老人ホームの退去理由とは?退去になるケースと対処法をケアマネが解説
老人ホームで暮らしている親の認知症が進んできた。
職員さんに怒鳴ったり、介護を拒否したりすることも増えてきた。
そんな状況になると、ご家族としては、
「このままだと老人ホームを退去させられるのでは?」
と心配になることもあると思います。
結論からいうと、認知症が進んだり、介護の手間が増えたりしただけで、すぐに退去になるとは限りません。
私自身、介護現場や施設ケアマネとして働いてきましたが、認知症や持病が重くなったという理由だけで退去になるケースは、むしろ多くありませんでした。
一方で、現場ではもっと難しい問題が起こることがあります。
他の入居者や職員への暴力。
激しい暴言。
物を壊す。
施設の外へ何度も出てしまい、本人の安全を守ることが難しい。
職員や他の入居者への性的な言動・行為。
施設では対応できない医療ケアが必要になる。
こうした状況が続くと、本人へのケアや環境調整を行ったうえで、それでも現在の施設で生活を続けることが難しい場合には、ご家族を交えて転居などを検討することがあります。
ただし、ここで大切なのは、
「何か問題が起きた=即退去」
と考えないことです。
老人ホームには契約上のルールがあります。
そして本人だけでなく、ほかの入居者や職員の安全・生活も守らなければなりません。
この記事では、老人ホームから退去を求められる可能性があるケースと、実際に退去・転居の話が出たときに家族が確認したいことを、国の制度と施設ケアマネとしての経験をもとに解説します。
- 老人ホームから退去を求められる主な理由
- 認知症が進んだだけで退去になるのか
- 暴力・暴言・セクハラなどが続いた場合の考え方
- 医療ケアが増えた場合の対応
- 長期入院・料金未払いと退去の関係
- 退去を求められたとき家族が確認すること
- 老人ホームは簡単に入居者を退去させられるわけではない
- 認知症が進んだだけで老人ホームを退去になる?
- それでも退去・転居の話になるのはどんなとき?
- 「施設の外へ出てしまう」だけで退去になるわけではない
- 施設から「対応が難しい」と言われたら、まず意味を確認する
- 医療ケアが必要になったら老人ホームを退去になる?
- 長期入院したら老人ホームを退去しなければならない?
- 利用料金を払えなくなったらすぐ退去になる?
- 要介護から自立になったら老人ホームを退去する?
- 介護付きと住宅型では介護保険サービスの仕組みも違う
- 退去の話が出ても「本人が悪い」と決めつけない
- 老人ホームから退去・転居を求められたらどうする?
- 本人の状態が変わった場合も、いきなり退去とは限らない
- 退去ではなく「転居」と考えた方がいいケースもある
- 次の老人ホームを探すときは「退去理由」を隠さない
- 退去を求められたけど納得できないときは?
- 転居先を探すなら早めに動く
- 老人ホームの退去に関するよくある質問
- まとめ|老人ホームの退去は「問題を起こしたら即退去」ではない
老人ホームは簡単に入居者を退去させられるわけではない
まず知っておきたいのが、施設側が好きなタイミングで、
「明日から出ていってください」
と自由に契約を解除できるわけではないということです。
厚生労働省の「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」では、入居契約書に契約解除の要件と、その場合の対応を明示することが示されています。
さらに施設側からの契約解除については、信頼関係を著しく害する場合に限るなど、入居者の権利を不当に狭める条件にしないこととされています。
つまり、
「介護が大変になったから」
「認知症が進んだから」
というだけで、何の手続きもなく自由に退去させていいという話ではありません。
退去の話が出たときは、「本人に何が起きているのか」と「契約上どの条件に当てはまるのか」の両方を確認することが大切です。
参考:厚生労働省|有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
認知症が進んだだけで老人ホームを退去になる?
