合は、昔の事例をそのまま当てはめず、必ず担当ケースワーカーへ相談してください。
生活保護を利用しながら老人ホームへ入居する場合の費用や施設の探し方については、こちらで詳しく解説しています。
生活保護でも老人ホームに入れる?費用・施設の種類・探し方を実体験から解説
グループホームは生活保護でも特例の対象外
ここは介護保険と生活保護を一緒に整理しておきます。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、
介護保険の住所地特例の対象外です。
そして、生活保護の居住地特例についても対象外です。
厚生労働省の2025年4月施行の改正資料でも確認できます。
私がグループホームで勤務していたときは、施設へ住民票を移してくる方がほとんどでした。
でも、
「住民票を施設へ移した」ことと「住所地特例が適用される」ことは別です。
ここを混同しないようにしてください。
介護保険と生活保護で担当する自治体が違うこともある
ここまで読むと、
「なんだか、ややこしいな……」
と思うかもしれません。
実際、現場でもややこしいことがあります。
私が入居相談員や施設職員として関わった方の中には、
介護保険。
生活保護。
医療保険。
それぞれで関係する自治体が同じとは限らないケースがありました。
だから家族からすると、
「この書類はどこの役所?」
「これは施設に渡せばいいの?」
となることがあります。
ここで無理に全部覚えようとしなくて大丈夫です。
大切なのは、
住民票を移したから、すべての制度の担当自治体も自動的に同じになるとは限らない
と知っておくことです。
介護保険について分からなければ、市区町村の介護保険担当窓口。
生活保護なら担当ケースワーカー。
医療保険について分からなければ、加入している制度の窓口。
それぞれ確認すれば大丈夫です。
住民票を施設へ移すなら郵便物の管理方法も決めておく
私が住民票を施設へ移すかどうか考えるとき、かなり大事だと思っているのが本人宛ての郵便物です。
住民票を施設へ移せば、行政から本人宛ての書類などが施設へ届くことがあります。
介護保険に関係する書類。
医療保険に関係する書類。
税金や行政手続きに関する書類。
いろいろあります。
ここで、
「施設に届くんだから、職員に全部任せればいい」
とは考えないほうがいいと思います。
以前、私が勤務していた介護付き有料老人ホームで、本人宛てに届いた封書を施設側で開封したことで、家族からクレームになったことがありました。
家族からすれば、
「本人宛てなのに、なぜ勝手に開けたの?」
となりますよね。
施設側としては、行政から届いた書類を確認して必要な手続きを進めようとしたのかもしれません。
でも、
施設に郵便物が届くことと、誰がその郵便物を確認・管理するかは別の話です。
本人が内容を理解して管理できるのであれば、私はまず本人へ渡してほしいと思います。
本人だけで管理することが難しい場合は、
家族へ渡すのか。
施設で保管するのか。
本人と一緒に確認するのか。
家族の了承を得たうえで施設が対応するのか。
入居時に決めておくとトラブルを防ぎやすくなります。
特に認知症などによって本人自身で郵便物を管理することが難しい場合は、
契約前または入居時に、家族と施設で管理方法をすり合わせておく
ことをおすすめします。
結局、老人ホームに住民票は移したほうがいい?
