介護保険負担限度額認定制度とは?誰が使える?対象施設・申請方法・老人ホーム費用の注意点【2026年版】
老人ホームや介護施設を探していると、
「少しでも毎月の費用を安くできないだろうか」
と考えるご家族は多いと思います。
私も老人ホームの入居相談員として働いていた頃、
「月5万円くらいで入れる老人ホームはありませんか?」
と相談されたことがあります。
決して多くはありませんでしたが、本当にありました。
そのとき感じたのは、
老人ホームの費用そのものが、家族にはとても分かりにくい
ということです。
家賃。
管理費。
食費。
介護保険の自己負担。
医療費。
おむつ代や日用品費。
施設によっては洗濯代などもかかります。
そこへ、
「介護保険負担限度額認定を使えば安くなるらしい」
という話だけを聞けば、
「じゃあ老人ホームの費用も安くなるの?」
と思うのも無理はありません。
でも、ここには大きな注意点があります。
介護保険負担限度額認定は、すべての老人ホームの費用を安くする制度ではありません。
主な対象となるのは、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院などの介護保険施設です。
介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などでは、原則としてこの制度による食費・居住費の軽減は受けられません。
ここを知らずに、
「認定証を持っているから、この老人ホームも安くなるはず」
と思ってしまうと、入居後の費用計画が大きくズレる可能性があります。
この記事では、介護保険負担限度額認定制度の仕組みだけでなく、施設ケアマネ・老人ホーム入居相談員として働いてきた私の経験から、
「結局、どんな人が、どんな施設で使える制度なのか」
をできるだけ分かりやすく解説します。
- 介護保険負担限度額認定制度とは何か
- 食費・居住費がどのくらい軽減されるのか
- 所得・預貯金などの主な対象条件
- 負担限度額認定を使える施設・使えない施設
- 有料老人ホームでは原則使えない理由
- 老人ホームの費用を抑えるときに考えたい別の方法
- 施設ケアマネ・入居相談員として実際に感じた家族の費用相談
- 【結論】負担限度額認定は「老人ホーム代そのもの」を安くする制度ではない
- 負担限度額認定の対象になる人には所得と資産の条件がある
- どの施設でも使えるわけではない|ここが一番間違えやすい
- 「もっと安くならないの?」と聞かれたことは何度もある
- 「月5万円で老人ホームに入りたい」実際にあった相談
- 予算がどうしても足りないときは、生活保護を含めて考えたこともある
- 「特養なら安い」は間違いではない。でも必ず安いとは限らない
- 安い老人ホームを探すなら「場所」を変えるだけで選択肢が増えることもある
- 「23区・要介護5・3割負担・全部込み25万円」施設探しで苦労した実例
- 負担限度額認定を知らない家族は、入居相談員時代にも多かった
- 「安い施設を探してください」だけでは、本当に必要な施設は見つけにくい
- 介護保険負担限度額認定は自動ではない|市区町村への申請が必要
- 申請には預貯金の確認もある|「年金が少ない」だけでは決まらない
- 負担限度額認定証が届いたら、対象施設へ確認しよう
- 一度認定されたらずっと使えるわけではない|有効期限にも注意
- 介護施設の費用は「制度ひとつ」で解決しないことも多い
- 「特養なら安い」「認定証があれば安い」だけで施設を決めないでほしい
- 介護保険負担限度額認定制度でよくある質問
- まとめ|負担限度額認定は「誰が・どの施設で使えるか」を知ることが大切
【結論】負担限度額認定は「老人ホーム代そのもの」を安くする制度ではない
最初に結論を整理します。
介護保険負担限度額認定制度は、所得や資産が一定以下の人について、対象となる介護保険施設などを利用したときの「食費」と「居住費(滞在費)」の負担を軽減する仕組みです。
介護施設へ入所すると、介護保険サービスの自己負担とは別に、
- 食費
- 居住費
が必要になります。
これらは原則として本人負担ですが、低所得の方については負担が重くなりすぎないよう、所得などに応じた「負担限度額」が設けられています。