ここは、ご家族が特に心配するところだと思います。
認知症が進んで、
同じことを何度も聞く。
夜に眠らず歩き回る。
介助を嫌がる。
大きな声を出す。
以前より介助が必要になった。
こうしたことが増えてくると、
「施設に迷惑をかけているから退去になるかも」
と思ってしまうかもしれません。
でも、認知症があることや症状が進んだことだけで、すぐに退去と考える必要はありません。
国の「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」でも、認知症の人が尊厳を保持しながら希望を持って暮らせることや、本人の意思を尊重することが基本理念として示されています。
介護現場でも、本来まず考えたいのは、
「どうやって退去してもらうか」
ではなく、
「なぜこの行動が起きているのか」「どうすれば今の生活を続けられるか」
です。
本人が不安なのか。
環境が合っていないのか。
痛みや体調不良が隠れていないか。
職員の関わり方を変えたら落ち着くのか。
医療的な確認が必要なのか。
いろいろな可能性を考えていきます。
参考:厚生労働省|共生社会の実現を推進するための認知症基本法
それでも退去・転居の話になるのはどんなとき?
認知症が進んだだけでは退去にならなくても、現在の施設で共同生活を続けることが難しくなるケースはあります。
私が現場で経験したものも含めると、特に対応が難しくなりやすいのが次のような状況です。
| 状況 | 施設で問題になりやすい理由 |
|---|---|
| 他の入居者・職員への暴力 | 周囲の人の安全を確保することが難しくなる |
| 激しい暴言・威嚇 | 他の入居者の生活や職員の業務に大きな影響が続く |
| 物を壊す | 本人や周囲の人のけがにつながる危険がある |
| 繰り返し施設の外へ出てしまう | 交通事故や行方不明など生命・安全に関わる可能性がある |
| 性的な言動・行為 | 職員や他の入居者の尊厳・安全を守る必要がある |
ただし、これらの行動が一度あったら即退去という意味ではありません。
たとえば認知症の人の暴力や暴言には、本人なりの理由や背景が隠れていることがあります。
そのため、まず本人の状態を確認する。
ケア方法を見直す。
環境を変えてみる。
必要に応じて医療職へ相談する。
家族とも情報を共有する。
そうした対応を行ったうえで、それでも本人や周囲の安全を守ることが難しく、現在の施設で生活を続けることが困難になった場合に、別の施設への転居などを検討することがあります。
暴力・暴言は「認知症だから仕方ない」で終わらせない
認知症がある人の暴力や暴言への対応は、とても難しい問題です。
職員を叩く。
他の入居者を殴る。
物を投げる。
大声で威嚇する。
こうした行為が繰り返されれば、周囲の人の安全にも関わります。
だからといって、
「乱暴な人だから退去」
と本人だけを責めればいいわけでもありません。
認知症や病気、痛み、不安、環境などが影響している可能性も考える必要があります。
本人の行動の背景を考えることと、他の入居者や職員の安全を守ること。その両方が必要です。
その通りです。
介護だから何でも我慢しなければならない、ということではありません。
厚生労働省も、介護現場における利用者や家族などからの身体的暴力・精神的暴力・セクシュアルハラスメントへの対策を示しています。
一方で、厚生労働省のハラスメント対策マニュアルでは、契約解除に至らないための取り組みをまず行うことが必要とされ、そのうえで、やむを得ず契約解除に至るケースもあり得るという考え方が示されています。
セクハラは職員だけの問題ではない
老人ホームでは、性的な発言や身体接触などへの対応が必要になることもあります。
職員に性的な言葉を繰り返す。
体を触ろうとする。
抱きつこうとする。
こうした行為だけでなく、ほかの入居者に対する性的な言動・行為が問題になることもあります。
私自身、介護現場でこうしたケースへの対応に苦慮した経験があります。
本人に認知症などがあれば、その影響を考えながらケアする必要があります。
でも同時に、職員やほかの入居者にも、安心して働き、生活する権利があります。
「施設の外へ出てしまう」だけで退去になるわけではない
認知症のある人では、本人が施設の外へ出てしまうことがあります。
介護現場では「離設」などと呼ぶことがありますが、ご家族には「施設の外へ出てしまう」と考えてもらえば十分です。
一度外へ出たからといって、すぐに退去という話ではありません。
ただ、何度も繰り返す。
交通量の多い道路へ出てしまう。
行方が分からなくなる。
職員が対応しても安全を確保することが難しい。
こうした状況になると、本人の命に関わる可能性があります。
そのため、本人が外へ出ようとする理由を考えたり、生活環境やケア方法を見直したりしながら対応します。
それでも安全を守ることが難しい場合には、現在の施設より本人に合った環境を検討することがあります。
施設から「対応が難しい」と言われたら、まず意味を確認する
ここはご家族に知っておいてほしいところです。
施設から、
「最近こういう行動が増えています」
「このままだと対応が難しいです」
と言われると、
と感じるかもしれません。
でも、必ずしもそうとは限りません。
施設が状況を家族と共有したいだけなのか。
ケア方法を一緒に考えたいのか。
医療機関への相談をお願いしたいのか。
本当に転居や契約解除について相談しているのか。
ここは分けて考える必要があります。
そして本当に転居の話になったとしても、そこで終わりではありません。
「なぜ今の施設では生活を続けることが難しいのか」が分かれば、次にどんな施設なら生活できるのかを考える材料になります。
施設を選ぶときに確認したいポイントについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→「良い老人ホームの特徴7選|後悔しない施設選びのポイント」
医療ケアが必要になったら老人ホームを退去になる?
