嫁
認知症があるなら、グループホームが一番いいんじゃないの?
よっしー
よっしー
候補にはなるよ。でも俺は、認知症だからって理由だけでグループホームを勧めることはないかな。本人の性格と医療面をまず見る。

認知症の親の老人ホームを探し始めると、多くの家族が最初に思うのが、

**「認知症ならグループホームなんじゃないの?」**

ということだと思います。

実際、グループホームは認知症のある高齢者が少人数で共同生活を送るための介護保険サービスです。

一方、介護付き有料老人ホームにも、認知症のある方を受け入れているホームは数多くあります。

では、認知症がある親なら、どちらを選べばいいのでしょうか。

私は介護業界で18年、認知症グループホームに約6年勤務し、そのうち約3年は計画作成担当者を経験しました。

さらに、介護付き有料老人ホームの施設ケアマネジャーや、老人ホーム入居相談員として、グループホームと介護付き有料老人ホームの両方を見てきました。

その経験から言うと、答えは意外とシンプルです。

**認知症だからグループホーム、ではありません。**

本人が人との関わりを好むのか。

家庭的な環境が合うのか。

医療的な支援が必要なのか。

この3つを見た方が、施設の種類だけで選ぶよりずっと失敗しにくいと思っています。

この記事でわかること

・グループホームと介護付き有料老人ホームの制度上の違い

・認知症だからグループホームとは限らない理由

・人との交流が好きな人と、一人で過ごしたい人の違い

・医療面でどちらを優先して考えるべきか

・グループホームで6年間働いた経験から見た、それぞれの向き・不向き

・見学前に家族が考えておきたいポイント

Contents
  1. グループホームと介護付き有料老人ホームは、そもそも役割が違う
  2. 「認知症だからグループホーム」と決めない方がいい
  3. 家庭的な環境が、すべての人に合うわけではない
  4. 男性だから、女性だからではなく「その人らしさ」を見る
  5. 医療が必要なら、認知症対応の介護付きも有力候補
  6. グループホームで感じた「少人数の強さ」
  7. 私なら、まずこの3つから考える
  8. グループホームの「少人数」は強み。でも楽な施設という意味ではない
  9. 夜になると、グループホームの景色が変わることもある
  10. グループホームの弱点として、私は医療面を必ず見る
  11. 介護付きは、身体介護が増えたときの設備も見てほしい
  12. 「認知症への強さ」と「医療・身体介護への強さ」は分けて比べる
  13. 「アットホームです」だけではなく、夜の母まで想像して聞く
  14. グループホームと介護付き、結局うちの親ならどっち?
  15. 人と関わるのが好きな母なら、私はグループホームをかなり見る
  16. 一人の時間が好きな父なら「アットホームだからグループホーム」は一度考える
  17. 認知症に加えて医療面が心配なら、私は介護付きも積極的に探す
  18. 「入れる施設」より「この先も暮らせる施設」を探してほしい
  19. 私の親だったら、グループホームはかなり候補に入る
  20. グループホームと介護付きの見学で聞きたい8つの質問
  21. グループホームと介護付き有料老人ホームでよくある質問
  22. まとめ|「認知症だからグループホーム」ではなく、その親に合う暮らしから選ぶ

グループホームと介護付き有料老人ホームは、そもそも役割が違う

嫁
名前はよく聞くけど、そもそも何が違うの?
よっしー
よっしー
簡単に言うと、グループホームは認知症の人が少人数で暮らす場所。介護付きは認知症に限らず、介護が必要な人が生活を続ける場所って考えると分かりやすいよ。

制度上、グループホームは正式には**認知症対応型共同生活介護**といいます。

厚生労働省の制度では、認知症のある高齢者が、1ユニット5人以上9人以下の少人数で共同生活を送り、食事や入浴、排泄などの日常生活を支援してもらうサービスです。

地域密着型サービスのため、原則としてその市区町村の被保険者が利用する仕組みになっています。

一方、介護付き有料老人ホームの多くは、**特定施設入居者生活介護**として、介護職員や看護職員による介護サービスを受けながら生活する住まいです。

認知症の方だけを対象にしているわけではありません。

参考:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」

 

