ケアプランとは?作成の流れ・内容・費用を介護福祉士・ケアマネがわかりやすく解説
ケアマネジャーからケアプランを渡されて、
「説明を聞いたけど、正直よく分からなかった」
「とりあえず言われたところにサインした」
という家族もいるのではないでしょうか。
長期目標。
短期目標。
サービス内容。
頻度。
期間。
いろいろ書いてありますが、家族からすると、
「結局これは何のための書類なの?」
となりやすいと思います。
私は施設ケアマネとして約5年、実際にケアプランを作ってきました。
そこで感じていたのは、ケアプランは書類として完成させればいいものではないということです。
きれいな目標が書いてある。
本人らしい言葉も入っている。
一見すると、とても良いケアプラン。
でも現場で実行できない。
介護職員が何をすればいいのか分からない。
本人が望んでいる生活とも少し違う。
それでは、何のために作ったのか分からなくなります。
ケアプランで一番大切なのは「何のサービスを使うか」ではなく、「本人がどんな生活を送りたいのか」です。
この記事では、制度上のケアプランの仕組みだけでなく、施設ケアマネとして実際に作ってきた経験から、「ケアプランって結局何なの?」をできるだけ現場の言葉で解説します。
- ケアプランとは何のために作るものなのか
- ケアプランは誰が作るのか
- ニーズ・長期目標・短期目標・サービスの関係
- ケアプランを作成する基本的な流れ
- 居宅と施設でケアプランはどう違うのか
- ケアプラン作成に費用はかかるのか
- 本人・家族はケアプランのどこを見ればいいのか
- ケアプランとは?「使うサービスを書く紙」ではない
- ケアプランには「居宅」と「施設」がある
- ケアプランは「ケアマネだけが見る書類」ではない
- ケアプランはどうやって作る?基本の流れを7ステップで解説
- ①アセスメント|まず「この人はどんな生活をしているのか」を知る
- ②ニーズを整理する|「困っていること」だけがニーズではない
- ③長期目標・短期目標|きれいな文章より「実際にできるか」が大事
- ④サービス担当者会議|ケアマネのプランを「みんなのプラン」にする
- ⑤ケアプランは本人に説明し、同意を得て終わり……ではない
- 「前回と同じケアプラン」だからダメ、ではない
- 本人や家族はケアプランのどこを見ればいい?
- ケアプラン作成に費用はかかる?居宅では利用者負担なし
- ケアプランは誰が作る?ケアマネが一人で決めるものではない
- ケアプランは自分でも作れる?セルフケアプランという方法もある
- ケアプランは途中で変更できる?生活が変われば変えていい
- ケアプランについて家族が覚えておきたいこと
- ケアプランに関するよくある質問
- まとめ|良いケアプランは「立派な書類」ではなく「実際に使える計画」
ケアプランとは?「使うサービスを書く紙」ではない
ケアプランとは、本人ができるだけ自分らしい生活を続けられるよう、現在の状態や生活環境、本人・家族の意向などを整理し、どのような目標で、どのような支援を行っていくのかをまとめた計画です。
介護保険では、ケアマネジャーがいきなり、
「デイサービスは週2回にしましょう」
とサービスから決めるのが本来の流れではありません。
まず本人の心身の状態や生活環境などを確認する。
本人はどう暮らしたいのか。
家族は何に困っているのか。
今の生活を続けるうえで、何が課題になっているのか。
こうしたことをアセスメントで整理します。
そこから生活上の課題、いわゆるニーズを考えます。
そして、
「どうなりたいのか」
という目標を決め、
「そのために何が必要なのか」
を考えた結果として、介護サービスなどを位置づけていきます。
順番にすると、こんなイメージです。
本人の生活・希望
↓
アセスメント
↓
生活上の課題(ニーズ)
↓
長期目標・短期目標
↓
必要な支援・介護サービス
サービスを決めてから、それに合うニーズや目標を作るのではありません。
ここは、ケアプランを理解するときにかなり大事なところです。
参考:厚生労働省|介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について
「デイサービスに行く」が目標になっていないか
施設ケアマネをしていた頃も、ケアプランについてよく言われていたことがあります。
それが、
「サービスありきでプランを作らない」
ということです。
たとえば、
「デイサービスを週2回利用する」
これ自体はサービスの利用方法です。