入居後に病気が進行したり、入院をきっかけに医療ケアが必要になったりすることがあります。
そんなとき、
と心配になる方もいると思います。
ここも、「医療ケアが必要になった=退去」ではありません。
大切なのは、
現在必要になった医療ケアに、その老人ホームが対応できるかどうかです。
老人ホームによって、看護職員の配置や勤務時間、協力医療機関との連携、対応できる医療ケアなどは異なります。
そのため、同じ状態の人でも、
今の施設では対応が難しい。
でも、
医療対応に力を入れている別の施設なら受け入れられる。
ということがあります。
参考:厚生労働省|有料老人ホームの設置運営標準指導指針・重要事項説明書
医療対応の強い老人ホームへ転居することもある
私が老人ホームの入居相談に携わっていたときには、医療ケアが必要な方について、医療対応に力を入れている住宅型有料老人ホームなどを探すことがありました。
気管切開など継続的な医療管理が必要な方では、一般的な老人ホームよりも、看護・医療連携の体制が整った施設の方が生活を続けやすい場合があります。
だから、現在の老人ホームから転居することになっても、
「介護が大変だから追い出された」
と単純に考えない方がいいケースもあります。
本人の状態に対して、今の施設より対応できる場所へ生活の場を移すという意味を持つこともあります。
長期入院したら老人ホームを退去しなければならない?
長期入院も、退去の話につながることがあります。
ただし、ここで注意したいのが、
「1か月入院したら退去」
「3か月入院したら退去」
などと、全国一律の期間で考えないことです。
厚生労働省の有料老人ホームの標準的な重要事項説明書には、「入院等による不在時における利用料金(月払い)の取扱い」を記載する項目があります。
また、有料老人ホームの標準指導指針では、契約解除の要件やその場合の対応を入居契約書に明示することが求められています。
つまり長期入院になったときは、
「何か月入院したら退去?」ではなく、「この施設の契約では長期入院をどう扱うのか?」を確認することが重要です。
参考:厚生労働省|有料老人ホームの設置運営標準指導指針・重要事項説明書
実際には家族から退去を申し出ることもある
長期入院では、施設側から退去の話をするケースだけではありません。
私が施設ケアマネをしていた頃は、ご家族の方から「退去します」と申し出られることもありました。
大きな理由の一つが費用です。
本人は病院に入院している。
病院側では入院費がかかる。
一方、老人ホームの居室を残して契約を続ければ、契約内容によって施設側の費用も残ることがあります。
そして、いつ退院できるか分からない。
そうなると、
「病院と老人ホームの両方へ、いつまで払い続けられるだろう」
という現実的な問題が出てきます。
その結果、施設から退去を求められる前に、家族側から退去を選ぶケースもありました。
入院中の老人ホーム費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→「老人ホーム入居中に入院したら費用はどうなる?支払いが必要な費用・不要になる費用をケアマネが解説」
利用料金を払えなくなったらすぐ退去になる?
老人ホームの利用料金を支払えなくなった場合も、契約に関わる重要な問題です。
有料老人ホームは、入居者と施設との契約に基づいて利用料を支払う仕組みです。
厚生労働省の標準指導指針でも、家賃やサービス費用などの利用料と支払方法について、契約時に十分説明することが求められています。
そのため、料金の未払いが続けば、契約上の問題になる可能性があります。
ただし、
「1回支払いが遅れた=翌月退去」
と全国一律に決まっているわけではありません。
どのような場合に契約解除となるのかは、入居契約書を確認する必要があります。
老人ホームの費用が払えなくなった場合の対処法はこちらで詳しく解説しています。
→「老人ホームの費用が払えないときは?7つの対処法と利用できる制度」
要介護から自立になったら老人ホームを退去する?