比較項目 グループホーム 介護付き有料老人ホーム
主な対象 認知症のある高齢者 介護が必要な高齢者
生活人数 1ユニット5~9人 数十人規模が多い
雰囲気 少人数で家庭的な生活を送りやすい 施設の規模や運営方針によって異なる
看護職員 常勤配置が必須ではない 看護職員の配置基準がある
医療対応 協力医療機関や訪問看護などを活用する場合がある 看護・医療体制は施設によって異なる
生活・外出 少人数のため小回りが利きやすい傾向 外出やレクリエーションの内容は施設によって異なる
制度上の違いはありますが、実際の暮らしは施設ごとの差がかなり大きいです。

「グループホームだからこう」

「介護付きだからこう」

と決めつけず、実際のホームを見て判断することが大切です。

「認知症だからグループホーム」と決めない方がいい

老人ホーム紹介の仕事をしていた頃、

「認知症なんですけど、グループホームですよね?」

と聞かれることは本当に多くありました。

そのとき、私はまず、

**「候補にはなります。でも必ずしもグループホームが一番とは言い切れません」**

と答えていました。

理由は二つあります。

一つは、**本人の性格。**

もう一つは、**医療面。**

この二つを見ないと、認知症という診断名だけでは決められないからです。

家庭的な環境が、すべての人に合うわけではない

グループホームは、

「アットホーム」

「家庭的」

と紹介されることが多いです。

私が働いていたグループホームも、正直かなり人情味のある職員が多く、いわゆる「アットホーム」という言葉が当てはまるホームでした。

でも、ここで一つ大事なことがあります。

**家庭的な環境が、すべての人にとって居心地がいいとは限らない。**

これは6年間働いていて感じたことです。

たとえば、

一人で静かに過ごすのが好き。

あまり人と話したくない。

自分のペースを崩したくない。

こういう方にとっては、少人数とはいえ、毎日同じメンバーと顔を合わせる生活が必ずしも楽しいとは限りません。

逆に、

人と話すのが好き。

誰かと一緒に食事をしたい。

何か役割を持ちたい。

こういう方には、グループホームの生活がとても合うことがあります。

私は「認知症だから」ではなく、「この人は人との関わりを楽しめる人か?」をかなり見ます。

同じ認知症でも、

「皆とおしゃべりするのが好きな人」

と、

「一人でテレビを見ている方が落ち着く人」

では、合うホームは変わります。

家庭的という言葉だけで選ばず、

その人がどんな時間を心地よく感じてきたか。

そこから考えてほしいと思っています。

男性だから、女性だからではなく「その人らしさ」を見る

ここは少し本音で書きます。

私の経験では、男性の利用者さんは、グループホームでも介護付きでも、

自分の好きなように過ごしたい。

誰かに認められたい。

自分の役割がほしい。

という気持ちが強い方が少なくありませんでした。

もちろん、これはすべての男性に当てはまる話ではありません。

女性でも同じような方はいますし、性別だけで決めつけるのはよくありません。

ただ、施設選びをするときは、

「男性だからグループホーム」

「女性だから家庭的なホーム」

ではなく、

**その人がこれまでどんな生活をして、何を大切にしてきたか。**

を見た方がいいと思っています。

入居相談をしていたとき、私は家族にこんなことを聞いていました。

