デイケアにケアマネはいる?役割・デイサービスとの違い・相談先をケアマネが解説
「退院後もリハビリを続けた方がいいと言われた」
「デイケアを勧められたけど、誰に相談すればいいの?」
「デイケアにもケアマネがいて、ケアプランを作ってくれるの?」
初めてデイケアを検討すると、こんな疑問が出てくると思います。
先に結論をいうと、デイケア(通所リハビリテーション)にケアマネジャーの配置は義務付けられていません。
在宅で生活している要介護1〜5の人なら、基本的には居宅介護支援事業所の担当ケアマネに相談し、必要性を一緒に考えていきます。
デイケアでは医師の関与のもと、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などの専門職が関わり、心身機能の維持・回復や日常生活の自立を目指してリハビリを行います。
ここで大事なのは、
「デイケアでリハビリをすれば、それで自宅生活も安心」ではない
ということです。
私はデイケアそのものに深く関わってきたわけではありません。
ただ、介護職や施設ケアマネ、デイサービス管理者として利用者さんを見てきた中で、「できるようになったこと」と「一人で安全にできること」は別だと感じる場面は何度もありました。
この記事では、
- デイケアにケアマネはいるのか
- 担当ケアマネとデイケア職員の役割
- デイケアとデイサービスの違い
- どちらを選ぶか迷ったときの考え方
- デイケアを利用したいときの相談先
について、介護現場とケアマネ業務の経験をもとに分かりやすく解説します。
デイケアにケアマネの配置は必須ではない
デイケアの正式名称は「通所リハビリテーション」です。
介護保険法では、介護老人保健施設や介護医療院、病院、診療所などに通い、心身機能の維持・回復を図り、日常生活の自立を助けるために必要なリハビリテーションを行うサービスとされています。
そして、厚生労働省が定める通所リハビリテーションの人員基準では、主に次のような職種が規定されています。
- 医師
- 理学療法士(PT)
- 作業療法士(OT)
- 言語聴覚士(ST)
- 看護職員
- 介護職員
一方、ケアマネジャーはデイケア事業所の必須配置職種には含まれていません。
もちろん、事業所によってはケアマネ資格を持っている職員が働いていることはあります。
ただし、
「デイケアだから必ずケアマネがいる」
という仕組みではありません。
担当ケアマネはデイケアと自宅での生活をつなぐ役割
では、デイケアにケアマネが必ずいるわけではないなら、担当ケアマネは何をするのでしょうか。
在宅で介護サービスを利用している場合、担当ケアマネはデイケアだけを見るのではなく、本人の生活全体を見ながら必要なサービスを組み合わせていきます。
たとえば、
- 退院後もリハビリを続けたい
- 最近歩く力が落ちてきた
- 自宅のトイレまで一人で行けるようになりたい
- 家族だけでは移動を支えるのが難しくなってきた
といった希望や困りごとがあれば、本人・家族から話を聞き、主治医やデイケアなどの関係者と情報を共有しながらケアプランを考えていきます。
→ケアマネにどこまで相談できる?何でも屋ではない|家族が知っておきたい上手な頼り方
ここで、私が大切だと思っていることがあります。
「リハビリをしたい」で話を終わらせないことです。
「何のためにリハビリをしたいのか」まで考えないと、本人に合ったサービスなのか判断しにくいからです。
- 自分で歩いてトイレへ行きたい
- 着替えを自分でできるようになりたい
- 退院前の生活に少しでも近づきたい
- 今できていることをできるだけ維持したい
同じ「リハビリをしたい」でも、目標は人によって違います。
だからこそ、デイケアへ通うこと自体を目的にするのではなく、その人が自宅でどう暮らしたいのかから考えることが大切です。
「できるようになった」と「安全にできる」は同じではない