基準となる費用と本人の負担限度額との差額が、介護保険から「特定入所者介護(予防)サービス費」として給付される仕組みです。
参考:厚生労働省|介護保険制度における預貯金等の把握等に係る検討の場
老人ホーム全体でどのようなお金が必要になるのか分からない方は、先にこちらの記事を読んでおくと理解しやすくなります。
負担限度額認定の対象になる人には所得と資産の条件がある
介護保険負担限度額認定は、希望すれば誰でも利用できる制度ではありません。
大きく関係するのが、
- 世帯の住民税課税状況
- 本人の所得・年金収入など
- 本人・配偶者の預貯金などの資産
です。
基本的には、市町村民税非課税世帯の人などを対象として、所得等によって第1段階、第2段階、第3段階①、第3段階②などに分けられます。
さらに、預貯金や有価証券などについても一定の要件があります。
ここで注意してほしいのが、
「年金が少ないから対象になる」だけでは判断できない
ということです。
本人の所得だけではなく、世帯の課税状況や配偶者、預貯金なども関係します。
厚生労働省の申請書でも、預貯金や有価証券などを申告し、通帳等の写しを添付する仕組みになっています。
どの施設でも使えるわけではない|ここが一番間違えやすい
ここはこの記事で特に覚えてほしいところです。
負担限度額認定は「高齢者が住む施設なら全部対象」という制度ではありません。
主な対象を整理すると、次のようになります。
| 施設・サービス | 負担限度額認定 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 対象 |
| 介護老人保健施設(老健) | 対象 |
| 介護医療院 | 対象 |
| ショートステイ | 対象となるサービスあり |
| 介護付き有料老人ホーム | 原則対象外 |
| 住宅型有料老人ホーム | 原則対象外 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 原則対象外 |
| グループホーム | 原則対象外 |
私が介護付き有料老人ホームで施設ケアマネをしていた頃も、行政から届いた書類を、
「施設に必要な書類だから全部持ってきました」
と持参するご家族は珍しくありませんでした。
その中に介護保険負担限度額認定証が入っていることもありました。
ただ、私が働いていた介護付き有料老人ホームでは、この認定証を使って食費や居住費が安くなるわけではありません。
そのため、
「こちらでは使いませんよ」
と説明することになります。
それでもご家族としては、
行政から届いた介護保険の書類=老人ホームへ渡すもの
と思いますよね。
これは仕方ないと思います。
制度を仕事で扱っていなければ、特養と介護付き有料老人ホームで使える制度が違うなんて、分からなくて当然です。
特養と有料老人ホームでは、費用の仕組みそのものにも違いがあります。
「もっと安くならないの?」と聞かれたことは何度もある
施設ケアマネとして働いていた頃、ご家族から、
「もう少し安くならないんですか?」
と相談されることは何度もありました。
気持ちはよく分かります。
老人ホームは毎月支払いが続きます。
数千円でも安くなれば、1年間では数万円の違いになります。
そこで私は施設の料金表を見ながら、
「これは家賃です」
「これは管理費です」
「これは食費です」
「ここは介護保険の自己負担です」
と、一つずつ説明することがありました。
でも、介護付き有料老人ホームの場合、
負担限度額認定を使って食費や居住費を下げる、という方法は基本的に使えません。
私が勤務していた施設で家族が実際に減らせそうだった費用の一つが、洗濯代でした。
施設へ洗濯を頼まず、
家族が面会時に衣類を持ち帰って自宅で洗濯する。
それなら、私が勤務していた施設では月5,000円程度を減らせました。
ただ、それくらいです。
「もっと安くならない?」
と聞かれて、
料金表を一つずつ確認して、
「削れるとしたら……洗濯をご家族でやってもらうくらいですね」
となる。
そんなこともありました。
「月5万円で老人ホームに入りたい」実際にあった相談
老人ホーム入居相談員として働いていた頃、費用についての相談は本当にたくさん受けました。
その中には、
「月5万円くらいで入れる老人ホームはありませんか?」
という相談もありました。