「お父さんは、家では何をして過ごしていましたか?」

「人と話すのは好きですか?」

「町内会や趣味の集まりには参加していましたか?」

「一人の時間は好きですか?」

こうした話を聞くと、

パンフレットの施設種類より、その人に合いそうな生活が見えてきます。

医療が必要なら、認知症対応の介護付きも有力候補

もう一つ、私が非常に重視していたのが医療面です。

グループホームでは、看護職員の常勤配置が義務づけられているわけではありません。

実際、私が働いていたグループホームでも、医療面は、

訪問診療。

訪問看護。

協力医療機関。

こうした仕組みを使って支えていました。

もちろん、それで生活できる方はたくさんいます。

ただ、

医療的な処置が必要。

傷の処置が必要になることが多い。

体調の変化が心配。

今後、医療依存度が高くなる可能性がある。

こういう方なら、私は認知症対応のできる介護付き有料老人ホームも積極的に探していました。

「認知症だからグループホーム」ではなく、「認知症があって、さらに医療面では何が必要か」を分けて考えてください。

認知症への対応と、

医療への対応は、

別々に確認する必要があります。

グループホームで感じた「少人数の強さ」

私がグループホームで6年間働いていて、一番の強みだと感じたのは、やはり少人数であることです。

1ユニット9人。

この人数だからこそ、職員の目が届きやすい。

誰がどんな一日を過ごしているかが分かりやすい。

そして、外出もしやすい。

希望者と職員で散歩へ行く。

ちょっと買い物へ行く。

季節によって外食へ出かける。

こういうことが比較的小回りよくできました。

介護付き有料老人ホームでも外出レクリエーションはあります。

ただ、人数が多いと、

班を分ける。

日程を分ける。

何日かに分けて実施する。

という形になることもあります。

グループホームでは、少人数だからこそ、1日や2日で希望者を連れて行けることもありました。

「少人数だからこそできること」は、確かにあります。

散歩。

買い物。

ちょっとした外食。

芋の皮むき。

庭の草むしり。

朝の体操。

家では引きこもりがちだった方が、こうした生活の中で人と関わるようになった姿も、私は実際に見てきました。

ただし、

それがすべての人に合うとは限らない。

だからこそ、本人の性格を見ることが大切だと思っています。

私なら、まずこの3つから考える

認知症の親の施設を探すなら、私は最初にこの順番で考えます。

最初に見ること 考えるポイント
本人の性格 人との交流が好きか、一人で過ごす方が落ち着くか
医療面 今必要な医療と、これから必要になりそうな支援は何か
暮らし方 少人数で家庭的な暮らしが合うか、より広い環境や設備・医療体制を重視するか
「認知症だからグループホーム」と決める前に、この3つを家族で話してみてください。

「母は人と話すのが好きだった?」

「父は一人で過ごす方が落ち着いた?」

「今、医療面で心配なことは?」

ここを整理してから施設を探すと、

グループホームと介護付きのどちらを見学すべきかが、かなり見えやすくなります。

グループホームの「少人数」は強み。でも楽な施設という意味ではない

嫁
9人くらいの少人数なら、職員さんも余裕を持って見てくれそうじゃない?
よっしー
よっしー
そこはちょっと違うかな。少人数だから目が届きやすいのは確か。でも認知症の人が同時に動き出したら、夜なんて一気に忙しくなるよ。

