要介護から要支援になったらケアマネは変わる?サービスへの影響も解説
要介護認定の更新をした結果、
「要介護2から要支援2になった」
「介護度が軽くなったのはうれしいけど、今のケアマネはどうなるの?」
「デイサービスや福祉用具は今までどおり使える?」
と戸惑うご本人やご家族もいるでしょう。
先に結論を言うと、要介護から要支援になったからといって、必ず今のケアマネジャーと別れなければならないわけではありません。
ただし、要介護のときに利用していた「居宅介護支援」と、要支援になったあとの「介護予防支援」などでは仕組みが異なります。
そのため、担当する事業所や利用しているサービスについて確認が必要になることがあります。
- 要介護から要支援になったら何が変わるのか
- 今のケアマネを継続できるのか
- 要支援になったあとのケアプラン
- 介護サービスはどうなるのか
- 担当が変わるときに確認したいこと
この記事では、介護福祉士・ケアマネとしての制度理解と現場経験をもとに、要介護から要支援になったときのケアマネや介護サービスについて解説します。
要介護から要支援になることはある?
要介護認定には有効期間があり、更新時には改めて認定調査や主治医意見書などをもとに審査・判定が行われます。
そのため、以前と同じ介護度になるとは限りません。
状態によっては、更新認定で要介護から要支援へ変わることがあります。
厚生労働省によると、要介護認定は市町村の認定調査や主治医意見書などをもとに、介護認定審査会で審査・判定されます。
現在の認定区分は、要支援1・2、要介護1〜5に分かれています。
つまり、
「前回は要介護2だったから、今回も要介護2」
と自動的に決まる制度ではありません。
更新時の心身の状態などによって、介護度が上がることもあれば、下がることもあります。
実際に要介護2から要支援2になった人もいた
私が介護付き有料老人ホームで施設ケアマネをしていたとき、要介護2だった利用者さんが認定期間の満了を迎え、更新申請をしたことがあります。
その結果は、要介護2から要支援2。
介護度がかなり軽くなりました。
介護付き有料老人ホームだったため、この認定結果だけで日々の生活が突然大きく変わったわけではありません。
ただし、ケアプランは新しい状態に合わせて見直しました。
たとえば入浴なら、今まで「軽介助」としていた支援を、本人の状態を確認しながら「見守り」へ変更するなど、できることは本人にしてもらう方向へ支援内容を調整しました。
ご本人も最初は、介護度が軽くなったことを「レベルが上がってよかった」と喜ばれていました。
ところが、この話には続きがあります。
この利用者さんがその後どうなったのかは、後ほど詳しく紹介します。
ここで伝えたいのは、介護度が軽くなったことと、その人が今後ずっと安全に生活できることは別だということです。
要支援になるとケアマネは必ず変わる?
要支援になっても、今のケアマネが継続して担当できる場合があります。
要介護1〜5の方のケアプランは、基本的に居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当します。
一方、要支援1・2になると、介護予防支援や介護予防ケアマネジメントの仕組みを利用することになります。
以前は、要支援者の介護予防支援について地域包括支援センターが中心となっていました。
しかし、2024年4月からは制度が変わっています。
市町村から指定を受けた居宅介護支援事業所も、介護予防支援を直接行えるようになりました。
- 地域包括支援センターが担当する
- 地域包括支援センターから委託を受けた居宅ケアマネが担当する
- 指定を受けた居宅介護支援事業所が介護予防支援を直接担当する
そのため、現在担当している居宅介護支援事業所が介護予防支援の指定を受けているなど、条件が合えば、要支援になったあとも同じケアマネが関われる可能性があります。
ただし、ここで一つ注意があります。
要支援者が総合事業のサービスだけを利用する場合の「介護予防ケアマネジメント」は、指定介護予防支援とは仕組みが異なります。
厚生労働省の指針では、指定居宅介護支援事業者が介護予防ケアマネジメントを行う場合は、地域包括支援センターから委託を受ける形になります。
厚生労働省|介護予防・日常生活支援総合事業の実施に関する指針
制度の名前だけを見るとかなり分かりにくいですが、ご家族がすべてを覚える必要はありません。
要介護から要支援になったときは、まず現在のケアマネへ、
「要支援になっても、引き続き担当してもらえますか?」
と聞いてみてください。
継続できるのか、地域包括支援センターとの調整が必要なのか、担当変更になるのかを確認してもらえば大丈夫です。