月5万円。
年間にすると60万円です。
そこから、
家賃。
食費。
管理費。
介護保険の自己負担。
医療費。
日用品費。
その他の費用。
これらをすべて支払うことを考えると、選べる施設はかなり限られてきます。
でも、相談を受ける側として、
「そんな金額では無理ですよ」
の一言で終わらせるわけにもいきません。
なぜその予算なのか。
本人はいくら年金を受け取っているのか。
預貯金はいくらあるのか。
介護度はいくつなのか。
医療的な対応は必要なのか。
家族からの援助は可能なのか。
希望する地域はどこなのか。
そうした条件を一つずつ整理して、
「この条件なら、どこまで可能性があるだろう」
と考えていました。
老人ホームの予算が足りず困っている方は、こちらの記事も参考にしてください。
予算がどうしても足りないときは、生活保護を含めて考えたこともある
老人ホームを探している人の中には、
年金や預貯金だけでは、どう考えても希望する施設の費用に届かない
という人もいました。
だから私は入居相談員時代、状況によっては、
「生活保護について行政へ相談してみる方法もあります」
と提案することもありました。
もちろん、
老人ホームへ入るために生活保護を申請すれば、必ず受給できる
という話ではありません。
生活保護は、世帯の収入・資産・生活状況などを踏まえて、福祉事務所が個別に判断する制度です。
ただ、
「お金がないから老人ホームには入れない」
で終わらせるのではなく、
使える可能性のある制度や相談先まで含めて考える。
入居相談員としては、そこまで考えることがありました。
「特養なら安い」は間違いではない。でも必ず安いとは限らない
老人ホームの費用について相談を受けていると、
「特養=安い」
というイメージを持っている方は多くいました。
これは、完全な間違いではありません。
特養は介護保険施設であり、今回紹介している介護保険負担限度額認定の対象になります。
所得・資産などの要件を満たして認定を受ければ、食費や居住費について負担限度額が適用されます。
一方で、有料老人ホームの家賃や管理費などは施設ごとに設定されています。
そのため、条件によっては特養の方が負担を抑えやすいケースがあります。
ただし、
「特養なら、どんな人でも有料老人ホームより安い」と決めつけるのはおすすめしません。
特養にも、
- 多床室
- 従来型個室
- ユニット型個室
などがあり、居室によって居住費が異なります。
また、所得区分によって負担限度額認定の適用状況も変わります。
実際、私は入居相談員として施設を比較していたとき、
「この条件なら、ユニット型特養よりこちらの有料老人ホームの方が安いな」
というケースも見てきました。
厚生労働省の基準でも、特養では食費・居住費が定められており、補足給付の対象者には負担限度額が適用される仕組みになっています。
参考:厚生労働省|指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
特養と有料老人ホームの違いを詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。
安い老人ホームを探すなら「場所」を変えるだけで選択肢が増えることもある
入居相談員をしていた頃、
「とにかく費用を抑えたい」
という相談者には、希望地域を広げられないか確認することもありました。
東京23区。
駅から近い。
個室。
新しい施設。
医療対応も充実。
そして安い。
もちろん、全部かなえば理想です。
でも条件が増えれば増えるほど、施設探しは難しくなります。
特に予算が厳しい場合、
「希望エリアを少し広げられませんか?」
という話はよくしていました。
私が入居相談員をしていた頃には、
地方まで探せば、民家を改築したような比較的低価格の高齢者向け住宅なども提案できる場合があります
と説明することもありました。
ただし、安ければどこでもいいわけではありません。
家族が面会へ行けるのか。
必要な医療を受けられるのか。
介護体制は本人に合っているのか。
本人がその地域で暮らしていけるのか。
費用だけではなく、そこまで考える必要があります。
「23区・要介護5・3割負担・全部込み25万円」施設探しで苦労した実例
今でも覚えている相談があります。