グループホームの大きな特徴は、少人数で生活することです。

厚生労働省の基準では、グループホームの共同生活住居(ユニット)は5人以上9人以下と定められています。

居室のほか、居間、食堂、台所、浴室などを設け、少人数で共同生活を送る仕組みです。

国の基準を確認する


厚生労働省|指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準

9人程度なら、職員から利用者の様子が見えやすい。

誰が落ち着かないのか。

誰が今日はあまり食べていないのか。

誰がいつもと違うのか。

こうした変化に気づきやすいのは、私自身もグループホームで働いていて感じたメリットでした。

ただし、

「少人数=職員に余裕がある」ではありません。

ここは、家族にも知っておいてほしいところです。

夜になると、グループホームの景色が変わることもある

これは、私がグループホームで働いていた頃の話です。

当時、2ユニットを夜勤者1人で見ていた時期がありました。

夜だから、みんな寝ている。

そんな日ばかりではありません。

半分近くの利用者が落ち着かず歩いている。

夜間に混乱して、不安そうにしている。

廊下やリビングで失禁してしまう。

一人を対応している間に、別の人への対応が必要になる。

そんな夜もありました。

今だから笑って話せますが、廊下に設置されていた消火器が作動してしまい、対応に追われたことまであります。

正直、あのときは笑えませんでした(笑)。

昔の経験と今の基準は分けて考える

ここで一つ大切なのは、これは私が勤務していた当時の実体験だということです。

現在のグループホームには、厚生労働省が定める夜間・深夜の介護従業者の配置基準があります。

そのため、昔の私の勤務体制をそのまま「今のグループホームもこうです」と考えないでください。

一方で、制度上の配置基準を満たしていることと、家族が想像する「夜も余裕を持って見てもらえる」ことは同じではありません。

見学では夜のことも聞いていい

グループホームを見学するなら、私は夜間体制を聞きます。

「母は夜になると何度も起きます。夜はどのように対応しますか?」

「夜間は職員さんが何人くらいいる体制ですか?」

「複数の方への対応が重なった場合はどうしていますか?」

こんな聞き方で十分です。

「夜勤者何人?」だけでなく、母の夜の状態を伝えて聞く。

その方が、入居後の生活を具体的に想像できます。

グループホームの弱点として、私は医療面を必ず見る

嫁
認知症の対応が得意なら、そのままずっと暮らせるんじゃないの?
よっしー
よっしー
そこなんだよ。認知症への対応と医療への対応は別物。俺がGHの弱点として一番感じたのは医療面だった。

私がグループホームで働いていて、介護付き有料老人ホームとの違いを強く感じたのが医療面でした。

グループホームでは、介護付き有料老人ホームと同じような看護職員の配置基準が設けられているわけではありません。

一方、介護付き有料老人ホームの特定施設入居者生活介護では、利用者数に応じた看護職員の配置基準があります。

介護付きの看護職員配置を確認


厚生労働省|指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準

だからといって、グループホームで医療を受けられないわけではありません。

私が働いていたホームでは、往診や訪問看護など外部の医療サービスと連携していました。

国の制度でも、グループホームには看護職員の配置や医療機関・訪問看護ステーションとの連携などを評価する医療連携体制があります。

グループホームの医療連携の仕組み


厚生労働省|認知症対応型共同生活介護の医療連携体制等に関する施設基準

ただ、現場で働く側からすると、

その場に看護師がいるか、いないか。

これはかなり大きな違いでした。

たとえば、利用者が転倒して擦り傷ができたとします。

介護職でも必要な応急対応や観察はします。

でも、看護職員がいる環境なら、傷の状態を確認してもらいながら、その後の対応を考えられる場面もあります。

私自身、両方の施設で働いたからこそ、医療面では介護付きに安心感を感じる場面がありました。

認知症より先に医療を見ることもある

入居相談をしていたとき、医療的な支援を必要とする認知症の方なら、私はグループホームだけには絞りませんでした。

認知症への対応が可能な介護付き有料老人ホームも探します。

「認知症だからグループホーム」

ではなく、

「母には認知症がある。それとは別に、医療はどこまで必要?」

と考えます。

この順番はかなり大切だと思っています。

介護付きは、身体介護が増えたときの設備も見てほしい

介護付き有料老人ホームで働いていて、グループホームより強いと感じることがあったのが、介護をするための空間や設備です。

もちろん、これは施設によってかなり違います。

ただ、私が経験した施設を比較すると、介護付きの方が、

居室が広い。

廊下が広い。

車いすで移動しやすい。

身体介護をするときに職員が動きやすい。

と感じることがありました。

厚生労働省の特定施設の基準でも、介護居室は介護を行うために適当な広さを確保し、浴室についても身体の不自由な人が入浴するのに適したものとするなどの設備基準があります。