リハビリによって、今までできなかったことが少しずつできるようになる。
これは本人にとっても家族にとっても嬉しいことです。
ただ、介護現場では身体機能が上がってきたからこそ注意が必要になる場面もあります。
私は施設で働いていたとき、機能訓練指導員による個別の機能訓練を受けている利用者さんを見てきました。
少しずつ歩けるようになってくると、自尊心の強い人ほど、
「もう自分で歩ける」
と思ってしまうことがあります。
そして職員を呼ばず、一人で居室内を移動して転倒する。
こうしたケースは実際にありました。
在宅でも同じように、リハビリによって動けるようになったことで「もう自分でできる」と思い、一人で動いて転倒したケースがあります。
もちろん、これはリハビリが悪いという話ではありません。
「できるようになった」と「一人で安全にできる」は、必ずしも同じではないということです。
たとえば、リハビリを行う場所では平らな床を歩けても、自宅へ帰れば、
- 玄関に段差がある
- 廊下が狭い
- ベッドからトイレまで距離がある
- 夜間は暗い
- 急いで立ち上がることがある
など、実際の生活環境は違います。
だから私は、リハビリを考えるときには「どこまで動けるようになったか」だけではなく、「その力を自宅でどう安全に使えるか」まで見ることが大切だと思っています。
デイケアの専門職だけに任せるのではなく、担当ケアマネや家族、ほかの介護サービスとも情報を共有しながら考えていく。
リハビリの先にある生活まで見る。
ここは、介護サービスを選ぶうえで忘れないでほしいポイントです。
デイケアを選ぶときは「リハビリの目的」を考えよう
デイケアを検討するときは、単に「リハビリをしたい」だけで決めるのではなく、その先の生活まで考えてみましょう。
たとえば、
- 退院後もリハビリを続けたい
- 自分でトイレまで歩けるようになりたい
- 立ち上がりや移動を少しでも安定させたい
- 今できている動作をできるだけ維持したい
同じデイケアを利用する場合でも、本人によって目標は違います。
だからこそ、
「デイケアへ通うこと」ではなく、「その人が自宅でどう暮らしたいのか」をゴールにすることが大切です。
担当ケアマネにも、
「リハビリを受けたいです」
だけではなく、
「家のトイレまで一人で行けるようになりたい」
「退院前の生活に少しでも戻したい」
など、具体的な希望を伝えてみましょう。
デイサービスとは役割が違う
デイケアとデイサービスは、どちらも自宅から通う介護保険サービスですが、制度上は別のサービスです。
デイケアの正式名称は「通所リハビリテーション」で、医師の関与のもと、PT・OT・STなどの専門職によるリハビリを受けられることが大きな特徴です。
一方、デイサービスは「通所介護」で、食事・入浴・日中の活動などを含めた日常生活上の支援が中心になります。
ただし、事業所によって提供している内容には違いがあります。
この記事ではデイケアとケアマネの関係を中心に解説しているため、デイサービスのケアマネや生活相談員について詳しく知りたい方はこちらを確認してください。
→デイサービスにケアマネはいる?生活相談員との違いや相談先を解説
本人が通い続けられるかも大切
介護サービスを選ぶときは、制度やリハビリ内容だけでなく、本人が「ここなら通えそう」と思えるかも大切です。
どれだけ家族やケアマネが、
「このサービスが合っている」
と思っても、本人が強く嫌がって利用が続かなければ意味がありません。
デイケアは定期的に自宅から通う場所です。
見学するときには、
- リハビリの内容
- 一日の過ごし方
- 利用者や職員の雰囲気
- 本人が無理なく通えそうか
なども確認しておきましょう。
私は介護現場で、本人に合わないサービスを無理に勧めても長続きしないケースを見てきました。
必要なサービスかどうかと、本人が通い続けられるか。
両方を見ることが大切だと思っています。
デイケアを利用したいときは誰に相談する?