希望エリアは東京23区。
本人は要介護5。
さらに、介護保険の自己負担割合は3割。
医療費についても自己負担が大きい方でした。
そして家族の希望予算が、
「全部込みで月25万円くらい」
でした。
正直に言えば、
かなり厳しい条件でした。
老人ホームの広告などに表示される「月額利用料」だけなら、25万円以内の施設はあります。
でも実際に必要になるお金は、それだけではありません。
| 費用 | 確認したいこと |
|---|---|
| 家賃・管理費 | 施設の基本的な月額費用 |
| 食費 | 1日3食を利用した場合の金額 |
| 介護保険自己負担 | 介護度・負担割合などで変わる |
| 医療費 | 受診・薬・訪問診療などで変わる |
| その他 | 日用品・理美容・オムツ・有料サービスなど施設ごとに異なる |
特に要介護5で3割負担となると、
介護保険の自己負担だけでも、1割負担の人とは大きく条件が変わります。
私は、
「1割負担なら選択肢はかなり増えるんですが、この条件だと25万円以内はかなり厳しいです」
と説明しました。
それでも、
「ありません」
で終わらせたくはありません。
施設を探し、
条件を確認し、
医療対応も確認し、
予算も計算する。
最終的には、
全部込みで30万円程度を想定した施設を提案しました。
希望予算より約5万円上です。
それでも、条件や費用を説明したうえで、その施設への入居につながりました。
老人ホームの費用を比較するときは、月額利用料だけではなく総額を見ることが大切です。
負担限度額認定を知らない家族は、入居相談員時代にも多かった
老人ホーム入居相談員として家族から相談を受けていると、
介護保険負担限度額認定そのものを知らない方も珍しくありませんでした。
これは当然だと思います。
老人ホームを探し始めた家族が最初に調べるのは、
「どんな老人ホームがある?」
「いくらかかる?」
「近くに空いている施設はある?」
「認知症でも入れる?」
といったことです。
いきなり、
「特定入所者介護サービス費について調べよう」
とは、普通なりません(笑)。
だから相談の中で、
「特養などではこういう制度があります」
「所得や資産などの条件があります」
「有料老人ホームでは原則使えません」
と説明すると、
「そんな制度があるんですね」
と初めて知る家族も多くいました。
「安い施設を探してください」だけでは、本当に必要な施設は見つけにくい
費用はもちろん大切です。
払えない老人ホームへ入ることはできません。
でも入居相談員として施設を探していて感じたのは、
安さだけで老人ホームを決めるのも危ない
ということでした。
たとえば月額費用が安くても、
本人に必要な医療対応ができない。
認知症の症状に対応できない。
家族が通えないほど遠い。
追加料金を足したら思ったほど安くない。
こうしたことがあります。
反対に、
月額表示は少し高い。
でも必要なサービスが料金に含まれている。
追加費用が少ない。
家族が通いやすい。
本人に必要な介護・医療に対応できる。
結果として、
少し高い施設の方が安心して長く暮らせる
こともあります。
介護保険負担限度額認定は自動ではない|市区町村への申請が必要
介護保険負担限度額認定は、所得や預貯金などの条件を満たしていれば自動的に適用される制度ではありません。
本人や家族などが、市区町村へ申請する必要があります。
厚生労働省の介護保険法施行規則でも、認定を受けるには申請書を市町村へ提出する仕組みになっています。
そのため、
「条件には当てはまっていたのに、申請していなかった」
という状態は避けたいところです。
特養や老健、介護医療院などへの入所が決まったときは、
「負担限度額認定の対象になりませんか?」
と市区町村や施設へ確認してみてください。
申請する場所
基本的な申請先は、本人の介護保険を担当している市区町村です。
自治体によって担当課の名称は異なりますが、
- 介護保険課
- 高齢者福祉課
- 介護保険担当窓口
などが窓口になります。
すでに施設へ入所している場合でも、
「施設がある市区町村」ではなく、本人の介護保険を担当している保険者へ確認する
のが基本です。
申請には預貯金の確認もある|「年金が少ない」だけでは決まらない
負担限度額認定では、所得だけではなく預貯金などの資産も確認されます。
