老人ホームではどんな事故が起こる?転倒だけじゃない介護施設の事故と家族が知っておきたいこと
親を老人ホームに入居させるとき、
「転んで骨折したらどうしよう」
と心配する家族は多いと思います。
もちろん、転倒・転落は老人ホームで注意しなければならない事故の一つです。
しかし、介護施設で起こり得る事故は転倒だけではありません。
薬の間違い、食事中の誤嚥や窒息、介助中のケガ、入浴中の体調急変、施設の外へ出てしまう離設など、さまざまな事故が起こる可能性があります。
私は介護職として10年以上現場で働き、施設ケアマネジャーとしても約5年間勤務してきました。
その中で、転倒・転落はもちろん、誤薬や未薬、介助中の皮膚剥離、離設、入浴中の意識喪失、誤嚥・窒息など、さまざまな事故やヒヤリとする場面を経験してきました。
中には、今でも忘れられない重大な事故もあります。
ただ、最初に家族へ伝えておきたいことがあります。
「事故が起きたことがある施設=悪い施設」と単純に判断しないでください。
高齢者の生活を支える以上、事故の可能性を完全にゼロにすることは簡単ではありません。
大切なのは、
「どんな事故が起こり得るのか」だけではなく、「事故を防ぐために何をしているか」「起きたあとに施設がどう対応するか」を見ることです。
この記事では、私が実際に経験した事例も交えながら、老人ホームで起こり得る事故と、家族が施設選びで確認してほしいポイントを解説します。
- 老人ホームで起こり得る事故の種類
- 転倒以外に注意したい事故
- 実際に介護現場で起きた事故
- 事故が起きたとき施設はどう対応するのか
- 事故がある施設は悪い施設なのか
- 家族が施設見学で確認したいポイント
老人ホームの事故は転倒だけではない
老人ホームの事故と聞くと、まず転倒やベッドからの転落を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実際の介護現場ではそれ以外にもさまざまな事故が起こります。
私自身が介護現場で経験してきたものだけでも、次のようなケースがありました。
- 転倒・転落
- 誤薬・未薬・落薬
- 介助中の皮膚剥離
- 移乗介助中の尻もち
- 施設の外へ出てしまう離設
- 入浴中の事故や体調急変
- のぼせなどによる意識喪失
- 食事中などの誤嚥・窒息
- 排泄介助に伴う皮膚トラブル
こうして並べてみると、
「老人ホームの事故=転倒」
ではないことが分かると思います。
しかも、同じ「転倒」でも状況はさまざまです。
ベッドから立ち上がろうとして転ぶ人もいれば、トイレへ行こうとして転ぶ人もいます。
職員がそばにいる介助中にバランスを崩すこともあれば、職員が見ていない時間に居室で転倒することもあります。
薬に関する事故も同じです。
別の利用者さんの薬を飲ませてしまう誤薬だけではなく、飲むはずの薬が飲めていなかったり、薬を落としてしまったりすることもあります。
食事では、食べ物や飲み物がうまく飲み込めず、誤嚥や窒息につながる危険があります。
入浴では、転倒だけでなく体調が急変する可能性もあります。
そして認知症のある人などでは、職員が想定していなかった方法で施設の外へ出てしまうこともあります。
事故とヒヤリハットは施設全体で振り返ることが大切
老人ホームでは、実際に起きてしまった事故だけを考えればいいわけではありません。
「転びそうになったけれど、職員が支えて転倒しなかった」
「薬を間違えそうになったけれど、飲ませる前に気づいた」
このように、事故には至らなかったものの、一歩間違えば事故になっていた出来事があります。
一般的に「ヒヤリハット」と呼ばれるものです。
こうした出来事も、
「何も起きなかったから良かった」
で終わらせるのではなく、次の事故を防ぐための材料になります。
厚生労働省の介護現場におけるリスクマネジメントでも、介護保険施設等における事故予防や事故発生時の対応についてガイドラインが示されています。
また、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準では、事故が起きた場合だけでなく、事故に至る危険性がある事態についても報告し、分析を通じた改善策を職員へ周知する体制を整えることが求められています。
さらに、事故防止のための指針を整備し、委員会や職員研修を定期的に行い、安全対策を担当する職員を置くことも定められています。
つまり、施設に求められているのは、