ここまで読んで、
「制度は分かったけど、結局うちの親はどうすればいいの?」
と思った方もいるでしょう。
まず大前提として、住民票は単に、
「郵便物をどこへ届けたいか」
だけで決めるものではありません。
本人が実際にどこを生活の本拠として暮らすのかを踏まえて、必要な住所変更の手続きを考えることになります。
そのうえで老人ホームへ長期的に入居する場合には、
介護保険の住所地特例が適用される施設なのか、入居後の郵便物を誰が管理するのかまで一緒に確認する
ことをおすすめします。
私が施設で働いていたときも、住民票を施設へ移す方もいれば、元の住所から変えていない方もいました。
ただし、それぞれの家庭の事情や入居状況は違います。
「他の入居者が移していないから、うちもそのままでいい」
と判断するのではなく、自分たちの場合はどうなるのかを市区町村や施設へ確認してください。
住民票を考えるときは4つを確認しよう
家族が迷ったときは、少なくとも次の4つを確認してみてください。
- 本人の生活の本拠はどこになるのか
- 入居先は住所地特例の対象施設なのか
- 本人宛ての郵便物を誰が管理するのか
- 住所変更に伴って必要な手続きは何か
特に、
「住民票を施設へ移したら、介護保険も全部その市区町村に変わる」
と思わないようにしてください。
住所地特例が適用される場合は、施設所在地へ住所を変更しても、原則として入居前の市町村が介護保険の保険者になります。
これは介護保険法第13条に定められています。
有料老人ホームについては、厚生労働省が住所地特例対象施設の一覧につながるページを公開しています。
厚生労働省|全国の有料老人ホームの一覧(住所地特例対象施設に限る)
分からなければ、
「この施設は介護保険の住所地特例の対象ですか?」
と施設へ確認して構いません。
元の自宅が空き家になるなら郵便物の管理も考える
住民票とは別に、家族が現実的に考えておきたいのが郵便物です。
元の自宅に家族が住み続けるのであれば、本人宛ての郵便物を家族が確認できる場合もあります。
一方、本人が老人ホームへ入居したことで自宅が空き家になる場合は、
「郵便物を誰が確認する?」
という問題が出てきます。
家族が近所に住んでいて定期的に取りに行けるなら、それほど負担にならないかもしれません。
遠方なら大変です。
郵便局の転居・転送サービスを利用する方法もありますが、転送期間は届出日から1年間です。
日本郵便では、転送期間は「届出日から1年間」と案内しており、更新する場合は再度転居届を提出します。
だから、
「とりあえず転送届を出したから終わり」
ではなく、長期入居になるのであれば、その後の郵便物をどう管理するのかも考えておきましょう。
私なら住民票を移すことを考える
ここからは制度ではなく、私個人の考えです。
もし自分や家族が老人ホームへ長期的に入居して、そこが生活の本拠になるのであれば、私は施設への住民票の異動を考えます。
理由は単純です。
私は結構ずぼらだからです(笑)。
元の自宅が空き家になって、
「そろそろ郵便物を見に行かないと」
「転送届はいつまでだっけ?」
「この書類は施設へ持っていかなきゃ」
と管理し続けるくらいなら、必要な手続きを確認して整理したほうが自分には合っています。
逆に、家族が元の住所に住んでいて郵便物もしっかり管理できる家庭もあるでしょう。
大切なのは、
「面倒だから移す」「面倒だから移さない」だけで決めず、実際の生活状況と必要な手続きを確認すること
です。
住所を移すなら「本人宛ての郵便物」を誰が見るか決めておく
そして私は、住所変更そのものと同じくらい、これを確認してほしいと思っています。
施設へ届いた本人宛ての郵便物を誰が管理するのか。
以前勤務していた介護付き有料老人ホームで、本人宛てに届いた封書を施設側で開封し、家族からクレームになったことがありました。
施設側には確認したい事情があったのかもしれません。
でも家族からすれば、
「本人宛てなのに、どうして勝手に開けたの?」
となります。
本人が郵便物を理解して管理できるなら、私はまず本人に渡してほしいと思います。
一方、認知症などによって本人だけで管理するのが難しい場合もあります。
だから入居前に、
- 本人宛ての郵便物は誰に渡す?
- 行政からの書類は誰が確認する?
- 本人だけで管理できない場合はどうする?
- 家族へ転送・連絡してもらえる?
- 施設側で対応が必要な書類はどうする?