介護付きの設備基準を見る


厚生労働省|特定施設入居者生活介護の概要・基準

ここで家族に考えてほしいのは、今の母だけを見ないことです。

今は歩ける。

今は一人でトイレへ行ける。

今は普通のお風呂に入れる。

でも、数年後は分かりません。

歩行が難しくなる。

車いすになる。

二人介助が必要になる。

寝たきりに近くなる。

そんな変化が起きたとき、今選ぼうとしているホームで生活を続けられるのか。

今より少し先の母を見る

見学では、きれいな居室を見るだけで終わらせないでください。

「母が車いすになっても、この部屋で介助できますか?」

「寝たきりに近くなったら、お風呂はどうなりますか?」

「二人で介助する必要が出ても対応できますか?」

こんなふうに、今の母より少し状態が変わった未来を想像して聞いてみてください。

「認知症への強さ」と「医療・身体介護への強さ」は分けて比べる

ここまでを整理すると、グループホームと介護付き有料老人ホームは、単純にどちらが上という関係ではありません。

比べたいこと グループホーム 介護付き有料老人ホーム
生活単位 1ユニット5~9人の少人数 施設規模によって異なる
認知症のある方の生活 認知症のある方を対象とした共同生活 認知症対応の内容は施設ごとに確認
人との距離 同じ利用者・職員との関係が深くなりやすい 人数が多い施設では人との距離感も変わる
看護体制 施設によって異なり、外部の訪問看護等と連携する場合もある 特定施設として看護職員の配置基準がある
医療対応 協力医療機関・訪問診療・訪問看護等との連携を確認 看護職員の勤務時間や対応可能な医療行為を確認
重度化した場合 医療・介護体制や設備を個別に確認 設備・看護・介護体制を個別に確認
家族が特に見るところ 本人の性格・夜間体制・医療連携 認知症対応・看護体制・重度化への対応
比較表より大切なこと

この表を見て、

「じゃあ認知症ならグループホーム、重くなったら介護付きね」

とは考えないでください。

実際には、医療連携に力を入れているグループホームもあります。

認知症の方との生活づくりに力を入れている介護付きもあります。

だから最後は、施設の名前ではなく、

「うちの母が必要としていることを、このホームはどこまでできる?」

で比べます。

「アットホームです」だけではなく、夜の母まで想像して聞く

グループホームのパンフレットを見ると、

「家庭的な雰囲気」

「少人数で寄り添う介護」

「その人らしい暮らし」

といった言葉をよく見ます。

私は、こういう考え方自体は好きです。

実際、自分が働いたグループホームには、本当に泥臭くて人情味のある職員が多くいました。

でも家族には、そこで止まらないでほしい。

「それで、うちの母の夜はどうなる?」

まで聞いてください。

夜中に何度も起きる母。

トイレの場所が分からなくなる父。

夕方になると「家に帰る」と落ち着かなくなる母。

転倒を繰り返している父。

それぞれ必要な対応は違います。

パンフレットの言葉を母の生活に翻訳する

「少人数で寄り添います」

と書いてあったら、

「母は夜に何度も起きます。その場合はどうしていますか?」

「医療連携があります」

と書いてあったら、

「夜に母が発熱したら、誰が判断して、誰に連絡しますか?」

「認知症ケアに力を入れています」

と書いてあったら、

「母は夕方になると帰ると言って玄関へ行きます。普段ならどう対応しますか?」

こう聞けばいいんです。

施設の宣伝文句を覚える必要はありません。

母の生活に翻訳して質問する。

それだけで、見学で得られる情報はかなり変わります。

グループホームと介護付き、結局うちの親ならどっち?

嫁
違いはだいぶ分かったけど、家族が知りたいのって結局そこだよね。うちの親ならどっちなの?
よっしー
よっしー
そうなんだよ。認知症の診断名や介護度だけで決めるんじゃなくて、俺なら「本人の性格」「人との関わり」「医療面」を見て候補を絞るよ。