「事故を起こさないように気をつけます」だけではありません。
起きた事故やヒヤリとした出来事を施設内で共有し、
「なぜ起きたのか」
「同じことを繰り返さないために何を変えるのか」
まで考える仕組みが必要なのです。
「事故がある施設=悪い施設」とは限らない
ここは、老人ホームを探している家族に特に知っておいてほしいところです。
もし見学した施設から、
「これまで転倒事故がありました」
と聞いたら、不安になると思います。
逆に、
「うちでは事故なんてありません」
と言われたら、安心するかもしれません。
でも私は、事故が起きたことがあるという事実だけで、その施設を悪い施設だとは判断しません。
なぜなら、高齢者の生活にはさまざまなリスクがあるからです。
歩く力が低下していても、自分でトイレへ行きたい人がいます。
認知症があっても、自分の意思で動く人がいます。
食べる力が低下していても、できる限り自分の口から食べたい人もいます。
職員が24時間、すべての利用者さんのすべての動きを一瞬も目を離さず見続けることは現実的ではありません。
だからといって、事故を仕方がないものとして放置していいわけでもありません。
事故の可能性があることと、事故防止に取り組まなくていいことはまったく別です。
国の基準でも、施設には事故防止の指針、報告・分析の仕組み、改善策の周知、委員会、研修、安全対策を担当する職員などの体制が求められています。
さらに事故が発生した場合には、家族や市町村などへの連絡、必要な措置、事故の状況や対応の記録も必要です。
だから家族が見るべきなのは、単純な事故件数だけではありません。
「事故が起きたとき、この施設はどう動くのか」
ここまで確認することが大切です。
私が忘れられない食事介助後の重大事故
介護の仕事を長くしていると、さまざまな事故やヒヤリハットを経験します。
その中でも、私が今でも忘れられない出来事があります。
介護現場で食事介助をしていたときのことです。
食事介助後、利用者さんの容体が急変しました。
看護師が吸引などの対応を行いましたが意識は戻らず、救急搬送となりました。
その後、利用者さんは亡くなりました。
私は医師ではありませんし、当時の医学的な原因をここで断定することはできません。
ただ、食事介助後の確認が十分ではなかった中で容体が急変し、結果として亡くなられたことは、今でも強く記憶に残っています。
そして、事故は救急車で搬送して終わりではありません。
ご家族から、
「最後に食事を介助したのは誰なんですか」
という話になりました。
最後に食事介助をしていたのは私でした。
さらに私がケアマネでもあったことから、ご家族から厳しい言葉を受けることになり、最終的には会社の上層部もご家族への謝罪対応を行いました。
私自身が処分を受けることはありませんでしたが、だからといって「問題なかった」で終わるような出来事ではありません。
利用者さんが亡くなり、ご家族にとっては大切な家族を失った出来事です。
介護する側にとっても、簡単に忘れられるものではありません。
重大な事故では家族への連絡や記録も必要になる
事故が起きたときに施設が行うのは、利用者本人への対応だけではありません。
厚生労働省の指定介護老人福祉施設の運営基準では、サービス提供によって事故が発生した場合、速やかに市町村や入所者の家族等へ連絡するとともに、必要な措置を講じることが定められています。
さらに、事故の状況と、その事故に際して施設がどのような対応をしたのかについて記録することも求められています。
実際の現場では、事故の内容や利用者さんの状態によって対応は変わります。
私が勤務していた施設では、まず施設長などへ報告し、指示を仰ぐのが基本でした。
ケガがあったり、バイタルサインに異常があったりすれば、看護職とも連携し、必要に応じて医療機関へ連絡する。
緊急性が高ければ救急搬送につながることもあります。
そして家族への連絡も必要になります。
明け方、施設の駐車場に救急車が止まっていた
もう一つ、まったく違う意味で忘れられない事故があります。
ある施設で、私が初めて夜勤に入った日のことです。
その日は、その施設をよく知る職員と一緒に夜勤をしていました。
明け方4時ごろだったと思います。
ふと見ると、施設の駐車場に救急車が止まっていました。
救急車を呼んだ覚えはありません。
一緒にいた職員と、
「何事だ?」
となりました。
確認してみると、救急車に乗っていたのは、なんとうちの施設の利用者さんでした。
