「母は要介護2だから、住宅型と介護付きならどっち?」

「介護付きって名前なんだから、介護が必要なら介護付きの方が安心?」

老人ホームを探し始めると、こんな疑問が出てくると思います。

住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホーム。

名前は似ていますが、介護サービスの仕組みには大きな違いがあります。

ただ、老人ホーム入居相談に携わっていた私が家族から相談を受けたとき、最初から、

「要介護○だから、この施設ですね」

とは考えていませんでした。

むしろ先に考えていたのは、

「そもそも、なぜ今この人は自宅を離れて老人ホームへ入る必要があるんだろう?」

ということです。

同じ要介護1でも、一人暮らしなのか、家族と同居しているのかで違います。

本人はまだ元気でも、家族の介護負担が限界に近いこともあります。

反対に、自立度が高く自宅生活に大きな問題がないなら、私は内心、

「今すぐ老人ホームじゃなくてもいいんじゃない?」

と思うことだってありました。

老人ホームは、要介護度だけで決めるものではありません。

本人が今何に困っているのか。家族は何に困っているのか。そして、この先どんな暮らしが必要になりそうなのか。

そこから住宅型と介護付きの違いを考えた方が、私は失敗しにくいと思っています。

この記事では、制度上の違いだけでなく、施設ケアマネジャーや老人ホーム入居相談の経験から、パンフレットだけでは分かりにくい両者の違いまで解説します。

この記事でわかること
  • 住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの制度上の違い
  • 介護サービスを誰が提供するのか
  • 「要介護度だけ」で施設を選ばない方がいい理由
  • 介護付きでも「いつでも手厚い」とは限らない現場の実情
  • 住宅型で医療・介護が多く必要な人を受け入れているケース
  • 見学で浴室・職員・施設の雰囲気を見る理由
  • 結局「うちの母ちゃんならどっち?」を考える方法
Contents
  1. 住宅型と介護付きの一番大きな違いは「介護サービスの仕組み」
  2. 「住宅型=元気な人」「介護付き=重い人」と覚えるとズレる
  3. 「24時間介護職員がいる」=いつでも職員が横にいる、ではない
  4. 住宅型には医療・介護が多く必要な人を受け入れるホームもある
  5. 「24時間看護」「24時間介護」も母ちゃんの生活に翻訳する
  6. 施設見学では「豪華さ」より浴室を見てほしい
  7. 設備以上に見てほしいのは、やっぱり「人」
  8. 住宅型か介護付きかを決める前に、この5つを家族で整理する
  9. 住宅型と介護付きは「基本料金」だけ比べても本当の差が分かりにくい
  10. 住宅型は「介護サービスを使った分だけ青天井」でもない
  11. 医療が必要な母なら「住宅型か介護付きか」だけでは決められない
  12. 医療が多く必要な住宅型は、医療費まで含めて確認する
  13. 要介護5なら「入れますか?」より「暮らし続けられますか?」を聞く
  14. 夜間介助が多い人ほど「夜に何人いる?」だけでは足りない
  15. 認知症があるなら「認知症対応可」の一言で決めない
  16. 「うちの母ちゃんならどっち?」を5つのケースで考える
  17. 私なら要介護3以上で夜間介助・医療も多い母をどう探すか
  18. 料金表より「重要事項説明書」を一度見てほしい
  19. 安い・高いより「母がこの状態になったらいくら?」まで聞く
  20. 住宅型と介護付きのメリット・デメリットは「母ちゃん次第」でひっくり返る
  21. 介護付きでも「手厚い介護」をイメージしすぎない
  22. 「レクリエーションが充実」も、少し冷静に見ていい
  23. 住宅型の安さを優先するなら「安い理由」まで知っておきたい
  24. 見学では「普通の日」を見られたらかなり参考になる
  25. 説明してくれる人が「分からない」を連発したら、私は少し気になる
  26. 重要事項説明書は「契約直前の書類」ではなく比較材料にもなる
  27. 住宅型と介護付き、結局どっち?私ならこう考える
  28. 老人ホーム見学で聞いてほしい10の質問
  29. 住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームでよくある質問
  30. まとめ|住宅型か介護付きかより、「母に何が必要か」から決める

住宅型と介護付きの一番大きな違いは「介護サービスの仕組み」

嫁
住宅型だって介護が必要な人は住んでるんでしょ?だったら介護付きと何が違うの?
よっしー
よっしー
そこが一番ややこしいんよ(笑)。まずは「介護サービスをどう受ける施設なのか」を分けて考えると分かりやすいよ。

まず制度上の違いを整理します。

厚生労働省が示す有料老人ホームの類型では、介護付き有料老人ホームは、介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。

一般型の介護付き有料老人ホームでは、ホームが「特定施設入居者生活介護」の指定を受け、ホームの職員が介護サービスを提供します。

一方、住宅型有料老人ホームは、生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。

介護が必要になった場合には、入居者自身の選択によって、訪問介護などの介護サービスを利用しながらホームで生活を続ける仕組みです。

比較 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム
基本的な仕組み ホームが特定施設入居者生活介護を提供 生活支援等が付いた住まいで、必要に応じて訪問介護等を利用
一般型での介護 ホームの職員が提供 入居者が選択した介護サービスを利用
介護サービスの考え方 施設全体の介護サービスとして受ける 本人に必要な居宅サービスを組み合わせる