長く付き合ったケアマネなら、私なら簡単には諦めない
もし私の母が要介護から要支援になり、1年以上付き合ってきた相性の良いケアマネから、
「要支援になったので担当が変わるかもしれません」
と言われたら、私はすぐに「分かりました」とは言わないと思います。
「このまま担当してもらえる方法はありませんか?」
と、まず相談します。
数か月の付き合いなら、新しいケアマネとの関係を作ることも一つの選択です。
でも1年以上関わってくれたケアマネなら、母の性格、生活、困りごと、家族の事情まで知ってくれているかもしれません。
もちろん制度や事業所の体制によって、どうしても継続できないことはあります。
それでも、何も確認せずに「要支援になったからケアマネ変更なんだ」と諦める必要はありません。
→「ケアマネジャーの選び方|良いケアマネの特徴7選と変更方法を介護福祉士・ケアマネが解説」
要支援になったからといって、そのまま安心とは限らない
ここで、先ほどの利用者さんの話に戻ります。
要介護2から要支援2になった利用者さん。
認定結果が軽くなり、ご本人も最初は、
「レベルが上がってよかった」
と喜ばれていました。
ケアプランも新しい状態に合わせ、できることは本人にしてもらう方向へ見直しました。
ところが、その後に状況が大きく変わります。
要支援2になったあと、ご本人の活動量も増えていました。
ところが、その後に歩いているときに転倒して骨折。
病院へ約2週間入院し、退院後は以前のように歩くことが難しくなり、車いすでの生活になりました。
そこで改めて状態に合わせて区分変更を申請。
結果は、要支援2から要介護3でした。
要介護2から要支援2になって喜んでいたものの、その後の転倒をきっかけに、今度は以前より介護度が高くなったケースです。
もちろん、要支援になったことが転倒の原因だったという話ではありません。
また、要支援になった人がこのような経過をたどるという意味でもありません。
私がこの経験から感じたのは、認定結果が軽くなったことと、その先もずっと安全に生活できることは別だということです。
介護保険法では、要介護認定を受けている方について、介護の必要性が現在の要介護状態区分とは変わったと考えられる場合、市町村へ要介護状態区分の変更認定を申請できる仕組みがあります。
認定の有効期間が残っているからといって、状態が大きく変わったときに次の更新まで必ず待たなければならないわけではありません。
転倒や骨折、入院などをきっかけに介護の必要性が大きく変わった場合は、担当のケアマネや市区町村へ相談してみましょう。
要支援になると介護サービスはどうなる?
要介護から要支援になったときは、ケアマネだけでなく、現在利用している介護サービスも確認しておきましょう。
要介護のときと要支援になったあとでは、利用するサービスの仕組みやケアプラン上の位置付けなどが変わるものがあります。
特に訪問型・通所型のサービスについては、市町村が中心となって実施する介護予防・日常生活支援総合事業があります。
要支援になったら「今までとまったく同じ」と決めつけず、サービスごとに確認することが大切です。
- デイサービスなどの利用方法
- 訪問型サービスの内容
- 福祉用具を継続できるか
- ショートステイなどの利用
- 自己負担や今後のケアプラン
ただし、「要支援になったら必ずサービスが減る」という意味ではありません。
本人の状態、必要な支援、利用しているサービス、市区町村の総合事業などによって対応は異なります。
認定結果が届いたら、現在利用しているサービスがどうなるのかを担当者へ一つずつ確認するのが確実です。
実際にデイサービスの回数を見直したケースもあった
私がデイサービスの管理者をしていた頃、担当ケアマネから、
「要介護から要支援になったので、デイサービスの利用回数を見直します」
という連絡を受けたことがあります。
現場では、それまで利用していた回数から減らす形になりました。
当時のやり取りでは利用できる単位の話も出ていましたが、現在の記事としては、「要支援になれば必ずデイの回数が減る」とは言えません。
本人に必要な支援やケアプラン、市区町村の総合事業などによって利用方法は変わるからです。
ただ、認定結果が変わったことで、それまでのサービス内容や利用回数を見直すケースが実際にあることは知っておいてほしいと思います。
家族からすると、
「介護度が軽くなったんだから良かった」
と思う一方で、
「じゃあ今まで週○回利用していたサービスはどうなるの?」
という新しい問題が出てくることがあります。
だから私は、認定結果の数字だけを見るのではなく、その結果によって本人の生活がどう変わるのかまで確認することが大切だと思っています。
要支援になると介護ベッドは返さないといけない?