要介護1〜5で在宅生活をしていて、デイケアを利用したいと思ったら、まず担当ケアマネに相談するのが基本です。
デイケアは介護保険上の医療系サービスに位置づけられているため、ケアマネが居宅サービス計画(ケアプラン)に通所リハビリテーションを位置づける場合には、主治医等の指示が必要です。
そのため、
「近所に良さそうなデイケアがあるから、来週から行ってみよう」
という形で介護保険サービスの利用が始まるわけではありません。
担当ケアマネに、
- なぜデイケアを利用したいのか
- 今の生活で何に困っているのか
- どんな動作ができるようになりたいのか
- 退院後もリハビリを続けたいのか
などを伝え、必要性を一緒に考えていきます。
→ケアマネにどこまで相談できる?何でも屋ではない|家族が知っておきたい上手な頼り方
デイケアを利用するまでの流れ
デイケアの利用開始までの細かな手続きは事業所や本人の状況によって異なりますが、大まかな流れは次のようになります。
- 担当ケアマネに相談する
- 本人の希望や状態を確認する
- 主治医等の意見・指示を確認する
- 利用するデイケアを検討する
- 見学や説明を受ける
- ケアプランなどを調整する
- 利用を開始する
デイケアは、医師の指示と通所リハビリテーション計画に基づいてサービスが提供されます。
そのため、本人や家族が希望しただけで、リハビリの内容や回数を自由に決めるわけではありません。
本人の心身の状態や生活状況、医師の指示などを踏まえ、必要なリハビリ内容が検討されます。
また、実際に利用する前には、できれば本人と一緒に見学しておくことをおすすめします。
「リハビリがあるから」という理由だけで決めず、本人が通い続けられそうな場所なのかも見ておきたいところです。
見学ではリハビリ以外も見ておこう
デイケアを探していると、どうしても、
「どんなリハビリをしてくれるのか」
ばかり気になるかもしれません。
もちろん、それは大切です。
でも実際には、定期的に通う場所です。
- どんなリハビリを受けられるか
- 一日の過ごし方
- 送迎の範囲や時間
- 食事や入浴の有無
- 利用者や職員の雰囲気
- 本人が通いたいと思えるか
本人に合わない場所では、せっかく利用を始めても、
「もう行きたくない」
となることがあります。
リハビリの内容だけでなく、通い続けられるかという視点も持っておきましょう。
ケアマネとデイケアは情報を共有しながら支援する
デイケアにケアマネの配置が必須ではないからといって、担当ケアマネとデイケアが別々に支援するわけではありません。
厚生労働省の基準では、一定のリハビリテーションマネジメントにおいて、デイケアの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がケアマネに対して、
- 本人が現在できること
- 自立のために必要な支援方法
- 日常生活で注意したいこと
などの情報を提供することが位置づけられています。
つまり、
「デイケアで今日は何メートル歩けた」
だけで終わるのではなく、その力を普段の生活でどう活かしていくのかまで考えていくことが大切です。
私は介護現場で、
「歩けるようになったから、自分一人で大丈夫」
と思って動き、転倒してしまう利用者さんを実際に見てきました。
だからこそ、
デイケアでの「できる」と、自宅での「安全にできる」をつなげて考える必要があります。
ケアマネはデイケアから得た情報だけでなく、本人や家族、ほかの介護サービスからの情報も確認しながら、生活全体を見ていきます。
→ケアプランとは?作成の流れ・内容・費用を介護福祉士・ケアマネがわかりやすく解説
家族からケアマネに伝えてほしいこと
デイケアを利用しているからといって、家で起きていることをデイケアやケアマネがすべて把握できるわけではありません。
特に家族には、自宅でしか見えない本人の様子があります。
たとえば、
- 最近、自宅で転びそうになった
- 一人で立とうとすることが増えた
- トイレまでの移動が大変になった
- 本人が「もう歩ける」と言うようになった
- デイケアへ行った日は疲れが強い