参考:厚生労働省|有料老人ホームの類型

「介護付き」という名称は、どの有料老人ホームでも自由に使えるわけではありません。

厚生労働省の類型では、特定施設入居者生活介護の指定を受けていない有料老人ホームは「介護付」と表示することはできないとされています。

一方で、

「住宅型だから介護を受けられない」わけでもありません。

住宅型でも、必要に応じて訪問介護などの介護保険サービスを利用しながら生活できます。

「住宅型=元気な人」「介護付き=重い人」と覚えるとズレる

制度を説明すると、

「じゃあ元気なら住宅型、介護が重くなったら介護付きですね」

と思うかもしれません。

でも、実際の老人ホーム探しはそんなに単純ではありません。

私が入居相談をしていた頃も、住宅型か介護付きかという類型の説明はしました。

ただ、その後に考えていたのは本人の生活です。

たとえば、要介護1で比較的自立している母。

トイレも自分で行ける。

食事も自分で食べられる。

一人である程度生活できる。

それでも、

一人暮らしが心配。

家族が遠方にいる。

今後のことを考えて早めに住み替えたい。

家族側にもいろいろな事情があります。

反対に要介護度が高くても、

どんな介護を受けたいのか。

医療的な対応はどのくらい必要なのか。

夜間にどんな介助が必要なのか。

本人や家族がどんな生活を望んでいるのか。

それによって候補は変わります。

入居相談をしていた私が先に聞きたかったのは、要介護度より「なぜ老人ホームを探しているのか」でした。

要介護1だから住宅型。

要介護5だから介護付き。

そんな機械的な振り分けではありません。

「お母さんは今、自宅で何に困っていますか?」

「夜は一人で大丈夫ですか?」

「家族が一番心配しているのは何ですか?」

「本人はどんな暮らしを続けたいと言っていますか?」

施設の種類に親を当てはめるのではなく、親の困りごとに合う施設を探す。

私はこの順番の方が大事だと思っています。

「24時間介護職員がいる」=いつでも職員が横にいる、ではない

嫁
介護付きなら職員さんもいるし、ずっと手厚く見てもらえるイメージだけど?
よっしー
よっしー
そこはちょっと分けて考えた方がいいかな。職員が配置されていることと、母ちゃんの横にいつでも職員がいることは同じじゃないよ。

ここは、施設ケアマネとして介護付き有料老人ホームで働いた経験から伝えたいところです。

介護付き有料老人ホームには、介護保険法に基づく特定施設入居者生活介護として、サービス内容や人員配置、設備などについて基準があります。

だからといって、

「いつでも職員がたくさんいて、一人ひとりに付きっきりで対応してくれる」

と考えるのは少し違います。

私が働いていた施設では、入浴サービスを週3回実施していました。

家族から見れば、

「週3回もお風呂に入れてもらえるんだ」

と安心材料になると思います。

もちろん、それ自体は大切なサービスです。

でも現場では、その入浴介助をするために職員が必要です。

複数の職員が入浴介助へ入れば、その時間帯はフロア側で対応する職員が少なくなることもありました。

これは、パンフレットの「入浴週3回」という文字だけでは分かりません。

だから私なら、見学で「入浴は週何回ですか?」だけでは終わりません。

たとえば、

「母はトイレで声をかけてもらう必要があります。入浴介助をしている時間帯は、フロアではどのように対応していますか?」

と聞きます。

「職員は何人ですか?」だけでなく、

母に必要な介助を、その時間帯にどうしてもらえるのか。

そこまで聞いた方が、実際の生活をイメージしやすくなります。

住宅型には医療・介護が多く必要な人を受け入れるホームもある

もう一つ、家族には知っておいてほしいことがあります。

「住宅型」という名前だけでは、実際に暮らしている入居者の状態までは分からないということです。

私は入居相談員として複数の住宅型有料老人ホームを見てきましたが、比較的自立度の高い方が暮らしているホームだけではありませんでした。

中には、医療や介護を多く必要とする方を積極的に受け入れている住宅型もありました。

つまり、

住宅型=自由で元気な高齢者が暮らす場所

とは限りません。

反対に、住宅型だからといって、どんな重度の方でも同じように受け入れられるわけでもありません。

特に介護度が高い方や夜間介助が多い方について問い合わせると、

夜間はどんな介助が必要なのか。

医療的な対応はあるのか。

看護職員による対応が必要なのか。

どのくらい自分で動けるのか。

認知症による生活上の困りごとは何か。

かなり具体的に確認されることもありました。

「要介護5まで入居可能」という表示だけで決めないでください。

大切なのは、

「要介護5を受け入れることができるか」ではなく、「うちの母に必要な支援を継続して提供できるか」

です。

同じ要介護5でも必要な介助や医療的な対応は一人ひとり違います。

「母は夜間に何回も介助が必要です」

「寝たきりになった場合も入浴できますか?」

「今後この医療的な対応が必要になった場合も住み続けられますか?」

要介護度ではなく、母の生活を具体的にして聞く。

ここが重要です。

「24時間看護」「24時間介護」も母ちゃんの生活に翻訳する

老人ホームのパンフレットを見ると、

「24時間介護職員常駐」

「看護職員配置」

「医療連携あり」

といった言葉が並んでいます。

でも家族が本当に知りたいのは、その言葉の意味を暗記することではないと思います。

「それで、うちの母は何をしてもらえるの?」

ここですよね。

たとえば、

「夜中に母がトイレへ行こうとしたら誰か来てもらえますか?」

「夜間に体調が悪くなったら、誰が状態を確認しますか?」

「母は薬の管理ができません。服薬はどこまで対応してもらえますか?」

「寝たきりになった場合も、ここで入浴できますか?」

こう聞けば、パンフレットの言葉が母の生活に変わります。

施設の言葉を、そのまま覚えなくて大丈夫です。

「24時間介護職員常駐」

と書いてあったら、

「夜中に母が○○したら、どう対応してもらえますか?」

と聞く。

「医療連携あり」

なら、

「母に○○が必要になった場合は、こちらではどうなりますか?」

と聞く。

パンフレット用語を「母ちゃんの場合」に翻訳する。

これだけでも、施設選びはかなり具体的になります。

施設見学では「豪華さ」より浴室を見てほしい

嫁
見学なら、部屋とか食堂とかキレイかどうかを見るんじゃないの?
よっしー
よっしー
もちろん見るよ。でも俺なら浴室も見せてもらう。「今は歩ける母ちゃんが寝たきりになったら、どうやって風呂入る?」って結構大事なんよ。

