ケアマネから老人ホームを紹介されたら?紹介料・選ぶ前の確認ポイントを経験者が解説
担当ケアマネから老人ホームの名前を出されると、
「プロが勧めてくれたんだから安心かな」
と思う一方で、
「この施設に決めないと悪いかな」
「ケアマネは紹介料をもらっているの?」
「ほかの老人ホームも見た方がいい?」
と気になる家族もいると思います。
結論からいうと、ケアマネから老人ホームを紹介されても、その施設へ入居しなければならないわけではありません。
施設名を教えてもらったら、まず候補の一つとして考えれば大丈夫です。
本人の状態や必要な介護を知っているケアマネだからこそ、「この施設なら相談できるかもしれない」と情報を出してくれることはあります。
ただ、その施設が本当に本人に合っているかは、料金や介護・医療体制、生活環境などを家族自身でも確認する必要があります。
私はこれまで、ケアマネとして施設相談に関わる側と、老人ホームの入居相談を受ける側の両方を経験しました。
入居相談の仕事をしていた頃には、ケアマネから、
「こういう状態の方なんだけど、受け入れできそう?」
と施設について相談を受けることもありました。
そのときに確認するのは、単に空室があるかどうかだけではありません。
認知症の状態。
必要な介護。
医療面で注意すること。
家族の希望。
費用。
こうした条件を見ながら、その施設で本当に生活できそうかを考えていました。
「紹介された施設」と「本人に合う施設」は、必ずしも同じ意味ではありません。
この記事では、ケアマネから老人ホームを紹介されたときに家族が確認したいこと、紹介料への考え方、断ってもいいのか、見学前後に見るポイントまで解説します。
- ケアマネから紹介された施設を選ぶ必要があるのか
- なぜその老人ホームを紹介されたのか確認する方法
- ケアマネと老人ホームの紹介料について
- 紹介された施設を断ってもいいのか
- 紹介された施設を家族が確認するポイント
- 見学・契約前に注意したいこと
ケアマネから紹介された老人ホームに決める必要はない
ケアマネから具体的な老人ホームを紹介されても、必ずそこへ入居する必要はありません。
老人ホームは、本人がこれから生活する場所です。
「担当ケアマネが言ったから」
「普段お世話になっているから断りにくいから」
という理由だけで決めるものではありません。
施設を紹介してもらうことと、施設選びそのものをケアマネに任せることは別です。
候補として情報をもらったら、
「なぜこの施設なんだろう?」
と一度考えてみましょう。
- 本人のどんな状態を見て候補になったのか
- 必要な介護に対応できそうなのか
- 認知症や医療面で問題がないか
- 家族の予算に合っているか
- 希望する地域や距離に合っているか
- ほかにも候補となる施設があるのか
ケアマネが本人の生活を普段から見ている場合、
「今後も医療との連携が必要になりそう」
「認知症への対応を重視した方がよさそう」
「この家族なら通いやすさも重要になりそう」
といった視点から施設名を挙げていることもあります。
だから、施設名だけを聞くのではなく、
「どうしてこの施設が候補になったんですか?」
と聞いて構いません。
紹介理由が分かれば、ほかの施設を見るときにも「何を基準に選べばいいか」が見えやすくなります。
ケアマネはどんな理由で老人ホームを紹介する?
ケアマネが老人ホームについて情報提供するとき、考えられる理由はいろいろあります。
| 紹介理由 | 家族が確認したいこと |
|---|---|
| 本人の状態に合いそう | どの介護・医療面が合っているのか |
| 地域の施設として知っている | ほかにも候補はあるのか |
| 過去に利用者が入居した | 現在の受け入れ条件も同じか |
| 空室について情報がある | 料金・介護体制・条件まで合うのか |
| 家族の希望地域にある | 距離以外の条件も満たしているか |
ここで気をつけたいのが、
以前は受け入れできたから、今回も必ず受け入れできるとは限らない
ということです。
老人ホームの空室状況や料金、医療・介護の受け入れ条件は変わることがあります。
ケアマネから施設名を聞いたとしても、最終的な料金・空室・受け入れ条件は施設へ確認しましょう。
ケアマネは老人ホームから紹介料をもらっている?