ここは家族にとってかなり気になるところだと思います。
介護保険の福祉用具貸与では、要介護度によって取扱いが異なるものがあります。
厚生労働省によると、要支援1・2と要介護1の方は、次の福祉用具などについて原則として介護保険による貸与の対象外となります。
- 車いす・付属品
- 特殊寝台・付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト
※自動排泄処理装置については別の要介護度要件があります。
ただし、ここには重要な例外があります。
要支援になったら、介護ベッドや車いすを必ず返却しなければならないわけではありません。
厚生労働省も、身体の状態などによっては、要介護認定の基本調査結果に基づく判断や市町村への申請などにより、例外的に給付対象となる場合があるとしています。
そのため、要支援になったからといって家族だけで、
「もう借りられないんだ」
と判断する必要はありません。
現在使っている福祉用具が生活に必要なら、まず担当のケアマネや福祉用具専門相談員へ相談してください。
介護度が軽くなっても家族の負担まで軽くなるとは限らない
要介護から要支援になれば、本人や家族が喜ぶこともあるでしょう。
状態が良くなった結果であれば、それ自体はうれしいことです。
ただ、現場で介護に関わってきた私としては、
「要介護から要支援になった=家族の介護も一気に楽になった」
とは考えません。
家族が毎日している見守り。
食事の準備。
通院の付き添い。
転倒しないかという心配。
認知症のある方への声かけ。
こうした負担が、認定結果の通知が届いた翌日から急になくなるわけではないからです。
それどころか、利用していたサービスや福祉用具を見直す必要が出れば、家族からすると、
「要支援になったのはうれしい。でも、これからどうすればいいの?」
という別の不安が出てくることもあります。
私は、介護度の数字だけでその家庭の大変さを判断しない方がいいと思っています。
要支援でも、家族がかなり頑張って生活を支えている家庭はあります。
逆に、要介護であってもサービスをうまく組み合わせることで、家族の負担を抑えながら生活できている家庭もあります。
大切なのは「要支援になった」という結果だけではなく、その状態で本人と家族が無理なく生活を続けられるかです。
認定結果が軽くなったときほど、今まで利用していた支援を一度整理して、これからの生活をケアマネと一緒に考えてほしいと思います。
→「介護保険で利用できるサービス一覧|種類・内容・費用を介護福祉士・ケアマネが解説」
ケアマネが変わることになったら何を確認する?
要介護から要支援になったあと、事業所の指定状況や地域の体制などによっては、これまでと同じケアマネが担当できないこともあります。
長く付き合ってきたケアマネなら、
「また一から全部説明しないといけないの?」
と不安になる家族もいるでしょう。
そんなときは、担当者の名前だけを確認して終わりにせず、これまでの支援内容や本人・家族の希望がきちんと引き継がれるかを確認しておくことが大切です。
- 新しい担当者は誰になるのか
- いつから担当が変わるのか
- 現在のサービスはどうなるのか
- 福祉用具などは継続できるのか
- 本人・家族の希望が引き継がれているか
要支援者のケアマネジメントは、利用するサービスによって「介護予防支援」と「介護予防ケアマネジメント」に分かれるため、誰が担当するのか分かりにくいことがあります。
予防給付のサービスを利用する場合などの介護予防支援は、地域包括支援センターのほか、2024年4月からは市町村の指定を受けた居宅介護支援事業所も直接実施できるようになっています。
一方、総合事業のみを利用する場合などの介護予防ケアマネジメントは、市町村や地域包括支援センターが実施し、居宅介護支援事業所のケアマネが関わる場合は、地域包括支援センターから委託を受ける形になります。
厚生労働省|介護予防・日常生活支援総合事業の適切かつ有効な実施を図るための指針
制度の仕組みを家族がすべて覚える必要はありません。
認定結果が届いたら、今のケアマネや地域包括支援センターへ、
「今のケアマネさんは続けられますか?」
「変わるなら、次は誰が担当してくれますか?」
と確認すれば大丈夫です。
担当が変わっても遠慮せず希望を伝えていい
新しい担当者になったからといって、これまでのケアプランをそのまま受け入れなければならないわけではありません。
本人がどう暮らしたいのか。
家族は何に困っているのか。
どのサービスをできれば続けたいのか。
こうした希望は、新しい担当者にも遠慮せず伝えてください。
ケアマネは制度を知っていれば、それだけで良いケアマネというわけではないと私は思っています。
本人や家族の話を聞いて、そのときの状態に合わせて柔軟に考えてくれることも大切です。
特に長く付き合ってきたケアマネには、ケアプランだけでは見えない情報がたまっています。
本人の性格や家族との関係、どんなサービスなら受け入れてくれるのか、逆に何を嫌がるのか。
担当が変わるなら、こうした「書類だけでは伝わりにくいこと」も引き継いでもらえると安心です。
→「ケアマネジャーは何をしてくれる人?相談できること・できないことを経験者がわかりやすく解説」
要支援から再び要介護になったらどうする?