少し意外かもしれませんが、本人の状態が良くなったことが退去・転居のきっかけになるケースもあります。
あります。
ただし、ここも施設によって違います。
有料老人ホームには、入居時の要件として、
「自立している人から入居できる施設」
もあれば、
「要介護認定を受けている人を対象とする施設」
などもあります。
つまり、「要介護から自立になったら全国どこの老人ホームでも退去」ではありません。
その施設がどんな人を入居対象としているのか、契約内容を確認する必要があります。
実際に「自立」になって退去対応をしたことがある
私自身、施設ケアマネとして介護認定の見直しで自立となり、退去することになった方を1件担当した経験があります。
ただし、これはその施設の入居条件や契約が関係していたケースです。
別の老人ホームなら、自立の方がそのまま生活できることもあります。
また、介護保険サービスとは別に、施設独自の生活支援サービスなどを自費で利用できる場合もあります。
だから、認定結果が自立になったときも、
「もう老人ホームには住めない」
と決めつけず、まず施設へ確認しましょう。
介護付きと住宅型では介護保険サービスの仕組みも違う
退去の話を考えるとき、もう一つ知っておきたいのが老人ホームの種類による違いです。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、有料老人ホームについて大きく次のように整理されています。
| 種類 | 介護保険サービスの基本的な仕組み |
|---|---|
| 介護付き有料老人ホーム | 施設が特定施設入居者生活介護として包括的に介護サービスを提供する |
| 住宅型有料老人ホーム | 必要に応じて外部の訪問介護などと契約して介護保険サービスを利用する |
同じ「老人ホーム」でも、介護サービスを提供する仕組みが違います。
そのため、本人の介護度や必要なサービスが変わったときに、施設でどこまで対応できるのかも一律ではありません。
参考:厚生労働省|介護サービス情報公表システム「有料老人ホーム」
退去の話が出ても「本人が悪い」と決めつけない
ここまで見ると、老人ホームを退去する理由は一つではないことが分かります。
本人の行動。
医療ケア。
長期入院。
料金。
介護認定や入居条件。
いろいろな事情があります。
そして実際の現場では、
「この人は大変だから出てもらおう」
という単純な話で終わらせるのではなく、どうすれば生活を続けられるかを考えることが重要になっています。
それでも現在の施設では難しい。
そんなときに初めて、本人に合う別の生活場所を検討することになります。
老人ホームから退去・転居を求められたらどうする?
実際に施設から、
「今後ここで生活を続けるのは難しいかもしれません」
と言われたら、ご家族は焦ると思います。
まず、その場で慌てて退去を決める必要はありません。
最初に確認したいのは、「なぜ退去・転居の話になっているのか」です。
本人の行動なのか。
医療対応なのか。
長期入院なのか。
料金の未払いなのか。
施設の入居条件なのか。
理由によって、取れる対応も次に探す施設も変わります。
「退去してください」と言われたら、まず理由・契約・これまでの対応を整理することから始めましょう。
まず契約書の「契約解除」を確認する
最初に確認したいのが、入居契約書や重要事項説明書です。
厚生労働省の「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」では、入居契約書に契約解除の要件と、その場合の対応を明示することが示されています。
さらに施設側からの契約解除条件についても、入居者の権利を不当に狭めるものにならないことが求められています。
だから施設から退去の話が出たら、
「契約書のどの項目に当てはまるのでしょうか?」
と確認して構いません。
参考:厚生労働省|有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
本人の状態が変わった場合も、いきなり退去とは限らない
本人の介護や医療の必要性が大きく変わり、現在の居室や施設での生活が難しくなることもあります。
ここについても、厚生労働省の標準指導指針には重要な考え方が示されています。
一定の要介護状態になったことを理由に、
一般居室から介護居室や提携ホームへ住み替える。
あるいは契約を解除する。
心身の状態が大きく変わり、介護居室を変更する。
こうした契約になっている場合には、その手続きを入居契約書や管理規程に明らかにしておくことが求められています。