では、なぜデイサービスへ行くのでしょうか。
自宅のお風呂に入ることが難しくなったから、入浴の機会を確保したい。
家に閉じこもることが増えたので、人と話す機会を作りたい。
歩く機会が減ってきたので、今の身体機能をできるだけ維持したい。
家族の介護負担が大きくなっているので、日中安心して過ごせる場所が必要。
同じ「デイサービス週2回」でも、本人によって目的は全然違います。
ところが順番が逆になると、
「この人はデイサービスを使う」
が先に決まり、
「じゃあ、それっぽい目標を作ろう」
となってしまう。
書類としては完成します。
でも、それでは本人の生活から作ったケアプランとは言いにくいですよね。
ケアプランには「居宅」と「施設」がある
ひとことで「ケアプラン」といっても、生活している場所などによって計画の種類は異なります。
代表的なのが、在宅で介護サービスを利用する人の居宅サービス計画と、介護保険施設に入所している人の施設サービス計画です。
| 主な計画 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 居宅サービス計画 | 自宅などで暮らす要介護者 | 訪問介護・通所介護・福祉用具など、必要なサービスを組み合わせる |
| 施設サービス計画 | 介護保険施設の入所者 | 施設内で提供する介護・看護・食事・機能訓練などを含めて支援を組み立てる |
| 介護予防サービス計画等 | 主に要支援者など | 介護予防や自立支援を重視して必要な支援を組み立てる |
ただし、どの計画でも、
「本人を見ずにサービスだけを並べればいい」
というものではありません。
特に施設サービス計画について、厚生労働省は、本人の希望やアセスメント結果、家族の希望などを踏まえ、具体的な目標やサービス内容を設定することを求めています。
さらに重要なのが、「実現可能なもの」であることです。
ここ、施設ケアマネをやっていた私にはものすごくよく分かります。
参考:厚生労働省|指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について
「毎日花の水やりをする」――で、誰が毎日付き添うの?
ここからは、かなり施設現場の話です。
施設でも当然、本人らしい生活や個別性は大切です。
たとえば、昔からガーデニングが好きだった入居者さんがいたとします。
本人の楽しみを続けるというニーズから、
「施設でもガーデニングを楽しみながら生活する」
という目標を考える。
ここまではいい。
さらに具体的な支援として、
「毎日、花の水やりと手入れをする」
と書く。
文章だけ読むと、とても個別性のある良いケアプランに見えます。
でも施設ケアマネとして見ると、私はそこで一度止まります。
「で、誰が毎日付き添うの?」
本人が一人で安全にできるならいい。
でも付き添いが必要なら、毎日その時間に職員を配置できるのか。
雨の日はどうするのか。
本人の体調が悪い日はどうするのか。
その支援を介護職員みんなが理解しているのか。
施設では一人の職員が一人の入居者さんだけを見ているわけではありません。
ほかの入居者さんの食事。
排泄。
入浴。
ナースコール。
急な対応。
いろいろな支援が同時に動いています。
だから、本人らしさを大切にすることと、実際に継続できる支援にすることの両方を考えなければなりません。
個別性のある立派な文章を書くことと、本当にその人らしい生活を支えられることは、同じではありません。
ケアプランは「ケアマネだけが見る書類」ではない
ケアプランは、ケアマネジャーが一人で作って、一人で保管しておけばいい書類ではありません。
たとえば施設サービス計画では、ケアマネジャーは計画の原案について、サービス担当者会議や担当者への照会などを通じて、実際にサービスを提供する担当者から専門的な意見を求めることが制度上求められています。
施設によって職種は異なりますが、介護職。
看護職。
医師。
リハビリ職。
栄養職。
こうした人たちが持っている情報を集めながら、その人の支援を考えていきます。
計画を作った後も、実施状況を確認し、必要なら変更していきます。
つまり制度上は、
ケアマネがケアプランを書く
だけでは終わりません。
実際に支援する人たちと計画をつなげる。
ここまで含めてケアマネジメントです。
参考:厚生労働省|介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
でも現場では「ケアプラン?ほとんど見ないよ」という職員もいた