要支援になったあとに、転倒や骨折、病気などによって状態が大きく変わることもあります。
そんなときに、
「認定期間が残っているから、次の更新まで待つしかない」
と考える必要はありません。
介護保険法では、要介護認定を受けている方について、介護の必要性が現在認定されている要介護状態区分とは変わったと考えられる場合、市町村へ要介護状態区分の変更認定を申請できることが定められています。
本人の状態が大きく変わったと感じたら、まず担当者や市区町村へ相談してください。
実際、先ほど紹介した利用者さんも、要支援2になったあとに転倒・骨折し、入院後は車いすでの生活になりました。
そこで状態に合わせて区分変更を申請し、要介護3という結果になっています。
この経験からも、私は「認定結果は一度決まったら次の更新まで絶対に変えられないものではない」ということを知っておいてほしいと思っています。
ただし、区分変更を申請したからといって、必ず希望した介護度になるわけではありません。
認定は、認定調査や主治医意見書などをもとに審査・判定されます。
状態が変わったときは「介護度を上げてもらう」ことだけを目的にするのではなく、今の本人に必要な支援を改めて考えることが大切です。
→「要介護認定とは?申請方法や認定までの流れをわかりやすく解説」
要介護から要支援になったときによくある質問
必ず変わるわけではありません。
現在の居宅介護支援事業所が介護予防支援の指定を受けている場合など、同じケアマネが継続して関われるケースがあります。
また、地域包括支援センターから居宅介護支援事業所へ委託する形で、同じケアマネが関わる場合もあります。
ただし、利用するサービスや地域の体制などによって異なるため、まず現在の担当ケアマネへ確認しましょう。
必ず利用回数が減るわけではありません。
要介護から要支援になると、利用するサービスの仕組みやケアプラン上の位置付けが変わることがあります。
本人の状態や必要性、市区町村の総合事業などによって利用方法は異なります。
実際に利用回数を見直すケースはありますが、「要支援になったら必ず週○回まで」と一律に考えず、担当者へ確認してください。
必ず返却するとは限りません。
特殊寝台など一部の福祉用具は、要支援1・2では原則として介護保険による貸与の対象外ですが、身体状況などによって例外的に給付対象となる場合があります。
必要な福祉用具を自己判断で返却せず、ケアマネや福祉用具専門相談員へ確認しましょう。
担当者へ早めに相談してください。
転倒や骨折、病気などによって介護の必要性が大きく変わった場合は、認定期間の途中でも状態に応じて区分変更を検討できます。
ただし、申請すれば必ず介護度が上がるわけではありません。
本人の現在の状態を伝え、どのような支援が必要なのかを担当者と一緒に考えましょう。
まとめ|要支援になったら「ケアマネとサービス」を確認しよう
要介護から要支援になると、介護度の数字だけでなく、ケアプランを担当する仕組みや利用するサービスが変わることがあります。
まず確認したいのは、「今のケアマネを継続できるか」「今使っているサービスはどうなるか」の2つです。
介護度が軽くなったこと自体は、本人や家族にとってうれしい結果かもしれません。
でも、家族がしている介護まで認定結果と一緒に軽くなるわけではありません。
デイサービスの利用方法を見直すこともあれば、福祉用具について確認が必要になることもあります。
そして、一度要支援になったあとでも、本人の状態は変わります。
私が担当した利用者さんのように、要介護2から要支援2になり、その後の転倒・骨折をきっかけに区分変更を申請し、要介護3になったケースも実際にありました。
だからこそ、私は「要支援になったから安心」「介護度が下がったから大丈夫」だけで終わらせないことが大切だと思っています。
認定結果が届いたら、本人の今の生活と照らし合わせながら、これから必要な支援を担当者と一緒に確認していきましょう。
もし私の母が要支援になって、1年以上付き合ってきた相性の良いケアマネが変わると言われたら、まずは今の人に続けてもらえる方法がないか聞きます。
制度上どうしても難しければ仕方ありません。
でも、長く関わってくれたケアマネは、母の性格や生活だけでなく、家族の事情まで分かってくれているかもしれません。
「要支援になったから仕方ない」で終わらせず、希望があるなら一度伝えてみてください。
そして介護度が軽くなっても、生活の中で「前より大変になった」「このサービスがないと困る」と感じたら、それも遠慮せず相談していいと思います。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。