住宅型でも介護付きでも、私は見学で浴室を確認してほしいと思っています。

今は一人で歩ける。

今は個浴へ入れる。

でも老人ホームは、数年生活する可能性がある場所です。

将来、立つことが難しくなったらどうするのか。

車いすになったらどうするのか。

寝たきりになった場合はどうするのか。

そこで見てほしいのが、

浴室の設備です。

個浴だけなのか。

車いすの方に対応できる設備があるのか。

機械浴など、身体状況が変化した場合に対応できる設備があるのか。

設備がない場合は、身体状況が変わったときにどのような方法で入浴を支援するのか。

ここまで聞いてみてください。

入居相談をしていた私なら、今の状態だけではなく「この先」を見ます。

今歩けるから個浴で大丈夫。

それだけで決めるのではなく、

「母が歩けなくなったら、ここではどうやってお風呂に入りますか?」

と聞きます。

機械浴がないことだけで悪い施設とは判断しません。

大切なのは、

身体状態が変わったときに、そのホームがどんな方法で対応するのか。

そこまで確認しておくことです。

設備以上に見てほしいのは、やっぱり「人」

豪華なエントランス。

きれいな食堂。

新しい居室。

もちろん、住む場所ですから設備も大切です。

でも、施設ケアマネや入居相談を経験してきた私が最後に見たいのは、やっぱりです。

職員が入居者へどう声をかけているか。

入居者が職員へ話しかけやすそうか。

職員同士はどうやって連携しているか。

施設全体が必要以上に慌ただしくないか。

もし見学中に訪問医や外部の事業者などが来る場面に出会えたら、そのときの対応も少し見てみます。

普段の関係性が、ふとした場面に出ることもあるからです。

また、老人ホームでは勤務体制を補うため、スポット勤務の介護職員などが入る場合もあります。

ただし、家族が見学だけで誰が常勤で誰がスポット勤務なのかを見分けるのは難しいですし、スポット勤務の職員がいるだけで施設の良し悪しを判断することもできません。

無理に見抜こうとしなくて大丈夫です。

私なら「人手不足を見破ってやろう」とは考えません。

家族にそこまで求めるのは無理があります。

それより、

「職員さん、ずっと走り回っているな」

「利用者さんが話しかけたとき、ちゃんと立ち止まっているな」

「職員同士で自然に声を掛け合っているな」

そんな雰囲気を少し見ます。

気になるなら、

「普段はどんな職員体制で対応されていますか?」

「職員さんの入れ替わりは多いですか?」

と聞くくらいでもいいと思います。

一回の見学ですべてを見抜くことなんてできません。

「母がここで毎日暮らしたらどうだろう?」という目線で見る。

私はそれで十分だと思っています。

住宅型か介護付きかを決める前に、この5つを家族で整理する

ここまで読むと、

「じゃあ結局どっちなの?」

と思うかもしれません。

その答えを出す前に、私は次の5つを整理します。

確認すること 「母ちゃんの場合」で考える例
① なぜ入居する? 一人暮らしが心配/家族の介護が限界/医療対応が必要など
② 今どんな介助が必要? 排泄、入浴、食事、移動、服薬など
③ 夜はどう? 一人で眠れる/トイレ介助が必要/何度も起きるなど
④ 医療面は? 現在必要な対応と、今後必要になる可能性がある対応
⑤ どんな暮らしをしたい? 自由に外出したい/人と過ごしたい/安心して介護を受けたいなど
この5つを書き出してから施設を探してみてください。

「住宅型と介護付き、どっちが上?」

ではなく、

「母の今の困りごとと、これからの生活に合うのはどっち?」

に質問を変える。

老人ホーム探しは、ここから始めた方がいいと私は思っています。

住宅型と介護付きは「基本料金」だけ比べても本当の差が分かりにくい

嫁
住宅型の方が月額料金が安かったら、そっちの方がお得なんじゃないの?
よっしー
よっしー
そこが老人ホームの料金のややこしいところ(笑)。俺なら最初に書いてある月額じゃなくて、「母が実際に暮らしたら総額いくら?」まで見るよ。

老人ホームを比較するとき、どうしても最初に目へ入るのが月額料金です。

たとえば、

住宅型:月額15万円

介護付き:月額20万円

と書いてあったら、

「住宅型の方が5万円安いじゃん」

と思いますよね。

でも、ここだけで決めるのはおすすめしません。

住宅型と介護付きでは、そもそも介護サービスの受け方が違うからです。

介護付き有料老人ホームの一般型では、特定施設入居者生活介護として、要介護度などに応じた介護保険サービス費が設定されています。

ただし、それとは別に家賃や食費、管理費、日常生活費などが必要です。

住宅型有料老人ホームでは、家賃・食費・管理費などのホームの費用とは別に、必要に応じて訪問介護などの居宅サービスを利用します。

費用を見るポイント 介護付き 住宅型
住まいの費用 家賃・食費・管理費など 家賃・食費・管理費など
介護保険サービス 一般型では特定施設入居者生活介護として利用 必要に応じて訪問介護などを利用
本人負担 所得等に応じて介護保険サービス費の1~3割など 利用した介護保険サービスについて1~3割など
別途確認したい費用 日用品、理美容、医療費、施設独自の有料サービスなど 日用品、理美容、医療費、施設独自の有料サービスなど