ここは制度の話ではなく、私が実際に施設で働いてきて感じたこととして読んでください。
施設によって差はあります。
もちろん、ケアプランをしっかり確認している職員もいます。
ただ私が働いてきた現場では、介護職員や看護職員の中に、ケアプランを普段ほとんど見ていない人もいました。
極端に言えば、
「ケアプランって何が書いてあるの?」
くらいの感覚の職員もいます。
でも、実際に毎日利用者さんのそばにいるのは現場職員です。
ケアマネが、
「この人はこういう生活を目指します」
と一生懸命プランを書いても、現場へ伝わっていなければ実際のケアにはつながりません。
逆に、現場職員が気づいた、
「最近、歩くときにふらつくようになった」
「食事量が落ちてきた」
「夜眠れなくなっている」
という変化がケアマネへ上がってこなければ、ケアプランだけ以前の状態のまま残ることもあります。
だから私は、施設ケアマネをしていたとき、ケアプランを書くこと以上に、現場とのやり取りが大事だと思っていました。
ケアプランは、ファイルの中にきれいに保管するための書類ではありません。実際のケアにつながって初めて意味があります。
ケアプランはどうやって作る?基本の流れを7ステップで解説
ケアプランができるまでには、いくつかの段階があります。
細かい手続きは居宅・施設などで異なりますが、基本的な考え方は似ています。
| 流れ | 何をする? |
|---|---|
| ①アセスメント | 本人の心身状態・生活環境・希望などを確認する |
| ②課題・ニーズを整理 | 本人が生活するうえで何が課題なのかを考える |
| ③ケアプラン原案を作成 | 目標や必要な支援を具体的に組み立てる |
| ④サービス担当者会議など | 関係する専門職から意見を聞く |
| ⑤本人へ説明・同意 | 計画の内容を説明し、本人の意向を確認する |
| ⑥ケアプランを交付 | 作成した計画を本人などへ渡す |
| ⑦モニタリング・見直し | 実際の生活と合っているか確認し、必要なら変更する |
こうして見ると分かるように、
「ケアマネがサービスを決めて紙に書く」
だけではありません。
むしろ大事なのは、その前後です。
本人の生活を知るところから始まり、作ったあとも本当に合っているか確認し続ける。そこまで含めてケアプランです。
参考:厚生労働省|介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
①アセスメント|まず「この人はどんな生活をしているのか」を知る
ケアプラン作成のスタートになるのがアセスメントです。
厚生労働省の施設基準でも、本人の能力や置かれている環境などを評価し、生活上の課題を把握することが求められています。
施設では本人・家族への面接も行います。
確認するのは、
歩けるか。
トイレに行けるか。
食事ができるか。
認知症があるか。
病気は何か。
もちろん、こうした情報も大切です。
でも、それだけではありません。
これまでどんな生活をしてきたのか。
何を大切にしている人なのか。
今、一番困っていることは何なのか。
本人はこれからどう暮らしたいのか。
そういうところまで見ていきます。
たとえば同じ「歩行が不安定な人」でも、
自分でトイレまで歩きたい人。
転ぶのが怖くて歩きたくない人。
家族と外出するために歩く力を残したい人。
本人によって目指す生活は違います。
身体状態だけ見て、
「歩行不安定だから転倒予防」
で終わってしまったら、その人らしいケアプランにはなりにくいんです。
②ニーズを整理する|「困っていること」だけがニーズではない
アセスメントで集めた情報から、生活上の課題を整理します。
ケアプランでは、これを一般にニーズと呼ぶことがあります。
ただし、
「歩けない」
「トイレができない」
「認知症がある」
と、できないことを並べればいいわけではありません。
たとえば、
「一人では入浴できない」
という状態があったとしても、その先に、
「これからも定期的にお風呂に入って、さっぱりして過ごしたい」
という本人の生活があります。
歩くことが難しくなってきた人でも、
「娘と一緒に近所へ買い物に行きたい」
という希望があるかもしれません。
ケアプランは「できないこと一覧」ではなく、その人がどう暮らしたいかを考えるための計画です。
③長期目標・短期目標|きれいな文章より「実際にできるか」が大事
ケアプランには、一般的に長期目標と短期目標を設定します。
たとえば、
| 項目 | 例 |