ここまでグループホームと介護付き有料老人ホームを比較してきました。

でも、家族が本当に知りたいのは制度の違いではないと思います。

「結局、うちの母ちゃんはどっち?」

ですよね。

私なら、認知症があるという理由だけでグループホームには決めません。

最初に見るのは、本人の性格です。

人と話すのが好きなのか。

一人で過ごす方が落ち着くのか。

料理や洗濯、庭仕事など、何か役割を持つことが好きだったのか。

そして次に、医療面を見ます。

今、どの程度の医療的な支援が必要なのか。

これから状態が変化したとき、どこまで対応してほしいのか。

このあたりを整理すると、私はかなり候補を絞りやすくなると思っています。

人と関わるのが好きな母なら、私はグループホームをかなり見る

たとえば、こんな母だったとします。

昔から近所付き合いが好き。

人と話すことが好き。

料理や洗濯など、家のことをずっとやってきた。

一人で部屋にいるより、誰かと一緒にいる方が落ち着く。

認知症が進んできたけれど、医療的な支援はそれほど多くない。

こういう方なら、私はグループホームをかなり有力な候補にします。

理由は、グループホームが単に「認知症の人が入る施設」だからではありません。

その人が今まで持っていた役割や、人との関わりを生活の中に残せる可能性があるからです。

厚生労働省も、認知症対応型共同生活介護について、家庭的な環境と地域住民との交流のもとで日常生活上の支援や機能訓練を行い、本人の能力に応じて自立した日常生活を営めるようにするサービスと位置づけています。


厚生労働省|指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準

これは、私が働いていたグループホームでもかなり実感しました。

芋の皮をむいてもらう。

庭の草むしりをしてもらう。

朝の体操に参加する。

希望する方と散歩へ行く。

家にいた頃は引きこもりがちだった方が、入居後に他の利用者と一緒に散歩を楽しんでいる姿も見ました。

もちろん、グループホームへ入れば認知症の進行が止まるわけではありません。

入居後も症状が進む方はいましたし、家族から、

「グループホームへ入っても、あまり変わらないんですね」

と言われたこともあります。

それでも私は、本人に合っているなら、少人数の中で人と関わり、役割を持ちながら暮らせること自体に意味があると思っています。

一人の時間が好きな父なら「アットホームだからグループホーム」は一度考える

逆に、こんな父だったらどうでしょう。

昔から一人で過ごすのが好き。

集団行動が苦手。

人からあれこれ言われるのを嫌う。

自分の好きな時間に好きなことをしたい。

認知症はあるけれど、他人との交流をそれほど求めていない。

この場合、私は、

「認知症だからグループホーム」

とは考えません。

グループホームの「アットホーム」「少人数」「みんなで暮らす」という特徴が、本人にとって本当にメリットなのかを考えます。

むしろ、個室で過ごす時間を確保しやすく、本人の生活スタイルを尊重してくれる介護付き有料老人ホームの方が合うことだってあります。

「家庭的」は、誰にとっても褒め言葉になるわけではありません。

家族から見れば温かそうなホームでも、本人が人との距離を取りたい人なら、少人数でいつも同じ人と過ごす生活を窮屈に感じる可能性もあります。

だから私は、施設の雰囲気より先に、その人がこれまでどんな暮らし方を好んできたかを見ます。

認知症に加えて医療面が心配なら、私は介護付きも積極的に探す

認知症がかなり進んでいても、医療的な支援がそれほど必要なく、人との共同生活が合う方なら、グループホームは有力な候補になります。

一方で、私が入居相談をしていたとき、医療面の支援が必要な認知症の方なら、介護付き有料老人ホームも積極的に探していました。

ここは、

「認知症が重いか軽いか」だけで決めない。

ということです。

認知症がある。

それに加えて、持病がある。

体調変化が多い。

傷などの処置が必要になることがある。

身体介護もかなり必要になっている。

そんな場合には、認知症への対応だけでなく、看護・医療体制や設備まで見て候補を選びます。

グループホームにも医療連携体制があり、一定の要件を満たして看取りに対応している事業所もあります。


厚生労働省|認知症対応型共同生活介護の医療連携体制・看取りに関する施設基準

だから、「グループホームでは医療を受けられない」「看取りはできない」と一括りにはできません。

大切なのは、そのホームが実際にどこまで対応できるかです。

「入れる施設」より「この先も暮らせる施設」を探してほしい

施設探しをしていると、どうしても、

「今の状態で入居できますか?」

という質問になりがちです。

もちろん、それも必要です。

でも私は、もう一つ聞いてほしいと思っています。

「この先、母の状態が変わったらどうなりますか?」

です。

厚生労働省の基準では、グループホームは、認知症があり、少人数による共同生活を営むことに支障がない人を対象としています。

また、入居者に必要なサービスを事業所で提供することが困難になった場合には、他のグループホームや介護保険施設、病院・診療所などを紹介する等の措置を講じることも定められています。