参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム「特定施設入居者生活介護」

介護付きでも「表示されている月額料金だけ払えば全部込み」という意味ではありません。

介護保険サービスの自己負担のほか、家賃、食費、管理費、日常生活費などがあります。

住宅型も同様に、

ホームへ払う基本料金+実際に利用する介護・医療などの費用

まで含めて考える必要があります。

料金表を見るときは、必ず「母の場合の月額総額」を確認してください。

住宅型は「介護サービスを使った分だけ青天井」でもない

住宅型について、

「介護サービスを使えば使うほど、介護保険の自己負担がどこまでも増えるの?」

と心配する家族もいると思います。

介護保険の居宅サービスには、要介護度ごとに区分支給限度基準額があります。

その範囲内で対象となるサービスを利用する場合、原則として所得等に応じた1~3割が利用者負担となります。

一方、限度額を超えて利用した部分などについては、介護保険給付の対象外となる場合があります。

参考:厚生労働省|居宅介護サービス費等区分支給限度基準額

私が入居相談をしていた頃も、介護サービスについては、必要なサービスを組んだうえで見積もりを確認していました。

実際には、区分支給限度基準額の範囲内でサービスが組まれていれば、介護サービス費だけが突然とんでもない金額になるという見方はしていませんでした。

ただし、老人ホームでかかるお金は介護保険だけではありません。

私が家族なら「月額○万円ですか?」ではなく、こう聞きます。

「母は要介護3です」

「夜間にトイレ介助があります」

「入浴は全介助です」

「薬の管理も必要です」

そのうえで、

「この状態で入居した場合、介護保険、施設独自の費用などを含めて、毎月どのくらいになりますか?」

と聞きます。

できれば口頭だけでなく、

母の状態を伝えたうえで月額費用の見積もりを出してもらう。

私はその方が比較しやすいと思っています。

医療が必要な母なら「住宅型か介護付きか」だけでは決められない

嫁
じゃあ医療が必要な人なら、介護付きの方がいいってこと?
よっしー
よっしー
それも一概には言えないんよ。医療対応をかなり強くしている住宅型も実際にあるから、「住宅型か介護付きか」より看護体制を見る方が大事なこともある。

ここも、施設の種類だけでは判断しにくいところです。

私が老人ホーム入居相談をしていた頃、住宅型の中には、医療的な支援を多く必要とする方を積極的に受け入れているホームもありました。

反対に、

「住宅型だから自由度が高く、比較的元気な人ばかり」

というイメージとはかなり違うホームもありました。

だから医療面を重視する家族には、

「住宅型か介護付きか」だけではなく、実際の看護・医療連携体制を確認してほしい

と思っています。

確認したいこと 母を主語にした質問例
看護職員の配置 母は夜間にも医療面の観察が必要ですが、夜はどのような体制ですか?
訪問看護 母の場合、訪問看護はどのように利用することになりますか?
医療機関との連携 母の状態が悪くなった場合、誰が医師へ連絡しますか?
対応可能な医療 今後この医療的な対応が必要になっても住み続けられますか?
夜間 夜に母の体調が変わった場合、最初に誰が確認しますか?
「24時間看護」という言葉だけで判断しないでください。

大切なのは、

「24時間看護だから安心」ではなく、「母に必要な対応を夜間もしてもらえるのか」

です。

本人の病気や必要な医療的ケアによって、施設側の対応可否は変わります。

入居前に、本人の状態を具体的に伝えて確認してください。

医療が多く必要な住宅型は、医療費まで含めて確認する

私が入居相談をしていたとき、医療依存度の高い方を多く受け入れている住宅型も見てきました。

そうしたホームでは、訪問診療や訪問看護など、医療サービスを利用しながら生活するケースがあります。

当然ですが、医療サービスには介護保険とは別の費用が発生する場合があります。

だから、

「住宅型の基本料金が安いから、総額も安い」

とは限りません。

これは逆に、医療が必要だから住宅型は高い、と決めつける話でもありません。

本人が実際にどのサービスを利用するかで変わります。

入居相談員をしていた頃、私は基本料金だけで安い・高いを判断しないようにしていました。

特に医療が多く必要な方なら、

「家賃はいくら?」

だけではなく、

「この人が実際に使う医療と介護まで入れたら、毎月いくらになる?」

まで見ます。

施設によって仕組みも違います。

だからこそ、

入居前に「今の状態」で見積もりを取り、さらに状態が変わった場合に増える可能性がある費用も聞いておく。

ここまでやっておくと、入居後の「こんなはずじゃなかった」を減らしやすくなります。

要介護5なら「入れますか?」より「暮らし続けられますか?」を聞く

老人ホームのホームページには、

「要介護5まで対応」

「重度の方も相談可能」

と書かれていることがあります。

もちろん、施設を探すうえでは大切な情報です。

でも私なら、そこで終わりません。

要介護5といっても、状態は一人ひとり違うからです。

寝たきりの方。

食事に全面的な介助が必要な方。

夜間に何度も介助が必要な方。

医療的な対応が必要な方。

同じ要介護5でも、必要な支援は同じではありません。

私が入居相談をしていた頃も、介護度の高い方について問い合わせると、施設側からかなり細かく状態を確認されることがありました。

それはある意味、当然です。

施設側も、入居後に対応できなくなれば本人も家族も困るからです。

もし自分の母が要介護5なら、私はこう聞きます。

「母はほぼ寝たきりです」

「食事は全介助です」

「夜も体位交換や排泄の介助が必要です」

「今後さらに医療的な対応が増える可能性があります」

そのうえで、

「今入居できますか?」ではなく、「この状態が続いても、ここで暮らし続けられますか?」

と聞きます。

入居できることと、

その人に必要な生活を長く支えられることは、同じではありません。

夜間介助が多い人ほど「夜に何人いる?」だけでは足りない

嫁
夜勤が2人いる施設なら、1人より安心じゃないの?
よっしー
よっしー
人数は大事。でも60人を2人で見るのと20人を2人で見るのじゃ全然違うでしょ。母ちゃんが夜に何してもらえるかまで聞いた方がいいよ。