|---|---|
| ニーズ | これからも家族と外出を楽しみたい |
| 長期目標 | 家族と安心して外出できる状態を維持する |
| 短期目標 | 見守りのもと施設内を安全に歩く機会を持つ |
| 支援 | 歩行状態の確認、必要な介助、機能訓練など |
というようにつながっていきます。
ここで大事なのは、上から下まで話がつながっているかです。
本人は家族と外出したいと言っている。
なのに目標は、
「安全に施設生活を送る」
だけ。
さらにサービス内容は、
「定期的に声掛けを行う」
だけ。
これでは本人の希望がどこへ行ったのか分からなくなります。
反対に、本人の希望を全部そのまま目標にすればいいわけでもありません。
先ほど紹介した、
「毎日ガーデニングをする」
のように、現場で継続できない計画を作っても意味がありません。
良い目標は「本人らしい」だけでも「施設でやりやすい」だけでもなく、その間にある実現できる目標だと思います。
参考:厚生労働省|介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
④サービス担当者会議|ケアマネのプランを「みんなのプラン」にする
ケアプランの原案ができたら、サービス担当者会議などを通じて、関係する専門職から意見を聞きます。
施設なら、
介護職。
看護職。
医師。
リハビリ職。
栄養職。
相談員。
など、その人の支援に関わる職種が考えられます。
居宅なら、訪問介護やデイサービス、福祉用具など、利用するサービスの担当者が関わります。
ここで、ケアマネが考えたプランに対して、
「この歩行方法だと危ないと思います」
「最近は食事量も落ちています」
「この時間帯なら本人も落ち着いています」
といった専門職・現場からの情報が入ります。
ケアマネが知らなかったことが出てくることもあります。
それでいいんです。
ケアマネが全部知っている必要はありません。むしろ、知らないことを持ち寄って一つの支援にしていくのが担当者会議です。
参考:厚生労働省|介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
サービス担当者会議については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→サービス担当者会議とは?何を話す?参加者・当日の流れをケアマネが解説
⑤ケアプランは本人に説明し、同意を得て終わり……ではない
ケアプランの原案がまとまったら、本人などへ内容を説明します。
施設サービス計画では、原案について本人または家族へ説明し、文書によって本人の同意を得ることが基準上定められています。
作成した施設サービス計画は、本人へ交付します。
ここで家族からすると、
「説明を聞いてサインしたから終わり」
と思いやすいかもしれません。
でも本当に大切なのは、サービスが始まってからです。
計画どおりに生活できているのか。
目標は本人に合っていたのか。
状態は変わっていないか。
本人の気持ちは変わっていないか。
サービスそのものが合っているのか。
こうしたことを確認していくのがモニタリングです。
参考:厚生労働省|介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
ケアマネのモニタリングについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→ケアマネジャーのモニタリングとは?内容・頻度・当日の流れを解説
「前回と同じケアプラン」だからダメ、ではない
ケアプランを更新したとき、前回と同じ文章が残っていることがあります。
それだけを見て、
「このケアマネ、前回のプランをコピペしたな」
と判断する必要はありません。
本人の状態。
生活上の課題。
本人・家族の希望。
目標。
これらが変わっていなければ、同じ内容を継続することは当然あります。
文章を毎回違う言葉に書き換えることがケアマネジメントではありません。
私が気になるのは逆です。
以前は歩いていた。
今は車いすになった。
以前は自分でトイレへ行っていた。
今は介助が必要になった。
以前は食事を完食していた。
最近は半分くらいしか食べない。
それなのに、
目標もサービス内容も前とほとんど変わっていない。
こっちの方が私は気になります。
ケアプランで見るべきなのは「新しい文章になっているか」ではなく、「今の本人になっているか」です。
本人や家族はケアプランのどこを見ればいい?