厚生労働省|認知症対応型共同生活介護の入退居に関する基準

つまり、入居できたからといって、どんな状態になっても必ず同じホームで暮らし続けられるとは限りません。

これは介護付き有料老人ホームでも同じで、実際の受け入れ範囲や契約内容はホームごとに確認する必要があります。

だから私は、見学の時点で退去条件や重度化した場合の対応まで聞きます。

私の親だったら、グループホームはかなり候補に入る

嫁
じゃあさ、自分の親が認知症になったら、よっしーはどっちを選ぶ?
よっしー
よっしー
今の親の性格を考えるなら、GHはかなり候補に入れるよ。認知症だからじゃなくて、人とのコミュニティを作るのが得意だから。

これはあくまで、私の親の場合です。

もし認知症になって施設を探すことになったら、私はグループホームをかなり有力な候補にすると思います。

理由は、認知症だからではありません。

私の親は、人とのコミュニケーションを取ることが比較的得意だからです。

人と話す。

誰かと一緒に何かをする。

自分の役割を持つ。

そういう環境の方が、その人らしく暮らせる可能性があると私は考えます。

ただし、医療的な支援がかなり必要になっていたら話は変わります。

その場合は、認知症への対応ができる介護付き有料老人ホームも含めて探します。

親が同じでも、状態が変われば私の答えも変わる。

施設選びって、本来そういうものだと思っています。

グループホームと介護付きの見学で聞きたい8つの質問

ここまで読んでも迷うなら、施設名から答えを出そうとしなくて大丈夫です。

候補を実際に見学して、親の状態を伝えて聞いてみましょう。

確認すること 家族からの質問例
普段の生活 母は人と話すことが好きです。普段は皆さんどんなふうに過ごしていますか?
一人の時間 父は一人で過ごすのが好きです。無理に集団活動へ参加する必要はありますか?
認知症への対応 母は同じことを何度も聞きます。普段ならどのように対応しますか?
夜間 父は夜中に何度も起きて歩くことがあります。夜はどのように対応しますか?
医療 母に今必要な医療的な支援は、ここではどこまで対応できますか?
重度化 歩けなくなったり介助量が増えたりしても、ここで暮らし続けられますか?
看取り 最期まで暮らしたい場合、どこまで対応できますか?
退去条件 どのような状態になると、こちらでの生活継続が難しくなりますか?
施設名ではなく母の話をする

見学で「認知症対応できますか?」だけ聞くのは、私は少しもったいないと思います。

ほしいのは「できます」という答えではなく、母に何をしてくれるかだからです。

「母は夕方になると家に帰ると言って玄関へ行きます」

「父は夜中に何度も起きます」

「母は人と話すのが大好きです」

ここまで具体的に伝えて、

「こちらならどう対応しますか?」

と聞いてみてください。

グループホームと介護付き有料老人ホームでよくある質問

認知症ならグループホームを選んだ方がいいですか?

必ずしもそうではありません。

グループホームは認知症のある方を対象とした介護保険サービスですが、介護付き有料老人ホームでも認知症のある方を受け入れているホームがあります。

本人の性格、人との関わり方、医療面、身体状態などを合わせて考えてください。

グループホームは誰でも入れますか?

誰でも入居できるわけではありません。

認知症であることなど制度上の要件があり、グループホームは地域密着型サービスのため、住所地についても確認が必要です。

また、少人数による共同生活を営むことに支障がないことも制度上の考え方に含まれています。

グループホームには看護師はいないのですか?

「必ずいない」という意味ではありません。

グループホームと介護付き有料老人ホームでは看護職員に関する配置基準が異なり、グループホームでも看護職員を配置したり、訪問看護ステーションなどと連携したりしている事業所があります。

看護師がいるかだけでなく、勤務時間と夜間・緊急時の対応まで確認してください。

グループホームでも看取りはできますか?