夜間の職員数は、施設選びで気になるところだと思います。

ただ、

「夜勤2名だから安心」

と人数だけで比較するのも難しいです。

入居者が何人いるのか。

フロアはいくつあるのか。

夜間に介助が必要な人はどのくらいいるのか。

看護職員が夜間もいるのか。

緊急時はどのような連絡体制なのか。

条件によって実際の対応は変わります。

特に、

夜中に何度もトイレへ行く。

一人で立とうとして転倒の心配がある。

おむつ交換が必要。

体位交換が必要。

夜間にも医療面の観察が必要。

こうした方なら、私は具体的に聞きます。

「夜勤は何人ですか?」から、もう一歩だけ進めてください。

たとえば、

「母は夜中に3回くらいトイレへ起きます。一人では危ないのですが、その場合はどう対応しますか?」

これなら、母の生活に対する答えが返ってきます。

パンフレットの人数を比べることより、

母の夜を、この施設がどう支えるのか。

私はそこを確認します。

認知症があるなら「認知症対応可」の一言で決めない

「認知症対応可」

これも老人ホームでよく見る言葉です。

でも認知症の状態は一人ひとり違います。

物忘れが中心の方。

同じことを繰り返す方。

不安が強くなる方。

施設内を歩き続ける方。

外へ出ようとする方。

介護を拒否することがある方。

本人によって必要な対応は違います。

私が入居相談をしていた頃も、認知症がある方について施設へ問い合わせると、

「認知症があります」だけではなく、実際にどんな行動があるのか

を具体的に確認されることがありました。

これも、施設が意地悪をしているという話ではありません。

「認知症」という診断名だけでは、実際に必要な支援が分からないからです。

だから家族も「母は認知症ですが大丈夫ですか?」だけで終わらせない方がいいと思います。

たとえば、

「母は同じことを何度も聞きます」

「夕方になると家へ帰ろうとすることがあります」

「入浴を嫌がることがあります」

「自分でしまった財布を盗られたと言うことがあります」

そのうえで、

「こういう母でも、こちらではどのように対応しますか?」

と聞く。

「認知症対応可」というパンフレット用語を、母の実際の生活に翻訳する。

ここでも同じです。

認知症がある方の老人ホーム選びについては、こちらでも詳しく解説しています。

認知症でも老人ホームに入れる?入居できる施設の種類や選び方を解説

認知症の方の老人ホーム選びと受け入れ条件を解説するイメージ
認知症の方も老人ホームに入れる?施設の選び方と受け入れ条件を経験者が解説 親の認知症が進んできて、そろそろ老人ホームを考えた方がいいかもしれない。 そんなとき、 「認...

「うちの母ちゃんならどっち?」を5つのケースで考える

ここまで制度や仕組みを説明してきましたが、家族が知りたいのは結局ここだと思います。

「で、うちの母なら住宅型と介護付き、どっちなの?」

もちろん、要介護度だけで言い切ることはできません。

それでも、私が入居相談をするとしたら、こんな順番で候補を考えます。

母の状態 私なら最初に考えること
比較的自立度が高い そもそも今すぐ施設が必要なのかを含め、本人の自由度や家族事情から考える
介護が日常的に必要 介護付きも有力候補。ただし住宅型でも必要な介護を組める場合があるため個別に比較する
認知症がある 類型より具体的な症状・行動への対応力を確認。グループホームなども候補にする
夜間介助が多い 夜間の介護・看護体制と、実際に必要な介助への対応方法を優先して確認する
医療ニーズが高い 住宅型・介護付きという名前より、看護体制、訪問看護、医療機関との連携、対応可能な医療を優先する
この表も「この状態なら絶対この施設」という診断表ではありません。

同じ要介護度でも、本人の状態、家族の状況、地域、予算、本人の希望、施設の受け入れ体制によって答えは変わります。

施設の種類に母を当てはめるためではなく、最初にどこを確認するかを整理する表

として使ってください。

私なら要介護3以上で夜間介助・医療も多い母をどう探すか

たとえば自分の母が要介護3以上。

夜間介助が多い。

今後、医療的な対応も増える可能性がある。

こういう条件なら、私はかなり慎重になります。

私自身、入居相談をしていたとき、介護度が高い方を住宅型へ打診することもありました。

でも、

「入居できますと言われたから大丈夫」

だけでは決めません。

特に夜間の看護対応まで必要なら、私は24時間の看護体制があるホームを優先して探します。

そのうえで、介護付きも住宅型も候補にしながら、

夜間に必要な介助。

看護職員の体制。

医療機関との連携。

入浴設備。

状態が悪化した場合の対応。

看取りまで希望するなら、その対応方針。

そして費用。

ここまで一つずつ確認します。

私が「介護付きの方をまず見てみよう」と思うケースはあります。

たとえば介護量が多く、

「できるだけ施設内で介護をまとめて受けたい」

という家族なら、介護付きは有力な候補です。

一方で、医療ニーズが高ければ、医療対応に力を入れた住宅型が候補になることもあります。

だから最後は、

「住宅型と介護付き、どっちが優秀?」ではありません。

「今の母と、これからの母を支えられるのはどこ?」

ここまで戻って考えます。

料金表より「重要事項説明書」を一度見てほしい

嫁
ホームページとパンフレットを比較すれば十分じゃないの?
よっしー
よっしー
候補を探すならそれでいい。でも本気で入居を考えるホームなら、俺なら重要事項説明書も見るよ。地味だけど結構大事(笑)。

老人ホーム選びでは、ホームページやパンフレットが一番見やすいと思います。

でも候補が絞れてきたら、重要事項説明書も確認してみてください。

厚生労働省の標準様式では、有料老人ホームの重要事項説明書に、

職員の状況。

介護・看護職員の配置。

前年度の採用者数・退職者数。

職員の経験年数。

サービス内容。

利用料金。

医療機関との協力内容。

入居者の状況。

などを記載する欄があります。

参考:厚生労働省|有料老人ホーム重要事項説明書

全部を読み込まなくても大丈夫です。

私ならまず、

「職員はどんな体制?」

「最近の採用・退職は?」

「看護職員は?」

「母が使うサービスはいくら?」

「状態が変わったら追加料金はある?」

このあたりから見ます。

見学だけで施設の人手不足を見抜くのは難しいです。

だから、

雰囲気を見る+施設へ聞く+重要事項説明書を見る。

一つの情報だけで決めず、いくつか重ねて判断する方がいいと思います。

安い・高いより「母がこの状態になったらいくら?」まで聞く

老人ホームの料金比較で、私が一番避けたいのは、

「月額15万円だから払える」

だけで契約することです。

今は要介護1。

でも数年後には要介護3になるかもしれない。

今は歩ける。

でも車いすになるかもしれない。

今は医療的な対応がほとんどない。

でも訪問診療や訪問看護が必要になるかもしれない。

老人ホームは、今日一日だけ住む場所ではありません。

だから私は、現在の見積もりと一緒に、

「状態が変わった場合、何が増える可能性がありますか?」

も聞いておきます。

契約前に、最低でもこの3つは聞いてみてください。

① 今の母の状態なら、毎月の総額はいくら?
② 介護度が上がったら、何が変わる?
③ 医療や介助が増えたら、追加で何が必要?