さらに、
医師の意見を聴くこと。
本人または身元引受人等の同意を得ること。
一定の観察期間を設けること。
などを含む手続きを明らかにしておくことも示されています。
退去ではなく「転居」と考えた方がいいケースもある
老人ホームから退去の話が出ると、
「追い出された」
という印象を持ってしまうかもしれません。
もちろん、施設側の対応に納得できないケースもあるでしょう。
でも現場では、本人の今の状態に合った施設へ生活の場所を変えるという意味での転居もあります。
たとえば、
| 現在の状況 | 次の施設で確認したいこと |
|---|---|
| 医療ケアが増えた | 看護・医療連携や必要な処置への対応 |
| 認知症の症状への対応が難しい | 認知症ケアの体制や生活環境 |
| 施設外へ出てしまうことが多い | 本人が落ち着いて生活できる環境や見守り体制 |
| 費用負担が難しい | 本人・家族が継続して支払える料金 |
| 現在の施設の入居条件に合わなくなった | 現在の介護度・状態で入居できるか |
重要なのは、
「どこでもいいから空いている施設」
を探すことではありません。
「なぜ今の施設では難しかったのか」を次の施設選びに生かすことです。
次の老人ホームを探すときは「退去理由」を隠さない
転居先を探すとき、ご家族が迷いやすいのが、
「今の施設で起きたことを、次の施設にどこまで話せばいいの?」
という問題です。
特に、
暴力があった。
施設の外へ何度も出た。
性的な言動があった。
医療対応が増えた。
こうした事情があると、
「正直に言ったら断られるのでは?」
と思うかもしれません。
でも、私は大切な情報ほど隠さない方がいいと思っています。
その不安はあると思います。
ただ、入居できたとしても、その施設が本人の状態に対応できなければ、また同じ問題が起こる可能性があります。
それでは本人にも家族にも施設にも負担になります。
次の施設には、
何が起きたのか。
どんなときに起きやすいのか。
これまでどんな対応をしたのか。
どんな対応なら落ち着くことがあったのか。
まで伝えられると、施設側も受け入れを検討しやすくなります。
退去を求められたけど納得できないときは?
施設から退去を求められても、
「どうしても理由に納得できない」
「契約書を見ても退去条件に当てはまるのか分からない」
ということもあると思います。
まずは施設側に説明を求めましょう。
それでも解決しない場合は、施設の外に相談する方法もあります。
有料老人ホームについては、都道府県・指定都市・中核市などが老人福祉法に基づく指導監督を行っています。
また、厚生労働省の有料老人ホームに関する指導資料でも、消費生活センターや国民健康保険団体連合会などとの連携による苦情対応・入居者保護が示されています。
| 相談先 | 相談の例 |
|---|---|
| 施設の管理者・運営会社 | まず退去理由や契約上の根拠を確認する |
| 自治体の有料老人ホーム担当部署 | 施設の運営や契約解除について相談したい |
| 消費生活センター | 入居契約や費用など契約上のトラブル |
| 国民健康保険団体連合会など | 介護保険サービスに関する苦情など |
参考:厚生労働省|有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
老人ホームの苦情や相談先については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→「老人ホームの苦情・相談窓口とは?相談先や解決方法をケアマネがわかりやすく解説」
転居先を探すなら早めに動く
本当に転居が必要になった場合は、できるだけ早めに次の生活場所を探しましょう。
本人の状態によっては、条件に合う施設がすぐに見つからないこともあります。
特に、
医療ケアが多い。
認知症の症状への対応が必要。
費用の上限が低い。
希望する地域が狭い。
こうした条件が重なるほど、施設探しに時間がかかる可能性があります。
ケアマネジャー。
病院の相談員。
老人ホーム紹介サービス。
自治体など。
必要に応じて複数の相談先を使う方法もあります。
その通りです。
退去理由は「次の施設に入りにくくする情報」ではなく、「次の施設を間違えないための情報」でもあります。
老人ホームの探し方についてはこちらの記事も参考にしてください。
→「老人ホーム探しはどこに相談する?無料相談窓口と失敗しない施設の探し方」
老人ホームの退去に関するよくある質問
認知症が進んだという理由だけで、必ず退去になるわけではありません。