ケアマネから老人ホームを紹介されると、
「何か施設側とお金のやり取りがあるのでは?」
と心配になる人もいるかもしれません。
指定居宅介護支援では、ケアマネには利用者の立場に立った公正・誠実な支援が求められています。
また、居宅サービス計画の作成や変更に関して、特定の居宅サービス事業者等を利用させる見返りとして利益を受け取ることを禁止する規定があります。
ケアマネは、本人・家族の希望や心身の状態などを踏まえ、特定の事業者だけに不当に偏らないよう支援することが基本です。
「紹介された=紹介料目的」と最初から考えるのではなく、まずその施設を紹介した理由を確認しましょう。
一方、民間の老人ホーム紹介サービスでは仕組みが異なります。
紹介サービスでは、相談者が無料で利用でき、入居が決まった際など一定の条件を満たすと、施設側から紹介事業者へ紹介手数料が支払われる仕組みがあります。
| 比較 | ケアマネ | 紹介サービス |
|---|---|---|
| 主な立場 | 介護支援の専門職 | 民間の紹介事業者 |
| 中心となる役割 | 本人の生活・介護を支援 | 具体的な施設探しを支援 |
| 収益の仕組み | 介護報酬など | 施設側からの紹介手数料など |
ケアマネと老人ホーム紹介サービスは、同じ「施設を紹介する」という場面があっても立場や仕組みが違います。
老人ホーム紹介サービスそのものの仕組みについて知りたい方はこちらの記事で詳しく解説しています。
→「老人ホーム紹介センターとは?無料の理由とメリット・デメリットを解説」
紹介された理由を聞くのは失礼じゃない
ケアマネから施設を勧められたとき、
「どうしてこの施設なんですか?」
と聞くことに遠慮する必要はありません。
むしろ施設選びでは、そこを聞いた方がいいと思います。
- この施設を候補にした理由は何ですか?
- 本人のどんな状態に合いそうですか?
- ほかにも候補はありますか?
- 以前利用した人がいる施設ですか?
- 医療や認知症の対応について何か知っていますか?
答えを聞けば、
「医療面を重視しているんだ」
「認知症対応を優先した方がいいんだ」
「家から近いという理由が大きいんだ」
と、施設を選ぶ基準が見えてきます。
逆に、
「いつも紹介しているから」
という理由だけだったとしても、その時点で悪い施設という意味ではありません。
ただし家族側では、
「それなら本人に合うかどうかは、自分たちでももう少し確認しよう」
と考えればいいのです。
ケアマネから紹介された老人ホームを断ってもいい?
ケアマネから紹介された老人ホームを断っても問題ありません。
実際に見学したら、
「思っていたより家から遠かった」
「予算を超えていた」
「本人が雰囲気を気に入らなかった」
「必要な医療対応が難しかった」
ということもあります。
老人ホームは条件表だけで決められるものではありません。
ケアマネへの遠慮より、本人がそこで生活を続けられるかを優先してください。
断るときも難しく考えなくて大丈夫です。
「見学しましたが、今回は別の施設も見てみたいと思います」
「費用面で少し難しかったです」
「本人がもう少し別のところも見たいと言っています」
と理由を伝えれば十分です。
ケアマネに勧められても家族自身で見学しよう
どれだけ信頼しているケアマネから紹介された老人ホームでも、できる限り家族自身で見学して確認しましょう。
ケアマネが知っている情報と、家族が実際に施設へ行って感じることは違います。
ホームページでは明るく見えた。
パンフレットでは設備が充実していた。
でも行ってみると、
「思っていたより静かな施設だな」
「職員さんがよく声をかけているな」
「母には少し落ち着かなそうだな」
と感じることがあります。
施設の良し悪しだけではなく、「この人がここで暮らしている姿を想像できるか」という目線も持ってみてください。
- 職員の入居者への接し方
- 入居者の表情や過ごし方
- 居室・食堂など生活する場所
- 介護・医療対応の具体的な内容
- 認知症への対応
- 月額以外にかかる費用
- 本人が施設をどう感じているか
紹介された施設とほかの施設を比較してもいい
一つの施設を紹介されたからといって、その一施設だけで決める必要もありません。
可能なら、条件の近い老人ホームをいくつか比較してみましょう。
| 比較項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 費用 | 月額だけでなく追加費用まで見る |
| 介護 | 状態が変わったときの対応を確認する |
| 医療 | 必要な処置や通院への対応を確認する |
| 認知症 | 本人の状態に対応できるか確認する |
| 生活 | 本人が希望する暮らし方と合うか見る |
| 家族 | 面会や通いやすさも確認する |
比較すると、
「こちらは安いけれど少し遠い」
「こっちは費用が上がるけれど医療面は安心できそう」
という違いが見えてきます。
老人ホーム探しでは、すべての条件が100点という施設が見つかるとは限りません。