できれば、

「だいたい○万円」ではなく、項目が分かる見積もりをもらう。

そして契約前には重要事項説明書や契約書でも確認する。

安いホームを探すより、母が住み続けたときのお金を考える。

私はこっちの方が大事だと思っています。

住宅型と介護付きのメリット・デメリットは「母ちゃん次第」でひっくり返る

嫁
結局さ、住宅型と介護付きって、それぞれメリット・デメリットがあるんでしょ?
よっしー
よっしー
あるよ。でも「住宅型は自由、介護付きは安心」だけで覚えると危ないかな。同じ特徴でも、母ちゃんの状態によってメリットにもデメリットにもなるからね。

住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームを比較すると、よく次のように説明されます。

よく言われる特徴 住宅型 介護付き
生活の自由度 比較的高い傾向 施設の生活ルールがある場合も
介護サービス 必要な居宅サービスを利用 施設の特定施設サービスとして提供
費用 サービス利用内容で変動しやすい 介護保険部分は見通しを立てやすい傾向
重度化への対応 施設ごとの介護・看護体制による 介護量が多い方の候補になりやすいが施設差あり

でも私は、この表だけで選ばないでほしいと思っています。

たとえば「自由度が高い」は、元気な母にはメリットです。

自由に外出したい。

買い物へ行きたい。

自分のペースで生活したい。

そんな人には魅力があります。

一方で、夜間の見守りや介助がかなり必要な母なら、

「自由度が高い」より「必要なときに介助を受けられるか」

の方が重要になるかもしれません。

メリット・デメリットは施設の種類だけで決まりません。

「自由度が高い」

「介護体制がある」

「基本料金が安い」

という言葉を見たら、

「それは、うちの母にとってメリットなの?」

と一回置き換えてみてください。

私は、そこから比較します。

介護付きでも「手厚い介護」をイメージしすぎない

介護付き有料老人ホームには、人員配置の基準があります。

厚生労働省の基準では、要介護者について看護職員・介護職員を一定数配置し、介護職員については常に1人以上確保することが求められています。

参考:厚生労働省|指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準

ただ、これを、

「いつでも職員がたくさんいて、母のそばにいてくれる」

と受け取らない方がいいと思います。

介護現場では、同じ時間にいろいろな仕事が動きます。

入浴。

排泄介助。

食事介助。

受診対応。

体調不良者への対応。

記録。

私が働いていた介護付きでは、入浴を週3回行っていました。

家族から見れば、

「週3回もお風呂に入れるなら手厚いね」

と思うかもしれません。

でも入浴介助には職員が必要です。

入浴へ職員が入れば、その時間はフロア側の人数が少なくなることもありました。

「サービスが多い」=すべての時間が手厚い、ではない
ここは介護付きで働いたからこそ、家族に知ってほしい現実です。

入浴週3回。

レクリエーションあり。

24時間介護職員配置。

どれも大切な情報です。

でも、

「母がトイレへ行きたくなったとき、どう対応してもらえる?」

「入浴中は、フロアではどんな体制?」

まで聞くと、生活のイメージが変わります。

パンフレットのサービス数ではなく、

母に必要な介護が必要な時間に届くか。

私はそこを見たいです。

「レクリエーションが充実」も、少し冷静に見ていい

嫁
介護付きって毎日レクやイベントがあって、楽しそうなイメージあるけど?
よっしー
よっしー
そういう施設もあるよ。でもパンフレットの写真だけで「毎日こんな感じ」と思わない方がいいかな(笑)。

私が介護現場で働いていた頃、家族や利用者から、

「介護付きならレクリエーションもたくさんありますよね」

という期待を感じることがありました。

もちろん、レクリエーションに力を入れている施設はあります。

ただ、これも施設次第です。

私が働いていた現場では、午後になると、

入浴介助。

職員の休憩回し。

記録。

利用者対応。

そういった業務が重なり、毎日大掛かりなレクリエーションをする余裕なんてない日もありました。

テレビやDVDを見ながら過ごしてもらう時間だってありました。

これは「介護付きはレクをやっていない」という話ではありません。

施設によって実際の生活はかなり違うという話です。

レクリエーションを重視するなら、見学でこう聞いてみてください。

「母は体操が好きです。普段はどのくらい参加できますか?」

「月間予定表を見せてもらえますか?」

「今日の午後は、皆さんどのように過ごしますか?」

イベント写真を見るだけより、

普通の日の過ごし方

を聞く方が生活は見えやすいと思います。

住宅型の安さを優先するなら「安い理由」まで知っておきたい

住宅型有料老人ホームには、比較的低価格で入居できるホームもあります。

私が入居相談をしていた頃には、東京都23区内でも、家賃・管理費・食費などを含めて比較的低い価格帯で案内できる住宅型がありました。

だから、

「東京だから住宅型でも絶対高い」

とは限りません。

でも価格が安いときほど、私は中身を確認します。

居室や共用設備はどうか。

入浴設備はどうか。

介護サービスはどう組むのか。

夜間はどう対応するのか。

医療サービスをどの程度利用するのか。

追加費用はあるのか。

安いから悪い、ではありません。

高いから良い、でもありません。

老人ホーム相談をしていると、「安い施設は大丈夫ですか?」と聞かれることがありました。

でも、結局多くの家族には予算があります。

最初は、

「多少高くても良い施設へ」

と言っていても、実際に月々払える金額を考えると、選択肢は絞られます。

私はそれでいいと思っています。

大切なのは、

安いことを恥ずかしいと思わない。

その代わり、

「この金額で母に必要な支援がどこまで含まれるのか」を確認する。

そこです。

見学では「普通の日」を見られたらかなり参考になる

老人ホーム見学というと、きれいな相談室へ案内され、施設長や相談員から説明を受け、館内を見せてもらう。

この流れが多いと思います。

でも本当に見たいのは、

母が入居したあとに毎日過ごす普通の時間

です。

できれば私は、

食事の前後。

入浴をしている時間。

職員が忙しそうな時間。

なども少し見てみたいと思います。

ただし、施設側にも見学対応できる時間がありますし、介護や個人情報の都合で見せられない場面もあります。

だから、

「忙しい時間に抜き打ちで行けば本性が分かる」

みたいな話ではありません(笑)。

普通に見学しながら、少しだけ普段の生活へ目を向ければいいと思います。

見るところ 私ならこんなところを見る
職員 利用者へどんな声をかけているか
利用者 落ち着いて過ごしているか、職員へ自然に話しかけているか
浴室 今後身体状態が変わっても入浴できる設備・方法があるか
食堂 普段どんな雰囲気で食事をしているのか
職員同士 声を掛け合いながら仕事をしているか
外部の人への対応 訪問医や業者などが来た場面に出会えれば、自然な対応か
一回の見学ですべてを見抜くことは無理です。