救急隊から話を聞くと、道端に人がいるという通報を受けて来たとのことでした。
第三者が通報してくれたものと思われます。
本人に話を聞いてみると、自分の居室の窓から外へ出たということでした。
施設内にいると思っていた利用者さんが、いつの間にか外へ出ていた。
しかも、それを職員ではなく救急隊から知らされたわけです。
これは本当に焦りました。
幸い、その利用者さんはちょっとした擦り傷程度で済みました。
施設として見守りや巡視について振り返ることにはなりましたが、大きな事故につながらなかったのは本当に幸いだったと思います。
利用者の行動をすべて予測するのは難しい
この経験から私が強く感じたのは、人が次に何をするのかを100%予測することは難しいということです。
特に認知症のある人の場合、職員が想定していなかった行動をすることがあります。
だからといって、
「予測できなかったんだから仕方ない」
で終わらせていいわけではありません。
なぜ外へ出られたのか。
見守りや巡視はどうだったのか。
設備面で改善できることはないのか。
同じことを繰り返さないために何ができるのか。
事故やヒヤリハットが起きたあとには、こうした振り返りが必要です。
厚生労働省の指定介護老人福祉施設の運営基準に関する解釈通知でも、事故やヒヤリハットについて状況や背景を記録し、施設全体で情報を共有して再発防止につなげることが示されています。
そして、ここには家族にも知っておいてほしい大事な点があります。
事故報告は、本来「誰が悪かったのか」を決めて職員を罰するためだけに行うものではありません。
厚生労働省の解釈通知でも、事故等の報告や改善策を定める目的について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、従業者の懲罰を目的としたものではないことが示されています。
事故が起きたら施設は何をする?
家族にとって気になるのは、
「もし親に事故が起きたら、施設はちゃんと対応してくれるの?」
ということだと思います。
施設の種類や事故の内容によって細かな対応は異なりますが、事故が起きたときには大きく次のような対応が考えられます。
- 本人の状態やケガの確認
- 看護職や施設責任者などへの報告
- 必要に応じた医療機関への連絡・受診
- 緊急性が高い場合の救急搬送
- 家族への連絡と状況説明
- 事故の状況や対応内容の記録
- 原因や背景の振り返り
- 再発防止策の検討と職員への共有
ただし、すべての事故でまったく同じ対応になるわけではありません。
転倒してもケガがない場合と、骨折して救急搬送になった場合では当然対応は違います。
誤薬、離設、誤嚥などでも、その後の本人の状態によって必要な対応は変わります。
また、すべての施設内事故が同じ基準で行政への事故報告になるわけでもありません。
国は介護保険施設等の標準的な事故報告について、死亡に至った事故や、医師の診断を受けて投薬・処置など何らかの治療が必要となった事故などを原則として報告対象とする考え方を示しています。
自治体によって具体的な報告基準や方法が定められている場合もあるため、施設は所在地のルールも踏まえて対応します。
大切なのは、
事故が起きた事実を隠さず、必要な対応を行い、その後の再発防止までつなげているか
ということです。
家族への事故報告は「何が起きたか」だけでは足りない
もし自分の親が老人ホームで転倒したと連絡を受けたら、
「なんで転んだんですか?」
と聞きたくなるのは当然です。
重大な事故なら、なおさらです。
私自身、食事介助後に利用者さんの容体が急変した経験で、ご家族から厳しい言葉を受けました。
家族の立場からすれば、
「そのとき何があったのか」
「誰がそばにいたのか」
「施設は何をしていたのか」
「もっと防げなかったのか」
と知りたいと思うのは当然でしょう。
だから施設側も、事故が起きたという結果だけではなく、分かっている事実と分からないことを分けながら、その後どのような対応をしたのかを説明することが大切だと私は思います。
原因がまだ分からない段階で、推測を事実のように説明するのも違います。
一方で、
「高齢者だから仕方ありません」
だけで済ませてしまうのも、家族からすれば納得しにくいでしょう。
事故が起きたこと自体は変えられません。
だからこそ、その後に施設がどう向き合ったのか。
ここが、家族にとって施設を判断する大きな材料になります。
事故件数が多い老人ホームは危険なのか?