ここまで話しておくと安心です。
特に本人との意思疎通が難しい場合は、
「役所から本人宛ての郵便物が届いたらどうするか」
を契約時や入居時に確認しておきましょう。
契約前に施設へ聞いておきたいこと
住所変更について分からないことがあれば、契約前に施設へ聞いて構いません。
むしろ、入居してから慌てないためにも確認しておいたほうがいいでしょう。
私なら、次のように聞きます。
- この施設へ住所を移す場合の手続きは?
- 住所地特例の対象施設ですか?
- 行政からの郵便物はどのように扱いますか?
- 本人宛ての郵便物は本人へ渡してもらえますか?
- 本人が管理できない場合は家族へ連絡してもらえますか?
有料老人ホームについては、国の標準指導指針でも、契約内容を十分理解できるよう、契約締結前に時間的余裕をもって重要事項説明書や入居契約書について説明することが示されています。
厚生労働省の「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」で示されている内容です。
住民票について重要事項説明書だけですべて分かるとは限りません。
分からないことは、
「これは誰に確認すればいいですか?」
まで聞いてしまって大丈夫です。
老人ホームの契約前に確認しておきたいことはこちらでも詳しく解説しています。
老人ホームの契約前に確認すべき10項目|追加費用・通院・退去条件まで経験者が解説
老人ホームと住民票でよくある質問
老人ホームへの入居だけを理由に「全員が必ず施設へ移す」と一律に判断するものではありません。実際の生活の本拠や入居状況を踏まえ、住所変更が必要か市区町村へ確認してください。介護保険の住所地特例が適用されるかどうかは、また別の問題です。
必ずしも変わりません。住所地特例対象施設への入居によって住所を変更し、住所地特例が適用される場合は、原則として入居前の市町村が引き続き介護保険の保険者になります。
「有料老人ホーム」という名称だけで判断せず、実際に入居する施設が住所地特例の対象か確認してください。厚生労働省は、住所地特例対象となる有料老人ホームの一覧につながる情報を公開しています。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、介護保険の住所地特例の対象外です。住民票を施設へ移すことと、住所地特例が適用されることは別なので注意してください。
生活保護には介護保険の「住所地特例」とは別に「居住地特例」があります。2025年4月にも対象範囲の改正が行われていますので、別の市区町村の施設へ入居する場合は、契約や住所変更を進める前に担当ケースワーカーへ相談してください。
日本郵便の転居・転送サービスを利用する方法があります。転送期間は届出日から1年間で、更新する場合は再度転居届が必要です。長期入居の場合は、その後の郵便物を誰が管理するかも考えておきましょう。
まとめ|住民票だけでなく入居後の生活まで考えよう
老人ホームへ入居するとき、
「住民票を移す?移さない?」
だけで考えてしまいがちです。
でも、本当に確認してほしいのはその先です。
- 本人の生活の本拠はどこになる?
- 住所地特例の対象施設?
- 介護保険の保険者はどこ?
- 郵便物は誰が管理する?
- 本人が管理できない場合はどうする?
特に別の市区町村にある老人ホームへ入居する場合は、
「住所を移したら全部新しい市区町村に変わる」
とは思わないでください。
介護保険には住所地特例があります。
生活保護には別の居住地特例があります。
施設の種類によって対象になるかどうかも違います。
分からないことがあれば、施設や市区町村の担当窓口へ確認しましょう。
そして住所変更をするなら、
本人宛ての郵便物を誰が管理するのかまで決めておく。
ここまでやっておけば、入居後に家族が慌てることも減らせると思います。
私なら、長期的に老人ホームで暮らすことになれば、施設への住所変更を考えます。
ただ、これは「老人ホームに入ったら全員移したほうがいい」という意味ではありません。
住所地特例のように、住所と介護保険の保険者が一致しないこともあります。
それ以上に現場で気になったのは、本人宛ての郵便物を誰が管理するのかということです。
本人が確認できるなら、まず本人へ。
本人だけでは難しいなら、家族と施設でどうするかを決めておく。
住民票の手続きだけで終わらせず、入居後の生活まで考えて決めてほしいと思います。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。