看取りに対応しているグループホームはあります。

厚生労働省にも看取りに関する施設基準がありますが、すべての事業所が同じ体制というわけではありません。

希望する場合は、看取りの実績、医師・看護職との連携、家族への説明などを施設ごとに確認してください。

介護付きなら認知症が進んでも大丈夫ですか?

施設によります。

介護付き有料老人ホームでも、認知症の症状や医療的な支援の内容によって対応できる範囲は異なります。

「認知症対応可」という表示だけではなく、本人の具体的な状態を伝えて確認することが大切です。

結局、グループホームと介護付きのどちらを先に見学すればいいですか?

人との交流や家庭的な少人数生活が本人に合い、医療面の心配が比較的少ないなら、私はグループホームから見てみます。

一方、医療面や身体介護への対応を重視するなら、認知症対応のできる介護付き有料老人ホームも一緒に見ます。

迷うなら両方を見学して比較して構いません。

まとめ|「認知症だからグループホーム」ではなく、その親に合う暮らしから選ぶ

この記事のまとめ
  • グループホームは認知症のある方が少人数で共同生活を送る介護保険サービス
  • 介護付き有料老人ホームでも認知症のある方を受け入れている施設はある
  • 「アットホーム」がすべての人に合うとは限らない
  • 人との交流や役割を好む方には、グループホームが合うことがある
  • 医療面を重視する場合は、認知症対応のできる介護付きも候補にする
  • グループホームでも医療連携や看取りに対応する施設がある
  • 今入れるかだけでなく、重度化したときに暮らし続けられるかも確認する
  • 施設の種類ではなく、本人の性格・生活・医療面から候補を絞る

グループホームと介護付き有料老人ホーム。

制度の違いだけを覚えるなら、それほど難しくありません。

でも、家族が施設を探すときに必要なのは、制度を暗記することではありません。

「うちの親だったら、どんな暮らしが合う?」

ここを考えることです。

私はグループホームで約6年間働き、そのうち約3年間は計画作成担当者として利用者の生活に関わってきました。

介護付き有料老人ホームでは施設ケアマネとして働き、その後は老人ホーム入居相談にも携わりました。

両方を見てきたからこそ、私は、

「認知症ならグループホーム」

という選び方はしません。

人と話すのが好きな母なのか。

一人で静かに過ごしたい父なのか。

今までどんな暮らしをしてきたのか。

医療面では何が必要なのか。

これから状態が変わったら、どこまで対応してほしいのか。

そこから考えます。

グループホームで、家にいた頃より人との関わりが増えた方も見てきました。

逆に、症状が進行していく方もいました。

介護付きだから安心、グループホームだから認知症に強い。

そんなに単純ではありません。

施設の種類に親を当てはめるのではなく、親の困りごとと暮らし方に施設を当てはめる。

最後は、そこだと思っています。

よっしーからひとこと

グループホームって、私は結構好きなんです。

自分が働いていたところは、本当に泥臭くて、人情味のある職員が多いホームでした。

一緒に芋の皮をむく。

庭の草を取る。

散歩へ行く。

何度同じことを聞かれても、また答える。

介護現場だから、もちろんきれいなことばかりではありません。

夜勤で大変だったことも山ほどあります(笑)。

それでも、家で一人で過ごしていた人が、いつの間にか皆と一緒に体操している。

そんな姿を見ると、人と暮らすこと自体がその人に合う場合もあるんだなと感じました。

だから、自分の親に認知症が出たら、グループホームはかなり候補に入れると思います。

ただし、それは「認知症だから」ではありません。

私の親が、人とのコミュニティを作ることが比較的得意だからです。

もし医療面の支援がかなり必要なら、私は介護付きも探します。

一人で過ごすのが大好きな親だったら、また違う答えになるかもしれません。

親が違えば、正解も変わる。

だから施設名より先に、まず自分の親を見てあげてください。

【監修・執筆】よっしー

介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)/埼玉県認知症介護実践者研修 修了

介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、認知症グループホームで約6年勤務(うち計画作成担当者として約3年)。施設ケアマネジャーとして約5年、デイサービス管理者も経験。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・認知症ケア・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。

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