こうした情報は、本人に合った支援を考える材料になります。
逆に、デイケアで、
「立ち上がりが安定してきた」
「この動作は一人でもできそうになってきた」
という変化があれば、その情報を自宅での介助方法に活かせることもあります。
本人の状態は、ずっと同じではありません。
できることが増えたときも、できないことが増えたときも、情報を共有する。
これが大切です。
デイケアとケアマネについてよくある質問
ケアマネジャーは、デイケアの必須配置職種ではありません。
事業所にケアマネ資格を持つ職員がいる場合はありますが、すべてのデイケアにケアマネが配置されているわけではありません。
在宅で要介護1〜5の人がデイケア利用について相談する場合は、まず担当ケアマネに相談すると分かりやすいでしょう。
はい。通所リハビリテーションは医師の指示に基づいて提供されます。
ケアマネがケアプランにデイケアを位置づける場合も、主治医等の指示があることを確認する必要があります。
どちらが上というものではありません。
専門的なリハビリを必要としているのか、入浴や日中の活動、交流、家族の介護負担軽減などを重視するのかによって選択肢は変わります。
本人が何に困っていて、どんな生活をしたいのかから考えましょう。
要介護1〜5では、本人に必要性がありケアプランに位置づけられれば、両方を組み合わせて利用することがあります。
ただし、要介護度ごとの区分支給限度基準額や、ほかに利用している介護サービスとのバランスもあります。
まず担当ケアマネに相談しましょう。
まず担当ケアマネに相談しましょう。
「本人が行きたがらない」「思っていた内容と違った」「別のサービスを利用したい」など、理由も一緒に伝えると今後の支援を考えやすくなります。
いきなり我慢して通い続けるのではなく、何が合わないのかを整理して相談してみてください。
まとめ|デイケアだけでなく自宅での生活まで考えよう
デイケアにケアマネジャーの配置は義務付けられていません。
在宅で要介護1〜5の人がデイケアを利用したい場合は、まず担当ケアマネへ相談し、本人の状態や希望、主治医等の指示を踏まえて利用を検討していきます。
そして、デイケアを選ぶときに大切なのは、
「リハビリができるから」だけで決めないことです。
- 何のためにリハビリをするのか
- 本人は何ができるようになりたいのか
- 自宅では何に困っているのか
- 本人が通い続けられそうか
- 安全な生活につながっているか
リハビリによってできることが増えるのは、とても良いことです。
でも、
「できるようになった」と「一人で安全にできる」は同じではありません。
私は介護現場で、身体機能が上がったことで「もう自分でできる」と思い、一人で動いて転倒してしまう利用者さんも見てきました。
だからこそ、デイケアで何ができたかだけではなく、
その力を本人の生活の中でどう安全に活かしていくのか。
そこまで考えることが大切です。
デイケアかデイサービスか迷ったときも、最初から自分たちだけで答えを出す必要はありません。
「本人はどう暮らしたいのか」
そこから担当ケアマネや主治医などと一緒に考えていきましょう。
私はデイケアそのものに深く関わってきたわけではありません。
でも、介護職や施設ケアマネ、デイサービス管理者として働く中で、「動けるようになったからこその転倒」は実際に見てきました。
本人の「自分でやりたい」という気持ちは大切にしたい。
でも、できると思っていることと、安全にできることが一致しない場合もあります。
リハビリをすること自体をゴールにせず、その先の生活まで見る。
デイケアを選ぶときにも、この視点は忘れないでほしいと思います。
【監修・執筆】よっしー
介護福祉士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護業界18年。介護職として10年以上の現場経験を持ち、施設ケアマネジャーとして約5年勤務。老人ホーム入居相談員として、本人・家族の施設探しや入居相談にも携わる。
介護現場・ケアマネ業務・老人ホーム相談の実務経験をもとに、制度だけでは見えにくい介護のリアルを、本人や家族の目線に立って分かりやすく発信しています。