ここまで読むと、
「じゃあ、事故が多い施設は避けたほうがいいの?」
と思うかもしれません。
私は、事故件数だけを見て老人ホームの良し悪しを判断するのはおすすめしません。
もちろん、同じような事故が何度も起きているのに何も対策していない施設なら問題です。
でも、高齢者が生活している以上、どれだけ職員が注意していても事故が起こる可能性はあります。
歩行が不安定でも、自分でトイレへ行こうとする人がいます。
認知症があって、職員が予想していなかった行動をする人もいます。
食べる力が低下していても、自分の口から食べることを大切にしている人もいます。
事故を防ぐために何でも禁止してしまえば、安全性だけは高められるかもしれません。
しかし、それでは本人らしい生活や自立まで奪ってしまうことがあります。
介護施設では、
「安全を守ること」と「本人らしく生活してもらうこと」の両方を考えながら支援する必要があります。
だから私は、
「事故が3件ある施設より、1件しかない施設のほうが良い」
というような数字だけの比較はしません。
むしろ知りたいのは、
「その事故が起きたあと、施設は何をしたのか」
です。
事故ゼロより「事故を隠さない施設」を見てほしい
老人ホームを見学したときに、
「こちらでは事故はありますか?」
と質問すること自体は悪くありません。
でも、私ならもう一歩踏み込んで聞きます。
なぜなら、「事故がありますか?」だけでは、その施設の安全に対する考え方までは分からないからです。
厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針でも、事故が起きた場合や事故につながる危険性がある出来事について報告し、分析したうえで改善策を職員へ周知する体制を整えることが示されています。
事故防止の指針を整備することや、事故防止のための委員会・職員研修を定期的に行うこと、担当者を置くことなども示されています。
つまり、安全に取り組んでいる施設とは、
「うちは事故がありません」と言える施設ではなく、起きた事故やヒヤリハットから学べる施設
だと私は思います。
事故が起きた。
報告する。
原因や背景を振り返る。
対策を考える。
職員間で共有する。
そして、その対策で本当に良かったのかをまた振り返る。
こうした積み重ねが事故防止につながっていきます。
厚生労働省の標準的な事故報告様式でも、事故が起きた状況や施設の対応だけでなく、本人・職員・環境などの要因を含めた原因分析や再発防止策を記載する構成になっています。
老人ホーム見学で事故について聞いてみよう
これから老人ホームを探す家族なら、見学のときに事故について質問しても構いません。
ただ、
「事故は何件ありますか?」
だけで終わらせるのは、少しもったいないと思います。
私なら、次のようなことを聞いてみます。
- 事故が起きた場合、家族にはどのように連絡されますか?
- 夜間に転倒などが起きた場合は、どのように対応しますか?
- 事故後の原因分析や再発防止はどのように行っていますか?
- 事故やヒヤリハットは職員間でどのように共有していますか?
- 事故防止の委員会や職員研修はどのように行っていますか?
全部を一度に質問する必要はありません。
例えば、
「もし母が夜中に転んだ場合、家族にはどんな流れで連絡が来ますか?」
これだけでもいいんです。
具体的な場面で聞くと、その施設が普段どのように対応しているのかを説明してもらいやすくなります。
そのとき、事故があること自体を必要以上に隠そうとするのか。
それとも、
「転倒はあります。そのため、こういう対策をしています」
と具体的に説明してくれるのか。
私は、こうした受け答えも施設を見る材料になると思います。
老人ホーム見学で事故以外に確認したいポイントについては、こちらの記事でも詳しくまとめています。
老人ホーム見学チェックリスト|家族が確認したいポイントを経験者が解説
事故の説明に納得できないときはどうする?