ケアプランを渡されても、家族が制度や専門用語を全部理解する必要はありません。
私なら、まず次のところを見ます。
| 見るところ | 確認したいこと |
|---|---|
| 本人・家族の意向 | 話した希望や困りごとが反映されているか |
| 生活上の課題 | 今困っていることとズレていないか |
| 長期・短期目標 | 本人が目指したい生活につながっているか |
| サービス内容 | なぜその支援を行うのか理解できるか |
| 期間 | いつ頃までこの目標で様子を見るのか |
そして、一番簡単な確認方法があります。
ケアプランを読んで、
「これ、うちのお父さんの話になっているな」
「お母さんが困っていることがちゃんと入っているな」
と思えるかどうかです。
反対に、
「これ、誰にでも当てはまりそうだな」
「そんなこと本人は言ってないけどな」
と思ったら、サインする前でもケアマネに聞いて構いません。
施設サービス計画についても、厚生労働省は本人の希望を尊重して作成することを求め、説明と同意によって本人の意向をサービス内容へ反映する機会を保障するという考え方を示しています。
参考:厚生労働省|指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について
ケアプラン作成に費用はかかる?居宅では利用者負担なし
在宅で介護保険サービスを利用するとき、居宅介護支援事業所のケアマネジャーにケアプランを作成してもらいます。
この居宅介護支援については、利用者の自己負担はありません。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、ケアプラン作成について利用者負担はないと明記されています。
そのため、
ケアプラン作成
サービス事業所との連絡調整
モニタリング
など、居宅介護支援として行われるケアマネジメントについて、利用者が1割・2割・3割を直接支払う仕組みではありません。
ただし、実際に利用するデイサービス、訪問介護、福祉用具などの介護サービスそのものには自己負担があります。
参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム「居宅介護支援」
ケアプランは誰が作る?ケアマネが一人で決めるものではない
居宅サービス計画は、一般的には居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成します。
ただし、
「ケアマネが考えた計画を、本人がそのまま受け入れる」
という仕組みではありません。
厚生労働省の基準では、居宅サービス計画は利用者の希望を尊重して作成することが求められています。
さらに、どのサービス事業所を選ぶかについても、利用者自身が選択することが基本です。
ケアマネは、
本人の状態。
本人の希望。
家族の状況。
生活環境。
地域にあるサービス。
他職種の意見。
こうした情報を集めながら、ケアプランの原案を作ります。
そして本人へ説明し、文書による同意を得たうえで計画として進めていきます。
ケアマネは「サービスを決める人」というより、本人の生活に必要な支援を一緒に整理する人です。
参考:厚生労働省|指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
ケアプランは自分でも作れる?セルフケアプランという方法もある
介護保険では、利用者本人や家族が居宅サービス計画を自己作成する、いわゆるセルフケアプランという方法がとられる場合があります。
ただし、
「ケアマネを使わず、自分で予定表を書けば終わり」
という簡単なものではありません。
ケアマネへ依頼しない場合、通常ケアマネが行っている、
サービス事業所との調整
利用するサービスの整理
必要書類の作成・提出
給付管理に関する手続き
状態変化に応じた見直し
などを、自分たちで進める必要が出てきます。
さらに、サービスの種類や地域の制度によって取り扱いが異なる場合があります。