厚生労働省の申請様式では、
- 預貯金
- 有価証券
- その他の資産や負債
- 配偶者に関する情報
などを申告する欄があります。
預貯金については、通帳等の写しを添付する仕組みです。
また、世帯分離している配偶者や内縁関係の配偶者も、制度上の確認対象に含まれる場合があります。
参考:厚生労働省|介護保険負担限度額認定申請書
負担限度額認定証が届いたら、対象施設へ確認しよう
申請が認められると、介護保険負担限度額認定証が交付されます。
認定証には、本人の負担段階や食費・居住費に関する負担限度額などが記載されます。
対象となる施設では、この認定内容をもとに食費・居住費の負担が計算されます。
そのため、認定証が届いたら、
「施設へ提出する必要がありますか?」
と確認してください。
ただし、先ほども紹介したように、
認定証を持っているからといって、どの老人ホームでも使えるわけではありません。
私が勤務していた介護付き有料老人ホームでも、家族が負担限度額認定証を持参することはありました。
でも、その施設では負担限度額認定による食費・居住費の軽減には使いませんでした。
だから私は、
書類の名前ではなく「今いる施設で何に使えるのか」を確認してほしい
と思っています。
一度認定されたらずっと使えるわけではない|有効期限にも注意
負担限度額認定証には有効期限があります。
厚生労働省の運用では、認定証の有効期限が定められており、継続して軽減を受ける場合には更新の確認が必要になります。
つまり、
「去年認定されたから今年も自動的に大丈夫」
とは限りません。
自治体から更新案内が届いたら、内容を確認して必要な手続きをしてください。
参考:厚生労働省|高額介護サービス費等の支給並びに食費及び居住費等の負担限度額認定等の運用について
介護施設の費用は「制度ひとつ」で解決しないことも多い
負担限度額認定は、条件に当てはまる人にとって大切な制度です。
でも、施設費用に困ったとき、
「この制度さえ使えば何とかなる」
とは限りません。
特に有料老人ホームでは、負担限度額認定が原則使えないため、
家賃。
管理費。
食費。
介護保険の自己負担。
医療費。
施設独自の有料サービス。
こうした費用を含めて考える必要があります。
私は施設ケアマネとして、
「もっと安くなりませんか?」
という相談を何度も受けました。
料金一覧を一つずつ確認して、
私が勤務していた施設では、
「洗濯を家族が持ち帰れば、月5,000円程度は減らせます」
というくらいしか削れる部分がなかったこともあります。
一方、入居相談員としては、
月5万円程度で老人ホームへ入りたい
という相談も受けました。
予算が足りなければ、
生活保護を含めて行政へ相談する。
地域を広げる。
施設の種類を変える。
本人の条件に合う低価格帯の住まいを探す。
といった方法まで考える必要がありました。
「使える制度を探す」と「予算内で暮らし続けられる施設を探す」は、別々に考えた方がいい。
これは施設ケアマネと入居相談員、両方を経験して感じていることです。
老人ホームの費用そのものが払えず困っている方はこちらも参考にしてください。
老人ホームの費用が払えないときは?利用できる制度と対処法を解説
「特養なら安い」「認定証があれば安い」だけで施設を決めないでほしい
老人ホーム探しでは、
「安い施設を探したい」
という希望は当然あります。
私も入居相談員として、予算内の施設を探すことは何度もありました。
でも、費用だけで施設を決めると、
本人に必要な介護が受けられない。
必要な医療対応が難しい。
家族が通えない。
思わぬ追加費用がかかる。
といった問題が出ることがあります。
また、
「特養なら絶対に安い」
とも限りません。
所得区分や居室タイプなどによって実際の支払額は変わります。
私自身、施設を比較していて、
条件によってはユニット型特養より民間施設の方が安くなるケース
も見てきました。
介護保険負担限度額認定制度でよくある質問
いいえ。
所得や住民税の課税状況、預貯金等の資産などの条件があります。
年金が少ないという理由だけで対象になるとは限りません。
対象になるか分からない場合は、市区町村の介護保険担当窓口へ確認してください。
いいえ。
主に対象となる介護保険施設等の食費・居住費の負担を軽減する制度です。