施設だって、見学者が来ると分かっていれば当然きれいにします。

対応する施設長や相談員だって、説明の準備をします。

だから「悪いところを暴いてやろう」ではなく、

「ここで母が暮らしている姿を想像できるか」

くらいで見てください。

その視点があれば、設備の豪華さとは違うものが見えてくることがあります。

説明してくれる人が「分からない」を連発したら、私は少し気になる

入居相談員をしていた頃、私は見学時に対応してくれる人もかなり見ていました。

施設長。

生活相談員。

ケアマネジャー。

入居後、家族が関わる可能性が高い人たちです。

パンフレットの内容は詳しく説明できる。

でも、少し具体的な質問をすると、

「確認します」

が何度も続く。

もちろん、分からないことを適当に答えるより、確認してくれる方がいいです。

でも、

夜間の介護。

医療的な対応。

退去条件。

寝たきりになった場合の入浴。

など、日常的な施設運営について何を聞いても答えが出ないと、私は少し気になります。

これは資格や肩書きだけを見る話ではありません。

私なら、

「母がこうなったらどうなります?」

という質問に対して、

具体的な生活場面を想像して説明してくれるか

を見ます。

「大丈夫です」

だけより、

「その状態なら夜間はこう対応します」

「この医療処置はここまでは可能です」

「ここを超えると継続が難しくなります」

と説明してくれる方が、私は信頼しやすいです。

重要事項説明書は「契約直前の書類」ではなく比較材料にもなる

候補の施設がかなり絞れてきたら、私は重要事項説明書も確認します。

厚生労働省の有料老人ホームに関する指針では、入居希望者へ重要事項説明書を交付し、パンフレットや入居契約書などとともに情報を開示することが示されています。

参考:厚生労働省|有料老人ホーム設置運営標準指導指針

また、厚生労働省の重要事項説明書の標準様式では、

食事介助。

排泄介助。

入浴介助。

特浴介助。

通院介助。

洗濯。

買い物代行。

服薬支援。

入退院時の同行。

などについて、どのサービスが提供され、別料金があるのか確認できる形になっています。

参考:厚生労働省|有料老人ホーム重要事項説明書

全部を読む必要はありません。

母に関係するところから見ればいいと思います。

「母は通院が多い」

→ 通院介助はどうなっている?

「洗濯は自分でできない」

→ 洗濯は料金に含まれている?

「寝たきりになる可能性がある」

→ 特浴介助はある?

母に必要な項目だけ拾って確認する。

それなら難しい書類でも少し見やすくなります。

住宅型と介護付き、結局どっち?私ならこう考える

嫁
ここまで読んでも、やっぱり最後はどっちがいいの?って聞きたい(笑)。
よっしー
よっしー
そりゃそうだよね(笑)。じゃあ母ちゃんを例にして、俺ならどう考えるか言うよ。

「絶対に住宅型」

「絶対に介護付き」

と施設の種類だけで答えることはできません。

それでも、自分の母ならどうするか。

私はこんなふうに考えます。

自立度が高く、自分の生活をまだ楽しみたい母

私は住宅型もかなり見ます。

ただし、

そもそも今、老人ホームに入る必要があるのか

から考えます。

本人が自宅で暮らしたい。

自宅生活に大きな問題がない。

介護サービスを使えば生活できる。

なら、自宅という選択肢も残します。

介護量が多く、夜間も介助が必要な母

私は介護付きから探し始める可能性が高いです。

介護付きでは、特定施設サービスとして施設内で介護を受ける仕組みだからです。

ただし、

「介護付きだから安心」で決めません。

夜間体制。

浴室設備。

職員の様子。

認知症への対応。

医療面。

ここまで見ます。

介護度が高く、医療的な支援もかなり必要な母

住宅型・介護付きという名前より、看護・医療体制を優先します。

24時間看護の体制があるのか。

必要な医療に対応できるのか。

夜間の状態変化にどう対応するのか。

そのうえで住宅型・介護付きの両方から候補を探します。

認知症があり、生活上の対応がかなり必要な母

介護付きだけでなく、グループホームなども候補にします。

大切なのは、

「認知症対応可」ではなく、母の具体的な状態に対応できるか

です。

結局、私なら「住宅型か介護付きか」だけで母の施設を決めません。

最初に、

「なぜ家を出る?」

を考える。

次に、

「今、何をしてもらう必要がある?」

を考える。

そして、

「この先どうなったときまで、ここで暮らしたい?」

を考える。

その答えに合うホームが住宅型なら住宅型。

介護付きなら介護付き。

それくらいでいいと思っています。

老人ホーム見学で聞いてほしい10の質問

住宅型でも介護付きでも、見学では次の質問を母の状態に合わせて使ってみてください。

確認すること 質問例
夜間介助 母は夜に3回ほどトイレへ行きます。どのように対応しますか?
入浴 寝たきりになった場合もこちらで入浴できますか?
認知症 母は同じことを何度も聞き、帰宅しようとすることがあります。どう対応しますか?
看護 夜間に体調が悪くなった場合、誰が最初に確認しますか?
医療 今後○○が必要になっても住み続けられますか?
費用 今の母の状態で、毎月全部でいくらくらいになりますか?
重度化 要介護度が上がった場合、何が変わりますか?
職員体制 普段はどのような勤務体制で対応していますか?
通院 母の通院には誰が付き添いますか?費用はいくらですか?
退去条件 どんな状態になると、ここでの生活継続が難しくなりますか?
10個全部聞く必要はありません。

母に必要なものから聞いてください。

一番おすすめなのは、

「母が○○になったら、このホームではどうなりますか?」

という聞き方です。

この質問は、その施設が将来までどのくらい具体的に考えてくれているかを見る材料にもなります。

住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームでよくある質問

住宅型有料老人ホームでも介護が必要な人は入居できますか?