たとえば厚生労働省は、介護予防・日常生活支援総合事業について、ケアプランの自己作成による利用は想定していないとしています。
そのためセルフケアプランを検討するときは、まず住んでいる市区町村の介護保険窓口へ確認してください。
私は施設ケアマネをしていたけど、それでも家族に自己作成は簡単には勧めない
私はケアマネとしてケアプランを作ってきました。
それでも、もし自分の家族が在宅介護を始めるなら、特別な事情がない限り、まず居宅ケアマネへ相談すると思います。
理由は、ケアプランを書くこと自体より、その前後の調整の方が大変だからです。
本人の状態を見る。
家族の負担を考える。
地域の事業所を探す。
空き状況を確認する。
サービス事業所と話をする。
状態が変わったら組み直す。
必要なら医療職とも連携する。
これを家族が介護しながら全部やる。
制度を知っていたとしても、結構大変です。
ケアプランは途中で変更できる?生活が変われば変えていい
ケアプランは、一度作ったら固定されるものではありません。
厚生労働省の居宅介護支援の基準でも、ケアプラン作成後は継続的にアセスメントを行い、必要に応じてケアプランの変更やサービス事業者との連絡調整を行うことが定められています。
たとえば、
転倒して歩けなくなった。
退院して医療的な支援が必要になった。
家族の介護負担が限界に近づいた。
本人がデイサービスへ行きたくなくなった。
福祉用具が必要になった。
本人の希望そのものが変わった。
こうしたときは、今のプランが本当に合っているのかを見直します。
生活が変わったのに、ケアプランだけ昔のまま。それでは計画を作っている意味が薄れてしまいます。
参考:厚生労働省|指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
本人が「変えたい」と言っていい
ケアプランを見て、
「このサービスは自分に合っていない」
「回数を減らしたい」
「別のデイサービスも見てみたい」
と思うこともあります。
そんなとき、
「ケアマネが決めたことだから」
と我慢する必要はありません。
厚生労働省の基準でも、ケアプランは利用者の希望を尊重して作成するものとされています。
訪問介護などのサービス事業者にも、利用者がケアプランの変更を希望した場合、居宅介護支援事業者へ連絡するなど必要な援助を行うことが定められています。
だから、気になることがあればケアマネへ話してください。
ただし、希望どおりの変更が必ずできるとは限りません。
介護保険上の条件。
事業所の空き状況。
支給限度額。
医師の指示が必要なサービス。
安全面。
いろいろな条件があります。
その中で現実的な方法を一緒に考えていくのがケアマネジメントです。
ケアプランについて家族が覚えておきたいこと
ここまで読むと、ケアプランって少し面倒な書類に見えるかもしれません(笑)。
でも家族が細かい制度を全部覚える必要はありません。
私なら、次の4つだけ覚えておけば十分だと思います。
| 覚えておきたいこと | 意味 |
|---|---|
| ①本人の生活から始まる | サービスありきで作るものではない |
| ②実際にできる計画にする | 立派な目標でも実行できなければ意味がない |
| ③分からなければ聞いていい | 説明を受け、納得して同意するための計画 |
| ④途中で変えていい | 本人の状態や生活が変われば見直す |
そしてもう一つ。
ケアプランは、本人や家族がケアマネを評価するテストではありません。
逆にケアマネが本人を評価する紙でもありません。
本人。
家族。
ケアマネ。
サービス事業所。
みんなで、
「この人の生活をどう支える?」
を共有するための計画です。
ケアプランに関するよくある質問
在宅で居宅介護支援事業所のケアマネジャーにケアプランを作成してもらう場合、利用者の自己負担はありません。
ただし、実際に利用する訪問介護、デイサービス、福祉用具などには、所得等に応じた自己負担があります。