介護保険サービスの自己負担や医療費、有料老人ホームの家賃・管理費などがすべて安くなる制度ではありません。
原則として、介護付き有料老人ホームの食費・居住費に負担限度額認定を使うことはできません。
主な対象は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院などです。
認定証を持っている=すべての老人ホームで使える
ではないので注意してください。
預貯金等の資産確認があるため、申請時には通帳等の写しを求められます。
保有している預貯金等について申告する必要があるため、必要書類は申請前に市区町村へ確認してください。
認定証には有効期限があります。
継続して制度を利用する場合には、更新手続きが必要になることがあります。
自治体から届く更新案内や認定証の有効期限を確認してください。
負担限度額認定以外にも、
施設の種類や地域を見直す。
本人の収入・資産に合う施設を探す。
生活保護など利用できる公的制度について行政へ相談する。
といった方法があります。
「今の予算では無理」と分かった時点で終わりではありません。
ケアマネ、市区町村、老人ホーム紹介サービスなどへ相談しながら、条件を整理してみてください。
まとめ|負担限度額認定は「誰が・どの施設で使えるか」を知ることが大切
- 介護保険負担限度額認定は、対象となる介護保険施設等の食費・居住費を軽減する制度
- 介護保険サービスの1割・2割・3割負担そのものを安くする制度ではない
- 所得だけでなく、住民税の課税状況や預貯金等の要件もある
- 特養・老健・介護医療院などが主な対象
- 介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などは原則対象外
- 制度は自動適用ではなく、市区町村への申請が必要
- 認定証には有効期限があるため、継続利用する場合は更新も確認する
- 施設費用は制度だけでなく、介護保険負担・医療費・追加料金まで含めた総額で考える
介護保険負担限度額認定制度は、
対象になる人にとっては、施設生活を続けるための大切な負担軽減制度です。
でも、
「認定証を持っているから、どこの老人ホームでも安くなる」
「年金が少ないから必ず対象になる」
「特養なら必ず一番安い」
と覚えてしまうと、実際の費用と大きくズレることがあります。
老人ホーム入居相談員として施設を探していたとき、私は何度も、
希望予算と現実の施設費用の差
を見てきました。
東京23区。
要介護5。
介護・医療ともに自己負担が大きい。
全部込みで月25万円以内。
そんな条件で施設を探したときは、本当に苦労しました。
最終的には月30万円程度を見込む施設を提案し、実際の入居につながりました。
希望額より高い施設をすすめたかったわけではありません。
その条件で安心して生活できる場所を探していった結果です。
だからこそ、
老人ホームは「安くなる制度があるか」だけではなく、「その人が最後まで払い続けられる総額はいくらか」まで考えて探してほしい。
私はそう思っています。
老人ホームの入居相談をしていた頃、
「月5万円くらいで入りたい」
と言われたこともありました。
一方で、
「25万円あれば十分探せるでしょ?」
と思っている家族でも、
介護度や負担割合、医療費まで足すと一気に厳しくなることがあります。
初めて施設を探す家族が、
そんなことまで全部知っているわけありません。
私だって、この仕事をしていなければ分からなかったと思います。
だから、
知らないことを恥ずかしいと思う必要はありません。
むしろ、
「うちの親はいくらまで払える?」
「この認定証は使える?」
「毎月、結局いくらになる?」
と遠慮せず聞いてください。
制度を使えるなら使う。
使えないなら別の施設を探す。
地域を広げる。
必要なら行政へ相談する。
一つダメだったら、次を考えればいい。
入居相談員をしていた私は、
老人ホーム探しって結局その繰り返しだったなと思っています。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の予算や介護・医療状況を踏まえた施設探しや入居相談にも携わる。介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。