だから、
絶対に外せない条件
と、
できれば叶えたい条件
を分けて考えることが大切です。
老人ホーム探しそのものを相談したいなら別の記事へ
ここまでの記事は、
「ケアマネから具体的な施設を紹介されたあと、家族はどう考えればいいか」
を中心に解説してきました。
まだ、
「そもそもケアマネに施設探しを頼んでいいの?」
「ケアマネと紹介サービスはどっちを使えばいい?」
という段階なら、こちらの記事の方が内容に合っています。
→「ケアマネに老人ホーム探しは頼める?紹介サービスとの違い・使い分けを経験者が解説」
「これから探す人」と「すでに施設を紹介された人」では、知りたいことが違います。
この2記事も、その違いに合わせて使い分けてもらえればと思います。
契約する前にもう一度確認したいこと
紹介された施設を見学して、
「ここにしよう」
と決めても、最後に契約内容を確認しましょう。
- 入居時に必要な費用
- 毎月支払う費用
- 別途かかる追加費用
- 入院した場合の居室費などの扱い
- 状態が変わった場合の対応
- 退去となる条件
- 医療・看取りへの対応範囲
「ケアマネが紹介した施設だから、このあたりは大丈夫だろう」
とは考えず、重要事項説明書や契約書について分からないところは確認しましょう。
紹介された施設だから安心、ではなく、自分たちが内容を確認して納得できたから契約する。この順番が大切です。
→「老人ホームの契約で確認すべきポイント|契約前に後悔しないためのチェックリストをケアマネが解説」
ケアマネから老人ホームを紹介されたときのよくある質問
いいえ。紹介された施設へ必ず入居する必要はありません。
候補の一つとして考え、費用や介護・医療体制などを確認し、可能ならほかの施設とも比較してください。
断って構いません。
見学して本人に合わないと感じた場合や、費用・距離などが希望と合わない場合は、別の候補を検討して大丈夫です。
もちろん聞いて構いません。
本人のどんな状態に合っていると考えたのか、ほかにも候補があるのかなどを確認すると、施設選びの参考になります。
「ケアマネが施設を紹介した=紹介料をもらっている」と一括りに考えるのは適切ではありません。
ケアマネには公正・誠実な支援が求められています。民間の老人ホーム紹介サービスとは立場や収益の仕組みが異なります。
気になる場合は、紹介料を疑うことから始めるより、「なぜこの施設を候補にしたのか」を聞いてみるとよいでしょう。
もちろん構いません。
ケアマネからの情報、自分での検索、老人ホーム紹介サービスなど、複数の方法から情報を集めて比較できます。
可能であれば、契約前に見学することをおすすめします。
職員の接し方や入居者の様子、施設全体の雰囲気など、資料だけでは分からない部分を確認できます。
まとめ|「ケアマネが紹介したから」ではなく「本人に合うから」で選ぼう
ケアマネから老人ホームを紹介されると、
「専門家が勧めるなら、そこが一番いいのかな」
と思うかもしれません。
でも、老人ホーム選びはそこからがスタートです。
ケアマネが施設名を出してくれた理由を聞く。
本人の状態に合うのか確認する。
料金を確認する。
見学する。
必要ならほかの施設も見る。
そして家族と本人で考える。
- 紹介された施設へ必ず入居する必要はない
- なぜその施設を紹介したのか確認する
- ケアマネと民間紹介サービスは仕組みが違う
- 料金や受け入れ条件は施設へ直接確認する
- 可能なら実際に施設を見学する
- ほかの施設と比較してもいい
- 最後は本人・家族が納得して決める
大事なのは、「誰が紹介した施設か」より、「本人がそこで暮らしていける施設か」です。
私がケアマネや入居相談の仕事をしていて感じてきたのも、ここでした。
家族から、
「結局、どこが一番いい施設なんですか?」
と聞かれることがあります。
でも、一番いい施設を一つ決めるのは難しいんです。
予算が違う。
介護状態が違う。
医療の必要性も違う。
家族が通える距離も違う。
本人が大切にしてきた暮らしも違います。
だから探したいのは、
「一般的に一番いい施設」ではなく、「その人に合う施設」
だと思っています。
ケアマネから施設を紹介されると、「せっかく探してくれたんだから断ったら悪いかな」と思う人もいるかもしれません。
でも、そこは遠慮しなくて大丈夫です。
施設名を教えてもらったこと自体は、とてもありがたい情報です。
その情報をきっかけに家族が見学して、
「ここは違うかな」
と思ったなら、それも大事な答えです。
老人ホームは、紹介したケアマネが暮らす場所ではありません。
もちろん紹介担当者が暮らす場所でもありません。
本人がこれから生活する場所です。
だから最後は、「ここなら暮らしていけそう」と本人や家族が納得できるところを選んでほしいと思います。
監修・執筆:よっしー
介護福祉士・介護支援専門員(ケアマネ)。介護業界約18年、施設ケアマネ・老人ホーム入居相談員などの経験をもとに、老人ホーム選びや介護に役立つ情報を発信しています。