入居できます。

住宅型有料老人ホームでは、必要に応じて訪問介護などの介護保険サービスを利用しながら暮らします。

ただし、受け入れられる状態や介護・看護体制は施設によって異なります。

要介護度だけではなく、実際に必要な介助内容を伝えて確認してください。

介護付き有料老人ホームなら24時間ずっと手厚く介護してもらえますか?

介護付き有料老人ホームには人員配置の基準があり、介護職員を常に1人以上確保することなどが定められています。

ただし、職員は複数の入居者を支援しており、

「いつでも一対一で対応してもらえる」という意味ではありません。

夜間介助や入浴など、本人に必要な支援を具体的に確認してください。

費用が安いのは住宅型ですか?

必ずしもそうとは限りません。

住宅型では基本料金が低く見えても、介護サービス、医療費、施設独自のサービスなどが加わる場合があります。

介護付きでも家賃・食費・管理費・介護保険自己負担などが必要です。

「今の本人の状態なら総額いくらか」で比較してください。

要介護5なら介護付き有料老人ホームの方がいいですか?

介護付きは有力な候補になりますが、要介護5だけで決めることはできません。

必要な介助、医療的な対応、夜間の支援、認知症の状態などによっては、医療・看護体制を強化した住宅型が候補になることもあります。

「入居できるか」だけでなく「今後も暮らし続けられるか」を確認してください。

認知症がある場合はどちらが向いていますか?

施設の種類より、本人の具体的な症状や生活上の困りごとへの対応力を確認してください。

また、要支援2以上など一定の要件を満たす場合は、認知症グループホームも選択肢になります。

「認知症対応可」という表示だけではなく、本人の実際の状態を伝えて相談することが大切です。

老人ホームは何施設くらい見学した方がいいですか?

一律の正解はありませんが、可能であれば複数施設を比較することをおすすめします。

一施設だけでは、

「これが普通なのか」

が分かりにくいからです。

設備、職員の対応、費用、介護・医療体制などを比べると、家族が大切にしたい条件も見えやすくなります。

まとめ|住宅型か介護付きかより、「母に何が必要か」から決める

この記事のまとめ
  • 住宅型と介護付きでは介護サービスの仕組みが異なる
  • 住宅型でも介護度が高い方や医療ニーズがある方を受け入れる施設がある
  • 介護付きには人員配置基準があるが「いつでも付きっきり」という意味ではない
  • 基本料金だけでなく、介護・医療・追加サービスまで含めた総額で比較する
  • 要介護度だけで施設の種類を決めない
  • 「認知症対応可」「24時間看護」などは母の具体的な生活場面に置き換えて確認する
  • 見学では浴室・職員・利用者・普段の雰囲気を見る
  • 重要事項説明書も施設比較の材料になる
  • 施設の種類に親を当てはめず、親の困りごとに合う施設を選ぶ

住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホーム。

制度上の違いを覚えることは、それほど難しくありません。

住宅型は、必要な介護サービスを利用しながら暮らす。

介護付きは、特定施設として施設側が介護サービスを提供する。

でも、老人ホーム探しで本当に難しいのは、その先です。

「で、うちの母はどっち?」

ここですよね。

私は老人ホーム入居相談に携わっていた頃、施設の種類から人を選ぶことはあまりしていませんでした。

先に聞きたかったのは、

なぜ自宅を離れたいのか。

今、何に困っているのか。

夜はどう過ごしているのか。

医療はどのくらい必要なのか。

本人はどんな生活をしたいのか。

家族はどこまで支えられるのか。

そして予算はいくらなのか。

ここです。

要介護1でも、家族の事情で住み替えが必要な人はいます。

要介護5でも、住宅型が合う人もいます。

介護付きでも、家族が想像した「手厚い介護」と違うことがあります。

住宅型でも、医療や介護にかなり力を入れているところがあります。

類型だけでは分からないことの方が多い。

これは、施設ケアマネと老人ホーム入居相談の両方を経験して強く感じています。

もし自分の母だったら、私はまず、

「なぜ今、家を出る必要がある?」

を考えます。

そして、

「ここへ入ったら何をしてもらえる?」

ではなく、

「母がこうなったとき、ここではどうしてくれる?」

と聞きます。

今歩ける母が歩けなくなったら。

認知症が進んだら。

夜中に何度も介助が必要になったら。

医療が必要になったら。

寝たきりになったら。

そこまで聞いて、

「それでもここなら母が暮らせそうだ」

と思えたホームを選びます。

施設の種類に母を当てはめるのではなく、母の困りごとに施設を当てはめる。

住宅型か介護付きかで迷ったら、私はこの順番で考えることをおすすめします。

よっしーからひとこと

老人ホーム紹介をしていた頃、

「住宅型と介護付き、結局どっちがいいですか?」

と本当によく聞かれました。

でも、これって施設のカタログだけ見て答える質問じゃないんです。

自宅で何に困っている?

夜は?

認知症は?

医療は?

本人は何をしたい?

家族は何が一番心配?

お金はいくらまで?

そこを聞いて初めて候補が見えてきます。

介護付きで働いていた頃には、

「24時間介護だから、ずっと手厚く見てもらえる」

というイメージと、実際の現場は少し違うなと感じることもありました。

一方で住宅型だから自由、軽い人向けとも限りません。

結局、同じ名前の老人ホームでも中身はかなり違います。

だから私は最後は、

人を見る。

設備を見る。

費用を見る。

そして、

「ここに母ちゃん入れて、自分は納得できる?」

と考えます。

パンフレットの正解じゃなく、

自分の親にとっての正解を探してほしい。

老人ホーム選びって、結局そこだと思っています。

【監修・執筆】よっしー

介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)/埼玉県認知症介護実践者研修 修了

介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、認知症グループホームで約6年勤務(うち計画作成担当者として約3年)。施設ケアマネジャーとして約5年、デイサービス管理者も経験。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・認知症ケア・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。

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