一般的にはケアマネジャーへ依頼して作成します。
制度上、利用者側で自己作成する扱いができる場合もありますが、サービスや地域によって取り扱いが異なる場合があります。
セルフケアプランを考える場合は、まず市区町村へ確認してください。
ケアマネへ相談して構いません。
ケアプランは利用者の希望を尊重して作成するものです。
ただし、介護保険上の条件、安全面、事業所の状況などから、希望どおりの内容にできない場合もあります。
その場合は別の方法を一緒に検討します。
ケアプランには目標期間などを設定しますが、その期間中でも本人の状態や生活環境が変われば、必要に応じて見直します。
「期間が終わるまで絶対に変えられない」というものではありません。
本人の状態、希望、課題、目標などに変化がなく、継続が適切であれば同じ内容が残ることはあります。
大切なのは文章を毎回変えることではなく、今の本人の生活と合っているかです。
できれば内容を確認してみてください。
すべての専門用語を理解する必要はありません。
「本人・家族が話した希望が入っているか」「目標とサービスがつながっているか」を見るだけでも十分です。
分からないところはケアマネへ質問して構いません。
ケアプランに沿ってサービスを利用することが基本ですが、本人の体調や生活状況は変わります。
利用内容を変えたい場合は、自己判断だけで進めず、担当ケアマネやサービス事業所へ相談してください。
必要に応じてケアプランを見直します。
まとめ|良いケアプランは「立派な書類」ではなく「実際に使える計画」
- ケアプランはサービスの予定表ではない
- 本人の生活・希望からニーズと目標を考える
- サービスありきで目標を作るのは本来の順番ではない
- 本人らしさと実現可能性の両方が重要
- ケアマネだけでなく他職種の情報も使って作る
- 本人へ説明し、同意を得て進める
- 作成後もモニタリングし、必要なら変更する
- 居宅ケアプランの作成は利用者負担なし
ケアプランって、外から見るとただの書類です。
デイサービス週2回。
訪問介護週3回。
長期目標。
短期目標。
期間。
いろいろ書いてある。
でも、私が施設ケアマネとしてケアプランを作っていて感じたのは、
書いてあることより、実際に生活の中で使えるかの方が大事
ということでした。
本人らしい立派な目標を書いた。
でも現場では誰もできない。
サービスはたくさん入っている。
でも本人が何を目指しているのか分からない。
本人の状態は変わった。
でもプランは昔のまま。
それでは、ケアプランが書類だけになってしまいます。
本人の生活から作って、現場で使って、合わなくなったら直す。それがケアプランだと私は思っています。
施設ケアマネをしていると、
「個別性を出しましょう」
とよく言われます。
もちろん大切です。
でも、個別性のある言葉をたくさん書けば、良いケアプランになるわけではありません。
たとえば、
「毎日ガーデニングを楽しむ」
と書く。
その人らしくて、すごくいい目標に見えます。
でも一人ではできない人なら、
「で、誰が毎日付き添うの?」
という話になります。
施設では一人の利用者さんだけを見ているわけではありません。
食事もある。
排泄もある。
入浴もある。
ナースコールも鳴る。
だから私は、
本人らしさ
と、
本当に続けられる支援
の間を考えることが、施設ケアマネの難しいところだと思っていました。
もう一つ大事なのが、
サービスを先に決めないこと。
デイサービスを使う。
だからデイに合う目標を書く。
ではなく、
本人は何に困っている?
どう暮らしたい?
そのために何を目指す?
じゃあ何が必要?
最後にサービスが来る。
この順番です。
ケアプランを渡されたとき、難しいところまで読む必要はありません。
ただ、
「これ、ちゃんと本人の話になってる?」
と一度見てみてください。
それだけでも、ケアプランの見え方はかなり変わると思います。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。