まず本人の状態や行動の背景を確認し、ケア方法や環境の調整などを検討します。
それでも現在の施設で本人や周囲の安全を確保することが難しい場合などには、家族と相談しながら転居を検討することがあります。
一度あっただけで全国一律に退去になるというルールではありません。
本人の状態や行動の背景、危険性、繰り返しの有無、施設が行った対応などを確認する必要があります。
ただし、本人や他の入居者、職員の生命・安全に重大な危険がある場合は、緊急の対応が必要になることもあります。
性的な言動・行為があったからといって、すべてのケースで直ちに退去になるわけではありません。
認知症など本人の状態も考慮しながら対応します。
一方で、職員や他の入居者の安全・尊厳を守る必要もあります。
対応を重ねても共同生活を続けることが難しい場合には、転居や契約解除について検討される可能性があります。
全国一律に「○か月入院したら退去」と決まっているわけではありません。
長期入院時の居室確保や契約解除の条件は、施設の入居契約書や重要事項説明書などを確認してください。
入院が長引きそうな場合は、費用とあわせて早めに施設へ確認しましょう。
1回支払いが遅れただけで全国一律に即退去になるわけではありません。
ただし、料金の未払いが続けば契約上の問題になる可能性があります。
払えないことが分かった段階で、できるだけ早く施設へ相談することが大切です。
まず、退去を求める理由と入居契約上の根拠を確認してください。
説明に納得できない場合は、施設の管理者や運営会社へ説明を求めるほか、自治体など外部の相談窓口へ相談する方法もあります。
その場で内容を理解しないまま退去を決める必要はありません。
まとめ|老人ホームの退去は「問題を起こしたら即退去」ではない
この記事は、介護業界18年/介護福祉士/ケアマネジャー/施設ケアマネ経験をもとに、厚生労働省などの公的資料を確認しながら執筆・監修しています。
- 認知症や介護量が増えただけで、すぐ退去になるとは限らない
- 暴力・暴言・セクハラなども、一度あっただけで即退去とは限らない
- 本人へのケアと、他の入居者・職員の安全の両方を考える
- 医療ケアが増えた場合は、現在の施設で対応できるか確認する
- 長期入院の退去条件は全国一律ではなく契約を確認する
- 料金未払いは放置せず早めに施設へ相談する
- 退去を求められたら契約上の根拠と施設が行った対応を確認する
- 転居する場合は「なぜ今の施設では難しかったか」を次の施設へ伝える
老人ホームは、多くの人にとって最後の生活場所になる可能性があります。
だからこそ、施設側も簡単に、
「大変だから出てもらおう」
で済ませる話ではありません。
一方で、本人だけでなく、同じ施設で暮らすほかの入居者や、そこで働く職員にも生活と安全があります。
本人へのケアを続ける。
環境を変える。
医療と相談する。
家族と話し合う。
それでも現在の施設では生活を続けることが難しい。
そんなときに、転居という選択肢が出てきます。
大切なのは「退去になった」という結果だけではなく、「なぜ今の施設では難しかったのか」を知ることです。
その理由は、次の生活場所を選ぶための大切な情報になります。
介護現場で長く働いていると、正直、対応が難しい利用者さんに出会うことはあります。
でも、
「大変な人だから退去」
で終わるほど介護は単純ではありません。
なぜ怒るのか。
なぜ外へ出ようとするのか。
なぜ職員の介助を嫌がるのか。
職員の関わり方を変えたらどうか。
環境を変えたらどうか。
いろいろ試します。
私自身、施設ケアマネとして働いてきて、本当に退去・転居まで進むケースはそれほど多くなかったという感覚があります。
それでも、どうしても今の施設では難しいことはあります。
そんなとき私は、
「退去させられた」で終わらせなくていい
と思っています。
今の施設で難しかった理由が分かれば、
次はその人にもっと合う場所を探せるからです。
もし施設から退去の話をされても、まず理由を聞いてください。
そして、
「この人なら、どんな施設なら暮らしていけますか?」
と聞いてみてください。
退去は生活の終わりではありません。
その人に合った生活場所を探し直すきっかけになることもあります。
監修・執筆:よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として施設探しにも携わる。
介護現場・施設ケアマネ・入居相談の経験をもとに、制度だけでは見えにくい老人ホーム選びや介護の実情を家族目線で分かりやすく発信しています。