実際に親が老人ホームへ入居したあと、事故の連絡を受けることもあるでしょう。
そんなとき、家族が確認したいのは主に次の4つです。
- 何が起きたのか
- 本人は現在どのような状態なのか
- 事故後にどのような対応をしたのか
- 今後どのような再発防止を考えているのか
事故直後は、施設側でも原因がまだ分からない場合があります。
そのため、その場ですべての答えが出ないこと自体をもって、すぐに「隠している」と判断する必要はありません。
一方で、時間が経っても説明が曖昧だったり、話が変わったり、重大な事故なのに今後の対応について説明がなかったりすれば、家族が疑問を持つのは当然です。
厚生労働省が示す介護保険施設等における事故の報告様式等でも、事故発生時の対応、事故後の利用者の状況、家族等への報告、原因分析、再発防止策などが事故報告の項目として示されています。
分からないことがあれば、
「原因について、その後何か分かりましたか?」
「今後はどのような対策をする予定ですか?」
と施設へ確認して構いません。
事故について質問することは、施設を責めることとは違います。
親がこれからもそこで生活するのであれば、家族が今後の安全について確認するのは自然なことです。
それでも施設の説明や対応に納得できない場合は、施設の管理者や相談窓口へ改めて確認したり、必要に応じて外部の相談窓口へ相談する方法もあります。
施設への苦情や相談先については、こちらの記事で詳しく解説しています。
老人ホームへの苦情はどこに相談する?家族が知っておきたい相談先と伝え方
老人ホームの事故でよくある質問
介護保険施設では、サービス提供によって事故が発生した場合、速やかに市町村や入所者の家族等へ連絡し、必要な措置を講じることが基準で定められています。
ただし、どのような出来事を家族へどのタイミングで連絡するかは、事故の内容や施設の運用によっても異なります。
施設内の記録と行政への事故報告は分けて考える必要があります。
事故や事故につながる危険性のある出来事を施設内で報告・分析する体制が求められていますが、すべての転倒が同じ基準で自治体への報告対象になるわけではありません。行政への具体的な報告基準は自治体のルールも確認する必要があります。
件数だけでは判断できません。
利用者数や要介護度、事故として記録する範囲などによって数字の意味は変わります。それよりも、事故やヒヤリハットをきちんと記録し、原因分析や再発防止につなげているかを確認することが大切です。
もちろん構いません。
「事故は何件ありますか?」だけでなく、「事故が起きた場合の家族への連絡」「原因分析」「再発防止」「職員間の共有」などを具体的に聞くと、施設の安全に対する考え方が分かりやすくなります。
まとめ|事故の有無より「起きたあと」を見よう
老人ホームでは、転倒・転落だけでなく、誤薬、介助中のケガ、離設、入浴中の体調急変、誤嚥・窒息など、さまざまな事故が起こる可能性があります。
私自身、介護現場で多くの事故やヒヤリハットを経験してきました。
中には、食事介助後に利用者さんの容体が急変し、その後亡くなられた、今でも忘れることのできない経験もあります。
一方、居室の窓から外へ出た利用者さんが、第三者の通報によって救急隊に保護されていたという、まったく予想していなかった事故もありました。
人が人を支える介護では、すべての行動を100%予測することはできません。
だからこそ、家族には「事故があるか、ないか」だけで老人ホームを判断してほしくありません。
- 事故やヒヤリハットをきちんと記録しているか
- 事故後に本人へ必要な対応をしているか
- 家族へ状況を説明しているか
- 原因や背景を振り返っているか
- 再発防止策を職員間で共有しているか
事故が起きた事実だけではなく、その事故に施設がどう向き合ったのか。
老人ホームを選ぶ家族には、そこまで見てほしいと思います。
介護現場で長く働いてきましたが、事故を完全にゼロにするのは簡単ではないと感じています。
だからといって「事故は仕方ない」で終わっていいわけでもありません。
事故が起きたら報告して、原因を考えて、次はどうするかを決める。その積み重ねが大事です。
施設を選ぶときも、「事故がありますか?」だけではなく、「事故が起きたあと、どうしていますか?」まで聞いてみてください。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。



